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(短編集)

伊藤くん A to E



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【この小説が収録されている参考書籍】
伊藤くんA to E (幻冬舎文庫)

伊藤くん A to Eの評価: 3.57/5点 レビュー 28件。 Bランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点3.57pt


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全28件 1~20 1/2ページ
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No.28:
(4pt)

最後のチャプターの「伊藤くんE」まで読んで、いろいろと分かることがあるお話ですね

最後まで読んでもらうための工夫なんでしょうか。伊藤くんA~伊藤くんDは、ポップな内容でドラマ化されています。本作でいう「テレビドラマの薄っぺらさ」をポップにかるーい感じにして、うまくまとめています。

私はドラマから見てみて、なんか一番大事な話が抜けているような感じがしたので、小説の方を読んでみました。そうすると、伊藤くんEに恐るべき内容が書かれており、ああ、文学的だよなあ、と思いました。

確かに、伊藤くんEは映像化するのが難しい話なのかもしれません。でも、伊藤くんEを読まないと、一番おいしいところはわかんないだろうなあ、と思いました。

そして、伊藤くんA~Eに登場する女性たちは、かなりの転機を迎えたところで、話が終わっています。この後の彼女たちをどう想像するかは読者次第と思うわけですが、伊藤くん以前、以後で分けてみると、明確なテーマが見えてくるような書き方になっています。

伊藤くんとの時間が無駄だったのか、人生の悪い意味で忘れたい、忘れられない出来事になるのかは、読み手の読み方次第でしょうね。

人と人、男女関係の面白さが、凝縮された一冊です!
伊藤くんA to E (幻冬舎文庫)Amazon書評・レビュー:伊藤くんA to E (幻冬舎文庫)より
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No.27:
(4pt)

他の作品も読みたくなった

初めてこの作家の作品を読みました。
いろんな女性出てきますが、生きる上での哲学みたいなのが軽薄なのが共通点で、まるでテレビドラマみたいだと思いました。
伊藤くんは確かにクズだし、クズケンはこの中ではマシだったけど、やっぱりみんな同じくらい軽薄で、ドングリの背比べをして、怒ったり自信を保ったり許したりして。
読み終わった後、汚いもの見たときみたいに凹みましたが、もしかして著者はこれが意図だったのかなと。一見ちゃんと社会人として生きてるからって、人として充実しているわけではないよ、といった、社会の固定化された価値観を壊したいのかなと思いました。
他の作品も読んでみたいです。
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No.26:
(4pt)

ウィンプスターという名の怪物

この本を読み終えて、怖気が走りながらも、こう呟いてしまった。
美形、家が金持ち、博識、しかし、自意識は腐臭を放つくらい充満し、自分にベタ甘で他罰的なクリエーターワナビー(でも、何もしない)。そんな男、伊藤誠二郎と彼に振り回される女五人の話。
ランチのアッコちゃんのようにほっこりくる話も悪くないが、けむたい後輩でガツンときたものとしては「違う、違うだろ。柚木。毒気を抜いた群ようこにでもなるつもりか?違うだろ」とイライラしていたので、この新刊にはにんまりしてしまった。
Aの主人公、智美のスペックの高さに反比例した自信の無さに憤りつつも、伊藤のずるさを察知できた冷静な視点に希望を感じ、終盤、彼女に降った小さな奇跡に安堵した。
Bの主人公である修子の現状を打破したいと思いながらも先延ばしにしている状態と気持ちが身につまされ痛みを感じ、終盤の彼女の思い切りとそれが図らずとも、Aの智美の救いにも繋がったことに微笑ましくなる。
Cの主人公、聡子の男を切らしたことがないということの矜持と紙一重の愛されないことへの寄る辺のなさは、全作中一番心が寒くなる上にひりひりする回だったと同時に、生臭ささえ体感できそうな文体で綴られる伊藤の童貞強奪シーンとそれに伴う伊藤の脆弱さとチンケさが露わになった件は、聡子GJと親指を立てたくなる。
Dの主人公であり、聡子の親友だった実希の伊藤を振り向かせたいがためにとった行動の浅はかさは、あまりにも相手の男に失礼だろとタコ殴りにしたくなると同時に、どうしても小さなことで優劣をつけ、その崩れ落ちそうなバランスの中で保たれる女の友情の醜さを思い知る。
この回では、軽い男を演じながらも恋した女に最大の気遣いをするいじらしいクズケンという放送作家が登場。このクズケンという魅力的な男性キャラクターを生み出せた柚木麻子の文章力と描写力の飛躍に大きな拍手を送りたくなった。
最後のEは一転してある種のサイコホラーのような佇まいの作風である。
主人公である落ち目の脚本家、莉桜の荒れた部屋の描写、腐っていく頂き物の蟹の腐臭、30近くなったのに未だに「才能のある僕ちゃんを誰かが拾い上げてくれる」と信じ続ける伊藤の哀れすら覚える姿勢もだが、莉桜が自爆覚悟で伊藤に突きつけたカタルシスとその後の伊藤の言動と行動の狂気と激しさに戦慄が走った。
「やばい。なんてクリーチャー生み出したんだよ、どうするんだよ。莉桜」と背中に冷たいものが伝い、それとともに、自尊心を砕かれたウィンプスターって犯罪者一歩手前だよなあと遠い目をしたくなった。
嵐のあとの静けさの如きEの結末はA~Dの結末に比べて救いは少ないし、莉桜の伊藤への攻撃は諸刃の剣のように伊藤と魂の双子の如きメンタルを持つ彼女自身もズタズタに傷つけた後味の悪いものである。
が、女の友情ばかりが尊ばれる柚木作品の中では異色の、女として最も恥ずかしい自分を図らずしも見せてしまったことで莉桜が男との友情を得るこの結末に、女の友情のウェット感が苦手なものとしては最も救いを感じた。
これから伊藤はどうなるのだろう。膨れ上がったプライドと恥をひたすら避ける心で鎧を作り、いけ好かないどころか、リアルにいたら恐怖で逃げたくなる男になってしまった彼だが、その後が気になってしまい、恐れおののきながらも続編を切に願ってしまうのである。
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No.25:
(2pt)

個人個人が「その立ち位置」にいるのは最初から決まった運命?

話は全て伊藤くん、つながりで5話ありますが……。本編の前に
読み終わった後の解説部の感性、女性神話、という概念が女性蔑視的で現在の女性の在り方にまったくそぐわなくて古臭い視線・視点でしかないことにがっかりです。

本編で、経験の豊かな人間はやさしく、浅いとキツイ、と言っているキャラがいますが、それは別にそれぞれでは?
みんな勝手に色んな価値観を決めつけて人に押し付け過ぎだと思います。
伊藤くんの強さはそれこそ生まれた時から自分中心の恵まれた世界が用意されているためで、甘えと増長の結果の大人像でしょうね。いまいち面白さを感じませんでした。どうせならバスタブから死体でも発見されればよかったのに。
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No.24:
(3pt)

性格に難あり過ぎるイケメン伊藤くん

性格に難あり過ぎるイケメン伊藤くんを中心に語られる五人の女子の物語。

劣悪ともいえる伊藤くんだが、美人さんにはモテモテで、男性読者はイライラを感じること間違いなし。ところがけっして美人さんではない本命には、けんもほろろの残念な男に成り下がる。

読み進めるほどに、この伊藤くん、ピュア極まりない人物に見えてくるから不思議だ。恋愛ものかと思ったら、まったく違ったね。伊藤くんを通して女性が気づきを得るという展開である。

ラストの一話で、伊藤くんの魂の叫びを目にしたとき、若干テツガクの香りがするのだった。
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No.23:
(4pt)

登場人物全員無様とか映画で煽ってましたが・・正しくは全員痛いでしょうね。

クズクズ言われていますが、伊藤君がクズにはみえません。。
バイトしてるし・・ひきこもってないし・・。全然ましです。
ぺらぺら人生だとか言われてますが、
ぺら度は関わる女たちも負けてないです。どっこいです。

私もお金さえあったら、社会に関わらず
ひきこもりをしたいが夢の駄目人間なので、
登場人物たちは全然普通の人だと思いました。

伊藤君の目指すリスクを最小限にとって怪我をしない生き方
全然ありなのではないでしょうか?世の中の主流にはなってほしくありませんが。。

伊藤くんは「けもなれ」でいったら純真無垢な獣なのでしょうね。
この手の人物は周りの人間の寿命を吸い取って長生きします(w
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No.22:
(3pt)

結局

伊藤はどんなやつなんだ?って思いますね。
変なやつで、どうしょうもないのかな。やっぱり。
ドラマも映画も、観ておけばよかった…
様々な視点から伊藤を視るのって、新しいですよね。
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No.21:
(4pt)

毒々しい

伊藤くん自身と、その周りの女子達の物語。初めの方はオムニバス形式の恋愛物語かと思っていたけれど、なかなか毒の強い作品だった。
特にラスト、伊藤くんが心の闇を吐き出す部分は怖かった。
20代~30代の、どうしようもない恋愛心理や女性同士の友情、モラトリアムな心情をリアルに描いていると思う。
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No.20:
(5pt)

伊藤くんに出会ったことがある人全員に読んでほしい。

伊藤くんみたいな、軽薄な精神で顔が綺麗な男性と関わったことがあり、
とても楽しく読めました。

伊藤くんには自尊心や敬愛という概念が無く、ドラマの世界に憧れつつ憎んでいる。
そんな彼の周りには、憧れつつ憎んでくる女性ばかり集まってくる。

本音で話が出来ない時点で「仲良し」じゃないのに、認められない。
自信の無い者同士、実のない人間関係が出来上がる。

クズケンの、「経験がない人間はこれだから。。。。」と怒るシーンが良かった。
他人を傷つけ、自分を貶めて、なお次の獲物を探すことを止められない、伊藤くん。
経験をモノにしてない。同じことを繰り返しても「経験がない」まま生きていくのだろう。

伊藤くんみたいな人間に傷つけられたことがある人にお勧めしたいくらい、
この物語は深みとリアリティーがあります。
あいつはこんなもんだったのか。。。。と答え合わせをして、次の人生に役立てましょう。
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No.19:
(3pt)

サスペンス的な要素あり

スピード感あり。飽きることなく読めると思います。
人間の内側のエグリ方は素晴らしく、短編連作ですがまとめ方は良かったです。
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No.18:
(5pt)

毒がよい

ドラマを観てから読みました。

ドラマとは時間軸が違うのですね。

全体的にテンポよく、すいすい読めました。

女性の毒とか人間の汚いところ病んでるところの描写に中毒性があります。

ラストのドタバタと、疾走感がとても好きです。
牛丼屋さんで牛丼を食べながらkindleで読んだのですが、面白くて箸が止まり、1人にやにやしてしまった。
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No.17:
(4pt)

とてもおもしろいが、伊藤君はほんとうにクズなのか?

佐藤優さんが『悪魔の勉強術』で紹介していたので、読んでみました。

本能のまましゃべり続ける伊藤君は、確かに、変な人なのは間違いないのですが、登場する女の子も相当に変な人なので。

この作品は、「貧乏神の伊藤君に振り回される女の子が、貧乏神と縁を切ることで成長していくドラマ」とも読めますが、実はその解釈には落とし穴があると思っています。
彼女たちは、たしかに伊藤君からは解放されたけど、その後、幸せをつかんだのか、似たような男に振り回されているのかは、作中では語られていない点なのですよね。

普通に考えれば、クズ男から解放されて、幸せになったように受け取るのでしょうが、作中では、具体的な「次のステップ」は、語られていません。ほとんどの娘が、「傷つけられる人生」から逃げて、「傷つけられない人生」に転換したに過ぎないんじゃないですかね?

どちらかというと、伊藤君のような精神状態に陥るのが、早いか遅いか。

この作品は、そこを描いている気がします。
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No.16:
(4pt)

伊藤くん的な生き方を笑っていられない

いろいろなタイプの女性たちの恋愛話が並んだ短編集かと思いきや、題名の通り話の中心にいるのは伊藤くん。
けっこうイケメンのようでセンスも悪くない、おまけに実家は資産家。しかし著しく問題あり。
伊藤くんのことがわかってくるにつれ、笑っちゃったりかわいそうに思ったり……
でも、本当に笑っていられるのか。傷つくことがいやで、または自尊心を保つためだけに避けて通ってきたことがわたしにもたくさんあるから。
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No.15:
(5pt)

ここに自分がいる

自信の無さとプライドの高さのために、目の前のことに必死になれない。こんな仕事本当はやりたくないし、おれがやるべきことじゃないと思ってる伊藤くん。弱い自分を守るために嘘でも優しくしてくれる女性が大好き、頼るばかりで頼られたくない。一応いい大学は出ていて人当たりはいい。でも表面上はいい人だけど中身は死ぬほど横柄で、仲良くなるとそれを隠しもしない。本書の伊藤くんほどイケメンじゃないけど、そこに自分自身がいました。客観的にみると完全なるクズ人間に見えますが。。

でもまあ同じ男として伊藤くんの気持ちも分かる。就職したが最後、職のない男は落伍者の烙印を押される日本社会、どんなに嫌になっても撤退の選択肢はなく忍耐の日々。可愛い彼女が望むから結婚→出産したら最後、子供の養育義務は成人するまで終わりません。戦争で生きるか死ぬかの修羅場から命からがら脱出してきたシリア難民と違い、衣食住に不自由した経験がないので生活していくのがいっぱいいっぱいなのって意味ないじゃん、と。北朝鮮からミサイルが飛んでくるかも知れないと聞くと、本当は平和で豊かな毎日って素晴らしいと気づくんだけど喉元過ぎれば熱さを忘れてしまいます、多分。ただそんな伊藤くんが幸せで毎日気分良く過ごせている訳はないので、やっぱり必死に目の前のことに取り組んで、充実した1日を過ごせる日がくるといいなぁ。ぼくも今日1日、仕事頑張ろうと思います。

なお作者がさりげなく描く東京の街の、誰もが知ってるレストランの描写が好きです。例えば、飯田橋のカナルカフェとかサザンテラスのスタバとか。我々と同じく東京の日常を生きてるんだなと感じて作品に入って行けます。せっかくお金出すならこういう本こそ買うべき。おすすめです。
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No.14:
(3pt)

女性達が気付いて、離れて行ったのがせめてもの救い

いくらイケメンだからって、何なんだ!? この伊藤って男はww
こんなのに振り回される女の子達が気の毒でなりません。
しかし、彼女達はそんなダメな伊藤くんを反面教師として何かを学び取り、最終的には5人とも伊藤くんから去っていきます。
伊藤くんのダメっぷりが凄すぎて、女の子達にはついつい同情しちゃうけど、
だけど!!この女達の嫉妬心などの心理もなかなかにドロドロしていて、
このへんがあの「ナイルパーチの女子会」を書いた柚木麻子らしいな~~と思いました。

都合のいいことにボンボンで顔がいい。
それをうまく利用して、傷つくことや困難なこと、 言ってしまえば人生そのものから逃げている伊藤くん。
「あなたたちのしんどいレースに参加するつもりはない」 「世の中でいちばん大事なのは、誰からも傷つけられないこと」・・・・。
伊藤くんが腹の中の思いをぶちまけた時、心底かっこ悪いと思った(だからこそ、最終的にクズケンがいい男に見えてくる!)
見てるだけなら面白いけど、絶対にかかわりたくないな、こんなヤツ。

他の人のレビューを読むとEの評価が低いようだけど、恋愛はまったく関係のない視点で描いているのはEだけだし、
これによって恋愛問題だけでなく、人としての伊藤くんの底の浅さが深く描かれてる。
私はEもこれはこれで必要な章だったのではないかと思います。
伊藤くんA to E (幻冬舎文庫)Amazon書評・レビュー:伊藤くんA to E (幻冬舎文庫)より
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No.13:
(4pt)

おもしろかったです。

柚木さんの作品は、どれを読んでも、はずれがありません。おもしろかったです。
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No.12:
(4pt)

圧倒的な現代性とリアリティ

会社の後輩の娘が薦めたので読みました。クズ男小説としては日本文学史上に残る傑作です。男性作家の私小説におけるクズ男たとえば西村賢太さんのクズ男は愛嬌があります。ところが伊藤くんはただただクズです。暴力すら振るわないなにもしないクズで借金を申し込んできても結局いらないというし。会社で後輩たちの恋愛の相談を聞くのが私の役割なんですが伊藤くんのようなクズ男はよくでてきます。ですが、後輩たちの話の中のクズ童貞男より伊藤はもっとクズで、(以下ネタバレ)簡単に童貞を捨てるところや、女の子のセックスについて友達に話しちゃう点です。リアリティがあっておもしろいですが好きかというとそうでもなく。柚木さんの小説はいつも同じ語り口で、これも視点が違うけれど、全部、柚木さんがしゃべっているように感じます。作家の顔というか声が聞こえてくるような作品は私は好きじゃないので星を減らしました。
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No.11:
(2pt)

リアリティの追求

女の屈辱を描いた小説と感じ、期待をもって読み進めたのですが・・・。
Eはとても面白く読みました。それは、登場人物たちの崩壊劇にとどまらず、作家としての自己と無意識のうちに闘う著者の姿を、登場人物たちを介して感じたからです。
A~Dについては、つまらない、の一言でした。伊藤くんにリアリティがほとんどなく、したがって彼の周りで揺れ動く女性たちに何ら説得力を感じません。また、女性たちもみな同じような人物像として描かれており、現実味に欠けました。
柚木作品を初めて拝読した私は、Dの時点でもうこの作家の作品は読むまい、と乾いたため息を漏らしながら、すすまない手つきでEのページをめくってゆきました。終わりよければすべてよし、とはなりませんが、Eを読んだ私は、この作者を信用してもいいような気になりました。
全体としては、直木賞作品とはほど遠いものです。登場人物にリアリティのない小説は、深い部分、つまり本質のところで読者に何ら共感を与えることはできないのです。
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No.10:
(4pt)

伊藤くんは、人を惹きつける。良くも悪くも。

伊藤くんは、人を惹きつける。良くも悪くも。
伊藤くんに振り舞わされる5人の女性視点の物語集。
性格は、まったく異なるようでいて、実は似ているのだ。
自分をなぐさめて欲しい、という人間の弱さを。

読み進めると重い。
評価も悪いようだ。
しかし、それこそが、著者の意図だ。
読後感は、私はそれほど悪くない。

伊藤誠二郎 27歳・独身。
ルックス良し。千葉のボンボン。
しなやかな振る舞い、洗練されたセンス。

しかし、自己中心的、自意識過剰。
塾講師のアルバイトをしながら、シナリオライターを目指しているというものの、
実際には、まったく書いたことがない。
こんな男がどこがいいのか?

恋心、苛立ち、嫉妬、執着、優越感。
ドロドロした人間の付き合い。

伊藤は土俵には上がらない。
愛してもらえるのを、認めてくれるのを待っている。
傷つきたくない。

伊藤は言う。
「勝つよりも、世の中にはずっと大事なことがあります。」
「誰からも傷つけられないということなんですよ。」
現代の軟弱な男性像にかぶる。

絶対に負けない。
果たして、そうなのだろうか?

人生は波乱万丈。悩みながら生きていくもの。
各話の最後は、必ず、女性が立ち直っていこう、
という前向きな姿勢が描かれている。
対極にあるクズケンみたいに、貪欲に生きていきたい。
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No.9:
(4pt)

あるかもしれない

伊藤くんのFもあるんだろうなと、軽い気持ちで読み始めました。伊藤くんEの評価がイマイチのようですが、現実的には一番ありそうな人間心理と思います。読んですっきり爽やかもいいけど何とも言えない後味に、現実を見た感じがします。最後は伊藤くんを超えていましたね。最初に出てきた女の子のことなんか忘れちゃいました。伊藤くんFはないだろうな。
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