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台北プライベートアイ
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台北プライベートアイの評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.41pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全19件 1~19 1/1ページ
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変わり者の探偵が事件を解決していく探偵物語なのだが、主人公といっしょに台北の街を歩いている気分になれる。作者の人間観察が鋭くて、近所の人たちや、新しく友人になるタクシー運転手、警察官たちなどの脇役も生き生きと描かれている。ユーモアのある会話が楽しい。 前半は主人公が語る自分の人生、台湾論、台湾人論、彼の犯罪論、日本人やアメリカ人など各国の国民性への考察も楽しい。 終盤で本格ミステリーとしても構成の優れた作品だとわかる。 | ||||
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"これまでと違う、新しい人生のステージを築いてみたかった、背水の陣を敷いて、思い切って賭けてみたかったのだ。"2011年発表の本書は翻訳ミステリー大賞&ファルコン賞受賞作。台湾発の丁々発止の会話が楽しい華文ハードボイルド秀作。 個人的に台北に訪れる機会があったので、旅のお供に手にとりました。 さて、そんな本書は台湾大学演劇学部の名誉教授であり、多数の演劇脚本や論文を発表してきた著者の小説デビュー作で、50歳を前に全てのしがらみを断ち、路地裏に『私立探偵』の看板を勝手に掲げた素人探偵の呉誠(ウーチェン)が、プロローグ的な家族の問題を解決した後、本格的な連続殺人に自らの冤罪を晴らす為に巻き込まれていくのですが。 まず、自分と同年代の主人公とあって。冒頭の友人や家族の反対を押し切って探偵を始める描写、新しいことを始めようとする姿に自分を重ねてワクワクしました。 また、本書を片手に歩いた台湾の街は、典型的なハードボイルド小説とは別に描写された通りに混沌と人間味溢れる街で。聖地巡りではありませんが、グッと親近感を感じる読後感でした。 本格的なハードボイルド小説好きな方、台湾好きな方にオススメ。 | ||||
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辞典に乗っていない言葉もありますが、よく疑問に思う「他」と「她」でなぜ混乱しないかとか「无」=「無」と「吾」のように同じ発音の文字が沢山あって混乱しないか が話題に出ています。なんとなくわかるのが「蝦米」でもwebで出てこない。 やっぱり台北は混乱した猥雑な場所で、多くの人は地元の人しか知らないようなお店でご飯食べるのか とか。 「戦争と平和」「失われた時を求めて」と同じレベルで横溝正史がでてくるのもなんとなく可笑しい。 ストーリ全体は、「重力が衰える時」に似た印象もあります。金田一耕助や、明智小五郎はその時代に最先端だったのかもしれませんが今はその感覚を読めません。呉はGPSを使い、google map を使うが、携帯の写真の印刷をどのように行うかはもう覚えていない。メンタルも肉体もタフガイではなくむしろ弱っちい。結果的に事件は解決するがなんとなくたどり着いただけ感もある。その点は、タフでなくては... とは大違い。 | ||||
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台湾好きにはたまらない。 台北の地図を見ながら読んでました 早く続編が読みたい | ||||
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中身については多くは語れません。 面白かったとだけ記載します。 | ||||
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元大学教授で脚本家の呉誠(ウー・チェン)が私立探偵を始めたときの物語。呉の少しいい加減な性格は西洋のハードボイルド探偵に近いイメージ。自分の中では台湾の人って真面目なイメージがあるので、台湾らしくないなあと感じた。もちろんいい意味での驚きでもある。物語では事件を解決する探偵が連続殺人事件に巻き込まれる。自分自身の事件を自分で解決する。なぜ探偵が巻き込まれるのか、被害者はなぜ殺されなければならなかったのか、犯人の目的は何か、謎は多い。最後はアクション要素が大きくなり、一気に解決まで進む。あとがきによると本作品は台湾人論にもなっているとのこと。台湾の市井の人々や警察組織の日常が分かった気がした。 | ||||
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単行本2段組、380ページという大著です。こころの病をかかえる演劇専攻の大学教授が突然、私立探偵に転職するという小説らしい設定なのですが、最初の事件は不倫調査というハードボイルドを気取る主人公にとってはおよそ似つかわしくない依頼からすべてが始まります。 この依頼の奥に潜む不正を暴き出す捜査はお見事!なのですが、残念ながら後半に延々と繰り広げられる連続殺人事件とはなにも関係がなく伏線としての意味を持たないのが長尺化の原因にも思えます。 ただし、もう何年も海外旅行に行けなくなった現在では台北の路地裏を迷いながら歩く感覚はまさにバーチャルトリップでした。トランジットで空港ホテルに深夜着、早朝出発の経験しかありませんが朝のラウンジでの朝食のおいしさと台湾人学生団体ツアーのテンションと賑やかさがよみがえりました。 | ||||
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ストーリーにすごく引き込まれて、とても面白くて一気に読みました。台湾の街やライフスタイルの描写も参考になりました。 | ||||
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台北のうらぶれた古い路地奥の探偵事務所で鬱々と顧客を待つ探偵。まるでレイモン・チャンドラーのハードボイル探偵小説のような味わいであり、翻訳もその雰囲気を十分出していて楽しめる。 ただし、物語は一見無関係な被害者の連続殺人事件という現代的なシリアルキラーもので、台湾では過剰に張り巡らされているという防犯カメラやハイテク機器が活躍する。 おまけに、主人公がえん罪事件の被疑者となってしまうスリルまである。台湾の刑事司法制度は日本統治時代の影響か、警察捜査はやはり自白偏重のようだが、被疑者取り調べの録画・録音などは導入されていることが本書でも描かれている。 著者はアメリカで博士号を取った演劇学部元教授とのことだが、司馬遼太郎や横溝正史などの日本の作家からの引用も多く、日本通でもあるようだ。 興味深かったのは、シリアルキラーが社会秩序の厳しい国ほど多いというパラドックスで、アメリカが最も多いのは一見自由のようでピューリタニズムの厳しい戒律があるからだと著者は論じる。アジアでは日本が最も連続殺人事件が多いそうだが、それは神道に仏教、武士道が混じり合った「桜花主義」のせいだとして、次のようにいう。 「日本人が生まれつき、他の人種より優秀だということはないはずだが、彼らは桜花主義の触媒のなかで、白鉢巻をしめて『必勝!』と大声で叫ぶ儀式により、穢れのない美と排他精神を守りとおし、ついには自分 たちに自己催眠をかけてしまった。」 日本人としては異論もあるところだが、日本と関わりの深い台湾の知識人である著者の見方として、謙虚に受けとめるべきであろう。 これがシリーズ第1作とのことだが、第2作が楽しみである。 なお、主人公が長くうつ病を患う一方、演劇仲間を激しく批判して人間関係を破壊してしまうというくだりは、主人公がたびたび服用する抗うつ剤の副作用(過剰に攻撃性を増したり、自殺衝動を強めたりする)が暗示されているのではないかと思われる。 | ||||
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最近読んだミステリーの中で内容が最も濃かった。とはいえミステリーとしては正直特筆すべきものはない。 事件の合間合間に主人公の口を借りて語られる台湾人論や日本やアメリカ等諸外国の文化批評など作者の思想がメインである。いわばそれらを語りたいがためミステリーの形式を取った感だ。 読んでいて以前他の本で感じた感覚と重なった。その本とは夏目漱石の「我輩は猫である」。 説明するまでもないがそこでは猫の口を借りて漱石自身の時事評や東洋の文明批判等繰り広げられている。 大変興味深いのだが、私の理解がついていかずだんだん眠くなる。 今回も同様。何度も睡魔に襲われつつ漸く読み切ることができた。とはいえ「我輩は猫」の方は未だ読破できず(途中飛ばして結末へ)…流石漱石。 勿論、本作の作者の古今東西の文化にわたる博識ぶりには脱帽だ。 主人公及び登場人物も個性的かつ魅力的でシリーズ化が望まれるが、前述の通り本作は作者が日頃考えていることの発表の場。続編はないかもしれない。 いや、作者にはまだまだ言いたいことが沢山ありそう。続編を期待する。 | ||||
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なし | ||||
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花村萬月の「鬱」だったか、主人公の思索叙述だけで長編を書きあげたものがあったはずだが、本書はそれに似ていると思いました。ハードボイルの典型は、一人称単数の写実描写に徹する形態ですが、本書は主人公の思考を延々と語り続け(その部分が量的には8~9割)、ハメットやチャンドラーの手法とはまったく異なります。ルビを振られても馴染みにくい固有名詞に思索語りとくれば、途中で投げ出しそうなものですが、実際には読み始めたら止まりませんでした。これはやはり誰にも似ていない主人公の強烈な個性と、台湾の人や街が、これまで読んだ小説で出会った経験のない魅力を有しているからでしょう。続編の邦訳が出たら絶対に買います。 | ||||
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一言でいえば、楽しい読み物でした。 中年の危機?で大学教授から私立探偵に転職した偏屈な主人公と、その他の登場人物が魅力的に描かれていたのが印象的でした。 がみがみ言いながらも顔が広く息子思いの主人公の母、愛妻家ながら浮気を心配してストーカーまがいの行動をしてしまう探偵助手志望のタクシー運転手、目立つの大好きで現金な弁護士、事なかれ主義を装いながら誠実に職務をこなす友人の警官など、印象的な人物が多く出てきます。 主人公を心に傷を持った孤高のヒーローとして描くパターンが多い欧米作品と比較して、本書の主人公は自業自得で回りとケンカしたことをいまだに後悔しつつも、結局は新旧の友人たちに助けられながら自分を取り戻していくという描き方が新鮮でした。 秋の夜長に広くお勧めできる本だと思います。 | ||||
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好評なレビューを読み、読みたくなりました。図書館で予約し、本をあけて、「あ!」厚めの本で2段組。普通の1段なら、上、下巻になったろうなあと。老眼鏡の私には、つらいので、電子版で、読み始めました。台北ハードボイルド初めてです。文章にぐんぐん引きつけられいます。 | ||||
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昔台湾に旅行した時に、台北のコンビニで熱々のゆで卵(茶葉蛋(チャーイエダン))が売られていて、よくそれを食べながら様々な通りを歩いたことがある。コロナ禍以後、まだ観光目的での台湾への渡航禁止が続く現在(2021年7月)、本書を通して、主人公が語る台北の情趣あふれる街路や街区を読みながら、快晴だった夏の台北を思い出し、ひたすらコンビニのゆで卵が食べたくなった(今でも販売しているのに違いない)。数ある探偵小説のなかでもこれほど街の表情が味わえる小説は他にはない。台北を訪れたことがある人も、コロナ終息後に台北に行こうと考えている人も、ぜひ本書を手に、主人公である素人探偵と共に、魅力的な台北の、街路の冒険を楽しみ味わうことをお勧めしたい。 | ||||
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わくわくしながら一気に読み終えました。ふだんはあまり探偵小説は読まないけれど、ビギナーにも十二分に楽しめるエンターテイメントだと思います。探偵小説の真の主人公はワンダーランドとしての街だと誰かが言っていましたが、久しぶりに台北を訪れたくなりました。ワクチン注射を打ったら地図を片手に「聖地巡礼」に行きたいと思っています。 | ||||
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台湾の街並みが描かれた素敵な表紙からすでにひょっこりと登場している、サファリハットを被った、私立探偵・呉誠(ウーチェン)。彼が巻き込まれる事件に最後までハラハラさせられました。不器用な探偵もなんだかいいなぁなんて思ったり。またストーリーの中で展開される、台湾の慣習からチベット仏教、シリアルキラー、米国、日本まで鋭い考察に読み応えたっぷりの内容でした。 台湾では続編がでているとのこと、さっそく期待しています。 | ||||
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文藝春秋文藝出版局のツイッターによると、故天野健太郎さんが陳浩基の『13・67』脱稿直後に次の華文ミステリーはこれ、と推していたのが本書『私家偵探 PRIVATE EYES』だったといいます。同じころにこの作品に注目していた翻訳家がもう一人。それが今回『台北プライベートアイ』を翻訳した舩山むつみさん。もともと英語の文芸作品や社会学などの書籍翻訳を手掛けてこられ、英語・フランス語・中国語の通訳案内士の資格も持つ彼女ならではの巧みな翻訳でテンポがよく、丁々発止の会話が心地よいです。台湾語や難解な仏教用語が散りばめられているかかわらず、一気に読めてしまうのは原作の面白さに加えて翻訳者の力量でしょう。Youchanさん装画の表紙はGoogleのストリートビューで正確に位置関係を再現して描いたものだとか。主人公が台北の街を縦横に駆け巡りながら物語が展開するので、行ったことのある人ならリアルに情景が浮かぶのではないでしょうか。また、本書は主人公による台湾人論や比較文化論が非常に面白く読みごたえがあります。横溝正史の『蝶々殺人事件』からの引用もあり、日本のミステリーが台湾で広く読まれていることを実感します(日本の出版社ももっと華文ミステリーに注目してほしい)。ラストは主人公の心を覆っていた厚い雲の隙間から光が差してきたことを予感させるエンディング。続編がすでに台湾で出版されているとのこと、ぜひまた翻訳出版されることを願います。 | ||||
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<台北101>がオープンする前の台北を訪ねたことがありましたが、空港から台北市内へ向かう沿道の景色は懐かしさのようなものに満ち溢れていました。市内を歩くと迷路のような道に迷い、台北から淡水へタクシーで向かいましたが、窮屈な助手席の私は夥しい数の車、バイク、自転車が無秩序に暴走している最中、生きた心地がしなかった(笑)。バーズアイで見た時、もしかすると秩序なく動いているように見える光景は、実は大いなる安寧秩序に裏打ちされているのでしょうか?まるで拡散縮小を繰り返すデジタル・アートのように。何故こんな話をしているのかと言えば、本作は「台北」という街とストリートが主役の物語だと思えるからでしょう。2021/4月に読んだ「ブート・バザールの少年探偵」は、インド、スラム居住区のストリートの物語でした。探偵小説は、主人公と街が描かれていることがとても大切ですね。マーロウのL.A.のように。 「台北プライベートアイ "Private Eyes"」(紀 蔚然 文藝春秋)を読み終えました。私立探偵、呉誠(ウー・チェン)の初登場。大学で演劇学を教える教師であり、劇作家でもあった彼は、パニック障害を持ち、妻に去られ、大人数の酒の席で人間関係を破壊し、全てを投げ出すようにして私立探偵に転職します。まあ、言うほど簡単な職業ではないとは思いますが(笑)。 或る詐欺恐喝事件が物語の<つかみ>として描かれ(それは、呉誠のはじめての事件となるわけですが)、そこで彼は一人の女性と懇ろになり、そこから今回のメイン・ストーリーである連続殺人事件へと突入していきます。今回もまたストーリーを語れるのはこの辺まででしょうか? 事件については、先に読んだ「月下のサクラ」(柚月裕子)同様、地取り捜査よりもむしろ監視カメラの連鎖が取得した映像を追いかける現代捜査がひつこく描かれ、GPSが台北の街を睥睨し、米国からプロファイリングが持ち込まれ、それらの記述については、<ミステリ読み>の手練たちから見た時、どう評価されるのでしょう。私は、作者の知識をひけらかすようなアカデミックな視点があまり好きではありませんでした。しかしながら、その拡がりのない閉ざされた物語でありながら、おそらく一回しか使えない「極私的なストーリー展開」については、処女作であるが故に許容される範囲内なのかと思ったりもしました。ミステリ的興趣については、確実に布石が置かれているあたりは好感が持てますが、飽くまで「好事家」的な、自画自賛が垣間見える点、読者の好みがわかれるかもしれません。 また、或る宗教についての薀蓄を披露し、ペダントリーに溺れて見える主人公については、自虐的なユーモアとアイロニーに満ちたタメ口と軽口を速射砲のように放出し、ユニークで破天荒に見えたりもしますが、実は、意外にストレートで真面目な探偵として記憶されるような気がします。愛すべき、未成熟なアンチ・ヒーローとして。未成熟は、成熟を惹きつけます。言っている私はまた、呉誠よりも遥かに未成熟ですが(笑)。 今回は、私立探偵・呉誠の己が罪への「埋め合わせ」の物語。私立探偵小説としては、ここから始まる「前夜」の物語。いずれにしろ、次回作を期待しながらも、そこで私のささやかな不満が解消されるのか否か、注目したいと思います。「大同的世界」の実現はまだまだ遠い彼方にあると思います(笑)。 | ||||
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