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あの本は読まれているか



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あの本は読まれているかの評価: 3.96/5点 レビュー 23件。 Bランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点3.96pt


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全4件 1~4 1/1ページ
No.4:
(3pt)

CIAのスパイ小説というより愛に振り回された女たち小説

「冷戦下、超大国ソ連と戦うCIAの女性たちを描く」と言う割に、主人公イリーナにとって「ドクトル・ジバゴ作戦」は二の次でそれ以外のことに気を取られ過ぎてるような印象を受けた。

主人公が東と西だけでなく様々移り変わる上に登場人物も多かったので少し分かりにくく、それでも最後まで読み進められたのはスカッとするラストを求め続けたからだと思う。
視点や着目ポイントがたくさん散らばっていて盛り込みすぎ、客観的な視点が少なく感情に振り回されるエモーショナルな主人公たち、そりゃあこれだけ長文になるな、と納得。

だけど当時のソ連の様子もよく分かり、勉強になる点が多々あったので星3。
あの本は読まれているかAmazon書評・レビュー:あの本は読まれているかより
4488011020
No.3:
(3pt)

冗長すぎる

かなり期待して読み始めたのに、理解しづらい心理描写などが多めで退屈でページが進まない。
グイグイと惹きつける要素が薄い。
現在、中間部分を過ぎたあたりで後半に期待します。
あの本は読まれているかAmazon書評・レビュー:あの本は読まれているかより
4488011020
No.2:
(3pt)

スパイ工作に利用された本は本望なのか

史実を元にしたフィクションとのこと。CIAが一冊の本をソ連に送り届けて、文学の力でソ連の体制を崩そうとする工作の物語。CIAのタイピストの女性がスパイの素質を見込まれたり、受付嬢が立派なスパイだったりと、西側諸国の物語はスパイものそのものである。一方で東側のソ連では、CIAが送り込もうとした書籍「ドクトル・ジバゴ」の著者ボリス・パステルナークと愛人の物語である。ソ連の厳しい内情を描きつつ、死ぬまで人を愛し続けるラブストーリーである。むしろ愛の物語として読後は切なくも人間の存在をきっちりと感じられる。
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4488011020
No.1:
(3pt)

『ドクトル・ジバゴ』とCIA女スパイ? 二兎を追う者は・・・

パステルナークの『ドクトル・ジバゴ』は今ではハリウッド映画版のほうが有名で、原作を読んだ人は少ないだろう。現に、江川卓訳の新潮文庫版は絶版で、Kindle化もされていない。
私自身も映画の印象が強く、彫りの深い顔のオマー・シャリフ(ユーリ役)と意志の強そうなジュリー・クリスティー(ラーラ役)、それからラーラのテーマの美しい音楽を思い出す。
この小説は、『ドクトル・ジバゴ』の出版をめぐるパステルナークと家族らの苦闘と、その出版を対ソ連の重要な武器として暗躍したCIAの活動を並行して描くもので、着眼点は面白いが、読んだ印象としてはいずれも掘り下げ不足で「二兎を追う者は・・・」という感を免れなかった。資料に限界があるのだろうが、小説なのだからもう少し想像力で補ってもよいのではないかと思う。
とはいえ、『ドクトル・ジバゴ』の物語を地で行くパステルナークの妻と愛人との公然たる三角関係と、愛人オリガの視点から語られるその苦悩はよく描かれている。1人の詩人・作家が巨大なソビエト権力に押しつぶされそうになりながら著作を完成させ、それをオリガや妻の意に反して海外出版してしまう、その人間としての弱さと芸術家の矜持との間の動揺は痛々しい。ノーベル賞受賞後の作家協会からの糾弾と友人たちの裏切りは、まるでマタイ福音書のペテロの否認である。
ちなみに、スターリンに批判された作曲家ショスタコーヴィチも同様の苦境に陥ったが、こちらはスターリンと渡り合う狡猾さと強靭な粘り強さを持って、ソビエト体制を生き延びた。
他方、CIAが『ドクトル・ジバゴ』を対ソ連のイデオロギー宣伝の武器と位置づけたのはさもありなんだが、この小説の中でも最初の出版はイタリアであり(この出版の経緯のほうが面白いのでもっと詳しく知りたいところ)、その後は欧米で広く翻訳出版されている。ロシア語版が地下出版でソ連国内に持ち込まれるのは時間の問題だったはずで、CIAの功績がどれだけ大きいかはよくわからない。また、ソ連国内での流通経路や読者の受け止めについてほとんど触れられていないのも物足りない。
なお、この小説では著者の問題関心による創作と思われる女性スパイの同性愛の物語がかなり重要な部分を占めていて、それが原題の“The Secrets We Kept”に関連するのだろうが、これは小説構成上は全く余計なエピソードだと思う(当時のアメリカでは同性愛は犯罪として罰せられたというのは驚きだが)。冷戦を背景としたドクトル・ジバゴ事件と対比するなら、むしろ1950年代にアメリカで吹き荒れたマッカーシズムとチャップリン他の映画人らの大量追放であろう。マッカーシズムの影はこの小説では全くなく、CIAは西部劇の善玉保安官のように描かれている。

〔追記)英語版のレビューを見ると、同じテーマを扱った先行する著作として、“The Zhivago Affair: The Kremlin, the CIA, and the Battle Over a Forbidden Book ”〔2014年)が紹介されている。こちらはノンフィクションのようだが、レビュー評価は高い。新潮文庫版『ドクトル・ジバゴ』のkindle化とあわせ、できればこちらの翻訳・出版も期待したい。
あの本は読まれているかAmazon書評・レビュー:あの本は読まれているかより
4488011020

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