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苦い林檎酒
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苦い林檎酒の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.00pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
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才人P.ラヴゼイが、得意のヴィクトリア朝を舞台にした洒脱なミステリ群とは趣向の異なる物語を提供して懐の広さを見せる。主人公の少年時代における年上の女性への思慕とそれに纏わる事件の回想談を交えて理想と現実の落差を「苦く」綴ったもの。 主人公は大学の講師。そこへ突然アメリカ娘アリスが訪れる。主人公が9才の時、戦争時の疎開先で殺人事件に遭遇し、主人公の証言もあってアメリカ軍人デュークが死刑に処された。アリスはデュークの娘で父の無実を晴らそうとしているのだ。主人公が目撃したのは強姦場面で、主人公は被害者バーバラに強い思慕の念を抱いていた。判決は、主人公の叫びを聞いたデュークが男を銃殺したものと下された。主人公はデュークにも親愛の情を覚えており、二重の意味で本事件は主人公にとって封じ込めたい記憶だった。だが、アリスは嫌がる主人公を連れ疎開先の村に行き、真相を暴こうとする。そして、アリスの追及によって真相が次第に明らかになって行くが、それに連れ主人公は自分が記憶を改竄していたのではないかと悩むようになる。更に、この調査によって新たな殺人が起こり、主人公は過去と現在の双方の事件の当事者となってしまう...。 物語は主人公の一人称で書かれており、ミステリ的に言えば変則的な「アクロイド」を狙ったものなのか、あくまで少年時代のほろ苦い感傷を主題にしているのか結末近くまで明かさない点が作者の手腕か。いずれにせよ、少年時代の主人公の年上の女性への純粋な崇拝の念が本作のキー・ポイントになっている点は見逃せない。作者は主人公の口を借りて「サスペンスを語る気はない」と言っているが、むしろアリスの言動に焦点を絞った方が濃厚なサスペンス味が出たと思う。「cider」が「林檎酒」とは勉強になりました。 | ||||
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