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かくして彼女は宴で語る 明治耽美派推理帖



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かくして彼女は宴で語る 明治耽美派推理帖

かくして彼女は宴で語る 明治耽美派推理帖の評価: 3.53/5点 レビュー 15件。 Cランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点3.53pt


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全15件 1~15 1/1ページ
No.15:
(5pt)

膨大な資料に基づいた、傑作ミステリ。

アシモフの「黒後家蜘蛛の会」。実は読んだ事はないのだけど、最後に給仕係? が、なぜか名推理で謎を解く、と言うのだけは知っていた。さて本作は、舞台を明治末期日本に設定し、実在の若手芸術家が集った「パンの会」というサロンに移し代えて、虚実取り交ぜたミステリ連作に仕上げた労作である。

  実在した会だけに、現存する「日記」等の資料による考証が細かくなされており、その労力を考えると、気が遠くなりそうだ。当然ながら、当時の時代背景に鑑みた事件で、推理合戦が戦われるが、各回毎にミステリとしてきちんと仕上がっており、作者の力量は素晴らしい。

 最後に謎解き役の女性も実在する、女性活動家であると明かされ、芸術と医学の道の選択に悩む、主人公 との会話は、実に趣深い。この時代について、もっと知りたくなる、膨大な資料に基づいた、傑作ミステリであった。
かくして彼女は宴で語る 明治耽美派推理帖Amazon書評・レビュー:かくして彼女は宴で語る 明治耽美派推理帖より
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No.14:
(5pt)

時代の香りが立ち上る。

書について、著者自身はこう記しています。
「本作は、アイザック・アシモフの『黒後家蜘蛛の会』の形式を、明治期に実在した会に当てはめた」
「したがってアシモフにならい、覚え書きを附すことにした」
こうして、明治時代の終わり頃に実在した芸術家サロン〈牧神(パン)の会〉が、想像豊かに再現され、各章に覚え書きが記されます。
木下杢太郎、北原白秋、石井柏亭、吉井勇など若き芸術家たちが集いました。
彼らは隅田川沿いの料理店「第一やまと」で、自らの体験や側聞した事件を語り、その語り自身がミステリーとして展開されます。

不思議な読書体験でした。
当時の東京の雰囲気が、香りや光景、音たちとともに蘇って来るように感じられたのです。
勧業博覧会が開催された上野公園、事件の舞台となる、お茶の水のニコライ堂の風景、会に運ばれてくる料理の香しい香り、当時の音風景などが巧みに描かれ、まるでタイムスリップしたかのように物語の世界に引き込まれました。
常連のほかに、石川啄木、森鷗外、長田幹彦、栗山茂などが登場します。
詩人の栗山茂は、第3回の事件が解決した後、こう語ります。
「ぼくは外交官になろうと思ってる」
「なんといっても、この国はまだ危うい。それを、ぼくは陰から支えるつもりだ」
栗山は、後に外交官、最高裁判事として困難な時代を生き抜いていきます。
本書では記されていませんが、栗山茂のご子息は、外務事務次官、駐米大使を務めた栗山尚一です。

事件の解決に常に的確な指摘をする女中、あやのが、女性運動家、平塚らいていであることが、最後に明かされます。
実在の人物たちの架空の姿が、逞しい想像力で生き生きと描かれていました。(文中敬称略)
(文責:久元喜造)
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No.13:
(2pt)

ミステリーとしては駄作

ミステリーとして読むと駄作中の駄作です。設定としては面白いが、登場人物に一貫した個性がないうえに、トリックが稚拙で容易に想像がつき、かつ驚きもない。時代設定のせいもありますが、事件にも後味の悪さが引き立ちます。若い女性がトリックを解き明かすというのも流行りですが、今回の作品については必然性なし。今期のがっかり大賞筆頭です。
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No.12:
(5pt)

時代考証にしっかり取り組んでいて,大変わくわくしました

ミステリー小節ですので,実在,架空の内容が混じっていますが,各小説の最後には参考文献が書かれており,学術論文を思わせたりもします。時代背景がしっかりと描かれているため,実話と思ったりされる方もおられるかもしれません。
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No.11:
(1pt)

うーん、なんだかなあ

たくさん賞をおとりになっている作家さんで、宣伝文句には「エンタテイメント色あふれるミステリ作品」って書いてあったので読んでみましたが、退屈だし、なんか理屈っぽいし、私にははまりませんでした。
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No.10:
(2pt)

彼女の正体が安直でした。

本の帯が誇張しすぎで期待しすぎました。
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No.9:
(5pt)

舞台設定と女中の存在が良い

明治末期に存在した文学や美術家たちの懇談会を舞台にした連作ミステリー全6編。

実在の芸術家たちが、懇談会で怪事件の推理を繰り広げる設定が実にユニーク。事件そのものもミステリーとしての謎解きも楽しめる一方、事件の解釈にはその時代の潮流や芸術論も絡む部分もあり、大変興味深かったです。

西洋料理屋「第一やまと」の食事やその様子も、物語のサイドメニューのようで、充実していました。
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No.8:
(4pt)

淡々と推理

中々斬新で良かったです
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No.7:
(4pt)

日本版 黒後家蜘蛛の会❗

明治の実在の歌人や芸術家を登場人物にして、実在したパンの会を、黒後家蜘蛛の会に見立てて、話を作っている。
実際にあった事件や人物たちを題材にして、事件を描いており、その参考文献の多さに、頭が下がる思いである。
ただし、実際の事件や人物に囚われてしまい、本家のアシモフの作品ほど、自由な発想ができず、事件自体の転回の意外性は今ひとつだった。
それが、星ひとつ足りない理由です。
筆者の作品を読むのは、初めてだが、SF作家との記述もあったので、あやのの正体は、未来人かと思ってしまったが、実在のそれな
りの人物だったので、納得しました。
杢太郎の芸術家としての、青春の終わりを描いており、なかなか哀愁のある作品でした。
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No.6:
(4pt)

明治時代の鳩首疑義ミステリーもたまにはいい

●日々移り行く街並みの景色や江戸下町言葉の響きが何とも懐かしく感じられます(明治生まれでは
ありませんが)。北原白秋や木下杢太郎、吉井勇・・・など明治後期の若き文人が料理店に集合して
います。
 足でかせぐ証拠集めや指紋採取もなく、密室トリックを解明する名探偵も登場しません。ただ未解
決事件について侃侃諤諤と議論を戦っています。

 いくら鳩首疑義するも埒のあかない事件。ところが、それを一介の鍋屋の女中(本文のままです)
が快刀乱麻、一蹴してしまいます。爽快さが心地よいのです。おまけにちゃっかり文人の言葉まで拝
借しての解明は、痛烈な皮肉さえ感じられました。
 しかし、本書のメインテーマはミステリーの他にもう一つあります。こちらの方のウェイトが高い
かな?それぞれの「美」を追求する者たち「パンの会」へ。一時の熱で終わらせるのではなく、真実
を求める行為こそが大切なのだと・・・。鷗外の応援歌が聞こえてきます。めげるな杢太郎!

 超絶技巧を駆使したトリックものや刺激過多のミステリーに慣れた今、たまにはこの様な作品もい
いかもしれません。
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No.5:
(5pt)

面白い!

何重にも楽しめる本です。パンの会については通りいっぺんの知識しかなかったのですが、三年前伊東旅行を機に木下杢太郎について関心を持つようになり、杢太郎が登場することと、?十年も前からアシモフの黒後家シリーズのファンであることから、買ってみました。忙しい中、毎日一話ずつ読む予定が、今日読み始めて次々に、全部読んでしまいました。パンの会の雰囲気、登場人物の書き分け、また取り上げられている時代背景も皆興味深く読みました。特に最終回は複数の仕掛けがあり、楽しめました。買ってよかった!
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No.4:
(3pt)

登場人物たちのやりとりに、もっと丁々発止とした過激さが、談論風発の楽しさが欲しかったかな。

アイザック・アシモフのミステリ『黒後家蜘蛛(くろごけぐも)の会』を本歌(もとうた)にして、日本の明治時代の終わり頃に実在した芸術家サロン〈牧神(パン)の会〉に舞台を移し替えて展開する連作ミステリ。
謎解き短篇が六つ収められていて、最終回の話の中に、ある趣向が仕掛けられています。これは、なかなかに心地よいサプライズ(驚き)で、印象に残りました。

残念だったのは、登場人物にいまいち魅力が感じられなかったこと。実在した人物の行動や言動の整合性を重視する一方で、はっちゃけた突拍子のなさのようなものは、やや切り捨てられてしまったのかもしれない。
うーむ。登場人物が繰り広げるやりとりに、才気煥発というか談論風発というか、そういう生き生きとした楽しさが、あんまり感じられなかったんですよね。アシモフの『黒後家蜘蛛の会』では、その談論風発のやりとりの楽しさが、何より魅力的だったんだけれど。そこが、★を二つ減らした一番の理由です。

そうは言っても、各篇の後に付された著者の「覚え書き」、これは読みごたえありましたよ。なんか、舞台裏を垣間見るみたいで。

朝日新聞、毎週土曜日の【読書】欄、書評家・大矢博子さんの書評を読んで購入した一冊。もうちょっと、こう、ぐいぐいページをめくっていける何か推進力のようなもの、それがあんまりなかった。ちょい期待はずれの一冊でした。
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No.3:
(2pt)

ミステリーとしては無理がある

ミステリーとしては拙い。謎解きに、もう少し、「あー、そうか、あの話はここに回収されるのか。やられた」という驚きが欲しい。
では、明治の匂いはどうか。謎解きが貧弱なら、その分、明治の香りをたっぷりかがせて欲しい。せめて、谷口ジロー+関川夏央の「坊ちゃんの時代」程度には。
しかし残念ながら、その望みも叶えられない。
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No.2:
(2pt)

途中でギブアップした

とにかく退屈で読んでいて数ページで眠くなる。
第三章まで読んだが大した事件も起こらず、謎解きも何の事やらで読むのをギブアップした。
明治の香りがする謎解き短編集を期待して購入しただけに残念。
和製 黒後家蜘蛛の会との事だが、推理小説を期待すると拍子抜けする。
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No.1:
(4pt)

読み手を選ぶ作品かなぁ

明治末から大正にかけて活躍した詩人であるとか画家であるとか、「パンの会」なるある種の懇親会に集まってきたメンバーが登場人物となって展開されるちょっと型破りなミステリーです。「パンの会」そのものは実在したもので、『スバル』系の詩人たちと『方寸』系の画家たちが語らって作ったロマン主義運動のサロンのようなものでした。第1回の集まりが「第一やまと」という料理屋で開催されたのも事実ですし、木下杢太郎がこの店を苦労して見つけたというのも実話です。

毎回誰かが最近出会った不思議な出来事を話題にし、それを巡って出席者の間で議論百出するのですが結論が出ません。すると「第一やまと」の仲居をとつとめているあやのという聡明な女性が見事な推理を展開して一同を唸らせるという展開が続いていきます。話題にされる出来事はさまざまで、場合によってはずいぶんゆるい感じのものも出て来ます。全体に登場する文人達やその周辺で実際に起った出来事などに関心のない向きには途中で「何なんだぁ、これは」と思われてしまう可能性もあるように思います。しかし一方でこうした当時の文壇の様子に興味のある方は、つい付随的に書かれる事項に興味が出て調べてしまったり、つまり一つひとつの謎解きは何となくゆるくてもこういう読ませ方もあるんだな、と思わせて進行していきます。と、これはあまり書くとネタバレになってしまうのですが、最終回であっと驚く展開になります。つまり振り返ってみると一連のゆるい不思議な出来事の議論全体がまさしく最後の謎解きの準備になっていたのだと理解するということになります。もっとも最後の謎解きも確かに文壇や歴史に興味のあるひとたちには「参ったな~、そうきたか!」と思わせるものがあるのですが、興味がなかったり知識がなかったりする読者はどう驚いていいのか、どう面白がっていいのか戸惑う展開ではあります。つまり、かなり読み手を選ぶ作品だということになります。

さすがに早稲田の文学部を出ていろいろと工夫を凝らした作品を世に問うてきた作家の作品だと思いました。しかし、この作家がいつも大きな賞の大賞候補に上がりながら次点とか別の賞を受賞するとか今一つ突き抜けられない理由も分かるような気もしたといったら失礼でしょうか。上述のように相性のいい方にはとても楽しく読める作品です。ご一読を。
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