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雷桜
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雷桜の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.61pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全46件 41~46 3/3ページ
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市井ものを描く宇江佐小説としては極めて異質な内容。 まず宇江佐さんの作品に登場するお偉いさんといえばせいぜい与力か同心程度なのだが、 この作品には御三卿・清水家の当主が登場し、後には御三家・紀州徳川家の藩主にまでなる。 しかも本来の宇江佐作品では、どんな立場のお侍さんでも偉ぶらず、市井に溶け込むキャラが多いのだが、 この御当主さんはとても偉ぶっていて、しかも家臣を人とも思わぬ凶暴な人物なのである。 そこのところを田舎の庄屋一家とうまくマッチングさせ、ストーリーを仕立てているのが見どころ。 ちょっと馴染みにくい作品かなと思ったがさにあらず、話の展開もスピーディでどんどん引き込まれて行く。 武士に取り立てられ清水家の家臣となる庄屋の次男、その妹でこの作品のヒロインである“狼少女”などは魅力的で言動も面白い。 | ||||
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齢60を過ぎて、感動を与えてくれる小説はそれほどない。このおとぎ話のような小説は読んでいる間、終わって欲しくない、何時までも続いて欲しいと思う数少ない物語小説だ。上質な小説を読んだときに味わう感動が後に残る。 | ||||
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宇江佐さんの小説と言えば江戸下町の人々の人情をきめ細かく描く「市井物」が有名だけど、これは少し違っていて、江戸から3日ほどかかる山間の村でのやや大河的とも言えるストーリーです。 読み始めは何となくぼんやり読んでいたけど、四分の一を過ぎたところぐらいからググッと引き込まれ、そこからは一気読み。 江戸から三日ほどかかる山間の小さな村「瀬田村」と「瀬田山」の支配を巡り、隣接した小藩に対立があり、そこから陰謀が生まれ、事件が発生する。 まだ赤ちゃんだった瀬田村の庄屋の娘お遊が誘拐されてしまったのだ。 物語はそこから出発するのですが、この話の中においてこうした陰謀がらみの事件は人々の運命に影響を与えるエピソードであって、事件そのものは主役ではありません。 主役はあくまでも、生き生きと描かれているヒロインのお遊であり、また、それを取り巻く人々です。 この話は陰謀を巡るサスペンス的なスパイスを効かせつつも、メインストーリーはサスペンスではなく、大河的恋愛・人間ドラマなのです。 美しい山の自然の光景の中に展開される、美しい恋の話・・。 『今の現実をしばし離れて、美しく切ない話を泣きながら読みたい』という女性におすすめの一冊です。 | ||||
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涙が止まらなかった。 庄屋の娘として生まれ、幸せな人生を歩むはずだった少女が、あろうことか嵐の夜にさらわれる。狂るわんばかりに行方を捜す家族たち。その娘が10数年後、家族の前に姿を現した。そして、兄が仕える大身の主と恋に落ちる。主は心を病んでいたが、娘の素朴さがその心に光を差し込んでいく。しかし、そこには身分の差があった。 ラストシーン。目の前に主人公2人のシルエットが浮かぶ。 僕は物語の中に入り込み、その情景を現実に見たような気がした。 この美しい恋物語を是非読んで欲しい。 | ||||
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藩や人のさまざまな思惑。それらが遊の運命を変えました。それは不幸な出来事でしたが、一方で遊をおおらかな性格にしました。身分や立場にこだわることなく誰とでも平等に接する遊。遊のそういうところを愛した人は・・・。人が人を平等に愛せたらどんなによかったことか!凛として、自分の信念や愛を貫こうとした遊のその姿は、どこか痛々しささえ感じます。逆らえない運命の中に身を置くしかなかった遊。「雷桜」と呼ばれる桜の運命と、どこか重なる彼女の数奇な人生は、読む人の胸を打ちます。 | ||||
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本作は庄屋の娘として生まれたものの、1歳の誕生日の直前に藩の陰謀によって“かどわかし”にあって波乱の生活を過ごしその後帰郷、運命に翻弄されながらも信念を貫いたヒロインお遊の悲しくも切ない話である 本作は通常の“身分違いの恋”という単純な話ではない。 実らなかった恋であるが、ひとときだけでも幸せを燃焼つくした2人はきっと幸せであったと信じたい。 いや、“実らなくてよかった”恋と思いたいといった方が適切かな。 信念を曲げずに生き抜いた“お遊”に拍手を送るとともに助三郎という宝物の幸せを祈らない読者はいない。 2人の愛情は助三郎によって受け継がれるから安心だ。 助三郎の出生を産みの父親に話さずに身内の“胸の内”に仕舞っておいたストーリー展開は素晴らしいと思った。 その結果としてかえって物語全体を“潔い”ものとしている。 あと印象的だったのはお遊が出てくるまでわずかな生存の可能性を信じて祈っている瀬田家の家族一同の懸命さが胸を打った。 是非この作品を読んで恋の切なさをあなたの“胸の内”に仕舞っておいて欲しいと思う。 | ||||
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