ふくろうの叫び
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迅速で説明通りの商品でした。 | ||||
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神話や伝承から動物の象徴などを紹介している本によると、アメリカ先住民族の間では、ふくろうは「死」を象徴する例もあるようだ。 結婚まで秒読みの幸せな若い女性を、身を隠しながら見つめる男。あっけなく見つかったこの窃視の現行犯に、被害者であるはずの女性が自ら関係を深めようと接近を始める。奇妙な人々の話、だが彼・彼女らの邪気のなさに、読者はつい心を寄せるようになる。平凡な幸せを懸命に保とうと努力する彼らの足元には、不幸が黒々と横たわっていたのだ。 主人公ロバートを苛め抜く別居中の妻ニッキー、彼が不幸な胸中を癒すために眺める女性ジェニファー、そのジェニファーと婚約中のグレッグ。4人の相関関係が誰にも止められない運命の歯車を回し、読者を恐怖のどん底へと叩き込む。ハイスミスは何を思ってここまで過酷な運命を主人公に与えたのかと不思議になるほどだ。 「死ってそういうふうに、人間の形をしてやって来るんだと思うわ」少女っぽい夢見がちなジェニファーの言葉が、しだいに事態を象徴するように感じられてゆくのが恐ろしい。超自然的な何か、まるで呪いにかかったような。 しかしフト思い当たることがあって、私は考えを変えた。(以下ネタバレふくみます) 話中ジェニファーはドストエフスキーの「悪霊」について思いをめぐらすシーンがあるが、私は読後、本作がドストエフスキーの「白痴」に重ねられる気がして仕方がなかった。 ロバートの、幸せではない人生のただなかにありながらつとめて人を責めない静かな態度は「善人」と呼んでもいいように思った。そして彼を求めてやまない女性がふたり登場するところも同じだ。 「白痴」でアグラーヤとナスターシャ・フィリッポブナにああいう行動をとらせたのは、善人ムイシキン公爵その人であったと私は思っている。その考え方で読むと、本作では善人ロバートが、ジェニファーとニッキーに「そうさせた」のではないだろうか?とも考えられるのだ。 なんの底意もなく、到来する事態を諾々と受け入れる彼が、ある予感に取り憑かれていた女性に理想像を見せ、すがる物を求めてしがみ付く女性に掴まる場所を与えた。それを罪だと責めるのは酷かろうが、それでも「事態」を招いた要因は彼だったと思うのだ。 そして作品に充満する数多の不幸の鍵。不条理なほどの他者の不寛容、病的な自己愛から来る攻撃性、社会が個人を潰そうと襲いかかって来る恐怖。彼は絶体絶命のフチに追い込まれるが、それでも尊厳を保ち、まっとうさを貫こうとするそのけなげさが切ない。 無惨な死と、可憐な生の板挟みになって胸が詰まる。 | ||||
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本書が描いたのは女と男のミステリー(摩訶不思議)。特にジェニーという女性は、極めつきの謎だ。 同僚の誘いを断って、ロバートが仕事を終えて向かった先はジェニーの家。だが二人は知り合いではない。ジェニーの家のキッチンの窓から、密かに、彼女を覗き見するのがロバートの楽しみだ。といっても、ピーピングトムか、はたまたストーカーかと、読者は邪推してはいけない(ロバート自身、そう見られても仕方ないと自覚はしているのだが)。ロバートには、彼女の跡をつけて勤め先まで突き止めようなどという気はさらさらなかった。恋人がいることも知っていた。家にいる彼女をただ眺めているのがロバートには楽しいのだ。 ロバートはなぜそんな気持ちになったのか。彼は妻ニッキーと離婚し、絶望感を味わった。ジェニーの平和な日常生活を覗き見ることで、彼はふたたび生きる喜びを取り戻せそうだと感じたのだ。 ある日、ついにジェニーがロバートの覗きに気づいた。彼女が家にロバートを迎え入れるという思わぬ展開となるが、言葉を交わしながら、彼の気持ちは複雑だ。 言葉をかわす前、彼女は確かにロバートにとって大事なものの象徴だった。 でも、今はどうだろう?彼女は窓超しに眺めていたときは備わっているよう に見えた賢明さや常識を、持ち合わせていないように思える。(39ページ) その後ジェニーが電話をかけてきて二人は再会。食事をした後に、ジェニーはロバートにドライブに連れて行ってほしいと頼む。ロバートは困惑する。 女というものは、覗き魔みたいなことをした男に、ドライブに連れて行ってほし いなどと頼むものだろうか。(55ページ) やがてジェニーのほうがロバートに恋するようになる。ロバートから、もう会わないほうがいいと拒否されても、会いたくてたまらなくなり、勤務先から帰宅する彼の車をつけるというストーカー的行為にまで及ぶ。ジェニーの恋人グレッグも黙ってはいない。グレッグとの三角関係に加えて、ロバートの別れた妻ニッキーが絡んで、物語は悲劇へと突き進んでいく。 ジェニーがロバートに惹かれていく理由やプロセスを、著者はきちんと描いてはいるのだが、はたして世の女性たちは、覗き屋ロバートを家に招き入れた末、その男を好きになってしまうジェニーをどう受けとめるだろうか。 世の男性たちなら、「女は謎だな」とつぶやくに違いない。 | ||||
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このミス(海外)1992年 4位 結婚を控えたジェニファーの生活を、悪意がないながらも覗き見するロバート。これに、気がついたジェニファーは、いつしかロバートに心引かれていく。二人の関係が、婚約を解消されグレッグを狂気にかりたる。喧嘩のすえのグレッグの行方不明で、ロバートは殺人事件の容疑者になってしまう ・・・ ロバートの元妻ニッキーを含め、4人の登場人物が、それぞれ心理的に不安定な部分をかかえている。覗き見をやめられないロバート、そのロバートを死の象徴としながらも愛してしまうジェニファー、執拗な復讐をおこなうグレッグ、元夫の苦しむ姿を楽しみとするニッキー。1962年の作品ながら、心理描写については、現在にも通じるのだろうと思う。 警察や近隣の住人らら、冷たい扱いを受けるロバート。あらぬ疑いをかけられ苦悩する類の作品は、読み進めるのがつらくなるので、読了するまで時間がかかってしまった。あっさりと片付くかに思われたラストも、結局は、明るい未来を予見させるものとはならなかったので、重苦しい印象が残った。 面白いと思うが、どちらかというと苦手かなぁ。なお、本作は、映画化されている。 | ||||
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このミス(海外)1992年 4位 結婚を控えたジェニファーの生活を、悪意がないながらも覗き見するロバート。これに、気がついたジェニファーは、いつしかロバートに心引かれていく。二人の関係が、婚約を解消されたグレッグを狂気にかりたる。喧嘩のすえのグレッグの行方不明で、ロバートは殺人事件の容疑者になってしまう ・・・ ロバートの元妻ニッキーを含め、4人の登場人物が、それぞれ心理的に不安定な部分をかかえている。覗き見をやめられないロバート、そのロバートを死の象徴としながらも愛してしまうジェニファー、執拗な復讐をおこなうグレッグ、元夫の苦しむ姿を楽しみとするニッキー。1962年の作品ながら、心理描写については、現在にも通じるのだろうと思う。 警察や近隣の住人らから、冷たい扱いを受けるロバート。あらぬ疑いをかけられ苦悩する類の作品は、読み進めるのがつらくなるので、読了するまで時間がかかってしまった。あっさりと片付くかに思われたラストも、結局は、明るい未来を予見させるものとはならなかったので、重苦しい印象が残った。 面白いと思うが、どちらかというと苦手かなぁ。なお、本作は、映画化されている。 | ||||
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