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リプリー(太陽がいっぱい)



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【この小説が収録されている参考書籍】
太陽がいっぱい (河出文庫)
リプリー (河出文庫)

リプリー(太陽がいっぱい)の評価: 4.68/5点 レビュー 25件。 Cランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点4.68pt


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全2件 1~2 1/1ページ
No.2:
(3pt)

私利私欲と自己正当化。

自らの境遇を呪いながらも、改善するための努力をせず犯罪行為で糊口をしのいでいたトム・リプリー。
そんな小物感満載の彼が、とある人物をヨーロッパからアメリカへと帰国させるため、説得に向かうことで物語は大きく動き出していく。

アメリカでの自らの生活に辟易し、嫌悪していたリプリー。
しかし、ヨーロッパでなら理想とする生活をやり直せるはずだと夢見る彼に、思わず呆れてしまう。
環境が変わろうと、怠惰で都合の良い解釈ばかりを繰り返す彼が理想の生活を送ることなど無理に違いないと。

そんな無謀な夢を胸に抱いた彼が犯罪行為に手を染め、理想の生活を送ると同時に、その犯罪がバレないように苦心し葛藤する心理描写が本作の核となっている。
先述したように、人間としての魅力が乏しいリプリーだが、物語が進むにつれ犯罪がバレないようハラハラしている自らが居ることに気づいた。
いつの間にかリプリーに感情移入してしまっていたのだ。
彼に同情する余地はないし、自らの欲求を満たすために犯罪行為に及んだ彼が悪いのだが、それでも犯罪行為がバレそうになるシーンでは思わず息が止まる。
著者の卓越した心理描写や、状況描写のなせる技を是非とも堪能してほしい。
太陽がいっぱい (河出文庫)Amazon書評・レビュー:太陽がいっぱい (河出文庫)より
4309461255
No.1:
(3pt)

最初に読むpatの作品ではありません。

特に好きというのではないのですが、時々無性に読みたくなるのが彼女の作品です。映画の世界もそうなのでしょうか、忘れた頃に知らなかった作品が映画化されるのです。そのタイミングで、もしくは、おかげで、作品が読みたくなるのです。今回は幻の作品ともいうべき「carol「です。
あまたある作品の中でもいわくつきの作品です。彼女のいくつかある伝記Beautiful Shadow: A Life of Patricia Highsmith: (reissued) Bloomsbury Lives of Women やThe Talented Miss Highsmith: The Secret Life and Serious Art of Patricia Highsmithの中でもこの作品は独特の取り上げ方をされています。そこでは彼女の実際の軌跡と絡めてその中身が深く渉猟されているのです。ただどういうわけか私自身は手が伸びなかったというのが正直なところです。
今回初めて読みましたが、導入部がいいな。begdorf goodmanを思わせる?ニューヨークのデパートの社員食堂の昼食のシーンがそのオープニングのシーンなのです。いやーなかなかリアリティがあり僕にとっても何か昔を思い起こさせる情景です。劇のセットのデザイン{?)を手掛ける駆け出しの主人公の女性は、おそらくクリスマス商戦のためパートでshop girl/assistant(?)として雇われたのですが、忙しいながらも平凡で残酷なデパートの日常の中でのさりげない遭遇からに一つの大きなchance encounterに直面するのです。そこで引き起こされたさざ波がその後の展開のきっかけとなります。それぞれのユニークな男女関係の事情を抱えた二人の女性の関係はクリスマスの前後を挟んで大きな展開を遂げるのです。その後はアメリカの映画や文学のひとつのパターンなのでしょうか、全米をまたにかけるロードトリップまで巻き込んで、二人の舞台は広がります。ただある一つの些細なことがきっかけで舞台はまたニューヨークへと戻ることになります。
はたしてこのロードトリップが作品の展開の中でどの程度うまく機能しているかは疑問です。また二人を取り囲む形で登場する複数の男女もどうもその存在感とプロットの上での必要性が希薄です。でも素晴らしいのはこの作品を締めくくる最後のシーンです。このシーンまで辿りつく数時間のニューヨークのいくつかのsocailシーンの情景は実に生き生きとしており、そして最後のカタルシスへと続くわけです。突き放していってしまえば、この程度の展開と大上段で50年代前半のアメリカの女性たちは大きな満足感を得たのです。そういう意味では、この作品はもはや消え去ってしまいその香りさえ遠くに消え去ってしまったベトナム戦争前のアメリカの社会の描写なのでしょう。でもここにはおそらく著者の若かりし肖像がしっかりとうかがえるのです。
リプリー (河出文庫)Amazon書評・レビュー:リプリー (河出文庫)より
430946193X

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