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(短編集)

蝉かえる



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【この小説が収録されている参考書籍】
蝉かえる (ミステリ・フロンティア)
蝉かえる (創元推理文庫)

蝉かえるの評価: 4.41/5点 レビュー 22件。 Aランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点4.41pt


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全22件 21~22 2/2ページ
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No.2:
(5pt)

文体は軽く構造は緻密

おもしろい。とても軽いタッチの文体です。しかし何気なく読み進めると、小説の中のすべてのエピソードが伏線になっている、という構造に度肝を抜かれます。このような構造を使うと物語がかなり窮屈に感じられるのが普通ですが、この作者の小説にはそのようなことは一切ありません。短編ミステリのオールタイムベストに載せたいような作品がいくつもありました。次回作も楽しみです。
蝉かえる (ミステリ・フロンティア)Amazon書評・レビュー:蝉かえる (ミステリ・フロンティア)より
4488020097
No.1:
(4pt)

昆虫たちがもたらす一瞬の叙情

「蝉かえる サーチライトと誘蛾灯」(櫻田智也 東京創元社)を読みました。探偵役・魞沢泉を主人公にした連作短編集。5つの短編が収録されています。
 (1)蟬かえる・・・・・山形。御隠の森。伝奇ものかと思いましたが、そうではなく、地方に今なお残るタブー、地震、奇妙な体験。そして、セミ供養。物語は、巧緻に反転し、その終盤、切れのある驚きをもたらします。
 (2)コマチグモ・・・・交錯する事件。出動した救急車が、もうひとつの事故に遭遇します。子グモと母グモ。少女だけが隠し持つある烈しさ。これもまた間然するところのない短編だと思います。
 (3)彼方の甲虫・・・・奥羽山脈北部の山。ミスディレクションを決めてみせて、”スカラベ”の反転を誘います。動機が少し弱いと感じました。「明日がくることと、ぼくに明日があることは、同じではない」
 (4)ホタル計画・・・・消えたサイエンス・ライターを探して、雑誌編集長・斎藤が北海道に向かいます。発光するホタル。何があったのか?少しパセティックですが、傑作だと思います。シリーズ中、一回しか使えないサプライズ。舞台監督・蜷川幸雄が言うところの「一瞬の叙情」が流れ、巧緻で、物語がうねりながらエンディングを迎えます。
 (5)サブサハラの蠅・・・アフリカから持ち帰った蠅のさなぎ。この短編集の中では、一番インパクトが弱い。

 民俗学、母親と少女、人種と悪意、遺伝子組み換え、そしてアフリカの病というメイン・テーマに生物学と昆虫学を駆使した探偵・魞沢がそれぞれのミステリを解き明かします。魞沢を語ろうとすると、その手品を解き明かすことになりそうなのでやめておきましょう(笑)
蝉かえる (ミステリ・フロンティア)Amazon書評・レビュー:蝉かえる (ミステリ・フロンティア)より
4488020097

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