(短編集)
終点のあの子
- 女子高生 (151)
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紙書籍の良さ、電子書籍の良さ、それぞれあると思います。 直近の芥川賞受賞者の市川先生の仰る気持ちも理解できます。 もっと俗な理由で、書籍だと置き場所に困るという話も。 けれど、紙の質感で読んだ方が自分の中により物語が浸透し、刻み込まれる時がある。この本はそちら側に定義できる作品でした。 以下、ネタバレが大いに含まれます。 『フォーゲット ミー ノット ブルー』。 冒頭の高架工事についての内容から、少女たちの普段の様子や、工事独特のあの薬剤の匂いや白い壁がまざまざと脳裏に浮かんでくるようで、もっと早くこの本を手に取りたかったと思う反面、自分がまだ彼女たちの傷に共感するような年齢の時分に読んだなら、苦しくて途中で読めなくなったかもしれない。それくらいに、表題作を始めとしたすべてのお話が、わたしたち少女だった人、あるいは今の少女たちの話でした。 主人公の希代子が、転校生で有名な建築家の父を持つ、松濤暮らしの朱里に憧れを抱き、やがて彼女の目から見た自分が「つまらないもの」であること、自分の大切な人たちが自分よりも彼女を大事に思うよう(に見える)になるに従って、彼女を変えてやりたいと思うようになります。 自分たちのような「普通」の人間の気持ちを考えようとしない朱里。 自分たちを内心で莫迦にしている朱里。 経堂駅の小田急線ホームで、電車に乗った方と、踏みとどまった方。 わたしはつまらない人間じゃない。 朱里はすごい。でも、彼女は人の痛みを知らない。思い知るべきだ。 ここからどう展開するんだろう、と予想できない気持ちで読みました。 読み進めるにつれて「わたしも朱里に一泡ふかせたい」という気持ちになりましたが、どんどん物語が加速していくに従って、それは完全に苛めに変容します。 この頃にはもう希代子にも共感できないようになっています。ただ、彼女たちの着地点を見守るだけです。ページをめくる手が早くなったり、遅くなったり。時々前に戻ってみたり。 取り返しのつかないところまできてやっと、希代子は止まりました。 そして希代子の気持ちが明らかになった時、朱里との関係はもう修復不可能のところまで来ていました。 好きだった。憧れていた。だからこそ悲しかった。彼女に変わってほしかった。 「わたしの中に占める彼女の割合」「彼女の中に占めるわたしの割合」が釣り合っていなくて悲しかった。 彼女にわたしを同じように思ってほしかった。 切実で傲慢な考えです。 でも、共感できないとは言えない。 あの方法以外はなかったのだろうか。作中でも出てくる言葉です。 でも、あの時の彼女にはあの方法しか思いつかなかった。 柚木麻子先生がインタビューで、「女子高の担任をしている友人から聞いたいじめの話に対して抱いた感情を形にした」と仰っていて、わたしも現実にあったらしいこの経験を追体験した気持ちになりました。 連作なので、お話はこのクラスの中で、主人公を変えて続きます。 「ふたりでいるのに無言で読書」の、思春期時代の考え方の違いによる分かり合えなさ(大人になったらもう少しうまく付き合えるのに、それができない)、最後の恭子さんのエピソードがほろ苦さを添えています。 無印の梅干、現実のアイドルの名前。 時折差し込まれるそのはっとするような単語が、お話にさらに現実を加味するので、登場人物たちの痛みが際立ちます。 読んで損はない作品だと思います。 わたしはあの痛みも含めて大好きです。 | ||||
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第四話で「終点のあの子」の意味がわかったとき、「本で読む中では、私にとっては初めて見るテーマだな」と思いました。終点(=憧れ)にいるように周りの友達から思われてしまうような立場にみえても本当はいつも見捨てられてきていると感じている有名カメラマンの父親を持つ女の子、見た目はさほど美人ではなくて、という設定が、細かく練られているなと思いました。 | ||||
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思春期の女子達を描いた小説の割にはそれほどドロドロしていなくて良い。 読んでからしばらく経つが内容はほぼ忘れた。すれた女の子が意外といいやつだったという記憶だけが残っている。 | ||||
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辛口になってしまうかもしれませんが特に残るものがありませんでした。 文章は読みやすいですし思春期の少女たちの気持ちやすれ違いもよく描けていたと思います。 そういった意味で過去の自分を思い出すきっかけのようなものにはなりましたが、 最後まで読んでも"共感"ができるだけにとどまってしまい、読み終わればそれまでという印象です。 悪くいってしまうと"毒にも薬にもならない"作品でしょうか、、、 決して駄作ではありませんがもう一歩踏み込んで書いてほしかったというのが正直な気持ちです。 | ||||
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わりとパターン的には、1.新しく誰かと仲良くなる(憧れの相手等) 2.何かあって離反する というところで、この作家はそういうシナリオが多いみたいだ。そこで、仲良くなるプロセスとか心理描写のうまさには定評があるということで、デビュー作でこれだけ書けるのだから凄いものだ。些細なことで一喜一憂する思春期の心情を追体験できる作品となっている。 4話目がイマイチ評価が低めなのは、ハッピーエンドになってるからと思うが、「あの子」にも落ち着きどころを与えたかったという作者の親心なのか。まあ、無いものねだりになるが、作者は基本的に異性愛の人で、「あの子」もそこまでぶっ飛んだ人でもないってあたりが、ちょっと物足りなくも思った。 | ||||
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