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造花の蜜
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造花の蜜の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.12pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全33件 21~33 2/2ページ
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当初はありきたりな誘拐事件でなぜこんなに厚い本なのだろう?と思いながら読み進めるうち に、その裏でとんでもない事件がおきているとは全く読めませんでした。 常に裏切られる展開に、確かにページをめくる手が止まりませんでした。 現実的ではないとの見方もあるとは思いますが、人が死にまくるミステリばかり読む事を考え れば、こういった清涼感のある小説が売れる事は本好きにとってはうれしい事だと思います。 この本を自分たちが選ぶ文芸大賞にした某電鉄系書店員の方々に拍手を贈りたいと思います。 | ||||
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先が読めない誘拐事件を描いた作品で非常に楽しめた。序盤でまず誘拐事件が発生し、誘拐された側の視点で事件が展開される。犯人は身代金を要求せず、お金を払いたいなら金額をそちらで決めろという目的が分からない要求や、身代金の受渡場所が意外な場所だったりと、斬新は発想がおもしろかった。中盤からは犯人側の視点で誘拐事件の真相が描かれるのだが、最後まで誘拐事件の真の目的が分からない展開や一人の青年の葛藤など、読み応えがあった。終盤は最初の誘拐事件から1年後という設定で新しい誘拐事件が発生するのだが、この事件の真相も盲点をつくような発想で最後まで楽しめた。 | ||||
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誘拐をテーマにした小説ではありますが、展開そのものとその大胆さからして“誘拐して身代金を奪う”という過程を描いて犯人と警察の緊迫したやりとりを読ませるオーソドックスな誘拐小説のパターンとは違います。 子供が誘拐されたものの身代金を要求してこない犯人。「身代金の要求はしていないのだから誘拐ではない」と嘯く犯人の在り方に、まず読者は興味を煽られます。 しかし物語は犯人たちや被害者らの過去や思惑を投影しつつ、展開のスピードを徐々に徐々に上げて行きます。中盤から現れる、犯人グループに合流させられる(合流せざるを得なくなる)一人の若者の葛藤する様の描写は見事。実はここの部分がメイン・テーマであり、そしてそこに絡めた展開で我々が想像しえなかったひとつの帰結を見ます。 全体のストーリーが大胆すぎて“出来すぎた作り”という感じがしないでもない。映画『氷の微笑』のような、あり得ない出来すぎの展開ではありますが、“愉しませるための仕立て”と解釈しましょう。 急展開を見せつつも全体的には妙に落ち着いた空気のままで粛々と話が進んで行く…というタッチは独特の世界だと感じました。 読後、何かを考えさせる…というような類の小説ではないかも知れませんが、飽きる瞬間がない秀作であるのは確かです。 | ||||
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一読した印象は、近三作(「人間動物園』、『白光』、『流れ星と遊んだころ』)の特徴を足してそのまま三で割ったかんじ。錯綜した人間関係と、登場人物が皆、どれも怪しく見える点はそれぞれの作品に共通している。 メインの大仕掛けは、ミステリになじみがない読者であれば仰天するはずだが、年季の入ったファン(特に人間動物園を既読していた読者)にはひょっとしたら想定範囲内かも。個人的には、「クールなイケ面」という表現が出てきたのが、切なかった(泣)。 独創的な誘拐ものを手掛ける作者はこれ以前にも、『過去からの声』、『ぼくを見つけて』(最近も、『小さな異邦人』という同テーマの作品が雑誌に掲載された)などの傑作がある。この本を読み、興味を持たれた方は、ぜひ読んでみることをおすすめする。 | ||||
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他の方がおっしゃる通り、一気に読ませる力があるのは確か。 ただ読み終えてみると、「壮大なる作り話」という印象。それ以上でも、それ以下でもない。その原因が犯人の存在だろう。バックグラウンドが全く描かれず、スイスイとまるで時速120kmで高速道路を走行しているように、物語だけが流れていく。犯人の生い立ちとか、同情を禁じ得ないような犯罪の動機とか、何か書いてくれていないと(うまく書いてくれないと安っぽくなるだろうけど)、「ここまで何もかもうまく行くなんてあり得ね〜!」って言いたくなる。ミステリーに筋立ての面白さしか求めない方はどうか分からないが、私はあまりの高速展開ぶりに、気持ちがついて行かなかった。それとも、この正体不明ぶりがよいのだろうか? | ||||
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他の方がおっしゃる通り、一気に読ませる力があるのは確か。 ただ読み終えてみると、「壮大なる作り話」という印象。 それ以上でも、それ以下でもない。 その原因が犯人の存在だろう。 バックグラウンドが全く描かれず、スイスイとまるで時速120kmで高速道路を走行しているように、物語だけが流れていく。 犯人の生い立ちとか、同情を禁じ得ないような犯罪の動機とか、何か書いてくれていないと(うまく書いてくれないと安っぽくなるだろうけど)、「ここまで何もかもうまく行くなんてあり得ね〜!」って言いたくなる。 ミステリーに筋立ての面白さしか求めない方はどうか分からないが、私はあまりの高速展開ぶりに、気持ちがついて行かなかった。 それとも、この正体不明ぶりがよいのだろうか? | ||||
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ストーリの展開がコロコロかわる。からんでからんで入れ替わり立ち代わりめまぐるしく回転していくので、500ページくらいあるのに、一気に読み終えてしました。すごいですね! 是非ドラマ化すべきでしょう。 新津きよみの「トライアングル」はドラマの脚本が素晴らしく、原作がイマイチでしたが、本書は内容が良いので、しっかりとドラマ化しても引き込まれる作品に仕上がると思います。今年のイチオシです! | ||||
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最初は単純な幼児誘拐事件かと思ったのですが、 これが一筋縄ではいかず、不思議な展開へ。 蜂と誘拐事件の関係性も不可解で、 いやでもその意味を見極めたくなると思います。 とはいえ、あ、そうなの・・という、 ちょっとすっきりとしないなぞ解きかなという印象です。 おもしろかったのは、本事件の後に起こった事件の方。 最後までだまされたのは私だけでしょうか。 この、”第2の事件”のおかげで、 全体が締まったような気がします。 いずれにしても初めて出会った種類のお話でした。 よくある”密室に閉じ込める”誘拐劇に飽きた方にお勧めします。 | ||||
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連城三紀彦は、騙しの天才である、 とつくづく感じさせられたのが、 本作品でした。 幼稚園から連れ去られた子供を巡る 誘拐事件が起こりますが、 これが奇妙な誘拐で 身代金を犯人側から要求して来なかったり、 せっかく決めた身代金も 受け渡し方法が犯人側に不利な状況になっていたりと、 展開が読めません。 やがて、渋谷のハチ公前交差点で 身代金受け渡しが行われようとしますが、 さらに意外な展開が待っていて・・・。 とにかく、意外な展開の連続です。 物語の半ばからは、 前半の誘拐劇の裏の状況が語られていきますが、 これがまた意外。 見たことも聞いたこともない 誘拐劇の真相が次第に明らかになっていくのです。 名作「戻り川心中」から30年余り。 必ず読者に思いがけない展開と 意外な真相を提示する連城三紀彦の筆力は、 未だ健在です。 ちなみに本作では、 最終章「最後で最大の事件」で、 もうひと捻り加えて、 事件の真相を明らかにします。 ここまでやられると、 却ってすっきりしてしまうほどです。 | ||||
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この作品は、幼稚園から連れ去られた息子をめぐる誘拐事件が起こるわけだが、犯人側からは金銭の要求をしない等、何が目的なのかがよくわからないまま話が進んでいく。また、誘拐された家族側も何か秘密を抱えているようで、登場人物が全てあやしく感じられる。 作品構成は、7つの章で描かれているが、大きく3つに分けられる。一つ目は帯のあらすじに書かれている通りの誘拐事件で、2つ目は事件の本当の顔ともいうべき舞台裏が描かれ、3つ目は最初の事件の後日談のような事件が起こる。 最初に起こる誘拐事件が、ページをめくり話が進んでいくごとにだんだんと予想もつかないような展開になっていき、中盤以降では、まったく別の予想外の真相が明らかになっていく。最初の誘拐事件の本当の姿を予想できる読者はあまりいないのではないか。 読了し終えて、犯人側の思うように事が進むのは、出来すぎのような気がして、現実の世界ではそのように簡単ではないとは思うが、先の読めない誘拐劇を十分に楽しませてもらった。 | ||||
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「造花の蜜」という香気溢れるタイトルから連想させられる通りの、美しい傑作です。小手先のトリックや意外性だけの事件の構図に終わらず、連城ミステリらしい叙情的に描かれた登場人物達の心の揺らぎが首尾一貫しており、ぐいぐいと読ませてくれます。大掛かりなどんでん返しを「スチャラカ」と表現する無粋な向きもあるようですが、まあそんな読みしか出来ない方がいらっしゃるのも仕方ない事なのでしょう。 | ||||
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連城さんも昔は「陽だまり課事件簿」とかユーモアミステリ書いてたけど、欝然たる大御所というイメージが定着して久しいのに・・・・ここへ来て突然の大暴走。綿密でリアルな誘拐事件を発端として、筆致はシリアスなままなのに、無理やりすぎる大技を連発して話をとんでもないところへ持っていきます。 「人間動物園」とか往年の「どこまでも殺されて」は、こうした大技が絶対に人間描写と乖離しないよう注意が払われていましたが、今回は最初からそのへんお構いなし。文中にルパンという言葉もありますが、むしろルパン3世オチといってもいいでしょう。怒り出す人もいるかも知れない(そっちのほうが多いか)。私個人としては、ちょっとだけ吹っ切り方が中途半端だったかなという印象。それとも、思いきり深刻な口調で語る冗談というやつを狙ったのでしょうか。逆に、アチャラカの中に悲しい人間の真実を抉りたかったのでしょうか。でも、中段のどんでん返しは完全に読めてしまったのは残念。次回はもひとつバカに徹した怪作を希望します。この主人公の続編でもいい。 | ||||
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連城さんも昔は「陽だまり課事件簿」とかユーモアミステリ書いてたけど、欝然たる大御所というイメージが定着して久しいのに・・・・ここへ来て突然の大暴走。綿密でリアルな誘拐事件を発端として、筆致はシリアスなままなのに、無理やりすぎる大技を連発して話をとんでもないところへ持っていきます。 「人間動物園」とか往年の「どこまでも殺されて」は、こうした大技が絶対に人間描写と乖離しないよう注意が払われていましたが、今回は最初からそのへんお構いなし。文中にルパンという言葉もありますが、むしろルパン3世オチといってもいいでしょう。怒り出す人もいるかも知れない(そっちのほうが多いか)。私個人としては、ちょっとだけ吹っ切り方が中途半端だったかなという印象。それとも、思いきり深刻な口調で語る冗談というやつを狙ったのでしょうか。逆に、アチャラカの中に悲しい人間の真実を抉りたかったのでしょうか。でも、中段のどんでん返しは完全に読めてしまったのは残念。次回はもひとつバカに徹した怪作を希望します。この主人公の続編でもいい。 | ||||
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