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(短編集)
壊れた世界の者たちよ
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壊れた世界の者たちよの評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.36pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全22件 21~22 2/2ページ
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ウィンズロウのすべてが詰まっている。その多彩さといったら、どれもこれもが愛しい。まるで宝石箱のような中編集である。『ダ・フォース』を彷彿とさせる表題作で、いきなりガツンとかまされた後に続く三編は、それぞれ、スティーブ・マックィーン、エルモア・レナード、レイモンド・チャンドラーに捧げられ、同じ舞台、重なる登場人物達でこうもテイストの違う物語を綴るのかと、唸り、思わず嘆息してしまうほどだ。また、ずっと付き添ってきたファンにとっては、磨きあげ、さらに洗練された初期のあの作風、なつかしい面々と、たまらない仕様になっている。 最後の『ラスト・ライド』これはドン・ウィンズロウの怒りと嘆きだ。もう何も言うまい。 原書『Broken』は読了済みである。それでもなお、未読を無くし、マッシュアップで使用された作品を全て再読して、この翻訳版に備えた。 もう一度、戦慄し、笑い、身悶え、そして泣くために。 | ||||
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ル・カレの新しい翻訳を惜しみながら悠々と読んでいましたが、途中、本作を読み始め、止められなくなりました(笑) 「壊れた世界の者たちよ "Broken"」(ドン・ウィンズロウ ハーパーBOOKS)を読みました。2019/7月以来のドン・ウィンズロウ。今回は、粒ぞろいの6つの中編が収録されています。 (1)壊れた世界の者たちよ ニューオリンズの「ダ・フォース」。警察一家に育ち、弟をなぶり殺しにされたタフなおまわり、ジミー・マクナブの仇討の物語。メス、DV、稀に見る美しいファック(そんなものは、壊れた世界にしかありえない(笑))。"スカーフェイス"を飛び越え、"ワイルドバンチ"を潜り抜け、滅びの美学もまた、この壊れた世界には似合わない。Covid-19に汚染され、ヘイトに埋もれ、既に壊れてしまった米国で唯一「家族」を愛しぬこうとするその男らしさを。 (2)犯罪心得一の一 スティーヴ・マックイーンに捧げられていますね。パシフィック・コースト・ハイウェイ。宝石泥棒・デーヴィス。追いかける強盗課刑事・ルー・ルーベスニック。いきなりマスタングGTのノイズが聞こえる。ダッジ・チャージャーも駆け抜け、もう一人のドク・マッコイが"ブリット"に追われながら"The Getaway"します。果てしなく美しい101号線。 犯罪心得一の一。「スリラーを語りすぎてはいけない」(笑) (3)サンディエゴ動物園 エルモア・"ラブラバ”・レナードに捧げられています。最近の「ヒヒは語らず」を引き合いに出すまでもなく、クライム・ノヴェルに猿が登場すると面白さが倍増します。今回は、リヴォルヴァーを手にしたチンパンジーを捕獲しようとして物の見事に失敗する制服警官・クリス。いつものように省略を利かした短文と相まって、アメリカンな見事なトゥイストを生み出しています。 (4)サンセット チャンドラーに捧げらています。私立探偵・ブーンは、伝説のサーファーであり、ろくでなし・テリー・レノックス、もとい、マダックスの行方を捜します。流れるウェスト・コースト・ジャズ。ビッグ・ウェイヴ。ヘロイン。登場する"ドーン・パトロール”たち。そして、愛しのニール・ケアリーがあの西海岸ハードボイルドのオーセンティックを運んできます。幕切れは、とても泣ける。 (5)パラダイス─ベンとチョンとOの幕間的冒険 舞台は、ハワイ、カウアイ島。上記の3人対カウアイ島ローカルの麻薬組織。ボビーZだって?そして、なんとまあ・・・。犯罪心得一の一。「スリラーを語りすぎてはいけない」(笑) (6)ラスト・ライド メキシコとの国境。国境警備局隊員・キャルは、不法入国者収容施設である少女に出会います。そして、壊れてしまった米国からその少女をメキシコにいるであろう母親の元へと届けようとします。「ザ・ボーダー」を越えて。撃つはずだった廃馬・ライリーと共に。「夕陽の道を北へゆけ」(ジャニーン・カミンズ)の母親は米国を目指し。キャルは、自由への「ラスト・ライド」を敢行します。 ドン・ウィンズロウ・フリークたちへ。一年を通して普段着のTシャツとよそ行きのTシャツさえあればいい西海岸ジャンキーたちへ。米国の現大統領の名前をつい失念してしまう本物のリベラルたちへ。 この小説集を、読んで、愛して。たとえ、アート・ケラーが不在だったとしても。 | ||||
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