■スポンサードリンク
(アンソロジー)
家が呼ぶ
新規レビューを書く⇒みなさんの感想をお待ちしております!!
家が呼ぶの評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.56pt |
■スポンサードリンク
Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全8件 1~8 1/1ページ
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
「くだんのはは」は、徳間文庫版『黄色い泉』収録時に用語規制がかかり、ドイツ鯉を指さす場面のセリフが改変された。 (『新潮カセットブック』で朗読版が出た時には、おそらく視覚障害者への配慮したつもりだろうが、当該部分は削除されていた) 創元推理文庫版『日本怪奇小説傑作集』では、改変後を底本としている。 だが、「くだんのはは」には、元々は読者に『九段の母』という歌を連想させ、屋敷の離れにいる者が病気の女の子ではなく、実は江戸川乱歩の「芋虫」や映画『キャタピラー』に登場するような、一種の「生きている軍神」のような存在ではないかと誤認させることで、結末の衝撃度を大きくする意図があったのではなかろうか? 改変前のオリジナルのセリフは、その誤認を誘発させるための、ミスディレクションだったのではないか? もしそうなら、改変版は作者の本来の意図を無視した改悪である。 オリジナル版は筒井康隆編『異形の白昼』で読むことが出来たが、集英社文庫版はもとより、ちくま文庫版も増刷されていない。 現状で、新品の本で読めるのは、著作権継承者の指示で保存原稿から復刻された、本書である。 著作権継承者が、用語規制前のバージョンでの収録を望んでいることを考えると、やはり改変版では作者本来の意図が無視されていると見るべきであろう。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
実話怪談ブームも頭打ちしつつある中、やはりプロの書く怪談小説は恐怖の作り方が抜群に上手く引き込まれてしまいます。 実話怪談と言っておけば、盛り上がりやオチが無くても通用していましたが 自然淘汰され、本当の怪談の価値が見直されつつあるのが今の現状ではないでしょうか。 この本は 名うての作家が「家」にまつわるホラーをこれでもかと、立て続けに引き込むように読ませてくれ、「家」そのものの恐怖が見事に表現されています。 また、小松左京氏の「くだんのはは」では戦時下の空気感の恐怖も併せて伝えてきて 「流石。。」と唸らせてくれました。 続編的な、「宿で死ぬ」もぜひ購入したいと思います。また、シリーズ化も期待します。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
こういうアンソロジーって、気に入った作家さんの話はとても気に入るんだけど、合わない作家さんの話にはなかなか入っていけず、結果そこから本が進まなくなって途中で読むの止めてしまう…ってパターンが多いんですが(私だけか?笑) この本の話はどれもさくさく読めました。 それだけで評価が高くなる。 やはり皆さんプロだ、物語に入り込ませる力が強い。選んだ朝宮さんも凄い…。 若竹七海「影」→いかにも若竹さんらしい 三津田信三「ルームシェアの怪」→何回読んでも好き 小池壮彦「住んではいけない!」→実話怪談らしく楽しい!(ラストの話凄すぎませんか…) 中島らも「はなびえ」→「主人公、いい部屋見付けて良かったねー」と喜んでたら… 高橋克彦「幽霊屋敷」→切ない 小松左京「くだんのはは」→やっぱ圧巻だ…(昔はくだんの所ばっかり読んでました。今は戦時下の少年の生活や心情が興味深いです) 平山夢明「倅解体」→もうタイトルから怖い笑 皆川博子「U Be Me」→「どこのどなたかは存じませんが、どうか気をしっかり」と言いたくなる笑 日影丈吉「ひこばえ」→あれよあれよの怒涛の展開に「…」ってなった… ひこばえ=孫生え=若芽のことらしいです…さわやかなタイトルも読み終えた今は怖い… 小池真理子「夜顔」→怪異自体は良くある話なんでしょうが、病弱な女子大生の描写やその後の人生が読ませるわあ… 京極夏彦「鬼棲」→あーもう京極さんらしい… 楽しく読み終えました。満足。 やっぱり「くだん」、「ルームシェア」、「鬼棲」が楽しかったな… | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
「怪奇幻想ライター」の朝河運河氏が編んだ、家に因んだ怪談アンソロジー。1968~2015年に発表された、11人の作品からなる。各作品のプロフィルは「yuma」氏のレビューにうまくまとめられているので、そちらを参照してほしい。全体に水準が高く、アンソロジストの力量の確かさが伝わってきた。この点、『怪談傑作集』の類のタイトルを掲げながら到底怪談とは言えない作品を多々混入させる(時には100%近く)東××氏とは雲泥の差なので、安心して購入して頂きたい。 個人的には、若竹七海氏の『影』、三津田信三氏の『ルームシェアの怪』、中島らも氏の『はなびえ』は、このアンソロジーがなければ出会うことのなかった逸品であったし、京極夏彦氏の『鬼棲』も意外な味わいがあった。平山夢明氏の『倅解体』は、残念ながら怪談として読むには余りに平山流スプラッター臭がきつすぎた。 高橋克彦氏の『幽霊屋敷』、小松左京氏の『くだんのはは』、日影丈吉氏の『ひこばえ』、小池真理子氏の『夜顔』は、他の選集にも入っているので新味には欠けたが、何回読んでも怖い名品である。日影丈吉氏は『ひこばえ』を発表した時75歳。その歳で、あの説明のつかない忌まわしさ、無力感、そして衝撃的な結末は、凄い! | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
商品の状態も、とてもきれいで気に入りました。 到着後、すぐに読みきりました。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
■「影」若竹七海 隣の家というのは、ホラーの定番。 主人公が危機に直面することはなく、怪談の傍観者でしかないが、それこそが怪談。本当にあった体験談のようなリアルでひっそりと怖い。ほどよい怪談。 ■「ルームシェアの怪」三津田信三 あちこちに貼られた伏線の回収が抜群に巧い。 うーん…秀逸。 ネタばれになるから多くコメントが書けないのが残念。 ■「住んではいけない!」小池壮彦 超短編怪談集。無駄な説明や設定は一切なし。ただただ奇妙な体験をした人たちのエピソードが語られる。これぞショートショート怪談の醍醐味。 有名な岐阜県の幽霊住宅で起こった怪異を淡々と語るルポ形式もあれば、ファンタジックなものまで色とりどり。 ■「はなびえ」中島らも サスペンス要素ありのホラー。 主人公、梨恵子がかっこいい。 調香師という職業ゆえに見舞われるホラー災難。クライマックスは吐きそうになること必至。 ■「幽霊屋敷」高橋克彦 悲しい系ホラー。 と言っても、「ほん怖」の最終話にあるようなハートウォーミングでホラーをはき違えたものではなく、きちんと盛り上げ怖がらせてくれる。 ■「くだんのはは」小松左京 妖怪ホラー。くだんという妖怪についての予備知識が無い方が楽しめるでしょう。戦時下の緊張感とは対照的な、なぜか戦禍に見舞われることのない異空間のようなお邸が舞台。見てはいけない物はなぜだか見たくなる。しかし見た後必ず後悔する。 ■「倅解体」平山夢明 夫婦の会話が面白い。どこか現実的ではなくなんだか仲の良い夫婦の日常会話のように殺人についての会話が繰り広げられるオープニング。 登場人物は真面目に殺人について語っているのだが、その様子がはたから見ると滑稽で仕方ない。現代社会が抱える闇をサイコホラーで味付けした爽快コメディ。 ■「U Bu Me」皆川博子 私はこの作者の作品を読んだのはこれが初めて。 彼女の作品・作風・生い立ちなどを知っている方にはきっとこの作品の良さがより伝わるのだろう。主人公のモノローグが中島みゆきの声で再生されました。 ■「ひこばえ」日影丈吉 この家に住むと呪われるとか、この家には幽霊が出るとか、「呪怨」「悪魔の棲む家」「ポルターガイスト」系の家に棲む者に襲われる話というよりは、家屋自体が生者を食い尽くすという物体自体に意思があるという意味では「マングラー」「クリスティーン」系か。 ハリウッド映画のような外連味はなく、「本当にありそう」な、怖い話。 ■「夜顔」小池真理子 古典的な幽霊話。 しっとり、はかなく、哀しく、愛おしい。 幽霊がどうやって「同調者」を呼び寄せるのか、そのノウハウが語られるラストは、興味深い。ちょっと可笑しいラストで救われる…か。 ■「鬼棲」京極夏彦 台詞まわしが京極節で、ファンにはそれだけで堪らない。 恐怖=予感 かあ。なるほど。 西洋ホラー映画の恐怖とは暴力に由来する。13日の金曜日、エルム街の悪夢、ポルターガイスト、エクソシスト、パラノーマルアクティビティ、アナベル etc どれもこれも危害を加える者はモンスターだったり悪霊だったり悪魔だったりするけれど、結局どれも同じで圧倒的な暴力によって制圧される恐怖だ。しかし日本の心霊ホラーは違う。ただ、そこに居るだけで怖い。(日本ホラー映画でいうと黒沢清監督の「降霊」「回路」などがそれにあたる) 「幽霊が出そうで怖い=予感だけで十分怖い」これこそが日本ホラーの真骨頂なのだ。静謐で上品でしっとり怖い。 日本の怪談がなぜ怖いのか、これを読むとしっくりくる。 ■アンソロジーのありがたいことは、知らない作家さんの面白い作品を教えてもらえるところ。 これだけ多種多様な家にまつわるホラー作品を一気に読めてしまう贅沢さ。 編者は一体どれほどの量の作品を読破してきたのか。 美味しいワインを教えてくれるソムリエのようなありがたさです。 ごちそうさまでした。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
一話一話選び抜かれた作品集。 世界観に引き込まれてしまうものばかりで、 最良の一冊かな、と。 個人的には三津田信三「ルームシェアの怪」が好み。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
なんといっても、小松左京「くだんのはは」が圧巻でした。 ずいぶん前に読んだ作品ですが、色あせないどころか、ますます輝きを増しているような気がします。 作品の構成をふりかえってみると、前半、戦時下の暮らしのシ-ンが非常に長いです。 ここは、一見、不要なシーンに見えます。 が、よく考えると、このシーンがあるから作品が成立しているのだとわかります。 というのも、「アレ」は「どうにもならない時代」の象徴であると考えられるからです。 ですから、「どうにもならない時代」が、どのように、どうにもならないのか、詳細に語る必要があるのでしょう。 実際、もしも戦時下であるという設定をはずしてしまうと、この作品は、単に「アレがいるんだわ。怖いわ」という、ありきたりのホラーになってしまうでしょう。 「くだんのはは」以外では、皆川博子「U Bu Me」が、女の狂気を描いて、怖かったです。 あとは、三津田信三「ルームシェアの怪」が、パターン通りのつくりではあるけれど怖かったです。 | ||||
| ||||
|
■スポンサードリンク
|
|
新規レビューを書く⇒みなさんの感想をお待ちしております!!