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(短編集)
藍を継ぐ海
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藍を継ぐ海の評価:
| 書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.36pt | ||||||||
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全9件 1~9 1/1ページ
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| 五つの短篇を収めています。 作品の舞台はそれぞれ違っていますが、その土地で暮らす人たちの姿が風景としっくり解け合っていて、それぞれの話にすっと入っていくことができました。五篇の舞台になっている場所は、次のとおりです。 ◆「夢化(ゆめば)けの島」‥‥‥山口県萩(はぎ)市の北西に位置する見島(みしま)。 ◆「狼犬(おおかみけん)ダイアリー」‥‥‥奈良県東吉野(ひがしよしの)村。 ◆「祈りの破片」‥‥‥長崎県彼杵(そのぎ)地方にある長与(ながよ)町。 ◆「星隕(ほしお)つ駅逓(えきてい)」‥‥ ‥北海道遠軽(えんがる)町。 ◆「藍(あい)を継(つ)ぐ海」‥‥‥徳島県阿須(あす)町姫ケ浦(ひめがうら)海岸。 それぞれに良かったですが、なかでも、松本清張風・謎解きの妙味のある「祈りの破片」と、浜辺から始まった話が悠久の循環風景へと行き着く「藍を継ぐ海」の二篇に、格別の読みごたえを感じました。 | ||||
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| 後味がいいなあ | ||||
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| 結末がハッキリしないと気がすまない読者にはどうかと思いますが、私は余韻を残すこの作家さんが好きです。 | ||||
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| 五つの短編に共通しているのは、田舎町が舞台、作中の人は不器用、悪人は出てこない、そして自然科学の目。 ほっこりさせてくれるだけでなく、背景にある厳しさも容赦無く伝えてくる。 特にタイトル作は、夜中に藍色の海に入っていく生まれたばかりの小亀が眼にうかぶ。 長い長い厳しい回遊が始まる。 | ||||
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| 大変親切な科学的要素を含めた小説。過去の哀しい歴史を掘り起こし反省と振り返りを生じさせ、未来への可能性を繋ぐ。 | ||||
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| 5篇それぞれ興味深いテーマで、ストーリーもよくできています。なにより文章がしっかりしていて引き込まれました。 | ||||
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| 短篇集『藍を継ぐ海』(伊与原新著、新潮社)に収められている5篇はいずれも読み応えがあるが、私の心を鷲掴みにしたのは『狼犬ダイアリー』です。 ニホンオオカミの絶滅は私の一大関心テーマで、ニホンオオカミを見たと主張する登場人物の拓己君は、まさに、私の願望を具現化した存在だからです。 7年勤めたWeb制作会社を逃げ出して、奈良の山奥に移住してきた、仕事のないフリーのWebデザイナーの「わたし」まひろ(30歳)は、この東吉野村が、既に絶滅したと考えられているニホンオオカミが明治時代、最後に捕獲された場所とは知りませんでした。 わたしが、オオカミのものと思われる遠吠えを聞いた満月の夜の数日前に、大家の一人息子、小学3年生の拓己君が、集落の外れでオオカミを見たと言っていたのです。「そもそもオオカミのことなどろくに知らなかったし、さして興味もなかったのだ。そんな自分が、まさか本当にそれらしき声を耳にすることになるとは」。 わたぬき動物病院の獣医の綿貫先生は、ニホンオオカミについて、いろいろなことをわたしや拓己君に教えてくれます。「『秩父で1996年、九州の祖母山系で2000年にそれらしき動物が撮影されて、ニュースになったこともあります。ですが、数枚の写真で科学的に検証ができるかというと、やはり難しい』」。「『セント・バーナードからチワワまで、今の犬にはいろんな種類がありますが、すべてオオカミの子孫です。実際、タイリクオオカミと犬の遺伝子配列は、99.5パーセント以上が共通している。このギンタだって、立派なオオカミなんですよ』」。タイリクオオカミというのは全てのイヌの直接の祖先、ギンタというのは拓己君の家で飼われている勇敢な紀州犬です。 拓己君に誘われたわたしがギンタを連れて、拓己君がオオカミを見たという稲荷神社まで来た時、「ギンタが吠え立てるその先に、一頭の獣が姿を現した。・・・大きな口から出た長い舌のわきに、牙がのぞいている。そして、黄色い目。どこか異界から現れたような存在感がすでに、犬のものではない」。果たして、その正体は・・・。 ニホンオオカミを巡る臨場感溢れる謎解き物語と、自分は負け犬と落ち込んでいたわたしの再生物語とが見事に融合しています。 | ||||
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| 伊与原新氏の本はこれまで単行本も文庫も1冊も読んでいない。 しかし、雑誌『波』に連載されていた猿橋勝子博士伝記小説『翠雨の人』(すいうのひと)は終戦前のあたりから読み始め、面白い小説であることがわかったので、その後、毎号読んでいた。 この小説は第23回にアメリカでの海水セシウム濃度分析対決4回勝負で猿橋が最終勝利して大いに盛り上がったのだが、2024年1月号の第24回で、突然に完結終了してしまった。『波』のバックナンバーを探して初めの方も読んだが、紛失した号もあり、全部は読めていない。 単行本が早く出ないか早く出ないかと、『波』に近刊予告が出るのを待っているが、『翠雨の人』の刊行予告はなく、本書の刊行予告が出てしまった。 どうしようかと迷ったが、『翠雨の人』の連載後の復習と、いずれ出るはずの単行本の予習の意味で、予約購入させていただいた。 5篇の短編(中編に近い)が収録されている。長崎原爆関連の「祈りの破片」が週刊新潮に連載されたもので、他の4編が小説新潮に掲載されたものである。 面白いのは、5篇のうちの4篇が単行本化にあたって、改題されていることである。新しい題のほうがインパクトが強いので結構なことと思うが、「狼犬ダイアリー」を旧題の「灰色の血脈」のままにしておけば、5篇の題がいずれも5文字という幾何学的配列(?)になったと思うので、ちょっと残念である。 もう一つ面白いのは単行本の各短編の頁数で、「夢化けの島」が54頁、次が48頁、次が54頁、次が48頁、最後の「藍を継ぐ海」が55頁という分量になっている(計算間違いご容赦)。もしも、「藍を継ぐ海」が1頁早く終わっていれば、54頁→48頁→54頁→48頁→54頁というみごとな幾何学的配列(??)になっていたので、この点もちょっと残念である。 それで、肝心の小説の感想だが、5篇とも人情小説と科学小説が巧みに溶け合っていて、楽しく読めた。 科学小説としてはいずれも対象が壮大で、圧倒されてしまった。 主人公は、女性科学者→女性ウェブデザイナー→男性地方公務員→郵便局員→女子中学生と多彩である。 エンタテイメントとしては、各篇とも謎めいた展開に引き込まれ、途中で止められなくなってしまう。どの短編も、大都会でない場所を舞台に、多くない枚数で、これだけダイナミックでユニークな話が、展開できるのはすごいと思う。 人生小説、成長小説としては、物語の中のできごとが、主人公の成長、学習、課題確認、課題解決、再出発に繋がっていくことにちょっと感動した。 どれも傑作なので、ベスト1など選ばないほうがいいのかもしれないが、習慣的に選んでしまうと、一番気に入った主人公(科研費を取れない大学助教の女性地質学者)の「夢化けの島」がベスト1。 | ||||
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| 大きめ紙袋にむき出しでポイと入っていたため表紙の角が折れていてがっかり。 内容は購入してよかった本です。 | ||||
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