■スポンサードリンク
小銭をかぞえる
新規レビューを書く⇒みなさんの感想をお待ちしております!!
小銭をかぞえるの評価:
| 書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.16pt | ||||||||
■スポンサードリンク
Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全63件 41~60 3/4ページ
| ||||
| ||||
|---|---|---|---|---|
| 本書は、「焼却炉行き赤ん坊」と表題作の「小銭をかぞえる」の2編が 収録されています。それぞれ、初出は2007年と2008年の「文學界」であ り、2008年に刊行された単行本を2011年に文庫化したものです。 『苦役列車』で芥川賞を受賞した私小説家による本書は、どちらの作品 にも、噂通り(?)の著者のトンデモ生活が描かれています。 これまで著者に好意を寄せてくれた数少ない女性に対して、一度堪忍袋 の緒が切れると、とんでもない罵詈雑言を浴びせ、手を上げることさえ する。自ら身を粉にして働くことなしに、女性(やその家族)からお金 をせびる。そして、そのお金はというと、著者の酒代やたばこ代、場合 によっては風俗代に消えていく…。あるいは、藤澤清造のコレクション に使っていく…。 もちろん、高価なお金で買ったその藤澤清造のコレクションに傷がつき でもしたら……。その様子は本書の「焼却炉行き赤ん坊」によくえがか れています。 このような西村作品を読めば、どうしようもなさと呆れと情けなさとが 一周して滑稽にもなるところで、それが多くの読者を惹きつけている大 きな要因だと思われますが、個人的にはそこまでの感覚を得ることはで きず、不快な読了感ばかりが残ってしまいました。 しかしこれは逆に言えば、作品として考えた場合、それだけの感情を動 かす力を持つ文章を著者が書いていることの証左であり、確かに冷静に 読めば、臨場感溢れる情景と心情が丁寧に描写されているし、著者の 会話に散りばめられる例えや語彙の使い方は著者の作風を色づける見事 なもだと感じてしまいます。 好みは分かれると思いますが、これだけありのままの自分をオープンに 書き綴った私小説が稀有であることは確かですね。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
|---|---|---|---|---|
| メディアに登場しても赤裸々な発言の多いこのお方…。 初めて読みました。 『小銭をかぞえる』の男のこの完璧な開き直りと言い訳。 人としてどうなんだと思うけど…でも、そこがおもしろい。 描写や言葉選びがこのダメ男を少しフォローしているような。 人間らしい?憎めない?愛おしい?でも、そんな愛のある言葉では締めくくれない(笑) やっぱり不快さは感じる…けれどもおもしろい!! | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
|---|---|---|---|---|
| 主人公:北町寛多は、著者:西村賢太の単純変換だそうです。ということで、著者の私事をデフォルメ脚色したまさしく私小説。本書は、著者一連の寛多シリーズ?の一遍で、寛多40前後?。本作は哀愁の秋江もの(笑。赤ちゃん欲しいのってざけんなDV編と、俺の趣味に金だしてくださいませんかDV編(笑。どちらも主人公寛多がうれしい喜んだ頭にきたむかついたしょぼんDVってあくまで自己中心な心情がネチネチネチネチ昭和初期風文体で描かれる。相変わらずストーリーではなく、著者独自の世界観を堪能するというか、これマジっすか?サイテーっスッゲーなどといいつつ、夢を求めましょうなどと言う文部省推薦の薄っぺらさでない、生きてる人間の生臭ささに圧倒される。驚愕と苦笑という複雑な感情を惹起させる作品なので、この本だけでは、はあ?でよくわからないかもしれない。他の著作も併せて読む必要あり。 一連の作品のどの辺がフィクションかは著者のみぞ知るですが、著者曰く相当ノンとのこと。現実著者は性犯罪者の親、自身も暴力沙汰で前科持ち、学歴中卒、容貌醜悪、風呂も入らず衛生観念なし、女性は単に性のはけ口で、風俗通いは日常の重要関心事、肝心の人間性もネガティブかつ、自意識過剰という、社会的にも人間的にも破綻者。最近TVでよく見るが、暴言の数々は伝説的ともいえ、芥川賞授賞式における風俗発言を始まりとし、中でも「笑っていいとも」で、お昼時間にもかかわらず、風俗通いや女性蔑視の言行は、放送事故スレスレ、現場の女性客、日本中の良識ある人々を激怒させ、良識のない人々、下品な中高年男性を驚喜させた。著者によると、やっと得た異性のパートナーに些細なことでDVのあげく逃げられた。酒ぐせも悪く、暴言暴行も茶飯事だが、たいていは自分で起こしたトラブルの返り討ちにあうという情けない結末。また、関係した人々に小金を土下座で借金し、それを風俗で使い踏み倒す。風俗通いで、たまに相手に惚れたりすると、金をだまし取られたりする。著者は、まさしく社会的破綻者で、そのうちカッとして殺人などおこして、殺意はなかったんですなどと主張しつつ刑務所に入る確率120%であろう人物だななどと周りから思われ、常識ある人々から関わらんとこなどと見られていたのだろうと想像する。 しかし、そうはならず、この破綻者の著作が数々の賞をとり、現実受けて判を重ねているのは、自業自得のくだらぬトラブルと同列に、幸運の出会いや運も相当にあるという奇跡。さらにの注目は、人を楽しませるのが好きであったという、かの太宰治と同質のサービス精神が根底にある点。自身のだめ人間ぶりが、実は他人を喜ばせ楽しませるネタとしての価値に気づき、それを提供したいというサービス精神。そこにそれをうまく提供できる文才に恵まれるという希有なコラボ。そこにそんなものが世に出るなどけしからんと、常識ある人々が押さえつけたが、それがまさしくたまったマグマの大爆発ということになった奇跡。我々は、新たなる何者かの登場を見ているのかもしれません。ただ著者の成功を複雑な思いで見ているであろう、関わってひどい目にあった被害者?の方々、特に逃げた同棲相手の心情を思うと、今後、猛獣注意の看板、檻に入れての厳重管理は必要(笑。 著者にぞっこんで別作品で解説もしている石原慎太郎は、今後の活躍を期待しつつ、金も名誉も得た彼を逆に心配もしている。それを知ってか知らずか、著者は、私小説しか書けないので、今後は題だけ変えたようなモノを書くなどと、ファンをも愚弄するかの、さらなる暴言を重ねている(笑。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
|---|---|---|---|---|
| ページをめくる手が止まりません。 芥川賞作家の本は私には難しいことが多いですが、 読ませる力には溢れていると思います。 友人に進められた一冊ですが、 とても残念ながら、 別の本を買って読みたいとは、 私には思えませんでした。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
|---|---|---|---|---|
| 一気に読んで面白かったので、続編と思われる西村氏の作品を数冊読んだが、この本が一番おもしろかった。 私小説というが、女性と男性の描写力よかった。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
|---|---|---|---|---|
| たった今、読み終わりました。 この作品、女性には受けが悪いと思います。作中の女性が不憫すぎる為に。 ただ、文章力と言葉遣い、言い回しが大変よく出来ており、明治、昭和初期の優れた作品を彷彿させる感があるので、ついつい読み進めてしまう。きっと現代の言葉そのままだったら、ただのDVブログだったと思う。この作品、影響を受けやすい年頃の男の子には読んで欲しくない。それくらい惹き付ける力がある。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
|---|---|---|---|---|
| 西村賢太「小銭をかぞえる」を読了。「焼却炉行き赤ん坊」と表題作の2短編の作品集。本作では新たな彼女との生活を赤裸々に表現している。これまでのテーストは失われていないが、少しやさしくなった主人公がいる。それは初期の尖った作者ではなく、円熟を迎えた作者だと思いたい。しかし進む方向性はまったく変わっていない。彼の作品を読むたびに、自己嫌悪に襲われる。彼の作品を買うのも躊躇われる。でも手にとって、活字を追い、そして自己嫌悪に陥るのである。その自己嫌悪は生きている上で必要なものなのかもしれない。四十を過ぎて、いい大人になっても、まだまだ心の奥底にある苦いものをちゃんと見据える心根が必要なのである。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
|---|---|---|---|---|
| すごく解りやすい人ですね。全然憎めないわ。ただし彼女にはなりたくない(笑) 先日NHKの対話番組で「長身・ショートカット」の美人アナウンサーにご結婚は?と問われて「ボクは結婚はしない、一人が気楽でいい」とニコニコして仰有っていましたが、お寿司と缶詰が好きで風俗好き?なら彼女はいらないのかな?藤澤の墓に寄り添うように赤字で名前を書いた自分の生前墓を建ててご満悦・・藤澤の卒塔婆を自室のリビング!に、ガラスケースに入れて毎日眺めている・・これって〜手の届かなかったSLのビンテージモデルを手に入れて舞い上がってる中坊みたい。漢字辞書とにらめっこして難解な漢字を拾い出しうれしがっている。人生に高邁な理想も無ければ正義感もない。要するに子供っぽい人なのですね。おもろいから長生きして下さい。やりたいほうだいしたいほうだいで・・。 いつも彼女に貶されて自信なくしかけた男子が「こんなのより俺はまだマシじゃん!」って彼女に読ませて株を上げるには最適本かもね。 なかなか、きもかわいいよ! | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
|---|---|---|---|---|
| 表題作と「焼却炉行き赤ん坊」の2編からなる作品集。 共に、同居する女との些細なことから勃発する口論が、やがては女への暴力へとエスカレートする様を中心に描いた私小説。その口論のテンポのよさと、それが徐々にクライマックスへと上り詰めて行く緊張感とが、読み手にぞくぞくとした快感を与え、尚且つ主人公の男の悲しくも、救いようもないほど破滅的な性(さが)が、何のてらいも無く描かれる様が圧倒的にすがしい爽快感を与えてくれる。この主人公=作者の率直で、直情的な生き方は、そうしたくてもなれずに、借りてきた猫のように大人しく、嘘嘘とした日常を送らされている飼い殺しの草食系男子に、漲る勇気を与えてくれる。 ここには、明らかに野生動物のように荒々しい一方、自らの甲斐性の無さから恥も外聞も無く周囲の人間に金を無心する情けないダメ男の姿が、生き生きと描かれている。 ガタガタ抜かす女の頬に、ビンタの一つもかましてみんかい、と背中を押されるような小説だ(H23.5.20)。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
|---|---|---|---|---|
| 収録の「焼却炉行き赤ん坊」、「小銭をかぞえる」共に佳作。というか、めちゃくちゃ面白い。この面白さは、文庫本で解説を寄せているマーチダさんの言葉に頼るのがよかろうかと思われる。 「貧しい男女の悲惨で不幸な話を描き、読者に、疼痛のような、小便を我慢しているような悲しみを感じさせながら、同時にひどく愉快な気持ちにもさせる、という奇蹟――」「激烈におもしろい。」(文庫版帯より) 今、これだけおもろい小説を書く人はちょっと他にいないのではないか。次の作品を読むのが本当に楽しみ。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
|---|---|---|---|---|
| 西村賢太氏を知ったのは、大方の人がそうだと思うが、芥川賞を受賞した「苦役列車」を読んでからだった。 「苦役列車」は、面白く読んだ。 それでは、次は・・・と、言う事で、この「小銭をかぞえる」を読破した。 ある意味、「苦役列車」以上に生活感ある文章は、本当にこれが私小説なんだということを実感させられた。 あまりにもリアル・・・なのだ。 あなたのすぐ隣の家で、このような事態が行われているかもしれない。 同時収録の「焼却炉行き赤ん坊」もなかなかの出来。 西村氏に興味のある方は、是非一読を。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
|---|---|---|---|---|
| 氏の作品の中では毒づき方、計算されたギャグセンスの純度が比較的高い作品と思いました。 タイトルも洒落がきいているし。内容そのものはどの作品もそう変わらないわけですが、 この短さの中に凝縮されている氏の「毒」白。 こんな内容なのに何故か読後感は爽やか。本当に不思議。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
|---|---|---|---|---|
| 極私小説家、西村賢太。骨の髄まで私小説家である彼の作品の登場人物は、同棲していた年の離れた年下の女性、古本屋の店主、昔荷役をしていたころに知り合った友人、くらいしかいない。 主人公(である西村氏)はひねくれていて、すぐにいじけて、同棲している女性にDVもどきの暴言をしばしば吐く。時には暴力もふるう。友達や知人とは一人相撲のいざこざばかり起こす。 それでも、そんな彼の作品に引きつけられるのは、彼のひねくれ様、いじけ様が、子供の頃、喧嘩をして、友達に不条理なことを言ったり(言われたり)したり(されたり)した後、家に帰ってお母さんにかきつくときの甘酸っぱい感触をなぜか思い出させるからだ。西村氏は、大人になりきっていない未熟すぎる自分を、少し戦前の文士がかった完成された文章で再現する。妙な筆力がある作家だ。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
|---|---|---|---|---|
| 動物にはできない、人間ならではの無限の矛盾と欲望。 文体はあくまでもかつての私小説家のリズムに乗りながらも、現代的な風景が表現されていく。 ジコヲサゲズミ、アマヤカシ、キャッカンシ、ソシテアラワス。 誰でも乗り越えられるのだが、乗り越えられない自己壁。 欲求を限りなく体現する主人公は、ある意味ヒーローとも見える。 ありのままの感情と行動、そして無様な反省と反抗。 芥川賞のレッテルを貼られてしまった作者には、さらなる高度なヒーロー像を体現してもらいたい。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
|---|---|---|---|---|
| ダメダメすぎる青年の、それはそれはダメな人生を覗き見ているうちに、あまりにもダメすぎて笑いすら出てくる… という小説だと思っていたし、作者の方もそのような事を言っていましたが、私は笑えるところまで行けず、単に不快なだけで終わってしまいました。 しかしここまで不快にさせるということは、何か小説の「力」みたいなものを持っているんだろうし、星ひとつつけて「つまんなかった」とだけ書いて終わるのも違うような気がする。そんな感じです。 しかしまあ、絵に描いたような見事なダメ男でした。解説の町田康氏が描くダメ男には親近感を持ち、ダメ人間が堂々と生きていることに痛快さすら覚えるのですが、これは読んでて辛かった。 :以下追記 読後かなり経ってからこの主人公に共感できない理由をハッキリ文章にできました。 主人公に彼女がいるからです(笑) しかも、主人公は取り得が無く、女性の方は少なくとも不美人ではなさそうなんです。 女性に何度もアタックして付き合えて愛されて、金ももらって、あげく言いたい事言って捨てる。 …美味しい思いしてないか?と。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
|---|---|---|---|---|
| この筆者の作品の書籍化されているものはすべて読んでみたが、エンターテイメント作品としての完成度は、この書籍に収録されているこの作品が一番ではないであろうか? 作者は終始一貫、徹頭徹尾、読者を笑わせることを意図し大成功している。クライマックスへいたるラストのスピード感が秀逸で、字を追う目が止まらなかった。そして最後の最後に、主人公が「私の女」に対してとる、狂気ともいえる常軌を逸した行動に腹をかかえて笑った。表題作もラストのスピード感が秀逸で、同じく主人公の奇行に爆笑である。いずれも「私の女」との臨場感あふれるやりとりが楽しかった。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
|---|---|---|---|---|
| 本作品に登場するかつて同棲していた女性は、私小説家の西村氏が女性にモテないこともあって多くの作品に登場する。 その度に「こんな男とよく一緒に暮らしたもんだ」と思う程の最低男振りを本書でも見事に描いている。 女性(の実家)に金銭面を依存する、借金をお願いに行った数少ない旧友に断られたら相手を罵倒する、など大人の男として(人間としても)最低の振舞いを巧みに描き切っている。 個人的には本書に収録されている2作品は西村氏の作品の中では上位の出来栄えと思う。 ファンは必読だ。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
|---|---|---|---|---|
| 西村氏は私小説作家で、15歳で家を飛び出て自活を始めてから現在までを、短編ないし中篇小説で描き続けています。 この文庫に納められている2編は、西村氏が30代の頃女性と同棲していた時期のお話です。 すでに藤澤清造の作品と出会い、没後弟子を名乗り、全集刊行に奮闘しています。このことは西村ファンなら周知のことなのですが、作者への予備知識なしにこの2編を読む読者は、作中の人物の藤澤清造への傾倒、ほとんど生きるよすがにもなっている傾倒ぶりが、文中からは説得力をもって感じられないかもしれません。過去に芥川賞選考委員からも、同様な意見が出たと記憶しています。西村氏のファン(私もそうですが)ならそんなこと一向に気にならないかもしれませんが、やはりひとつの独立した作品として小説を考えると、藤澤清造への想いは、作品ごとに新たに描きなおすくらいの気持ちでいないと、分かる人にだけ分かる、という具合になってしまうんじゃないでしょうか。 ただ、作家と読者の関係って、いろいろな様態があっていい訳だから、作品の背後の作家像を常に意識しながら読む読者に支えられた作品も、あっていいのかな。よくわかんないや。 解説は町田康。論理的に追っていくとよくわからん点もあるけれど でも成る程、と思いました。 卑近な現実を描く不体裁な小説というのはほとんどつまらないものが多いけれど (つまり私小説ってほとんどがつまらんってこと)、西村氏の小説は、不体裁でおもしろい、という稀な小説だと町田氏はいいます。作家を縛る現実(体験)を語りなおすことで、それをページの向こうへぶっとばす、西村氏の文章の力(これこそ才能!)。そしてその力を作者が存分に楽しんで使っているということ。だからこそ読む方も楽しい! そうか、そういうことだね、と深く納得しました。 町田康さん、好き。いい男だし。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
|---|---|---|---|---|
| 『焼却炉行き赤ん坊』愛情不足の赤ん坊のような主人公は、些細なことで突如爆発する。ぶちきれた主人公が、不妊の女性が赤ん坊代わりに大事にしていた三つの犬の縫いぐるみを破壊するシーンがすごい。ちぎった二つの犬の首を、テレビの上に並べるところで、あまりの異常さに吹き出してしまった。いたるところに笑いの要素があり、円朝の落語のよう。藤澤清造作品の自己戯画化の笑いという方法を、この作家は自家薬籠中のものとしている。西村賢太は、タイプはまったく違うが、人を喜ばせたいというサービス精神において、読者の心をしっかりつかむその方法の確かさにおいて、結局その熱狂的人気において、天才太宰に伯仲する戯作小説家であると思う。ところで小説は面白かったが、町田康の解説がつまらなかった。西村賢太の解説者としては、薄っぺら過ぎてふさわしくないと思う。それに町田康のような二枚目が解説しても、説得力がないのだ。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
|---|---|---|---|---|
| 西村 賢太が芥川賞を受賞したこともあり、本書をじっくりと読みました。実に無頼な主人公をまるでそこに生きているかのように描き切っています。作者のインタビューでは、9割がた作者自身の姿が投影されているようですが、この傍若無人ともいえるバイオレンス、愛憎、思いこみの激しさなど、読む人の心を鷲掴みにするような展開は、他の作家にはない個性でした。好き嫌いは分かれるでしょうが、平成の世にこんなにどうしようもない人を描ける力量が芥川賞に結び付いたのでしょう。 「焼却炉行き赤ん坊」という読む前から不安な気持ちにさせるタイトルで、奇妙な男女の相依存ともいえる関係が実に生々しい会話によって組み立てられています。実際にこんな人間関係が日々繰り広げられてははたまりませんが、生活のある局面をこれほどの赤裸々に語り、描き切った小説を他で読んだことがなく、衝撃を受けた作品でした。 「小銭をかぞえる」も、『藤澤清造全集』の印刷や古書のためにお金が入用な主人公とその金使いに振り回される女性との奇妙な日常生活が 臨場感あふれる描写で描かれています。確かに現実のエピソードでなければ、ここまでは描けないようなディーテイルですし、その筆力にまた凄みを感じ取りました。いやはや凄い小説ですね。 | ||||
| ||||
|
■スポンサードリンク
|
|
|
新規レビューを書く⇒みなさんの感想をお待ちしております!!





