(短編集)
目には見えない何か
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パトリシア、ファン必読 | ||||
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本当に購入してよかったと思った一冊。 特に未発表の作品がめちゃくちゃ良くて、何故どこにも発表しなかったのだろうと思った。 ただ未発表の作品はパトリシア・ハイスミスの従来のファンからすれば"らしくない"のかもしれない。自分はまだ歴が浅いので、違和感はなかったが。 未発表の作品はラストがほんのりと光が差すような終わり方の作品が多い。ハイスミス自身がそれはファンにはもの足りなくと思われるのかもと考えたのかもしれないが(あくまで想像)。 けれど私はほんのり明るいラストのほうがよりリアルな感じを受けました。 ドライな語り口はどの作品にも健在で、スッと物語に引き込まれます。その淡々とした無駄のない的確な表現は癖になります。やっぱりハイスミス大好きです! 本自体にも問題なく良品でした。買って良かったです。 | ||||
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突然パトリシア・ハイスミスを読みたくなって、探しました。 若い頃のいっとき夢中になって読んだのはおそらく世に知られた 有名どころ?だったような。今となっては情けないことに ケロリとみんな忘れてしまいました。今回は初期からにしましょ。 ところが初期短篇集 1938~1949「回転する世界の静止点」の きれいな中古のぶっ高さにあきれはて、先にこちら中後期短篇集 「目には見えない何か」へとなってしまいました。 収録されているのは14篇。「手持ちの鳥」の発想のユニークさよ。 こんな職業があったとは。途中ハラハラしたものの、最後は無事にというか 平穏に収まりもして、ここがちょっと意外といえが意外かしらん。 穏やか過ぎて。それでもまぁよかったねってほっとしたりして。 わりとあったかいのね。「生まれながらの失敗者」もそう。こちらも読みながら 何と言ってもハイスミスだもんね。うまくいく、と見えても、そうそう ハッピーエンドに終わるわけないよね。それでも、いいよってかんじかな。 しみじみしてきて。タイトルの「目には見えない何か」、何故さいご、こうなの? キゼンとして自死へ向かう姿が、人間こうあるべき、なのか・・・。 「怒りっぽい二羽の鳥」はおっかしい。「ゲームの行方」「取引成立」最後がやっぱり ハイスミス。「帰国者たち」はフクザツ。これでほんとにいいの?何となく本に 呟きたくなるような。そうして一番好きなのは「人間の最良の友」。 すっごいです。このワンちゃん。人間どんなに孤独に生きていても、この主人公のように ある日絶望から死にたくなっても、こういうワンに出会って、その命を二度までも救われて その日から生活態度をワンを見習いながら変えていく・・ワンは毅然としていて気品もあり、 知力もある優秀な犬でした。しかも人間の気持ちがわかるんです。このワンに応えるべく 主人公は徐々に徐々に人間性を取り戻し患者を増やし立ち直っていくのです。 「人間の最良の友」そのもの。 ハイスミスは如何いう思いでこの小説を書いたのかなぁ。 ハイスミスの世界は冷静冷徹、突き放したような痛みを伴う人間の心の奥底に潜む残酷さを 描いたのが多かったような。でもこちらの短篇集に関してはちょっと違う。 客観性に徹して死を前にしてもサラリと何でもないことのように描いたのも多いけれど かつて自分が思い込んでいたハイスミスとは又別の一面が見られて非常に面白く 読ませていただきました。次は「回転する世界の静止点へ」となるか。いざ! | ||||
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コンプレックスを全く持たぬ人間はいないだろう。本書を読んで楽しめるひとは人がもつコンプレックスに焼きごてをあてるようなハイスミスの筆致をすんなり受け入れることができる、ある意味「強いひと」だと思う。 冒頭の「手持ちの鳥」にしても火遊び相手の持ち物をくすねるのが趣味のセールスマンを描く「危ない趣味」にしてもそうだが、よくまぁこんな設定を考え付くネ、というくらい絶望的なシチュエーション・・・。 こういう話は楽しむ以前に「不快」と感じる方も必ずいる筈だ。しかしハマるひとはハマる。わたしはハマってしまったが・・・万人にはすすめない。 | ||||
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今からおよそ50年余りも前に書かれた作品とは思えないほど、新鮮である。そして人物の心理描写が卓越している。 たとえば、「ミセス・プリンの困ったところ、世界の困ったところ」での老婦人と介護士との心の葛藤は、今日のどこかの老人ホームでも起こりうる。アメジストのブローチをめぐっての二人の心の動き、介護士の冷たさ、死の床にあっても「物」を守ろうとする老いた心の描写が心憎い。 「人間の最良の友」は、「生まれながらの失敗者」とともに読む者の心を明るくする力を持っている。ハイスミスの作品で典型である、人生に失敗して打ちひしがれ、自殺を選ぶ主人公が、二度、「上品な」犬に救われ、次第に自信をとり戻し、人生をやり直す。微苦笑を誘う物語である。 ハイスミスは死や自殺をよくテーマに取り上げるが、いずれも情緒的にではなく、それでいて核心をついている。「目には見えない何か」は、あらゆる男性が一目見ると足下にひざまずくと言う魅力的女主人公が決然と自殺を図る話だが、終わりまで読むと納得できるから不思議である。 ハイスミスは、「負け犬」の心情に詳しく、誰しもの心に巣食う悪をあばくのに長けている。彼女の作品は、時に、謎解きミステリーの域をこえて、読む者の心をゆさぶる。本書は、一度紐といたらたちまちにしてその魅力に取り付かれ、一気に読み通してしまう種類の書物である。 | ||||
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