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金木犀とメテオラ
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金木犀とメテオラの評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点2.50pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
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極端なほどに負けず嫌いで常に成績がトップでないと気が済まない、宮田。 自身の家庭環境を何よりも恥じており、その事実をひた隠しにするため完璧な優等生を演じる努力を惜しまない、奥沢。 舞台となる女子校の中で頭一つ、二つ抜きん出るほどの優秀な成績を残す彼女ら2人には、教師や生徒たちから期待と羨望の眼差しを向けられていた。 しかし本当の彼女たちは、未来への焦燥や自らの境遇への絶望で今にも押しつぶされそうになっている。 目標や夢に向かって努力することでしか己の存在意義を見出せない彼女たちにとって、今この瞬間は通過点に過ぎない。 全ては未来のため。 大人や世間が言う、「良い人生」を送るために自らの本心を押し殺す彼女たち。 誰にも本心を打ち明けることなく、自らの力だけで未来を切り拓こうと必死にもがく彼女たちの姿は、痛ましいと同時に歯がゆい。 周囲の人間のみならず当事者である彼女自身たちでさえも、いや当事者であるからこそ、そうした苦しみや絶望を背負っているのは自分だけだと思い込んでしまうのだ。 傍らには自らと同じように葛藤し苦悩する人物ばかりなのに。 宮田は奥沢に、奥沢は宮田に対して自らが持っていないものを相手は持っていると、妬み羨む。 自分の欲しい全てを持っている相手が、まさか自らと同じように苦しんでいるとは露ほどにも思っていない。 自分だけが、という誤った認識。 抱える苦しみは違えど、苦しみを抱えている点では同じなのに、それに気付けない。 誰もが孤独でありつつも、顔を上げて周囲を見渡せば同じように悩み苦しんでいる人はいる。 孤独であるという事実は変えられないかもしれないが、同じ孤独を抱えている人が自分以外にもいるという事実にどれほど救われることか。 青春小説の王道でありつつも、老若男女問わず心の琴線に触れる一冊。 | ||||
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