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夏物語



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【この小説が収録されている参考書籍】
夏物語
夏物語 (文春文庫 か 51-5)

夏物語の評価: 3.46/5点 レビュー 82件。 Aランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点3.46pt


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全82件 61~80 4/5ページ
No.22:
(1pt)

ガッカリ

ちょっと内容が思っていたのと違いガッカリでした。
夏物語Amazon書評・レビュー:夏物語より
4163910549
No.21:
(5pt)

斬新な「妊娠小説」

犬儒家斎藤美奈子氏は著書『妊娠小説』の中で、「妊娠小説」とは「望まない妊娠」を搭載した小説のことであって、「御懐妊」あるいは「おめでた」と呼ばれる「望む妊娠」は「妊娠小説」の範疇には入れない――そう述べている。その斎藤氏なら『夏物語』について何を語るだろう、と考えていた。それとも斎藤氏は既にこの小説について何か書いているのだろうか、御存知の方がいらっしゃったら是非お教えいただきたい。というのは、『夏物語』は「望む妊娠」でありながら、斎藤氏が『妊娠小説』に新たな章を設けて論ずるに価する小説だと思うからだ。
 何故そう思うのかと言えば、『夏物語』では、主人公夏子は愛する逢沢潤の子供を欲しいと「望む」が、逢沢との結婚ばかりか肉体関係を持つことさえ拒絶し、彼に精子を提供してもらうことで妊娠を果たそうとする、そういう小説であるからだ。逢沢はきわめて誠実だし、妻がいるわけでもない。そう聞くと、「えっ、そんなのあり?」と(斎藤氏風に)叫んでみたくなりませんか。
 しかし川上未映子氏は500ページを費やし、最後には読者を「うん、それもありだろう」「それがいいだろう」「それしかないかもしれない」「そうしなさい」と納得させてしまう。それがこの小説の凄いところであり、文学たる所以だ。
 社会学者なら、「経済的に自立した女性が敢えてシングルマザーを選ぶ、そんな時代が到来したのだ」とか何とか論ずるかもしれない(俵万智氏が頭に浮かぶ)が、文学は社会学ではない。ここで文学と社会学の違いを長々論ずるつもりはないが、ごく簡単に言えば、社会学がその時代の多くの人間に共通するものを取り扱う学問であるのに対し、文学はある特定の個人のその人でしかありえない生き方を描きながらそれが普遍的なものに通ずるものである、といったところか。
『夏物語』は女性の作家でなければ描けなかった作品だろう。谷崎潤一郎を筆頭に個性的な女性を見事に描いた男性作家は多々いる。しかし、子供を産めるのが女性だけであるように、夏子のような女性は女性作家でなくては絶対に描けなかったと思う。
『夏物語』は『ヘヴン』と並んで川上未映子氏の代表作になるのではあるまいか。
夏物語Amazon書評・レビュー:夏物語より
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No.20:
(5pt)

夏、熱く感じる。

非配偶者間人工授精(AID)の倫理的な問題をテーマにしている。
その生命倫理は奥深く、答えはないが、選択肢は限られている。
一つだけ言えることとして、意志の存在。
心模様の活字を積み重ねることにより、心の葛藤、心の叫びが聞こえてくる。
それは第1章の「乳と卵」を前段として、第2章より生きづらさが語られていく。
原点に立ってみると眼下に広がる風景は記憶を蘇らせる。
傷ついた心の痛みや苦しみが癒されていく。
生むこと、生まれること、生まれてくること、そして生きていくこと。
居場所を求めて。
私小説的な要素が散らばっているように感じる。
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4163910549
No.19:
(3pt)

子どもを作ることに自己決定はあるのだろうか?

「生まれることに自己決定はない。だが産むことには自己決定がある」・・・・本当にそうだろうか?
私は10年ほど前に長年、不妊治療をしていた経験から、「生むことに自己決定はあるのだろうか・・・・?」と感じながら読んでいた。ある意味、「生むこと」には自己決定があるのかもしれない、でも、子どもを「作ること」には、そんなに自由に自己決定して作れるものではないことを実感として感じてきた。どんなに最先端の技術を使っても、命を授かるということはとても難しく、本当に奇跡的なことなのだと思う。だから、例えどんな方法を使い、どんな理由で授かったとしても、命を授かるということは生まれる側に自己決定があって、やってくるのではないかと思う。授かった命を「生む」「生まない」というのは、人が決定できることなのかもしれないが、その前の段階として、どんなに「作る」と決めたとしても、そんなに簡単に命は授かるものではない・・・・だから、もし命を授かったのであればそれに従えばいいのではないかと思った。
「作る」ということに対しての議論に関しては・・・わからない。でも、そんな方法であれ、授かるということは生んでいいということだと思う。
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No.18:
(5pt)

夏物語

大阪弁、最高❣️女心。姉妹のやりとり。 我が子への情愛は、魅惑の乳の匂い。読んでみて下さい❣️
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4163910549
No.17:
(5pt)

文の生き生きとした流れ

川上未映子の「夏物語」。私はとても好きです。川上作品では「ヘヴン」以来の圧倒的な喜び。
軸となるのは、夏子の子どもを生みたい、いや、自分の子どもと会いたいという欲望。
そこを中心に、私にはなじみのない物語、普通ではない人の振る舞いが繰り広げられる。
「どうしてそうなるのか」とハラハラしたり、ため息をついたり、ハッピーエンドへ引っ張りたくなったりするが、人は機械ではなく、ぼちぼちなもので、0か1かでは割り切れない。理屈だけは片付かない。
そして、筋書きよりも、文がすごい。著者が文を作り出す。そういう主語と目的語の関係にはない感じがする。
文の流れが生き物みたいで、様々なリズムで呼吸し、うごめいて変貌する。
流れの速度が変わり、量が変わり、たてる音も色も変わる。
最後の543ページまで読んだからこそのラストの4行の感動がある。
好きなフレーズも散見される。
「なんというか、相手を思う強さがそのまま世界への信頼の強さになるというようなそんな世界、そのものなんじゃないだろうか。」
「あるいは、夏目さんが真に親切だったために、これまで誰も気がつかなかったという可能性がある。」
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4163910549
No.16:
(2pt)

主張が不鮮明かな?

この小説にたびたび登場する男性編集者の言葉が印象的"貴女には小説家の才能が無いだろう"?この言葉は私にも響くし、この本の前半だけを読む限り
トラウマ編集者の通りかもしれない。
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No.15:
(1pt)

重いテーマに対して薄い結末に思いますし、無駄に長い文量だとも思いますし、 本屋大賞2020にノミネートされる資格を感じない残念な作品でした。

パートナーなしの精子提供妊娠、出産を目指すヒロインと、精子提供で生まれ「父の顔」を知らない男性との交流がメインとなる作品で、
無駄に長く、帯の『圧倒的感動』を信じて読了しましたが、

テーマは最近のもので面白いのに、とある女性キャラクターのヒロインに対する叫び『誰もが自ら望んでは生まれてこない子供を出産するのは酷い事』に対するヒロインの答えが、
あやふやな事にガッカリしましたし、感動は特に感じませんでした。
重いテーマに対して薄い結末に思いますし、無駄に長い文量だとも思いますし、
本屋大賞2020にノミネートされる資格を感じない残念な作品でした。
夏物語Amazon書評・レビュー:夏物語より
4163910549
No.14:
(1pt)

がんばれ男性諸君

第一部は星4。第二部は星-3。
もし現代日本文学が常に危惧されているように末期を辿っているのなら、この本は何かしらの賞を受賞するだろうと思っていたところ、案の定毎日出版文化賞を受賞した。只でさえ幼稚さは否めない日本の世論に左右される、素晴らしき現代日本文学。

第一部の完成度は素晴らしい。『乳と卵』の書き直しということもあって、テーマも骨組みもしっかりとしているし、もとの作品よりも夏子と緑子の人物像が浮かび上がることで、どこか『ミス・アイスサンドイッチ』に似た匂いを思わせる、川上未映子らしい敏感な生理的感覚に満たされた佳品であった。

しかし第二部は、いとも簡単にその先入観を裏切る。

「生殖倫理」をテーマにしているはずが、この問をフィクションの中に成り立たせる客観性・倫理性に乏しく、作家の所感(考察ですらない)の枠を出ない。AIDの具体的な情報(たとえば夏子が調べた情報、逢沢潤の語る話など)はもはや引用さながら、作家の手によって調理されなかった青臭い記述として並べられる。つまり、作家にとってAIDの詳細な情報は、残念ながら力量不足で消化できなかったもの、あるいは物語のディテールを固めることにおいてむしろ「書きたいもの」に邪魔をするものであった、ということがうかがえる。
作家はきっと、「生殖倫理」を問うことに興味をあまり置いていない。逢沢潤の人物像の薄さ、精子提供者の性格の歪み様に表れるように、むしろ「出産における女性の劣等性」を書くことにこそ作家の熱量を感じる。したがってそれは両性の観点をもとにした「正しい」生殖倫理というよりは、女性にのみ肩入れした感情論である。女性文学としての歴史の譜に並べるのなら、十分すぎるほどの「性的自意識」が滲み出ているけれど、文学の一作品として見るならいかがなものか。
そもそもテーマが現代的というだけで、作中で何度も同じ表現を繰り返し、挙げ句の果てにはかつての作品に用いた表現も持ってきて、同じような構成の繰り返しで進んでいくこの作品はそのテーマを伝えられるほどに「優れて」いたか? というのも、十分考えどころではあるけれど、両性の性差別を撤廃するよりも先に「女性の地位向上」を謳いあげる施策が行われる日本での受賞は当然だとも言える。

女性が男性による差別を問題として提言するのは一つの人権表現である。
しかし、この作者のような怒りをもつ女性たちが思い違いしているところは、自分の生理的好き嫌いを世論で持て囃される「政治正義」によって有無を言わさず肯定し、よくよく考えれば権利を侵害してるとは言えない些細な点(この作品で言うなら、夫が家で出す日常音が耳障りでうるさい、など)も大きく祭り上げるところである。また、それこそが男性への弾圧になっているということも省みない。

別の話で言えば、繊細で感情的、物事について細かな機敏で感覚する複雑な『女心』という立派な建前を、両性で尊んでいる風潮。
それに対比して、単純脳回路で愚直という固定観念を揺るがなく張られ続ける男の窮地。その優劣を、両性で暗黙に認めている価値観がある。
脳の造りが違うという事実からどちらも性の違いの範疇なのに、いつだって女心ばかり美しげに尊ばれるのはなぜだろう。
男女の差別をまっさらなくすのなら、両性によって根も葉もなく尊ばれる女心の聖性は、男性による盲目的男性優位主義の概念とともに、なくなるべきものだと思う。
女心がいかに繊細かを説き、男と比べ、無意識であっても結果的には差別的な男性糾弾、性的優位を得ようとする一部の動きは、盲目的男性優位主義と変わらぬ『盲目的女性優位主義』だ。

世界的な女性差別撤廃の裏側に、男性と女性という区切りの持つ偏見、隔たりをなくすべき倫理が出来上がりつつある。
恐らくは、お互いが差別になり得ない性差の違いからしっかり知ることで、相互の性を尊ぶ考え方が生まれることが、全く理想だったのだろう。
相手の差別意識を批判するのなら、まずは自分の持つ差別意識を批判することから始めなければならない。今作品では、白々しいほど、それができていない。
どれだけ世界がこの作品を認めたとしても、ディストピアにおける一時の自己満足に他ならないか、個人主義が現代においては自己中心主義であり、相応に間違った価値が置かれているためだと考える。

いま、女性作家からひとつの雪玉が投げられた。男性らはそれを食らってしまったが、どう反撃をするのだろう。それとも反撃などはせず、和解にも持ち込まずに、食らったままで沈黙をつづけるか。
男性も存分に「性的自意識」を滲ませた生殖倫理を説けばいいのに、とも思うけれど、そういうことを客観的に書ける迫真さを持ち合わせた作家は今のところいないのが現状だ。

レビュー(?)が長くなって失礼しました笑
夏物語Amazon書評・レビュー:夏物語より
4163910549
No.13:
(1pt)

名作か?

よく千枚以上の小説を一気に書けるなと感心するが、それにしてはすらすら読める。作者の現実をちょっとずらした小説だが、はてどこに涙を流すような感動台詞があったのやら、そういう意味で名作かどうかは分からない。ただ途中で「この世のどこかに自分の知らない自分の子などいないと断言できる男はあまりいないだろう」(うろ覚え)とあったが、いやそれは結構いるんではないかと思った。(後記)しかし「生むべきか生まざるべきか」などと初手から悩めるのは女だけで、男は何もないところから悩めないわけだから、これは男性差別小説ではないかと思い点数を下げる。
夏物語Amazon書評・レビュー:夏物語より
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No.12:
(5pt)

いっきに読みました

単純に面白かった。この作者さんの他の作品も読みたくなりました。
夏物語Amazon書評・レビュー:夏物語より
4163910549
No.11:
(5pt)

夏子の半生くらいまでを追体験する

なかなかぶあつくて、読みごたえがありました。主人公の夏子が、人工授精で最終的に出産にいたるまでに思いなやむ過程をともに体験したような気分です。 
 むろん、自分は男なので性にたいして葛藤するぶぶんなどはおおいに考えさせられるところがありました。 
 
 途中、生殖倫理の話が続くところでは、こういうものならノンフィクションでもいいのになあとすこし勝手なことを思ったのだけれど、肝心なのは、夏子が幼いころから38歳になるまでの人生経験すべてふくめて、そのなかで、子どもを産むことや、セックスをすることにどういうふうに感じてきて、どのように向き合ってきたかを読者が読みながらともに体験することに意味があるのだと思いなおしました。  
 
 そう考えると、この物語はけっこう壮大です。性の葛藤、貧困家庭で苦しむこと、身近な人が死んでいくこと、幅広い要素が散りばめられています。 
 それから、登場人物の一人一人の個性だったり、台詞の内容だったりに、無駄がないというか、輪郭がくっきりしていて、すべてが際立っています。大阪弁の使いわけもグッドです。たいへん面白いです。 
 
 さて、いまからこないだ出たばかりの文藝の特集に載っている、いろんな人たちの批評を読んで、自分の浅い「読み」を補っていきます。
夏物語Amazon書評・レビュー:夏物語より
4163910549
No.10:
(1pt)

小説家の言葉

センセイによれば、この本を読むことで「読書の反応を超えたような」体験を経て、「人生の深いところから」感想が湧くらしいです。
センセイはこれまでどんな読書体験を積んだのでしょうか、、?
人生の深いところって何ですか??
いやはや、、
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No.9:
(4pt)

根底に流れる主題は同じ?

初めての長編でしょうか。
文章は一段と洗練され読み易くなりました。
ただ顔面のイボを憎悪の象徴みたいに描くのは如何なもんでしょうか。
過去の自作「乳と卵」を発展させる小説の作り方や、比喩を貫くあたりは村上春樹の影響かなと思いました。
しかし著者は以前は無痛分娩に失敗して帝王切開した話を書き、今回はありえない苦痛を味わう自然分娩を描き、器用な人だなと思いました。いずれにしても子育て日記的な作家に落ち着かず、一安心です。
白い光の下でビーズのクッションを用意して読みましょう。(笑)
夏物語Amazon書評・レビュー:夏物語より
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No.8:
(5pt)

愛と性と妊娠と結婚は、決してつながっていない。自分の頭で考えよと問う力作。読後感はVIVA人生!

出産を生まれる子の視点から考えるというのは、新しい。愛と性と妊娠と結婚は、決してつながっていないと、読者にパラダイムシフトを促す小説。既成概念の根本を揺るがし、自分の頭で考える大切さを自覚させられた。
 500ページ越えで様々な人物像と、価値観と、人生を描き、味わいがある。主人公は多くの残酷な言葉を浴び、また温かで親身な言葉をかけられる。どちらからも逃げ出し、身構え、普通に恋愛して産むという多くの人がしてることを、いちいち拘り考え、拗らせている彼女を、面倒な主人公と感じる読者もいるかもしれない(彼女の設定が、考え言葉を紡ぐことが生業の小説家であることで何とか納得できるところも)。そのため、前半を読み進みにくいと思う人もいるだろうが、読後はVIVA人生!という読後感に満たされるのではないか。
 生と死を超え、超然と存在する思い、かたちにならない思いというのを考えさせられた。わが身を振り返って考えることの多い作品だった。
 ボイジャーの挿話は、美しく、印象的で良かった。今後も時々、宇宙空間を一人行くそのイメージを想起しそう(ボイジャー生きてないけどねって、突っ込み入れたくなったけど)。
「真に親切だと気づかれない。親切さに限らず、だいたいのことってほどほどの濃度じゃないと人にうまく伝わらない。共感ってそういうもの」という言葉も心に残った。

 結論として、500ページ越えのずっしりした本書だが、そのページ数をかけてこその多様な人生と価値観を描き出し、文学としての味わいもある。また固定観念から自由に自分の頭で考える重要さを実感できる。よって、今、読んでおくべき価値ある小説だと思う。だから多くの国で翻訳されるのだろう。他に類のない読書体験ができる力作。
夏物語Amazon書評・レビュー:夏物語より
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No.7:
(5pt)

清々しい強さを持てる小説

ロンドン出張の移動中に読みました。夏子というひとりの女性の中に潜り込んだように没頭しました。追憶の描写が美しくまるで自分なら体験したように、胸がぎゅうっとなりました。是非読んでほしい。夏子を体験したあと、いろんなことがふっきれて、誰と一緒にいようと自立して生きていけるとひとまわり強くなった気がします。
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No.6:
(2pt)

退屈な描写と展開

圧倒的感動の超大作、と帯にあり新聞にも取り上げられて期待していたが、面白く読んだ「乳と卵」と比べて、長編のせいか、同じ様な描写が続き、筋がよめてしまい退屈した。新しいテーマや「21世紀の世界文学」と表されてるわりに、新鮮さも無かった。
夏物語Amazon書評・レビュー:夏物語より
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No.5:
(3pt)

個人的には。。

無常の感じが淡々と書かれていて、芸術的でした。

結末に向けて、大衆迎合してしまった感があって、私は一気に冷めてしまいました。世の母親には丁度バランスが良いのかもしれませんが、もっと曖昧にもっと無常に、最後まで芸術的に迎合しないで欲しかったなぁと、勝手ですが思っております。
夏物語Amazon書評・レビュー:夏物語より
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No.4:
(3pt)

概ね面白く読んだ

中学生時分、「生理が来そう」をとても嬉しそうに、「昨日もおりものがおりたの」と友達内に報告してた子を思い出した。「喜ぶ人も居るんだ」に驚き、同時に「嫌で嫌で堪らない」自分が、物凄くスレた人間になった気がしたっけ…

「父親の種ではない」と知った人が「騙されていた」になる、その回路が自分にはどうにもピンと来ない
常日頃から雑に扱われてきたなら「ああ、なるほど」で、何不自由なく丁寧に扱われてきたなら「赤の他人の子によくぞそこ迄」位で止まってしまう
「ルーツ」とか「アイデンティティ」を「精子」に求める気持ちは理解不能…当事者になってみないと分からないんだろうけどなあ
AIDに関して気になるのは、「提供者」の「子」が通常ありえない程の数はびこる。の、ただ1点
「提供者1人(←1回じゃなくて)に付き、〇人まで」とかの規制が必要だと思っている
ンでもAIDで生まれた事を、ことさらに「誇れ」と教える親は嫌だなあ
単に目的と手段、じゃダメなんかなあ。と

「非匿名」の精子提供した人に求められるアフターサービスを考えると、提供者は一体どんだけ報酬貰うんだろう?ボランティアで数十年後のアフターサービスまで引き受けられる人って実際に居るんだろうか?と、どうも情緒とはかけ離れた方向への興味だけが募ってしまった

基本楽しく読みました
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No.3:
(5pt)

登場人物たちへの親しみ

川上未映子さんの著作はすべて読んできました。その中でも、乳と卵がいちばん好きで、緑子たちはどうなったのかなあと、遠くの友達のことのように思っていました。なので今回の新刊はとてもとても嬉しいものでした。

以下、ネタバレあり。
独りよがりな感想ばかりです。

緑子と観覧車に乗って、ぶどう刈りの話をするシーン。ぶどう刈りに行きたくて行きたくて行きたかったのに行けなかった夏子(主人公)のために、巻子(主人公の姉)が家でしてくれたぶどう刈り。泣けました。
私は若くして亡くした兄と2人兄妹でしたが、私も兄も子どもだった頃よく遊び、時には兄ぶってみる姿を思い出してさらに涙が出ました。

全編、ヘブンと乳と卵を併せた感じの文章。言葉えらび、言葉ならびが大好きです。情景の描き方が緻密で、いま目の前で見ているように浮かび上がってきます。
緑子の成長が姪っ子の成長を見ているようで胸が詰まります。

子どもを持つということについて、ぐるぐると考えを巡らせ、様々な他人の価値観に触れる夏子。私も子どもができるまで長い間、色々なことを考えて考えて、人工授精で授かることができました。なので、夏子が子どもに会いたいと思う気持ち、脳内にぱんぱんに詰まる切迫感めいたもの、考え続けてしまう止められない感じ、は痛いほどわかります。

私は自己肯定感が低く、子どもを産んでもなお(子どもはとても愛していますが)自分自身が産まれてくるんじゃなかった、このまま生きてていいのだろうかと思いつめることが未だにあります。なので百合子の気持ちもまた共感するところがありました。

生きるのはしんどいことの連続だし、何が正解かわからないし、いつ死のうかいつ死のうか彷徨うこともあるけれど、この一冊を読めて、生きていてよかった……!と思っています。今後も楽しみにしています!
夏物語Amazon書評・レビュー:夏物語より
4163910549

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