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鷲は舞い降りた



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鷲は舞い降りたの評価: 4.32/5点 レビュー 73件。 Sランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点4.32pt


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全57件 21~40 2/3ページ
No.37:
(5pt)

文句なしの大作

文句なしの大作。第二次大戦中にドイツの落下傘部隊がイギリスに降下してチャーチルの暗殺を試みるって内容のこの素晴らしい物語に、50%もの真実が含まれてるなんて簡単には信じられない。作家ってのはなんて恐ろしいんだろう。息もつかせぬ展開の中でのデヴリンとモリイのロマンスが一際印象が強い。それにしても落下傘部隊の兵士たちの素晴らしいこと。シュタイナにノイマン、魅力的な人物達が描かれてる。更に考えてみると、50%が真実だって部分すら物語なんじゃないかとすら思えてくる。物語の力を久しぶりに思い知らされた一冊。
鷲は舞い降りた (ハヤカワ文庫 NV 263)Amazon書評・レビュー:鷲は舞い降りた (ハヤカワ文庫 NV 263)より
4150402639
No.36:
(5pt)

戦争文学の金字塔、これを読まずに死ねるか!

あらすじ:歴戦の勇士シュタイナ中佐率いるドイツ落下傘部隊の精鋭たちは、チャーチル首相誘拐/暗殺の使命を帯びてイギリスの東部、ノーフォークの一寒村に降り立った、果たして作戦は成功するのか。この作品の出現までは極悪な犯罪者として描かれていたドイツ人兵士たちを、時代に翻弄された勇敢な兵士として描き出し、戦争文学の流れを変え、世界55ヶ国語に翻訳されて、2600万部以上売り上げた戦争文学の金字塔。

本書を最初に読んだのは、大学受験の年で、読み終えたあと、主人公のKurt Steinerとその部下たちの生き様に衝撃を受けて、半年ほど事あるごとに彼らのことや、その生き様について反芻し続けた。その後、完全版が発売されて読み直してみたが、仕事で忙しかったせいもあるが、最初に通読したときほどは感激しなかったように思う。

今回、画集「生賴範義Ⅲ」を見ていると、「鷲は舞い降りた」の装画が掲載されておりどうしても作品を再読したくなったので20年ぶりに、米国audibleから13時間53分のaudiobookをdownloadしてきて朗読を聞きながらで読み込んでみた。

英文は平易であるが、カソリック関連の言葉には馴染みがなく例えば、lychgate(屋根付き墓地門)と言われても具体的なイメージがわかないのだが、電子書籍だと、1クリックでgoogle imageを介して、その実物の写真が表示されるので、はじめてその言葉を、具体的にイメージとして頭に思い浮かべることができた。また、google mapとstreet viewで舞台となるヨーロッパの街を探検しまくりながら本を読んだので、主人公たちの歩んだ街並みの詳細まで確認しながら作品を楽しめた(カナリー諸島のセント・アン島は高校生とき実家にあった巨大な地図で調べても名前すらのっていなかったのだが、今回はgoogle mapで調べると舞台となるセント・アン島の細かい街路や空港まで、実際の写真やstreet view で主人公たちの行動を追いかけることができた)。そして、例えば作品冒頭で示され且つ作品の重要な舞台となるNorfolkの教会内部の「光が溢れ驚くほど、広かった」という描写の部分も、以前は全くイメージできていなかったが、Norfolkの代表的な教会の内部をstreet viewで歩き回ることで、たしかに原作が描写するとおりだとあらためて確認し、かつ強固なイメージを持って作品を楽しむことができた。

また、歴史上の人物もwikiやYouTubeでその略歴や思想、実際の映像や声を聴くことができ、作品で重要な意味を持つ戦士たちの襟元や胸につけられる各種勲章も、実物の写真をすべてgoogle imageで確認できるので、確認しながら読み、Kurt Steinerとその部下たちがどれほどの歴戦の戦士たちなのか理解すると作戦失敗の経緯がますます強く心に響いてきた。

同様に、作品に登場する戦闘機や様々な銃器についてもgoogle image、YouTubeとリンクされて、機体や銃の写真、そして実際の飛行シーンやエンジン音、また銃器を使用している映像では銃音やその破壊力までも視聴することができて、今回の電子書籍による読書では全く別次元で、戦闘機、武器等を具体的に頭に描きながら、主人公たちの歩んだ街並みやその軌跡を詳細まで確認しながら作品を楽しむことができた。

その上で改めて思うのだが、作品の完成度は信じられないぐらい高い。

主人公とも言えるKurt Steinerは、母親がアメリカ人で父がドイツ人だが、もし母親がドイツ人で父がアメリカ人であった場合、アメリカ人として連合国側で戦っていたはずの人物、イギリス人だが卑劣極まるイギリス義勇軍のHarvey Preston、ドイツ人を許すことができない 神父で元落下傘部隊隊員のPhirip Verecker、南アフリカ生まれでボーア運動に身を捧げる女スパイJoanna Grey等々、国境や、民族の意味が日本より遥かに曖昧な欧米諸国ならではの状況を克明に描き出しており、読めば読むほど味が出てくる作品である。

そしてやはりKurt Steinerとその部下たちは、今までに書かれたどの冒険・戦争小説にでてくる主人公たちより最高にかっこいいのだ。

物語はじめの雨につつまれたノーフォークの小さな謎めいた村、歴戦の勇士たちの姿、作品に散りばめられる不吉な予兆、ノーフォークの沼地で繰り広げられる小さな恋愛劇、 IRA戦士Liam Devlinの活躍、長年戦ってきた最高の戦士が人間としての優しさゆえに犯した過ち、そしてドイツ人にも誠実な人間がいることを認められない神父の葛藤、最後まで負けるとわかっている戦いにベストをつくすKurt Steinerの勇姿、これが傑作でないのならこの世に傑作冒険小説は存在しないことになる。

これを読まずに死ねるか! 読んでない人は絶対読むべし!

追記:
菊池光氏の翻訳は、現在の基準から云うとやや重々しく、会話等の表現でもやや丁寧さを欠くところがあり、より良い翻訳があれば原作の良さは更に2倍にも3倍にも増すと思う。ただ、基本的には丁寧な翻訳で読書自体を楽しむのには特に問題を感じない(ただ10章の、ちょびひげつけたサンタは、satan、ちょびひげつけた悪魔の誤訳であるとか、数カ所登場人物を間違えて翻訳しており、そそっかしいところがある)。

新訳が出るなら、小川 高義氏を希望。

私は基本的に作品ごとにmy mapをgoogle mapで作成して、聖地巡礼ができるように準備しており、ハヤカワの方でサイトを立ち上げてくれれば、英文で読み終えた海外作品についてはmy mapを提供できる。海外作品の地名は、知らない人には暗号でしかないので、地図があるとgoogle mapで作品の舞台を散策できて、楽しみは10倍にも20倍にもますと思う。。

もっと冒険小説は読まれるべきだ。ハヤカワ頑張れ!!!
鷲は舞い降りた (ハヤカワ文庫NV)Amazon書評・レビュー:鷲は舞い降りた (ハヤカワ文庫NV)より
4150408343
No.35:
(5pt)

男なら

私もシュタイナー大佐のような男になりたい。
誰がなんと言おうとカッコ良い。
私は単行本、文庫本合わせて五冊くらい買ってます。父親も買ってるから家族で何冊あるんだろ。
ユリシーズ、北壁の死闘、高い砦、本作が
私が選ぶベスト4です。
この本を読んでない方は幸せ。
一から感動を味わえる。
この本を読んで感動しない奴とは友達にはなれない
鷲は舞い降りた (ハヤカワ文庫NV)Amazon書評・レビュー:鷲は舞い降りた (ハヤカワ文庫NV)より
4150408343
No.34:
(5pt)

強烈に心に響く冒険小説

冒険小説を読みたくなって、とりあえず傑作といわれる本書を読んでみた。第二次世界大戦中にドイツ軍が英国のチャーチル首相を誘拐(または殺害)を企てて実行するまでの物語。登場人物が実在の人なのでとてもリアリティーに満ちた展開となっている。一方で、史実ではチャーチル首相が誘拐されたり殺害されたりしたことはないので、作戦が失敗することも分かっている状態で読み進めることになる。普通は結末が分かっていたら楽しく読めないものだが、本書は登場人物の内面を含めて丁寧に描写することで、その結末に至った過程をドキドキさせながら読ませてくれる。ドイツ軍と英国の人びとをどちらが敵かという観点で描いていないのがいい。純粋に冒険小説としてフェアに書かれている。戦争なんて悪も正義もないと訴えているようにも感じた。本作品に登場するドイツ軍は当時の論理的な正義で作品を実行したにすぎないのだから。とにかく読みやすくて面白い。傑作といわれる理由は分かる気がする。
鷲は舞い降りた (ハヤカワ文庫NV)Amazon書評・レビュー:鷲は舞い降りた (ハヤカワ文庫NV)より
4150408343
No.33:
(4pt)

最後でしんみり・・・

内藤陳さんの「読まずに死ねるか」で知って、一度読んでみたく、手にとりました。
他の方もおっしゃっておられたように「私が舞い降り」るまでが非常に長く、4/5ぐらい?はこの作戦にかかわった人間たちのドラマの折り重なりです。正直そこまで読むのにかなり忍耐が要りました。ただそのディテールがあるゆえに、後半1/5が効いてくるというのか。冒険小説という言葉から想像される派手派手しい話でなく、読み終わったときには、戦争とは、運命とは、人とは、、、と静かに考えさせられる物語です。また読む世代、読まれた年代によっても、評価がけっこう変わってくる物語だろうなあと(小説の宿命でしょうね)。
鷲は舞い降りた (ハヤカワ文庫NV)Amazon書評・レビュー:鷲は舞い降りた (ハヤカワ文庫NV)より
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No.32:
(5pt)

やはりこちらを買ってよかった

昔のハヤカワの味、重厚でしかも密度が高い翻訳、愛情のこもる翻訳がよかった。
そしてひとりひとりのエピソードもいい。それが終結して最後への流れになる。
これ以上書くとネタバレだが、何度でも読み返し、いろいろな伏線をまた読みたくなる。名作中の名作。
鷲は舞い降りた (ハヤカワ文庫 NV 263)Amazon書評・レビュー:鷲は舞い降りた (ハヤカワ文庫 NV 263)より
4150402639
No.31:
(5pt)

Such a great entertainment!

This is a wonderful fiction. I would like to emphasize the word “fiction”. At precisely one o’clock on the morning of Saturday 6, November 1943, Heinrich Himmler, Reichsfuhrer of the SS and Chief of State Police, received a simple message, “The Eagle has landed”. It meant that a small force of German paratroops were at that moment safely in England and posed to snatch the British Prime Minister, Winston Churchill, from the Norfolk country house near the sea, where he was spending a quiet weekend.
This fiction is an attempt to recreate the events surrounding that astonishing exploit. The author Jack Higgins says that at least fifty per cent of it is documented historical fact, but I doubt it.
Jack Higgins knows that the purpose of a fiction is not to instruct, but to please. I am sure that he must have arranged the facts in such a manner as to capture and hold the reader’s attention, and if need be, he must have sacrificed verisimilitude and credibility to the effect he wants to get. I am sure that he must have exercised much more imagination than he says he has. In other words, if he had written this, mainly depending on facts, the book must have been much less sensational, even though it may have heightened a value as a non-fiction.
That Higgins should have been able to create such a great entertainment from one tiny historical fact is an amazing feat.
鷲は舞い降りた (ハヤカワ文庫NV)Amazon書評・レビュー:鷲は舞い降りた (ハヤカワ文庫NV)より
4150408343
No.30:
(5pt)

普通に面白かった。

マスマーケット: 368ページ
Berkley; Reissue版 (2000/6/12)
ISBN-10: 0425177181 のレビュー。

 冒険小説の傑作と言われています。ムンムンした男がいっぱい出てくる小説は、わたしは苦手なんですが、楽しめました。女性読者も楽しめるんじゃないかな。唐突な比較ですが、P.D.ジェイムズや宮部みゆきのような、じっくり人物を描くタイプの作風です。

 登場人物が多く、端役の人物の描写もじっくり描いているので、人物名をメモしながら読んでいきました。やや読みづらい、難しい点は以下。

1. Liam Devlin の皮肉な口調。アイリッシュ・ユーモア。凝った表現なのか、親父ギャグ的なものなのか判断不能な部分あり。

2. アメリカ英語的表現。ブリテンの作家の書くアメリカ英語って、ほんとにアメリカらしいのでしょうか?会話表現が苦手なわたしには、判断不能。

3. クライマックスの戦闘シーン。これは、それ以前からの地形や建造物の描写が頭に入っていてこそスピード感ある展開が楽しめる。これは難度高かった。

 なお蛇足ですが、映画化が成功しにくい理由を述べます。
 まず、各人物の過去・経歴を映画で描くのはひじょうに難しい。
 最大の難点は、ドイツ人がドイツ内で英語でしゃべるっているってこと。違和感もちます。だって、敵地のイングランドで英語が通じるメンバーを選ぶってのが重要な要素なんですから。
 天候と地形の描写。荒涼とした辺鄙な村です。物語の展開中、ほとんど雨です。寒くて湿度が高く、日没が早く、霧が濃い地方です。灯火管制のため、夜は真っ暗です。この環境であるからこそ、酒や暖炉の描写が効いています。この点が、アメリカ映画じゃダメなんですよね。
鷲は舞い降りた (ハヤカワ文庫NV)Amazon書評・レビュー:鷲は舞い降りた (ハヤカワ文庫NV)より
4150408343
No.29:
(5pt)

All the romantic fools

成功する確率が非常に低いミッションでありなおかつ、たとえ成功したとしても
現状を打開する切り札にはなり得ないほど戦況は悪化している。にもかかわらず、
他に選択肢を持たず巻き込まれていくromantic fool 達を描いた作品。メインの
三人の冷たい情熱は独軍側ばかりではなく、米軍や英警察にまで影響を与える。
暗躍する小悪党に対する勧善懲悪の構図もしっかり盛り込まれており、エンター
テイメントの最高峰といえる。
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4150408343
No.28:
(5pt)

最高の戦争冒険小説入門書

戦争冒険小説にのめり込むきっかけになった本でした。完全版も含めおそらく20回以上読みましたが今だにこのジャンルでこの作品を超えるものはありません。どうせ読むなら完全版ですね。
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4150408343
No.27:
(5pt)

内藤陳さん感謝

バイク乗りなら

この世界観 わかるかも
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4150402639
No.26:
(5pt)

魅力的な作品

ジャック・ヒギンズの「鷲は舞い降りた」を読了。冒険小説の傑作の呼び声に負けない出来でした。通勤電車で読んでいたのですが、やはり後半は一気読みになりました。
何が凄いかって、数多くの登場人物たちが魅力的に描かれていることです。数が多くて普通は混乱してしまうのですが、本作ではあまりそのようなことは無く、物語の世界に引き込まれていきます。
そして何よりストーリが最高です。ラストにもびっくりしましたが、全て読み終えてから第一章だけを読み直すと、また新たな発見があります。
冒険小説とは「男の物語」と定義して問題ないでしょう。本作品はその「男」が魅力的に描かれており、すべての男が引き込まれる要素が盛りだくさんなのです。こんないい物語をほっておいては、正しく「男が廃る」のです。男なら読みましょう。

鷲は舞い降りた (ハヤカワ文庫 NV 263)Amazon書評・レビュー:鷲は舞い降りた (ハヤカワ文庫 NV 263)より
4150402639
No.25:
(5pt)

ハードボイルドの古典

小説というものは、要するに人物描写の力で決まる。この『鷲は舞い降りた』を読むと、つくづくそう思う。シュタイナ、デブリン、ヴェリカ神父、ジョウアナ・グレイといった主役級の描写はもちろん、この小説では、かれらを取り巻く「脇役たち」の描き方がすごい。いったいどういう言葉のノミを使えばここまで完璧に物語を形作れるのか、ほとんど驚嘆の域である。絶対に読んで損はない、と断言できるハードボイルド小説、冒険小説をただ一冊だけ選べと言われたらこの本を選ぶと思う。古典である。訳者が妬ましいが、べと付かない、淡々とした訳文もまた完成品であるといいたい。作者ヒギンズの真骨頂が出た作品。すばらしい。
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No.24:
(5pt)

ロマンに満ち溢れ、滑稽なまでに儚い

前半は数多くの登場人物や舞台の背景の導入が続き、あまり上手とは言えない訳も相俟って若干退屈したが、盛り上がる後半ではぐいぐいと引き込まれた。ストーリーはいたってストレート、結果もおよそ見当がつく、それでも引き込まれる。

チャーチル誘拐という常軌を逸した計画の遂行に、敵国に飛び降りて行く男達。散見されるクサい表現も吹き飛ぶ程に、登場人物が魅力的だった。非情な現実と対照的に描かれる彼らの命懸けの冒険は、ロマンに満ち溢れ、滑稽なまでに儚い。

まさに映画化されるべくして映画化された、冒険小説の代表作という呼び名に恥じないエンターテイメント作品。
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4150402639
No.23:
(5pt)

魅力的な登場人物

冒険小説の名作という事で、大いに期待して読んでみたが、期待通り名作だった。何より、登場人物が実に味わい深い人物ばかりで、シュタイナにシュトルム、ゲーリケにケーニヒと紛らわしい名前が付いてるのだが、作者の表現力でそれらの人物像を自分の頭の中でクッキリと描く事が出来た。また、ヒトラーやヒムラーといったビッグネームも登場するが、ビッグネームが登場する場合、ストーリーが安っぽくなる事もあるが、本作はうまくビッグネームを使い出しゃばりすぎなくしている点は良かった。冒険小説にはつきもののロマンスも、登場人物の中で、恋愛とは縁遠い感じのデブリンとイギリスの田舎娘とのはかない恋という形でうまくストーリーに組み込まれている
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No.22:
(5pt)

歴史の if の「あわや」を描いた第二次大戦時冒険小説の “東の横綱”

書評家の茶木則雄によれば、本書を冒険小説の“東の横綱”。“西の横綱”はケン・フォレットの『針の眼』としている。新直木賞作家佐々木譲は、本書のハヤカワ文庫版の解説をしているが、この両横綱へのオマージュとして『ベルリン飛行指令』と『エトロフ発緊急電』を書いたそうだ。そればかりではない。『ミステリ・マガジン』のアンケートをもとに、’92年に早川書房から刊行された『冒険・スパイ小説ハンドブック』において、「冒険小説ジャンル」で名だたる作品を押しのけて堂々第1位に輝いている。
時は1943年11月6日、第二次大戦で敗色の漂うドイツにあって、「英国首相チャーチルを誘拐せよ」との密名をおびた、歴戦の勇士シュタイナ中佐率いる落下傘部隊の精鋭が、チャーチルが週末の休暇を過ごすとの情報をもとにイギリスの寒村に降り立った。この荒唐無稽な作戦の立案から実行までを、史実を巧みに取り入れ、克明に描ききったのが本書である。
シュタイナ中佐たちの実際の死闘は本書の後半4分の1に凝縮されているのだが、そこまでの話のもっていきかたが実にうまい。作戦を任される軍情報局のラードル中佐、老女のスパイ、グレイ、シュタイナと共に任務に就く、一癖も二癖もある面々。これら魅力的な登場人物の言動や心理状況をキャラクターとして配したうえで、刻々と作戦の準備が整うさまはドキュメンタリータッチで、まるでノンフィクションのような現実味を帯びており、エンターテインメントであることを忘れるほどだ。
彼らは史実の通り失敗する。にもかかわらず読者が手に汗握るのは、「あわや」成功する寸前までいくからだ。彼らが窮地に陥る最大の原因は、戦争だから敵は抹殺するが、人道にもとる行為はしないという騎士道精神のようなところにある。だからこそ読者は彼らに感情移入し、応援したくなるのだ。そして読後になんともいえない余韻に浸ることになる。
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4150402639
No.21:
(5pt)

最後まで読まされる

 ドイツの敗色濃い第二次世界大戦末期、歴戦のドイツ空挺部隊員シュタイナー中佐は武装親衛隊のユダヤ人狩りの現場に居合わせたばかりにユダヤ人少女を助けようとする。そのため、懲罰的任務として何と英本土に潜入して英首相チャーチルを誘拐するという途方も無い作戦に赴くことになる。もちろんチャーチルが誘拐されたなどという歴史的事実は無いからこの任務は失敗する。
 読者ははじめから任務が失敗することを知っていて読むのだから作者がどのように最後まで読者を引っ張るか、これは作者のストーリーテラーとしての力量が試されることになろう。ところが、これがうまい。じつにストリーの展開がうまい。これはなるほどこんなこともあったかも知れないと読者に思わせるような現実的な細部を積み上げるので読者は最後まで作者に引きずられるように結末まで読まされる。
 ところで、この作品を読んで印象的だったのは、たとえそれが敵であっても勇敢な軍人は尊敬されるという事実だ。英国の軍人からも騎士十字章を受賞しているドイツ軍人が尊敬の対象であったことがわかる。
 この作品、冒険小説人気ランキングの上位常連であるが、うなずける。まだの方はぜひ一読をお薦めする。英文の難易度はあまり高くないので読みやすいと思うが、軍隊の編成や階級などに多少の軍事的知識があればさらに理解がし易いだろう。
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4150402639
No.20:
(5pt)

骨太な小説の見本の様な本

第二次世界大戦を背景に描く暗殺計画の小説
570ページあまりの大作です。この本がすごいのは
こんなに厚い本の場合、多くは中だるみをしてしまうのですが
ほとんどのページが濃密で、よく構成されています。
私の悪い癖で、終わりから結末を知ってから読むのですが、
この本は結末は一部であり、それまでの人間関係の機微が
大きな主題の一つであり、充分楽しめました。
読み飛ばすことも出来ず、しかし一旦読み始めると、作品の世界に
引きずり込まれる力を感じる本です。
ほとんど女性が登場しない本で、その点から考えるとハードボイルドなの
です。とはいえ、女性が理解できない本かというと多分それも違うような
気がします。
文庫本で単なるエンターティメントの本ではあるのですが、
920円という定価以上に楽しめました。
鷲は舞い降りた (ハヤカワ文庫 NV 263)Amazon書評・レビュー:鷲は舞い降りた (ハヤカワ文庫 NV 263)より
4150402639
No.19:
(5pt)

まさに最高傑作!

始めて読んだときの興奮はいまだに忘れることが出来ない。この作品のストーリーの素晴らしさは語りつくされているが、自分は主人公たちの人間的な魅力に圧倒された。シュタイナ、ラードル、デブリンのなんと魅力的なことよ!男ならこうなりたいと思わせる圧倒的な人間性を書ききったヒギンス筆は冴え渡っている。ヒトラーという怪物の下での宮使えはまさに悲劇。無責任な政治家と現実の間で板ばさみになる人間は何時の時代にもいるものだ。
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4150402639
No.18:
(5pt)

一気に読めました。

 ドイツ軍が秘かにイギリス本土にパラシュート降下しチャーチル首相を誘拐する…荒唐無稽にも思えるような話ですがイタリアでムッソリーニを救出したオットー・スコルツェニーの空挺部隊がシュタイナーのモデルであると言われていますし、実際に机上の作戦ではありましたがそういった計画がありました。
 今までドイツ軍=悪者というレッテルから少なからず解放した作品でもありますし(ドイツ人が共感したかはどうかは別にして)、冒険小説としても、戦争アクション小説としても、充分に読むに値する傑作小説です。
鷲は舞い降りた (ハヤカワ文庫 NV 263)Amazon書評・レビュー:鷲は舞い降りた (ハヤカワ文庫 NV 263)より
4150402639

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