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(短編集)

あひる



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【この小説が収録されている参考書籍】
あひる
あひる (角川文庫)

あひるの評価: 4.05/5点 レビュー 65件。 Cランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点4.05pt


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全49件 41~49 3/3ページ
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No.9:
(4pt)

じんわり面白い

1ページの文字数は確かに少なくあっという間に読めました。しかし内容はそこはかとなく漂う人間の可笑しさやせつなさ、ふれあいなどの細やかな心の部分が語りすぎることなくじわっと感じられます。私は好きです。買って読んでよかったです。
あひる (角川文庫)Amazon書評・レビュー:あひる (角川文庫)より
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No.8:
(5pt)

炙り出される家族の風景。

4年ほど過ごした世羅高原の眺めを思い出した。田舎は温かいけどさみしく、そしてちょっとこわい。表題作の「三びきとも?」というセリフに心が揺らぐ感覚はなかなか他の作家では味わえない。炙り出しのようにどこにでもある家族の風景が浮かび上がってくる作品集。
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No.7:
(5pt)

邪悪

すこし腐してやろうという腹づもりではあったのです。
ここに並ぶレヴューを読むまでは。

あざとすぎますよと。
平易で平穏な書きぶりをよそおいながら、
読み進めていくと、次々と足を払う様に読者を転倒させ、
なんとも邪悪な家族の光景をうきあがらせるのは、と。

しかも、その浮かびあがった光景自体は、
根本敬のマンガ、村田藤吉シリーズのそれじゃないですかと。
突然帰宅した弟に三人が正座させられるとこなんて、
吹き出しかけましたよ。まんまやんと。

ただねえ、確かに冒険なんだなあと分かりました。
ああいう書き方を選ぶのは。この素材に。
全然、通じない、あれぐらい、ヒントにヒントを重ねて書いてあるのに…。
そういう事が簡単におこるんだなあと。

たとえば、あの子供達の年齢をすこーし上げて、極端、中学生ぐらいにしてやれば、
これが危うい家族が暴力に曝される話だということを理解はしてもらえるだろうけど、そんな話今更なんなのということになるし…。

つまり、「破綻した個人の寄合場所としての家庭」をねっちこい文体や描写で固定的・実体的に描くのでなく、こういう淡彩な描き方をすることで、多様な読み方が可能なルーズな文章から、そういった家族像を再構築した読む側の「こういった家庭への私たちの視線」を逆照射することなしには、もはや「ニッポンの小説」とはいえない状況ですからねえ…。

でもねえ、小学生が真夜中に鍵を言い訳にやって来てカレーを4杯も食べる描写(ご丁寧に午前1時30分という時刻まで添えて)までして、「なんかおかしい」と気付いてもらえないとは思わないですよねえ…。

小説を書くのも、この時代独特の困難さというモノがあるんだなと、少し同情した次第。
全然、悪い作家じゃない、とまで擁護したくなった次第です。
あひる (角川文庫)Amazon書評・レビュー:あひる (角川文庫)より
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No.6:
(5pt)

家族の話

よくある家族の絆を描いた感動ものの小説と違い、家族と過ごす日常の中で起こった出来事を淡々と描いた感じ。しかし、単調でなく、逆に淡白な語り口であるからこそ、ほんの些細な出来事の描写が読み手の感情を強く揺さぶってくる。サラッと一、二時間位で読める。良い本でした。
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No.5:
(4pt)

買いですが・・・。

市内の大きな書店に平積みされていた「文学ムック たべるのがおそい」の表紙に、以前読んだ「こちらあみ子」の作者の名前を見つけていたので、表題作はすでに読んでいました。ほかに短編がふたつ収められていますが、「あひる」が「こちらあみ子」の空気感を継いでいるように思います。新たに書き下ろされた掌編は、出来事や時間の流れをあちら側とこちら側から描くといったほのかな意匠が凝らされており、訳ありのおばあちゃんであったり家庭であったり、まだ2冊しか読んでいないのに早くも作者のカラーと言いたくなったりもする素材ですが、最後は童話のようなきれいな終わり方で、一瞬、狐につままれたような気持ちになります。
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No.4:
(5pt)

<うち>と<世間>のファーストコンタクトの日々を懐かしく想う短編集

先々月(2017年4月)に読んだ『こちらあみ子』のことがとても印象に残ったので、同じ作者のもうひとつの短編集『あひる』も読んでみたくなりました。

◆『あひる』
:主人公の父親が、同僚からペットのあひるを譲り受けてきます。あひるの名はのりたま。このあひるを飼い始めてから、主人公の家には近所の子どもたちが日参するようになります。静かだった一家の生活は、あひる見たさの子らが通い始めてから一気ににぎやかになっていくのです。
 そのあひるが病気になって、獣医のところへ連れていかれ、戻ってきたと思ったら、なんだか別人、いや別あひるになっていたり、こどもたちは主人公一家にお菓子を出してもらったりして、なんとも賑やかな日常が綴られていきます。
 だからといって天地がひっくり返るほど大きな事件が起きるわけではありません。
 ならばこの物語の要諦はどこにあるのか。
 私はこの小説を、あひるが、主人公一家の<うち>と<世間>とをつなぐ出入り口の役割を果たしている寓話だと思って読みました。ある日突然やってきたあひるによって、主人公たちの日常に風穴があけられる。そのことで、他者である<世間>との交流と軋轢が生まれ、彼らを翻弄すると同時に、人生のハリを与えてもくれるわけです。
 しかし物語は、最後にその風穴が<うち>に向かって閉じられるところで終わります。
 ほんのいっとき、<世間>に向けて<うち>が開いたことがある人生を歩めたかどうかを自問しました。

◆『おばあちゃんの家』
:死んだひいおじいちゃんの奥さんは、すぐ近所に住んでいます。主人公みのりが、インキョと呼ぶそのおばあちゃんとの間でかわしたやりとりを描いた短編です。
 これも『あひる』同様、主人公みのりの<うち>と、身近な<世間>=インキョとの、有るか無きかの境界線を越えた往来を綴っています。まだ幼いみのりにとっては、インキョとの関係が、人生における最初の<世間>との交流であるといえるでしょう。そんな<世間>との初めの一歩の経験を誰しも持つものです。私もその日々のことを思い返してみました。

◆『森の兄妹』
:小学2年生のモリオとさらに幼いモリコの兄妹はお母さんと3人暮らし。森の中でおやつの草を探していたら、いつの間にか知らない誰かの敷地に入り込んでしまいます。そこにはおばあさんがひとり暮らしていました。モリオは気になってときどきそのおばあさんのところへ会いに行くようになり、そのたびに飴をもらって帰ってくるようになります。
 これもまた<うち>の中で暮らしていた幼いモリオが、見知らぬ老婆という<世間>と出逢い、そしてまた別れていく話です。
 幼いころに会ったあのおばあさんは一体誰だったのだろう。そんなことを、まだ幼いモリオは考えることなどないはずです。長じたときにやがて、記憶のかなたに朧気に立ち現れるその出会いの発端が何だったのかを思い出すこともできぬまま、不思議な気持ちとともに振り返る大人の日々がモリオを待っていることでしょう。
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4041074436
No.3:
(5pt)

視点が面白くて文章が上手い!

文章が上手くて嫌味がなく、スラスラ読んでしまうけれど、内容はなかなか濃くて深いです。表題作の"あひる"は、出てくる人がみんなどこかゆがんでいてそれぞれの関係も何かおかしい中、あひるだけは屈託がなく愛らしいのに、その無邪気な生きものが周りのいびつな人たちのせいで可哀想なことになっていくのがなんとも悲しい気分になります。
他の2編はもっとほのぼのした話で、何が起こるわけでもないけれど、文章のうまさでどんどん引き込まれていきます。
他の作品もぜひ読んでみたい作家さんでした。
あひる (角川文庫)Amazon書評・レビュー:あひる (角川文庫)より
4041074436
No.2:
(5pt)

誰もがこの家庭の一員である

表題作「アヒル」は家にアヒルが来たことから始まる数ヶ月の日常の物語であるが、並行的に日本の家庭のもつ歪さを生々しく描いている。

この居心地の悪さは誰の立場かは別にして、確かに皆が経験したことのあるものだと思う。

その居心地の悪さの根源を追求してしまえば
自分の存在全てが瓦解してしまうので
不気味さを押し殺し、日々を淡々と進めていく。

この小説全体から伝わる無気力感、
そのさらに奥から発せられる叫び
身に覚えがあるからこそ
心がざわつくのだと思う。
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4041074436
No.1:
(4pt)

平易な文章なのに、奥が深い

この表紙と題名を見て、「ほっこり」した作品だと思って手に取った人、
どんな感想を持つんだろうか。短い。短いが、何回か読み返さないと、本当の意味がくみ取れない。
すごい、今村夏子。新作がいまから楽しみ。どんどん書いてほしいです。
あひる (角川文庫)Amazon書評・レビュー:あひる (角川文庫)より
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