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テスカトリポカ
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テスカトリポカの評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.85pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全145件 121~140 7/8ページ
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ドン・ウィンズロウ好きの自分には、日本のクライムノベルがどうも物足りなかった。 血の量や闇の深さではない。絶望感、無力感が足りないんだよね。 この作品は日本のクライムノベルに対する自分のそうした評価を覆してくれた。 読み進めるうちに自分まで蹂躙されていくような気さえする、この救いのなさは本物だ。 | ||||
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本日昼下がり、気分転換に読み進めようかと手にとったら止まらない。10時間かけて一気に読み進んだ。読書には親しんできたが、ここまで首根っこを掴まれるようにして「読まされた」のはこれが初めてだと思う。ものすごい吸引力。ちょっとそこまで散歩のつもり、が世界を何周もしてしまったかのような驚きと疲労感。 歳を重ねるにつれて思うのは、人は生まれ育った土地に生涯影響を受けるものだということ。神話、民話、信仰、歴史。先祖がどう生き何を伝えたかは、好むと好まざるとにかかわらずその地域に育まれた人間の行動を左右する。グローバル化が進みしがらみに囚われない生き方を自由に選択しているように見えても、見えない力に翻弄され続けるのが人間なのだろう。生き抜くために、見えないものを察知する力を備えながら。「ちのにおい」を感じる子どものように。 世界は先へ先へとデジタルの世界に向かっているように見えるが、私たちに根源的に力を与えるものは過去、先祖から伝えられる物語の中にあると感じてしまう。「かみさまのなまえをいってみろ」と問われ絶句する日本人。過去との繋がりを失った存在の足腰の弱さを象徴しているように見えた。 「胸に宿った聖なる心臓を、ぼんやりと運んでいるってことさ。自分が何をしているか知らず、生きる意味を知らず、ただ遊び歩いている馬鹿者ということだよ」 作者に敬服。こんな作品をずっと読みたかった。 期せずして2021年8月13日。大雨の日に読了。 | ||||
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受賞のタイミングで作品のことを知って、あらすじを見たら面白そうだったので書店で買って読んだ。読むのに時間がかかったが、結論から言うと、素晴らしい作品だった。 タイトルにも書いたとおり、この作品に直木賞などというチンケなメダルは似つかわしくない。もっと言うと、日本のあらゆる文学賞は、この作品がもつ巨大な力を受け止める器を持っていないと思う。 受賞にあたっては選考委員の間で意見が分かれて、「こんな描写を文学として許して良いのか」「文学とは人に希望と喜びを与えるものではないのか」などという反対意見があったらしく、Twitterなどでは物議を醸していた。 もう、矮小すぎる。『テスカトリポカ』を読んで「暴力的なのはいけないとおもいます」と言ってしまえるような人が選考をやってるのだからやはり直木賞はチンケな賞だ。 その反対意見に対して「描かれたことは現実世界のこと。目を背けてよいのか」とかばった声もあったようだが、これも矮小な「ご意見」だ、ゲンナリする。 なぜ社会問題ありきで評価する?テクストをテクストそのものとして真正面から読まなければ作者に失礼だ。佐藤究はべつにお説教や啓蒙だけを目的にこの小説を書いたわけではないだろう。 たしかに、武器・ドラッグ・組織犯罪に関する詳細な説明や暴力描写は随所に出てくるし、現実を知らしめたいという作者の意図も伝わってくる。しかしあくまで冷静な筆致だから、そこに安易な感情移入など入り込む余地はない。 つまり決して露悪ではないし、道徳の授業のような問題提起でもないのだ。 読み込むうちに浮き彫りになるのは人間存在そのものの卑小さと、アステカ神話の人智を超えた深遠さだ。 作品中に、印象的な一文がある。それをここに引用する。 "夢の地層、混沌で満たされたなかに垣間見える人間を超えた底知れない法則、人間をゆさぶる謎めいた力、それは〈うごき(オリン)〉であり、地震と同じ力であり、神話は人間に破壊と再生をもたらす" そう、この小説は神話だ。メキシコ麻薬戦争、臓器売買、ギャング達の暗躍——世界中の闇が紡ぐ血みどろの物語をインターフェースに、アステカの神々の計り知れない「オリン(うごき)」を呼び起こす、壮大な神話だ。 神話に文学賞は必要ない。 | ||||
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もうね。前半は凄いんですよ。 これからどれだけ壮大なノワール叙事詩が展開するのかと。 残忍非道な麻薬カルテル幹部と天才心臓外科医と心優しき規格外の怪物である運命の子。役者は十分。 そしてイスラム戦士に中国黒社会とワールドワイドな舞台装置も整った。 それが街のチンピラを戦闘員としてスカウトするあたりから様子がおかしくなり、最後は川崎市を舞台とするしょぼい局地戦で終わるという。 で、なんと直木賞ですよ。 このまま文春1位もこのミス1位も取っちゃうんだろうな〜。知らんけど。 | ||||
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組織間抗争で壊滅に追いやられたメキシコの麻薬王が一人でアジアから日本まで逃げ延び復讐のために臓器売買で金を掴もうとするが。。。 アステカの神々やら麻薬組織、臓器売買等等、スケールもデカくかなり面白い本でした。 こんな小説が読みたかった、と言う本です。 | ||||
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復讐ではなく冒険のような物語でした。 大変満足。ハリーポッターのような緻密な世界観に没入して一気読みしました。 作者のバランス感覚に感服です。日本マフィアと児童虐待のバランス、薬物とビジネスのバランス、仮想家族と宗教のバランス。でもこれは人を選ぶだろうなあ。 | ||||
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人によって読後感は違うだろうが大多数に面白かったと思わせられなきゃベストセラーにはならない、グロテスクなシーン、暴力、人や社会の闇、過酷な人生、運命 何処まで踏み込み、描写するか、できるかそのバランス感覚が優れていた作品です 受賞はアイデアとテーマから逃げなかった作者の勝利です。 | ||||
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メキシコの麻薬ビジネスをめぐる抗争と、臓器売買の闇マーケットを描いた暗黒叙事詩。アステカ文明を印象的に取り上げたのが効果的だった。圧倒的な暴力世界に圧倒される。一定の読みごたえはある。 ただ、終盤に無敵の暗殺者集団が作り上げられたあたりから急速にリアリティーを失っていったように思う。 ラストの、組織内の自壊場面は、こういう暗黒組織ものの定番ストーリーになってしまって、わくわくできなかった。 | ||||
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善悪を超越した暴力。 正義や優しさ、倫理観や愛などが介在する余地などない純粋な暴力が本作では描かれている。 逃走用の車を手配するため、車の持ち主である夫婦を躊躇なく撃ち殺すような登場人物が本作では度々登場する。 どんな手段を使っても自らの利益を追求する彼らの残酷さと暴力性が圧倒的リアリティを持って描かれているにもかかわらず、悪趣味だと感じることは一切ない。 メキシコの麻薬カルテルやドラッグ、そして臓器売買。 私たちとは無関係だと思っていたそれら社会の暗部、裏側が私たちのすぐ後ろで行われていることを知り戦慄する。 もちろん本作はフィクションではあるものの、安易な気持ちで購入したドラッグが悲惨な麻薬戦争とつながっているということや、 臓器売買ビジネスでは子供のような社会的弱者が搾取されるということは事実に変わりない。 そのような資本主義社会の影を圧倒的暴力を交えて描いた本作。 筆力と創造力、そして入念なリサーチ力によって紡ぎあげられたこの物語は、日本国内では収まりきらない世界水準のクライム・ノベルといっても過言ではないだろう。 また、本作の最もユニークな点は現代社会の闇と血塗られた文明であるアステカをミックスさせた部分にある。 作中に登場するスペイン語やインドネシア語、ナワトル語や当時の小道具や紋様などからは、アステカ文明を全く知らずとも当時の雰囲気やおどろおどろしさを味わうことができる。 どこか神話めいたアステカ文明が次第に現実味を帯び、現代の日本で再現されていく展開は圧巻の一言。 著者の着眼点と、それらを見事に物語として完成させた手腕に脱帽する他ない。 アステカ文明を筆頭に、世界中で行われてきた人身供犠と臓器売買が絡み合って描かれた本作。 生贄を必要とする人間の本質的は今なお変化していないのではないだろうか。 そして、資本主義という弱者から搾取し続ける社会構造をこのまま存続してもいいのだろうか。 私たちが目をそらし続けているこれらの問題を、「テスカトリポカ」という鏡が映し出す。 | ||||
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凄惨極まる熱量は限界を越えていく。 からだじゅうに戦慄が走っても、なお560ページに及ぶ読書スピードは加速する。 尊崇・畏怖される神々しさが視界に広がっていく。 そして、見てはいけない闇の底。 500年を経てよみがえる、ありとあらゆる映像に強い衝撃を受ける。 許されるべきではない悍ましい行為の数々はドライに描かれている。 「テスカトリポカ」とは。 | ||||
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恐ろしい犯罪小説だった。 麻薬密売人と臓器売買ブローカーが手を組み、日本の無戸籍児童の臓器密輸を計画する。 そのときに目を付けたのが、薬物中毒の保育士の女。 彼女は「子供が好きで守りたい」といいながら、違法薬物に手を出している自分がそんな大事な子供と関わっていることに違和感を感じていない。 「この女は根本的に壊れている」つまり、自分の本当の気持ちをきちんと感じておらず、自分が何をしているかを考えていない思考停止状態にある。 この女は使えると思われ、「無戸籍児童を守るため」という大義名分を与えられて、 無戸籍児童の臓器密輸という恐ろしい犯罪の片棒を知らず知らずのうちに担がされることに。 ここから、最後の「いや、なんでやねん!?」な結末へ繋がっていく伏線が見事だった。 直木賞に選ばれる作品とは毛色が違う気がするので、受賞はないかもしれないですが、 間違いなく面白い小説でありました。 | ||||
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これでもかというくらいに、しっかり調べて描いている。 だからこそ、細かいところで、粗さが目につくとがっかりした。 たとえば、目だったところ二か所。 P321 エナジードリンク、モンスター 2006年の描写ですが、この時期、まだこの飲料は日本国内で販売していません。 P323 刑期19年の殺人が、受刑者としての態度優秀で11年で仮釈放 これ、絶対にありえません。2/3に短縮されても約13年は入りますし、殺人で1/3短縮自体ほぼ例がないです。 以上、文庫化、あるいは直木賞受賞後に、重版で修正を。 | ||||
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麻薬戦争の部分は面白いけど既視感を免れず、たぶんあの本を下敷きにしているのだろうなという想像がつきました。オリジナルはアステカ文明の神話ですが、これの影響が大きすぎ、ボリューム的には邪魔となり読み飛ばしてしまいました。それが悪かったのか、コシモの行動原理が理解できず、さらにエピソードの好印象狙いが取ってつけた感が強く、読後感は今一つでした。 とはいえ、馳星周がお涙頂戴路線に切り替わった今日、貴重なノワール作家として、他の作品も読み込んでみたいと思います。 | ||||
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ルビは多いんですが、そこはまぁ雰囲気として。 試し読み部分をそこそこ読んだんですが、いつの間にか引き込まれていて、自分にビックリ。しかも結構読んだのにまだまだ試し読み部分は残っている。う~ん、売り方、読ませ方が上手い。(数ページしかなかったら印象にも残らなかった) 面白そうだけど・・やっぱり値段が高い。今時の小説はこんなにするんですね。 自分は文庫化になるのを待つかな。 | ||||
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久々に読みごたえある。エンターテイメント。 | ||||
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クライムスリラー、ピカレスクロマンと、悪人主人公ものは苦手ですが、これは夢中で読めました。 幻想性は少しあります。 極悪人の主人公たちの再起、架空の犯罪計画の立案と軌道に乗せるまでに、独特の痛快さがあります。 何の罪もない人々が破滅していくのにも、暗い充足感がありますね。 群像劇でもあるので、多くの登場人物が飽きさせず、文章・エピソードごとの区切りもよく、乗りやすいです。 元が純文学畑の人だったとは思えません。 前作のAnk:Mirroring Apeといい、この作者はディテールを持って架空の壮大なシステムをでっち上げるのが上手いですね。 | ||||
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旧約聖書はパレスチナ人とユダヤ人との絶え間ない紛争の記述であり、ギリシャ文化はトロイ戦争で始まり、アテナイ人とスパルタ人の抗争で滅亡した。アステカ文明もコンキスタドールにより95年の歴史に幕を閉じた。 自己保存と自己拡大のためにより良い土地を求めて争い合うというのは人類にとって普遍的なものだと痛感させられた。裏社会も表の社会も本質は同じで手段が異なるのみ。表裏一体、戦争と平和また然り。まさに「鏡」。 カルテルの残虐な行動に目を瞑りたくなる描写もあるが、読み進めていくうちに何故か魅了されていく自分がいる。理性で抑え込まれている自分の本性にも気付かされる一冊である。 | ||||
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佐藤究『テスカトリポカ』読了。 この作家の小説は初めて読んだ。 アマゾンのAIが薦めてきたものだw 古代アステカの宗教、メキシコの麻薬カルテル、臓器密売シンジケート、この3つのキーワードが三題噺のようにつながっているというので読んでみようと思った。 まず、メキシコと日本で別々に提示されるエピソード群。 これがどう繋がるのだろうと思って読み進めていくと、なるほどダイナミックに繋がっていく。 特にメキシコのカルテルの描写は迫力があって、垣根涼介の初期の南米ものに近いものを感じた。 古代アステカ宗教の描写にも凄みがある。 ただ、臓器密売の話になると、ちょっと無理を感じるところが多くなる。 特に、臓器のドナーとなる子どもたちに日記を書かせるところの論理は破綻しているし、またその日記を主人公の1人の大人に代筆させるところも然りだ。 いや、日本でのシンジケート構築のやり方が無理筋すぎるようにも思える。 まあ、ダイナミックなストーリー展開を優先させるとこうなるしかないのかもしれないが。 垣根涼介の一連の南米関連のような、読後の爽快さは得られなかった。 | ||||
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500Pオーバーだったが読み始めたらあっという間だった。無駄なものをそぎ落とした小気味の良い文体で内容のハードさの割りにぐいぐい読めてしまう。登場人物の驚くほど緻密な描写は彼らの行動、思考の理解度をバツグンに上げてくれた。最後の転がり落ちるような物語の結末もある意味神の恐ろしさを垣間見るような結末で素晴らしい。残酷人間博覧会のような状態の作品だが思わず目頭が熱くなるようなシーンもある。山本周五郎賞ノミネートということなのでぜひ受賞してほしい。 | ||||
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どこまでがアステカの神話でどこからがいま起こっていることなのか。その境界線がまったくわからなくなる小説。「心臓」がキーワードであり、もちろん「ハートウォーミング」な人情噺であるはずもないのだが、最後の最後にほんのちょっとの希望があったりする不思議な話。 メキシコでの麻薬組織の対立に端を発し、しぶとく生き延びた「主人公」がジャカルタで「起業」して、復讐を遂げるために川崎で私兵組織を立ち上げて「ビックビジネス」に乗り出す、というあらすじはあまりに粗いので参考にならないと思う。でも、もうひとりの「主人公」に救いがあったことが小説の高みを極めたといえる。 読み始めると550ページはイッキ読みになるので、連続した時間が取れる休日用にオススメします。 | ||||
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