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(短編集)
逃亡小説集
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逃亡小説集の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.50pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全5件 1~5 1/1ページ
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『ああ、俺、もしかしたらずっと逃げたかったのかも』 ヒリヒリした緊迫感の中で逃亡の果てにつぶやいた者の言葉だ。4つの短編のどれもが、ふとしたことがきっかけで逃げなければならなかった者たちの、明日は我が身の物語である。 どのお話も、つい先日テレビのニュースで見たようなリアルな現実感がある。逃亡するだけの犯罪を犯したということよりも、ごくまっとうな人々が事件を起こし逃げるまでの過程がストンと腑に落ちて共感を呼ぶ。作者 吉田修一さんの、人間の心の動きを見つめる目が好きだ。優しい。 ふと、偉大な社会派推理作家、松本清張さんを思い出す。松本清張さんも犯罪の背景と、罪を犯した者の心理に共鳴を覚える描き方をする人だった。 この逃亡小説集、緊迫感の中にも読みやすい展開が気持ちいい。 | ||||
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逃亡という共通項のある短編だけど、地域という共通点もある。北九州の工場とマル暴、網走の極寒と漁師や地方歓楽街...生まれ育った街で、その土地に馴染んだ生活をしている人々の物語でもある。本当に逃げたかったのはそんな生活かも。全力で逃げたいかといえば、そうと言い切れず。 1話1話で見ると⭐︎3かなと思うけど、最終話を読んで地域性が繋がったことで⭐︎4。 それぞれの地域の雰囲気を伝える視点が、この作家らしくて好き。 | ||||
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『国宝』が初めての出会いで、そこから何作品か読みました。どれも大変興味深い作品でしたので、期待が大きかっただけに、少し趣の違うこの作品には肩すかしをくった感じでした。とは言え、あくまでも個人的な感想ですので。 | ||||
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何かしら逃亡している人たちを描く短編4編。 短編にありがちな物足りなさは感じさせない納め方。 決してきれいな終わり方でなく、なんとなく不安やモヤモア感を残すのは著者ならではなので、ここが合わない人には違和感残るかもしれないが、著者の作品好きならはずれはない。 | ||||
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東京ミッドタウン・日比谷のワーキング・ガールと話をする機会があって、「パーク・ライフ」(2002)を想起、2018/9月の「国宝」以来になりますが、「逃亡小説集」(吉田修一 角川書店)を読む。4つの「逃げろ---」短編が収録されています。(ちなみに「国宝」は新聞小説でありながら、とてもエレガントな小説でした) ①逃げろ 九州男児 主人公と母親のやり取りは本物、<リアリティ>を造形しています。都会的なソフィスティケーションを語れる作家からフィールドを広げてきた作家の実力を示しているような気がします。地方都市、馘首、生活保護、傷つかない女性たち。切れる瞬間。逃げる九州男児。 ②逃げろ 純愛 もう一つの「ツ・イ・ラ・ク」ですね。吉田修一の登場人物たちは南へと向かいます。純愛に殉ずることができる期間は、本当に短い。<現代>という閉塞感の中、彼らは<リアリティ>を超えられない。 ③逃げろ お嬢さん 夫がドラッグで逮捕され、逃げる元アイドルの妻。救済するは、そのアイドルのファン。元アイドルは、気づきを得て、その<霊性>によって救われます。 ④逃げろ ミスター・ポストマン 網走。ポール・ダンスのショー・パブ。主語のない会話。逃げたバイトの郵便局員。イワシ漁と網走の海の的確な描写。煮え滾るような悔しさ。楽しめない世界。 何故、吉田修一を読むことになるのか?それはこの20年の我が国の<リアリティ>を再確認したいからなのでしょう。 「堅気ではない人は、なぜか総じてそれができませんので、結果、何をやっても自滅するのでございます」(「国宝」) <信頼できる作家>、吉田修一による「堅気」でいながら堅気になり切れない何をやっても自滅する「逃亡者」たちを描いた短編集だと思います。 | ||||
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