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スリーピング・ドール
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スリーピング・ドールの評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.12pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全42件 21~40 2/3ページ
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リンカーンライムシリーズからのスピンオフ。 尋問の天才、キャサリンダンスを主人公に据え、 北カリフォルニアを舞台にカルトのリーダーとの死闘を描く。 キャサリンダンスはその嘘を見抜く才能を活かし、 カルトのリーダー、ペルを追いつめていく。 本作は カーメル、モントレーの自然の描写が美しく、 リンカーンライムシリーズのNYの描写とは大きく趣が異なっている。 二転三転するプロットから目が離せない。 ディーヴァー作品として、いつも通り面白い。 キャサリンダンスは親しみやすいキャラクターで、 感情移入がしやすいのが魅力。 登場人物もリンカーンライムシリーズより少なく、 物語が追いやすい。 要はシンプルだ。 エンディングに至るどんでん返しも見事。 お勧めの一作。 | ||||
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確かに主人公に魅力はないが、デイーヴァーの作品はどれも似たようなもの。 それよりもストーリンテリングの巧みさで読ませる作家なのだから。 そういった意味では、まさに洗練されていてとても楽しめます。 しっかり書き込まれていてリアリティを失わず、ここまで面白い作品というのは本当に少ないです。 読み終わって、極めて質の高い娯楽を楽しめたと思いました。 | ||||
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不規則な仕事を持ちながら父親を喪失した子どもたちの心の成長に配慮するダンスに、『ウォッチ・メイカー』以上に親近感わきました。 歩く嘘発見器のあのダンスでさえ、間違った信頼関係にはまり込んでしまうことがあるという展開に、人間らしさと奥深さを感じました。 | ||||
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面白いことは間違いない。 相変わらずの“どんでん返し”というよりは“ひっかけ”というか“こけおどし”満載だし。 ただ、ライムものと比べると、何か緊張感が足りない。 その原因は、物的証拠と心的証拠との違い、ということだろう。 ライムものでは、物というはっきりしたものを出発点としてディスカッシションが展開される。 それに対して本作では、その出発点に今一つ確実性がない。 つまり、さまざまな議論が行われ、推論が展開されていくわけだが、その基礎、足場が安定ではないため、議論や推論に対する信頼性というか、その確実さが今一つなのである。 だから、その推論が基になる“意外性”のインパクトが弱い。 まだ、次作「ロードサイド・クロス」を読んでいないので、本シリーズが本作以降、どの様に展開していくのかは分からないが、少なくとも本作は、ライムものとは全く異なるものである。 それは、著者がどのような意図で書いたか、ということではない。 読者のほうが、本作をどのように受け止めるか、ということである。 多分、最もライムものと本作が異なる点は、ライムものにある良い意味の“はったり”が、本作には少ないということである。 また、主人公のプライベートと内面描写が有りすぎる、ということにも不満がある。 捜査マシーンといった感じなら、もう少しましだったかもしれない。 これは、女性が主役という設定の失敗かもしれないし、あえて著者がライムものでは描けなかった世界を描くということにチャレンジしたということかもしれない。 いずれにしても、本作は明らかにライムものにあった痛快さが影を潜めている。 はたして次作もこの路線なのか、「ロードサイド〜」を読んで確認してみたい。 評価は星ふたつとしたいが、まだ始まったばかりのシリーズなので、今後への期待を込めて三つにしておく。 | ||||
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アメリア・サックスがキライなので、読もうかな・・・どうしうようかな・・・と迷っていた「スリーピング・ドール」。 シリーズ2作目「ロードサイド・クロス」が発売されて、どうやら評判もとても良いみたいなので、 「どら、まずは一作目のコレから読んでみるか!」 と思い立ちましたが、ハードカバーのあまりの厚さ・重さに一瞬ひるみました。 ですが心配無用でした。腕をしびらせながら一気読み。 うん、まぁ、最後の最後まで読者を翻弄するサービス精神はさすがにジェフリー・ディーヴァーですねっ。 「凡作」なんてご意見もありますが、ほかにいくつも正真正銘の「凡作」や「駄作」(なぜか評価は法外に高かったりするモノもある)を読んでしまうと、「スリーピング・ドール」がいかに破綻の少ない良質本かがわかります。 少なくとも、私の「これは許せん!」という一線を越えることはない、きちんとまとまったエンターテインメントだと思いました。 「ロードサイド・クロス」も楽しみです! | ||||
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ダンスの第一弾で、僕は楽しく読みました。相変わらずのディーヴァー節です。キネシクスの描写、僕は気になりません。どっちかというとライム物の、微細物件の解析のほうがちょっと疲れるような。 本筋とは全く関係ないですが、どなたも指摘してないので。冒頭で火事に巻き込まれ重傷を負ったフアンという警官は亡くなってしまうのですが、ラストで「死因は薬物のせいで、殺人だろう」と明かされます。これは何なのか? (まさか主人公の母親が犯人ってことはないんでしょうが・・・)このエピソード、2作目への伏線かもしれませんが、すっきりしません。気になる・・。 本書自体はエンターテインメントとしては十分な読み応え。 | ||||
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著者の前作、リンカーン・ライム、アメリア・サックスシリーズ『ウォッチメーカー』に出てきた、尋問のプロであるキャサリン・ダンスを主人公にした作品。 リンカーン、アメリアもほんのちょっとだけ出てくるが、キャサリンの魅力たっぷりの新シリーズ(?)。 しかし、ジェフリー・ディーヴァーの作品て、どんでん返しが多い。この作品もそうだが、最後の最後まで読ませる。ただ、前作ではちょっとやりすぎかなって思ったけど、この作品では効果的だった。 シリーズ化されるといいな。 | ||||
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リンカーンライムシリーズのスピンオフ作品。一家四人を殺害したダニエル・ペルという人物が逃走し、彼を主人公が追い詰めていく一週間の出来事が描かれる。殺人犯が最初から判明しているため、犯人探しの楽しみはないが、女主人公のダンスが仲間の捜査官と共に犯人を捜す様子が、様々な登場人物の視点で描かれていて長いページを飽きさせないで読ませるところはさすがジェフリー・ディーバーである。 ただ、ライムシリーズの犯人と比べてしまうとこの作品の犯人のペルという人物は女とセックスが好きであるという点で、ワンランク格が落ちる印象を感じた。 この作者お得意のどんでん返しもあるのだが、過去の作品と比べてインパクトが薄いような気がした。 リンカーンライムシリーズと比べてしまうと内容的には劣るが、一般水準以上の作品であることは確かである。 | ||||
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ウォッチメーカーにゲスト扱いで出ていたキャサリンダンスが主人公ということで期待して読んだのですが・・・・。この作品、面白いですかねぇ。ウォッチメーカーの中での活躍の方が面白かったと思いますね。相手の心理を探り犯罪者を追うという設定なんでしょうが、心理サスペンスのような物を期待していたので、私には期待はずれでした。どんでん返しも、今読んでいるこのどんでん返しじゃなくて、もっと他にも二重三重の物が仕掛けられてるんだろうと期待して読んだせいか、今ひとつでした。今までディーバーの作品は、予想の付いたどんでん返しはなかったのですが、今回のこの作品はほぼ予想通りだったような気がします。しかし、星の少ない理由は、どんでん返しのガッカリによるよりも、いつものハラハラするようなサスペンス感に欠けていたことの方のガッカリが大きいですねぇ。キャサリンダンスも中途半端な気がします。自分で相手の心理を探り、自分で外に出て相手を追いかけられるせいなんですかね。普通の刑事物といった感じです。 | ||||
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リンカーン・ライムシリーズのスピンオフで,カリフォルニア州捜査局の捜査官キャサンリン・ダンスがキネシクスで犯人を追いつめるという内容。 ライムが現場の些細な証拠から推理を組み立て, ダンスは被疑者の些細な言動からアプローチする。 両者の違いは,ライムが介助なしでは動けず, ダンスは現場で自ら調査できるところだ。 といううわけで,今回ダンスは精力的に動き回りカルトリーダー,ペルを追いつめていく。 ダンスは心理分析以外の現場の指揮官としても充分優秀に描かれ オールマイティーすぎる気がした。 もっと尋問風景や心理戦を読みたかった。 さらに,マインドコントロールの達人ペルの細かい所作には気がつくのに ケロッグに関して全く無防備なのは,都合がよすぎる気がした。 けれども,全体的には十分面白く,一晩で一気読みしてしまった。 買ってでも読みたい本である。 | ||||
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読んでいる途中でも、読み終えても「またか」「またこういう展開か」と思う。ここ数作のリンカーン・ライムシリーズでも同じような感想を持つ。彼女の登場回のウォッチメイカーでもそうだったが、ボディランゲージのひとつをとって「これはストレス反応ね」と捜査を進めていく手法は(きっと存在するのだろうけれど)ほかには何も開示されない読み手にとって、ただただ苦痛で退屈だ。初めてディーヴァーを読むならいざしらず、この手の展開は飽きた。ハラハラドキドキ、びっくり仰天にはもうならない。この程度のことなら誰が書いても同じこと。ディーヴァー作品をむさぼるように読んだころが懐かしい。楽しめなくなって残念だ。 | ||||
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人気作家が勢いだけで書いた凡作。 何百ページにもわたる長編に一週間のエピソードをスピーディーに描写したのはさすがだが、 「大どんでん返し」という割には、伏線部分は全て違和感がありあり! | ||||
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久しぶりのジェフリー・ディーヴァーの新作。 待ってました。 そしてさすがに期待を裏切らない一作。 「ウオッチメイカー」でも活躍したキネシクスの捜査官キャサリン・ダンスが主役。 ヒロインが魅力的なので、シリーズ化して欲しいところ。 ストーリーは、資産家の家族を殺害したカルトのリーダーである男が脱獄したところから始まる。 この犯人が脅迫と甘言、暴力によって巧みに人心を操るため捜査当局はいつも後一歩というところで取り逃してしまう。 殺害された資産家一家の中で、事件当夜偶然に眠っていて難を逃れた少女は「スリーピング・ドール」と称され名前や住居を変えて手厚く保護されていた。 この少女テレサの証言がストーリーの終盤で効いてきて、タイトルの「スリーピング・ドール」に納得。 ハードカバーでちょっと高いが買う値打ちのある本です。 | ||||
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『ウォッチメイカー』の興奮を思い起こさせるこの年末に、再びジェフリー・ディーヴァーの新作を手にするのは、こういうのを読書の醍醐味と言うのだろう。 今回も539頁2段組というたっぷりとした量で、前半が布石になる仕掛けだけに、読むのに時間を費やした。 その費やした時間が慈しみ深いものになったのは、この『スリーピング・ドール』も、二転三転する展開の面白さと、リンカーン・ライムからバトンタッチされた主人公キャサリン・ダンスがキネシクスを使って分析していく隠された真実を暴きだすところにある。 他人の心を思いのまま操れることに長けた終身刑を宣告され服役していたダニエル・ペルの脱獄からの1週間を描いているのも、まるで一分一秒を刻々と描いたような緊張感が緩むことがない。 もちろん正直『ウォッチメイカー』が満点とすると評価がおちるが、2008年出版物とすれば十分上位に入る面白い本だ。 | ||||
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ディーヴァーの本は、かなり(心理的に)恐ろしいので夜中に読むのは極力さけているのですが・・・。 この作品は深夜に一気に読んでしましました。 前作『ウォッチメイカー』や他の作品と比較しても、キャサリン・ダンスが主人公である事もあり、 全体的に柔らかくドラマ性が高い作品です。安心して最後まで読めました。 とはいえ、ストーリーは格段に面白く、スピード感もあるため引き込まれてしまいます。 このおどろおどろしい装丁とはあまりリンクしないストーリーですが、 ディーヴァーの作品の中では一番気に入りました。 女性の視点で淡々と語られる葛藤に共鳴できたのかもしれません。 | ||||
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前作のウオッチメーカーで、リンカーン ライムの捜査を”キネシスク”という、相手の表情や身振りで、 心理を推測するという手法で助けた 女性捜査官キャサリン ダンスが主人公。 マインドコントロールに長けたカルトの凶悪殺人犯 ペルが、脱走。 ある富豪一家を幼い娘一人を残して殺害し、とらえられていたのですが。 それを、ダンスと仲間達が追うというストーリーです。 昔、ペルにマインドコントロールされて、彼のカルトのメンバーだった、 3人の女性達も、ダンスを助けるのですが、、。 途中まではゆっくりとしたストーリー展開です。後半は、ツイスト、ツイスト、、、という感じ。 思いがけないところに伏線があって、それが、後から次々、爆発していきます。 元カルトメンバーで、一番弱かったはずの”マウス”も、とても良い感じで活躍していて、 後半の一部では、準主役で、ダンスを食いそうな感じでした。 ディーバーって、後半で必ず、ツイストが入るのがお約束です。 でも、なにが伏線か、どこで爆発するかが予想しにくくて、本当に毎作、新鮮です。 | ||||
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ディーヴァーの有り余る執筆意欲はリンカーン・ライム・シリーズだけでは満た されないようです。しかしライム・シリーズ以外を書くに当たっては同等、もし くはそれ以上のセールスが期待される事は避けられません。その点も抜かりあり ません。本作の主人公キャサリン・ダンスを登場させるに当たってはライム・シ リーズの『ウォッチ・メーカー』に前もって登場させ、本作でもリンカーン・ラ イム、アメリア・サックスをゲスト出演させています。 ダンスのキャラクター造詣もしっかり書き込まれていますし、敵役もキャラが 立っています。お約束のどんでん返しも用意されており、ライムの読者の期待を 裏切らない質を確保しています。しかしながら主人公キャサリン・ダンスをどう 動かすかに関してはディーバーもまだ手探り状態という印象は正直受けました。 ダンスの動かし方に関しては『ウォッチ・メーカー』のほうがシャープでした。 本作ではダンスをアメリア・サックスのように現場に配置したため、人間嘘発見 器の持ち味がいまひとつ出し切れていないように思いました。現場のアクション は部下のTJや同僚のマイケル・オニールにお任せして、もう少し取調室での攻防 を見たかったです。 とはいっても作品自体は標準を十分上回った内容ですし、ディーヴァーが書くの であればという点で採点が辛くなってしまうのはやむを得ないでしょう。ライム ファンでも、新規の読者でも十分楽しめて、2500円払う価値はある作品だと思います。 | ||||
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“歩く嘘発見器”、もしくは“ストレス感知器”と評される美貌の捜査官キャサリン・ダンス。世評高かった前作「ウイッチメイカー」に今ひとつノレなかった者として、ジェフリー・ディーヴァーの最新作に触手が動いたのは、前作のキャラの中で魅力的だったダンスを主人公にしていた処だ。 彼女の持つ、他者の思考や感情に入り込み、深層心理を読み取る洞察力と尋問のテクニック、分析から嘘を見抜き、真実を導き出すプロセスの面白さ。片や、マキャべり的に狡猾で、他人の心に取り入り、思い通りに操り、弄び、屈服させる“チャールズ・マンソンの息子”ダニエル・ベル。プロローグとも言うべき冒頭の取調室以後、終盤まで顔を合わせないふたりの攻防が、今作の最大の読みどころとなっている。 その一方で、二児の母親としての私生活での暮らしぶり、個性的な上司、同僚たちとの信頼関係と確執、かってのベルのファミリーの女性たちの現在、と言った人間ドラマが書き込まれての540ページにも及ぶ長編。時間的には僅か7日間の出来事からすると、凄い凝縮感。 タイトル・ロールの少女が登場する350ページを過ぎた辺りから、サスペンスが加速しトップギアモードとなる。正直、もう少し縮めて、両者の闘いに焦点を絞って貰えればとも思うが、飽きさせず最後まで読ませる筆力はさすがだ。 | ||||
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邦訳は2008年10月10日リリース。前作リンカーン・ライム・シリーズ第7作『ウォッチメイカー』で登場したキネシクス分析のスペシャリスト、キャサリン・ダンスをスピン・オフさせた作品。物証のライムに対して、人のボディランゲージや言葉の観察から分析するダンスの手法が実に面白い。 犯人であるダニエル・ペルは『マンソンの息子』と称され、マインド・コントロールの達人である。チャールズ・マンソンについては島田荘司が『聖林輪舞』の中で詳細に取り上げている。言ってみれば『コントロール』の達人との戦いで、心と心の勝負のようなシーンが数多く登場して、ライム・シリーズにはない魅力の創造に成功している。しかも、ジェット・コースターな筆力とあらゆるところに仕掛けられた爆弾が用意周到に爆発し、最後の最後までどんでん返しが続く『ジェーフリー流』は健在。実に見事だ。 働き者と訳者に評されるディーヴァーは既に2006年末に第2短編集『More Twisted』、2008年夏にライム・シリーズ最新作『The Broken Windows』が刊行済み。しかもまもなくシリーズ外作品『The Bodies Left Behind』がリリースされる。楽しみが尽きない。さて、ぼくの本作の『このミス』の順位予想だが、第5位と予想しておきたい。 | ||||
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ディーヴァー作品のファンなら、キャサリン・ダンスのキャラには馴染みがあることでしょう。彼女のキネシクス能力を使った尋問シーンは、実は小説としては煩わしい部分もあります。会話のやり取りの後に、「こういう身体動作をしたのは被験者が大きなストレスを感じていることをあらわしている…」というようにヴィジュアルを解説する必要があるのです。だから、本作では、聞き込みや尋問の場面は要所に絞り、現在進行形の事件の指揮官としての彼女の活躍を見せていく手法をとっています。 その背景として、モンテレー、カーメル、サンタクルスといったカリフォルニア州沿岸の、自然と芸術を愛する小都市を舞台とした牧歌的ともいえるムードを元に、ダンスの家族の描写も挟んで、生活感溢れるキャラクター造形がなされています。事件と犯人と街が主役のリンカーン・ライムシリーズとの対比がここにあります。 そんな中、この作品のテーマといえるのは、女性の生き方、でしょうか。ヒロインも含め、事件にまつわる女性たちの心理と行動が、瑞々しく描かれています。キーワードは「決断」。ある局面における彼女たちの決断が物語を次のステップへと動かしていく、その繊細な心象描写には胸を打たれるものがあります。 犯人のキャラクター、事件の大きさ、サスペンスの鋭さ、いずれもライムシリーズよりも緩やか、おだやかなものですが、それでもページを繰るのがやめられなくなるストーリーテリングの巧さ、これはやっぱり本物だと思いました。 | ||||
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