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芽むしり仔撃ち



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芽むしり仔撃ちの評価: 4.28/5点 レビュー 40件。 Aランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点4.28pt


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全3件 1~3 1/1ページ
No.3:
(3pt)

理解不能。

何を言っているのか全く理解できず。作者の天才性は『死者の奢り・飼育』を読んでわかりましたが、本作は自分の頭が理解できる範囲を完全に超えてます。書く方もすごいですが、本作を理解できる読者もすごいです。
芽むしり仔撃ち (新潮文庫)Amazon書評・レビュー:芽むしり仔撃ち (新潮文庫)より
4101126038
No.2:
(3pt)

妄想を繰り広げられるのも才能

大江健三郎は「万延元年のフットボール」なんかは凄いと思うけど、その他の作品は格別好きでもありません。「飼育」なんかはまあまあな方です。「洪水はわが魂に及び」は嫌いな方です。「洪水」なんかは、思いこみで書いてる感じがするからです。自分で思いこんでいることを現実と区別していないというやり方は、意識的なのか、実際的に効果的なのかどうか。「個人的な体験」は話の変化が乏しいし終わり方が納得できない。「新しい人よ眼ざめよ」はわりとグロなところが少なくて、全体的に澄み切った感じがして、まあ好感の持てる方です。
 この「芽むしり仔撃ち」だけど、こういうプロットだったら、現在の作家だったらもう少し取材して、もっとその取材を生かしたリアリティ描写に力を注ぐでしょう。しかるに、本作はどうも作者の少年体験をもとにして妄想を展開したという感じです。まあ、デビューしたばかりだったわけだから仕方ないとも言えるし、こう妄想で原稿を埋めるというのも、溢れる才能なのかもしれません。
 話の内容は、暗中にも少々光ありというようなものです。構成は、先に言ったこともあってやや生硬というか変化に乏しいようなところもあるけど、文章はつねに独特な熱を、奇妙な執念深さを持った感じです。
 「万延元年」にいたって作者は自分の存在の根拠とはじめて本格的に向き合うと言われますが、すでに「飼育」や本作ではそのはしりが確認できるわけです。
 大江健三郎の小説にはどこか読者を試すところがあります。それはしばしば嫌味な感じがあります。批評家に言わせれば、それが壮絶な精神の戦いとも言われますが、私はあまり好きにはなれません、正直。それでもそれなりに読み甲斐はあるし、この作者のうねうねする文体には、芸術的なものがあります。
芽むしり仔撃ち (新潮文庫)Amazon書評・レビュー:芽むしり仔撃ち (新潮文庫)より
4101126038
No.1:
(3pt)

tears for lovers

ノーベル文学賞だとか、大江だとか、そういうものではない。
1センチにも満たないこの文庫本だが、非常に重厚かつ濃厚な味わいを内包している。
言葉の端々に現れる大江ならではの節回し。
情景あろうと感情だろうと五感だろうと一気に叩き込んでくる濃密な筆致。
めまいすら覚えるほど、甘美である。

感化院の少年たちがとある山村に取り残される。
唯一の抜け道は閉鎖され、山村では疫病が蔓延していることがわかる。
それでもそこは、少年たちにとってはじめて手に入れた「自由」を孕む王国であった。
「自由」を体いっぱい体感してゆくサマは、戦争小説である本作をみずみずしいジュヴナイルにさえ仕上げている。

大江の、一般に読みにくく難解とされ敬遠されがちな文章ではあるが、分量的に少なく、近作とことなり、処女長編であるがゆえエネルギッシュであるし、比較的読みやすくなっている。
この本を手始めに、エンターテインメントとしての小説=娯楽のみでなく、文学としての小説=芸術という世界を垣間見てはいかがだろうか。
芽むしり仔撃ち (新潮文庫)Amazon書評・レビュー:芽むしり仔撃ち (新潮文庫)より
4101126038

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