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闇の奥
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闇の奥の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.94pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全83件 81~83 5/5ページ
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本書を読んですぐに思いついた本がある。映画『ボウリング・フォー・コロンバイン』でも登場している、バリー・グラスナーのThe Culture of Fearという本だ。根拠のない恐怖をマスメディアなどを植え付けられたアメリカ人は、実際には存在すらしない恐怖に怯え、パニックに陥って悲劇を生み出していることを、社会学的に検証している本である。 このコンラッドの『闇の奥』に描かれている白人たちも、もさしくこうした脅迫観念にとりつかれ、現地人や現地人慣習に対する無知・無理解のせいで、ちょっとしたことでパニックを引き起こしてしまう。このような白人の芊脅迫観念は、しばしば現地人の大量殺戮とその正当化の摂理に通じる。この『闇の奥』がコッポラ監督の大作『地獄の黙示録』の原案になったと言われるゆえんである冷戦期、アメリカは共産主義の「ドミノ理論」に対する恐怖感のあまり、アジアの小国を侵略した。また、アメリカの建国初期には、インディアンの襲撃を恐れた入植者たちが、インディアンをほぼ絶滅に追いやった。(ここで通底しているのは、未知のものに対する怯えであり、これを取り除き秩序を作り出す自らの力に対する過信であった。本書に登場する白人たちも、自身の体に沁み付いている「恐怖の文化」のために、自らの人間性を破滅させてしまった哀れな人間たちであった。 | ||||
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古典的傑作といわれる本を読みたいと思いながらやっと読みました。実は映画「地獄の黙示録」の原案と言う話を聞きつけどんな小説だろうと益々わくわく期待感を膨らませながら読みました。残念ながら映画そのものはみていないのですがその人づてに聞いた粗筋をものに小説を読んでみましたが、突然消息をたったカーツ大尉ならぬ象牙採取人クルツを捜索するというそのたぶん同じでしたでしょう。其処からはなんともいえませんが、でもどうにもはっきり言ってその映画の原案と言う話がなかったら多分読まなかったでしょうってくらい正直退屈でした。うっそうと茂っている未開の森の中と入っても何分其処を堪能し想像する以上の難解きわまる小説の表現にはさすがに参りました。小説そのものが3・40年位前に出版されたとか言う私には想像を超える古い代物に感じてそれだけで辟易してしまってもうその小説の世界、未開の森の恐ろしさを感じ入る以上にもうよみにくいったらありゃしないとただ淡々とよみ進めるのが精一杯でした。ただその頃に出版されたとか言う今では不適格な表現かも知れない表現にぶち当たったのは今の小説ではありえないので何か貴重な書物に遭遇したかもしれない感じはしました。貴重は貴重に感じるくらい古い書物でしたので読みにくいったらどうしようもないくらいでした。新版翻訳で最近出ているのでいつか比較して読み直したいです。傑作とも言いますが映画みていないので余計に深みにはまれなかった所為でしょうか。私には合わなくて、どうしようもなく退屈に見えてしまいました。 | ||||
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二十世紀直前のアフリカ、ベルギー領コンゴ。雇われ船員のマーロウはある交易会社に依頼されて、コンゴ奥地で消息を絶った腕利きの現地支配人クルツの探索に向かうが・・・・。 戦争映画『地獄の黙示録』の元ネタになった小説で、コッポラの映画同様、まったく奇妙で脈絡がなく、ただただ粘りつくような「恐怖」の感覚だけが迫る怪作です。 これはヨーロッパの帝国主義のひとつの寓話として読めます。ヨーロッパ帝国主義が体現していた意義や道徳=現地支配人クルツと読み替えて、その帝国主義の崇高な道徳の使者だったはずのクルツがアフリカの奥地でどのような狂気に侵されていったか。著者のコンラッドは実際に船乗りとしてコンゴへ行ったことがあり、そのとき帝国主義の現実に直面した体験がこの小説を書かせたそうです。また、本書全篇にただようある種の崩壊感は、世紀末の一ヨーロッパ人としてコンラッドが感じた深刻な何かだったのかもしれません。 ま、帝国主義に何らかの道徳だの意義があったと(ご当人らはかなり本気で)信じ込んでいたヨーロッパ人が、そんなものはなかったと気づいたときの自己愛的なショックだ、と言えばそうなんですが。日本も帝国主義の経験があるので、我らが祖先がアジアの植民地支配の現場で何を考えていたか、というのも興味はあります。 | ||||
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