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殺人者の手記



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殺人者の手記の評価: 3.86/5点 レビュー 7件。 Dランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点3.86pt


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全7件 1~7 1/1ページ
No.7:
(3pt)

校正しっかりしよう

この翻訳者は良いと、ペーションの本では思ったが、ちょっと酷い。読んだ人は、おかしいと思わなかったのかな?

とても期待していたから、なあんだ、みたいな終わりかた。途中までは面白かったけどね。
ヘニング マンケルも、ペーションも、そしてホーカン ネッセルも冗長で、レッドヘリングばっかやなあ、と思う。
マルティン ベックの昔から、必ず海外出張もあるしね。

この作家の他のモノも、じゃんじゃん翻訳されてほしいなあ。まあ無理かなあ。
殺人者の手記 下 (創元推理文庫)Amazon書評・レビュー:殺人者の手記 下 (創元推理文庫)より
4488169104
No.6:
(5pt)

ほんのりとおかしい

殺人の描写は控えめ。
主人公や同僚警察も穏やかな人達で、会話が微笑ましい。
ときどき思わず笑ってしまう言いまわしがあり、これは翻訳者の方のおかげなのでしょう。
著者の他の作品も読みたくなります。
すごくオススメです。
殺人者の手記 上 (創元推理文庫)Amazon書評・レビュー:殺人者の手記 上 (創元推理文庫)より
4488169090
No.5:
(5pt)

文芸性豊かなストーリーテリングと魅力的なヒーロー・バルバロッティの日々に喝采

的確かつ良い邦題、と思う。まさに本書は殺人者の手記によってスタートするからだ。(ちなみに原題は「まったく違った物語」)

 まず、この手記が実に手ごわい。謎めいた文章の向こう、やがて明らかになる過去の犯罪。この手記だけで終わるノワールであっても構わないように思う。ここまで文章に拘った、ある種芸術的とまで呼べる手記であるのなら。

 しかしこの不気味な手記に、登場する人物たちが5年後、殺人の標的にされ、その殺害予告が次々とある刑事の自宅に届くことで、物語は立体的な複合構造を呈し始める。現在と過去。現実と手記。刑事個人と犯罪者との関係。

 現実の側を司る捜査官グンナル・バルバロッティ警部補が本書の主人公。実に詳細に、綿密に、作家は彼の人物像を書き込んでいる。レトリックに満ちた幻想にすら思える薄気味の悪い手記を挿入しつつ、現実世界の証人の如く、物語を活かし、よりリアルにするために。

 このバルバロッティ像がよい。彼は再婚を視野に入れた恋愛と子離れの丁度渦中にありながら、殺人予告が飛び込み、マスコミの精神的暴力に晒され、警察組織からは自宅待機を迫られるなど、次々とネガティブな環境下に置かれるが、何よりも殺害予告がバルバロッティに届けられる理由が、そもそもの謎なのである。

 ブルターニュのある季節を描いた手記で始まる本書は、バルバロッティの視線で眺望した絵画のように美しいゴッドランド島での恋人とのシーンへ舞台を移す。さらに殺害予告を知った彼は捜査の中心となるシムリンゲ(架空の町らしい)へ。舞台装置の移動だけでもめくるめく動揺を誘いそうだ。

 手記はさらに読者をミスリードする。バルバロッティの家族の離合集散と、新しい恋人との家族再構成に関わる現在の日々と、私生活だけでも一つのホームドラマとしての読みごたえがあるくらいなのに、そこに薄気味の悪い連続予告殺人事件やマスコミからのバッシングなど、波乱万丈なバルバロッティの周辺事情。

 地方署ゆえに都市部警察署からの応援人員まで呼ばれ、なおかつ事件はスウェーデンの現在と、南仏の過去にまたがる大仕掛けなものである。そんな舞台装置に立つのが現実に存在していそうな等身大警部補バルバロッティ。周囲の個性的面々を含め、ストーリーテリングの冴えが目立つ力作と言ってよいだろう。無論リーダビリティも抜群である。

 作者ホーカン・ネッセルは本国でも国際的にも名実ともに相当な実力派作家らしいのに、日本では数作しか翻訳されていない。バルバロッティ・シリーズはもちろん、ファン・フェーテレン警部補シリーズ(『終止符(ピリオド)』一作のみ)もほとんど日本語では読めない。本作を機に、この筆力とアイディアに優れた才気溢れるベテラン作家に接する機会が、一気に広がってくれると有難い。
殺人者の手記 上 (創元推理文庫)Amazon書評・レビュー:殺人者の手記 上 (創元推理文庫)より
4488169090
No.4:
(5pt)

文芸性豊かなストーリーテリングと魅力的なヒーロー・バルバロッティの日々に喝采

的確かつ良い邦題、と思う。まさに本書は殺人者の手記によってスタートするからだ。(ちなみに原題は「まったく違った物語」)

 まず、この手記が実に手ごわい。謎めいた文章の向こう、やがて明らかになる過去の犯罪。この手記だけで終わるノワールであっても構わないように思う。ここまで文章に拘った、ある種芸術的とまで呼べる手記であるのなら。

 しかしこの不気味な手記に、登場する人物たちが5年後、殺人の標的にされ、その殺害予告が次々とある刑事の自宅に届くことで、物語は立体的な複合構造を呈し始める。現在と過去。現実と手記。刑事個人と犯罪者との関係。

 現実の側を司る捜査官グンナル・バルバロッティ警部補が本書の主人公。実に詳細に、綿密に、作家は彼の人物像を書き込んでいる。レトリックに満ちた幻想にすら思える薄気味の悪い手記を挿入しつつ、現実世界の証人の如く、物語を活かし、よりリアルにするために。

 このバルバロッティ像がよい。彼は再婚を視野に入れた恋愛と子離れの丁度渦中にありながら、殺人予告が飛び込み、マスコミの精神的暴力に晒され、警察組織からは自宅待機を迫られるなど、次々とネガティブな環境下に置かれるが、何よりも殺害予告がバルバロッティに届けられる理由が、そもそもの謎なのである。

 ブルターニュのある季節を描いた手記で始まる本書は、バルバロッティの視線で眺望した絵画のように美しいゴッドランド島での恋人とのシーンへ舞台を移す。さらに殺害予告を知った彼は捜査の中心となるシムリンゲ(架空の町らしい)へ。舞台装置の移動だけでもめくるめく動揺を誘いそうだ。

 手記はさらに読者をミスリードする。バルバロッティの家族の離合集散と、新しい恋人との家族再構成に関わる現在の日々と、私生活だけでも一つのホームドラマとしての読みごたえがあるくらいなのに、そこに薄気味の悪い連続予告殺人事件やマスコミからのバッシングなど、波乱万丈なバルバロッティの周辺事情。

 地方署ゆえに都市部警察署からの応援人員まで呼ばれ、なおかつ事件はスウェーデンの現在と、南仏の過去にまたがる大仕掛けなものである。そんな舞台装置に立つのが現実に存在していそうな等身大警部補バルバロッティ。周囲の個性的面々を含め、ストーリーテリングの冴えが目立つ力作と言ってよいだろう。無論リーダビリティも抜群である。

 作者ホーカン・ネッセルは本国でも国際的にも名実ともに相当な実力派作家らしいのに、日本では数作しか翻訳されていない。バルバロッティ・シリーズはもちろん、ファン・フェーテレン警部補シリーズ(『終止符(ピリオド)』一作のみ)もほとんど日本語では読めない。本作を機に、この筆力とアイディアに優れた才気溢れるベテラン作家に接する機会が、一気に広がってくれると有難い。
殺人者の手記 下 (創元推理文庫)Amazon書評・レビュー:殺人者の手記 下 (創元推理文庫)より
4488169104
No.3:
(2pt)

オチに強烈な違和感が…

手記と事件が交互に語られる構成のクライマックスに期待しましたが、肝心のオチに強烈な違和感が…。

じわじわと犯人へ迫っていくミステリーの醍醐味を期待すると、唐突に謎解きが打ち上げられ完結してしまい、あまりにも肩透かしな感じ。しかも推理小説にとっては白眉とも言える、いつ誰がどうやって犯行を見抜いたのかという真相に対する違和感が半端ない。緊迫感はあるものの、構成の妙が最後に突き抜ける疾走感に繋がらず、逆に失速して悪酔いみたいに終わるのが個人的にはダメでした。

冴えない中年男の人生半ば過ぎ微妙な心情のサブストーリーが楽しめる人には、シリーズ物として魅力なんだと思います。でも事件をメインに読みたい人にとっては、多少ストレスのかかる読書かもしれません。好き嫌いが分かれそう。
殺人者の手記 下 (創元推理文庫)Amazon書評・レビュー:殺人者の手記 下 (創元推理文庫)より
4488169104
No.2:
(2pt)

カタルシスがないんですが

休暇直前のバルバロッティ捜査官の元に、殺人予告が届く。懸命の捜査にもかかわらず死体が発見され、更なる予告状が届けられる…
 上巻は面白く読んだが、下巻で行われる種明かしには正直がっかりした。ネタバレを避けつつその理由を述べると、まず、本作は最近の北欧ミステリによくあるようにシリーズもので、しかも第2作である。そのため主人公にも関係者にも謎はない。したがって、殺害予告が主人公に届けられた理由も、実は特にない。捜査と平行して展開する、さえない中年警部補が抱える家族と孤独という危機の物語は読んでいて興味深いが、本編と直接の関係はない。

終盤で殺人者の手記に関する思いがけない謎が明かされ、物語は終わりを迎える。だが、謎を解くのは主人公ではない。予想外の展開に驚くが、犯人の真の動機も大して説明されないので、読者としてはカタルシスを味わうことはまったくもってできず、消化不良気味、置いてきぼり感があまりに強い。

この作家の他の作品に手を出すことはないかな、、、
殺人者の手記 下 (創元推理文庫)Amazon書評・レビュー:殺人者の手記 下 (創元推理文庫)より
4488169104
No.1:
(5pt)

踊る警官たちは、深い井戸の水をくみ出す

「殺人者の手記 上・下」(ホーカン・ネッセル 創元推理文庫)を一気に読み終えました。
 「悪意」(2019/3月)は、私が初めて読んだ著者の中・短編集でしたが、キレのある短編の中、唯一の中篇「レイン ある作家の死」に戸惑ったことを良く覚えています。これは、スリラーなの?実存主義文学、或いは哲学?
 舞台は、スウェーデンの(架空の)地方都市・シムリンゲ。「ムステルランの手記」と呼ばれる或る人の手記からはじまりますが(その手記は、フランス、ブルターニュでの若者たちによるバカンスの日々が描かれています)、メイン・ストーリーはそれから5年後の夏。恋人のマリアンネと共に休暇を過ごすつもりでゴットランド島を訪れた主人公の警部補・バルバロッティは受け取った「殺人予告」の手紙のせいで仕事に戻る羽目に陥り、尚且つその「殺人予告」通りに殺人事件が起き、畳み掛けるように第二、第三の予告が届き、その度毎に犠牲者が積み重なっていきます。また、読者にはその物語にクロス・カッティングするように「ムステルランの手記」の続きが時系列を追ってインサートされていきます。残念ながら、これ以上のストーリーは語ってはいけないのだと思います(笑)。
 極上の<Who-Done-It>+<Why-Done-It>。
 よって、主人公、シムリンゲ署の警部補・バルバロッティについてだけ少し語りましょう。彼は事件の合間に幾つかのネガティブな出来事に遭遇し、思い悩みながらも前を向くしがない中年警部補ですね。離婚後に引き取った娘が自立し、その娘の不在に寂しさを感じ、今の仕事に満足しているとも言えず、恋人はできたけれども果たしてうまくやっていけるのかどうか惑い、自分宛の「殺人予告」が何故届くのかもわからないまま、メディアからは新聞記者を殴ったとして被害届を出され、謹慎処分を受けるようなとても身近な「等身大」の男として描かれています。
 何とまあ、メイン・ストーリーを語れないということはかなり苦しい(笑)。上巻に一か所、下巻に一か所、背筋が寒くなるようなシーンがあって、2002年の出来事と2007年の捜査が「既視感のあるスリラー」として収斂していくのだろうなという読者の予測はおそらく裏切られることになるでしょう。
 「悪意」という短編集の中に「レイン ある作家の死」という奇妙な中篇が混じり込んでいた意味が、この長編を読むことで理解できたような気がしました。未訳が多い中、本作品によってホーカン・ネッセルが言葉の最上の意味でその正体を現したことになります。
 2007年にリリースされた作品だそうですが、決して遅くはない、正真正銘の傑作だと思います。
殺人者の手記 上 (創元推理文庫)Amazon書評・レビュー:殺人者の手記 上 (創元推理文庫)より
4488169090

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