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時の娘



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時の娘の評価: 4.18/5点 レビュー 92件。 Bランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点4.18pt


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全72件 21~40 2/4ページ
No.52:
(5pt)

いろんな要素があっておもしろい

あいかわらずセリフがアイロニーたっぷりで秀逸。ドキュメント要素、ミステリー要素などたっぷりで素晴らしい。短いのが残念。
時の娘 (ハヤカワ・ミステリ文庫 51-1)Amazon書評・レビュー:時の娘 (ハヤカワ・ミステリ文庫 51-1)より
4150727015
No.51:
(4pt)

ベットの上で推理を展開する・・・歴史推理小説

骨折して病室の天井しか見られない状態の
ロンドン警視庁 グラント警部が
偶然手元にきたリチャード3世の肖像画から推理を展開。

リチャード3世は本当に暴君だったのか?
リチャード3世が殺したとされる2人の王子は・・・本当は誰が殺したのか???

とっても面白い推理小説でした。
歴史は勝者によって書かれたものだけが残りがち。
シェークスピアがえがいた「リチャード3世」は
ヘンリー7世の息のかかった人間が書いたものが元になっていると。

「本当は怖い・・・」の本に紹介されたので読んだ本ですが
とっても面白かったです!
時の娘 (ハヤカワ・ミステリ文庫 51-1)Amazon書評・レビュー:時の娘 (ハヤカワ・ミステリ文庫 51-1)より
4150727015
No.50:
(5pt)

おススメの1冊

とても面白かったです。
リチャード三世の骨が2012年に発見されて明らかになった事も有りますが、この本を読んでリチャード三世が長い間悪人として伝えられた時代背景などもわかり興味深かったです。
時の娘 (ハヤカワ・ミステリ文庫 51-1)Amazon書評・レビュー:時の娘 (ハヤカワ・ミステリ文庫 51-1)より
4150727015
No.49:
(4pt)

物語は5つ星、翻訳がとても残念。

0 この翻訳には アンドレ・モーロワ「イギリス史」より という謎の前書きがあります。
この前書きは原書には無いようです。モロワ「英国史」のことだと思われます。しかし、内容が間違っています。

1「クラレンス公の娘を母に持ち、エドワード三世に近い血筋に当たるヨーク公エドワードが立ち上がった。いっぽうランカスター家は、エドワード三世の第四子にすぎない、ジョン・オブ・ガーントが始祖だった。」
本来の王位継承者であったロジャー・モーティマー(第二王子クラレンス公ライオネル・オブ・アントワープの孫)の娘であるアン・モーティマーを母に持つリチャード・プランタジネット(ヨーク公リチャード)とエドワード・オブ・ヨーク(ヨーク公エドワード。のちのエドワード4世)と混同しています。
モーティマーに王位継承権があるからこそジャック・ケイドはモーティマーを名乗ったのです。
さらに、たしかにランカスター家は第四子で第3王子のジョン・オブ・ゴーントが始祖であるが、「すぎない」というなら、ヨーク家のはじまりである初代ヨーク公エドマンド・オブ・ラングリー(ヨーク家の始祖)も第五子で第4王子に「すぎない」。

2「(ヘンリー六世は)サマーセットやウォーリックのなすがままにさせ、」
サマセット(公ヘンリー・ボーフォート)。ウォーリックはたぶんウォリック伯の記載が日本では一般的です。

3「彼の従兄弟のヨーク公が、(...)強大な男爵ウォーリックの後ろ盾で、エドワード四世としてウエストミンスター寺院で王冠を被った。」
ヘンリー六世の記述の続きに出てくるので、彼=ヘンリー六世に誤読させてしまう不味い訳。ヘンリー六世とヨーク公は従兄弟ではなく、ヨーク公(エドワード・オブ・ヨーク。エドワード4世)とウォリック伯(リチャード・ネヴィル 16th Earl of Warwick)が従兄弟同士の関係。また、ウォリック"伯"は伯爵で男爵ではない。

4「リッチモンド公のヘンリー・チュードル」
"公"ではなくリッチモンド"伯"の間違い。ヘンリー・チューダーはチューダー朝(Tudor)の始祖です。チュードルは仏語読み。仏語読み表記にするなら、ヘンリー(Henry)はアンリ(Henri)と記載することになる。

5「(ヘンリーは)母をとおしてジョン・オブ・ガーントの直系の子孫だった。」
ジョン・オブ・ゴーントとキャサリン・スウィンフォードとの子供たちが興したボーフォート家はもともと王位継承権から除外されていました。結果的に王位継承権から外されていた子孫が王位を継承してチューダー朝を開くことになったという歴史の皮肉がわかりづらい記載。

6 表題が「薔薇戦争」で本文が「ばら戦争」で終わる、妙なこの前書きは訳者が添付したのか、原書のどれかの版にあるのか(Kindleの洋書版にはありませんでした)?

7 エドワード三世からの系図が前書きの次にありますが、ここにも誤りというか変な名前の記載が豊富です。
シセリィ・ネヴィル は セシリー・ネヴィルです。
ヨーク公エドモンド は エドマンド です。Edmund of Langley なので エドモンド(Edmond)と違います。
ボーフォール は ボーフォート。ボーフォート家(House of Beaufort)は、フランスのボーフォール城(Château de Beaufort)に由来します。フランス語読みでボーフォールですが、英国での家系の話なのでボーフォートと英語読みの表記にあわせるべきでしょう。
チュードル は チューダー(Tudor)。ヘンリー(Henry)と書くなら仏語読みではなく英語読みで統一すべき。
細かいことですが、王様の下にある括弧内の年号は在位の期間を示していますが、エドワード三世とヘンリー七世の在位が抜けています。

8 その他、本文で気になったことは以下のよう。
スコットランドのメリィ女王は メアリー女王(Mary, Queen of Scots)。メアリー・ステュアート(Mary Stuart)。
ダーンレイ卿 はダーンリー卿の記載が一般的です。
ポリオ・ミリ・ティス は 略称ポリオ。poliomyelitisを発音するならポリオ・ミエ・ライティス。
チュードル朝 は チューダー朝
ラーレイ卿 は ローリー卿 ウォルター・ローリー(Sir Walter Raleigh)のこと。
「リチャード二世の直系の嗣子である。」は、「リチャード二世が指名した相続者の血統である。」原文は「by blood the heir of Richard II」

9 もう少し英国のこの時代の歴史に興味があるかたが翻訳してくれたら良かったのにと何度も思いました。それでも、途中からは奇妙な訳が気にならないくらい物語に引き込まれて、ページをめくるのがもどかしいほどの一気読みでした。気がつけば真夜中。
時の娘 (ハヤカワ・ミステリ文庫 51-1)Amazon書評・レビュー:時の娘 (ハヤカワ・ミステリ文庫 51-1)より
4150727015
No.48:
(4pt)

探偵小説の新ジャンル

ジョゼフィーン・テイの『時の娘』(Daughter of Time)が評判になったのは、英国史上もっとも悪名の高いリチャード三世の復権を試みたからです。テイの探偵物語の主役グラント警部はリチャード三世の肖像画を見て、兄の子どもたちを殺すなんておぞましい罪を犯すはずがないと直感。460年以上も昔に起こった事件の真相究明に乗り出します。

シェイクスピアは、リチャード三世を冷酷で残虐な悪の権化として描きました。シェイクスピアのつくりあげた悪党リチャードのイメージはあまりにも強烈です。リチャードは兄エドワード四世の二人の王子をロンドン塔に幽閉して殺害した黒幕とされました。二十世紀の探偵が15世紀の殺人事件の真犯人を突きとめられるはずはありませんが、グラント警部はなぜリチャードが犯人と目されるようになったかを巧みに推理しました。テイの投じた一石が契機となって、リチャードは有罪か無罪かの論争がまきおこりました。今では、リチャードの無実を信じる人が多くなっています。

『時の娘』は、推理小説の新しいジャンルをつくりました。まことに面白い作品なのですが、翻訳がすこし物足りない。生硬な直訳調が目立ち、あまりこなれていない。また、固有名詞の表記についても違和感を覚えるところが多い。たとえば、 John of Gaunt を ジョン・オブ・ガーント、 Tudor をチュードルと表記していますが、もうすこし英語の発音に近い表記にしてほしかった。(ガーント → ゴーント。チュードル → チューダー)
時の娘 (ハヤカワ・ミステリ文庫 51-1)Amazon書評・レビュー:時の娘 (ハヤカワ・ミステリ文庫 51-1)より
4150727015
No.47:
(5pt)

歴史の見方を教えてくれる本

沢山の方が5つ星をつけている通り、本当に面白い本です。そして歴史の見方というものがどういうものか楽しみながら教えてくれる素晴らしい本ですし、ぜひ教科書に採用してほしい歴史推理小説です。

色々とすでに書かれていますのであらためて書きませんが、この本がどれだけ凄い本かだけ。

ジョセフィン・テイがのこの本を書くまで、リチャード三世のイギリスでのイメージはシェークスピアの影響もあり酷いものでしたが、この本が出版され話題を呼んだことから、リチャード三世が再評価されるきっかけとなった本です。そして英米語の文化圏ではこの本のブッククラブまででき、その題材の新しい本まで誕生しているという、日本では想像つかないほどの人気の本なのです。

小説の形を取りながら、その中で歴史的事実を検証する本の走りもこの本からではないかと思います。それほど衝撃的な本ですが、実際の本の内容は、足を怪我した警部が暇をもてあまして歴史探究するという単純な形式でイギリス的ユーモアもあるのどかな作品です。

そしてこの本にはこの表紙の絵が欠かせません。私はこの本を読んでからそれまであまり興味のなかった肖像画に興味を持つようになり、イギリスのポートレイト美術館にも行ったほどです。ただこの絵の原画はまだ見ていませんけれども。一時期この本の表紙からこの肖像画が消えた時は、出版社にメールで抗議した覚えがあります。

この本から学べる歴史の見方
①歴史探究する場合は一次資料にあたること
②同時代の資料と比較すること
③同時代の背景や世界観をみること
④歴史は勝者が語ること(作り変える)を忘れないこと
⑤作家の本が作るイメージの弊害には注意すること
時の娘 (ハヤカワ・ミステリ文庫 51-1)Amazon書評・レビュー:時の娘 (ハヤカワ・ミステリ文庫 51-1)より
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No.46:
(5pt)

歴史推理ものの最高傑作

文句無しの、最高傑作。この作品に出会ったのはかれこれ25年ほど前ですが、中学生の頃にハマったAgatha Christieの
数々の推理ものを読むうちに、どうももっと面白いイギリスmadeの作品があると知って読んだら、面白かった!
確かにRichard IIIはShakespierの作品でも思いっきり悪人で出てるのですが、そりゃあそうでしょうよー、Shakespierってのは、
Elizabeth Iの時代に生きたんで、Tuderの時代だったんです、Henry VIIの孫娘ですから。
Henry VIIIが、王妃を次々に離婚できないなら、濡れ衣着せて、London towerに押し込めて、処刑ということが平然とできたのは、
父王の生きざまを見てたからでしょうねー、説得力抜群の作品です。
面白いのは、Henry VIIはちゃっかりEdwardIVの娘であった、要するにこじつけの前の王のPrincessを王妃にしている、
何をか言わんや。
RichardIIIは、ずいぶん無念だったことでしょう。これも、歴史は勝ったものが作る典型ですよね。
ElizabethIが子供を遺せずに亡くなった後に、RichardIIIは、言われてるほど悪人じゃなかった、という史実が、
そこここに出て来て、Josephin Tiiってすごいんだな、と思いました。
他のreviewにあるように、小説の作法としては粗いのかもしれないんですけど、その稚拙さを補って余りある素晴らしい洞察力に、
脱帽です。
で、日本の作家も、ジンギスカンが実は源義経だった、とか・・・あー、それは無いわな。
少なくとも、モンゴルのヒトたちに失礼だと思います。
そうかー、RichardIIIって、正統な王様だったんですねー。それで根こそぎ庶子の子供まで処刑されちゃったんだー、
ひどいね、Henry Tuderって。
British museumに、ElizabethIとHenry VIIIの肖像画をモチーフにした小さい缶入りcandyが売ってたんで、お土産に買って来たんですけど、
「こいつ(Henry VIIIの方)、とんでもねーよ」と思いつつ、その缶の肖像画を眺めたもんです。
そんなことやってるから、次のElizabethIでTuder王朝は終わってしまいましたね。
たぶん、王家を取り巻いてた貴族たちだのも、「あいつの血筋じゃあ、俺たちイヤじゃない?」って雰囲気あったと思う。
うっかりHenry VIIIには逆らえないんですからねー、普通は、王様でも間違いはあるんで、Edward VIIIは離婚歴のあるシンプソンズ夫人と
付き合ってたのを、「それだけはダメなんで」つって、退位してるくらいで、誰かしら、王様なり、女王さまなりに、
物言いができる側近がいるもんです。国の方向性が間違うということは、亡国の道を辿ってしまうからです。
案の定、ElizabethIが即位した時、Englandの国庫はカラっけつでした。
で、何をしたかっていうと、海賊しても良いよ。Willam Dlakeって、大海賊ですよね。
Spainの商業船だのを襲って、襲って、襲いまくり。まー、ElizabethIにしたら、姉がSpain王女をお母さんに持ってた、
実に血筋の良いPrincessであり、自分を長いことLondon towerに押し込めてたMaryIです、「Spain?それで?」って感じ?
すごいなー、王家って、何んでもありかー、みたいな。
とにかく、歴史は面白いし、こういう史実に則した推理ものって、あんまり無くて、これは必読です。
時の娘 (ハヤカワ・ミステリ文庫 51-1)Amazon書評・レビュー:時の娘 (ハヤカワ・ミステリ文庫 51-1)より
4150727015
No.45:
(5pt)

ミステリ史に残る歴史ミステリ

入院中の刑事がリチャード3世の肖像画を見て・・・というお話。
安楽椅子探偵物の嫡流に位置する大傑作という事で私がわざわざ書かなくとも著名な作品なので、ここは単に読め!としか言わないでもいいかもしれませんし、実際今回二回目の通読体験でしたが、些かも古びていないのに驚きました。今読んでも十分面白い歴史推理小説でありました。
一度、特定のイメージが付くとそのイメージを払拭するのに苦労するという事は体験した事もありますが、このリチャード3世ほど実際の人格と世間一般に流布されている人格が違う人もいないのではないかというぐらいイメージにギャップがある人も珍しいという事を本書を読んで思いました。実際は凄くいい人だったのに何故かくも悪い人に祭り上げられてしまったのか気の毒になります。そういえば、ポーも暗い小説や詩を多く書いていたせいか病気がちで不健康なイメージが流布されていますが、最近の研究によると健康で運動神経も良かったとのことで、あまり世間に流布されているだけのイメージや伝説だけで人を判断する事は止めた方がいいと思いました。
一つだけ苦言を呈すれば、話のきっかけになる部分で、主人公の刑事が肖像画の顔を見ただけで刑事の勘で悪い人に見えないという事で話が展開する所が若干引っかかりました。顔だけで人の善し悪しを決めるのがちょっと・・・。
ともあれ、本書がミステリの歴史に残る作品だという事は紛れもない事実である事は間違いないと思います。必読。
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4150727015
No.44:
(4pt)

時を駆けるロマンス

アガサクリスティーが少女の頃読んだと思われる黒い矢という小説の最後にリチャード三世がでてきました。 。 悪名高いと伝えられるリチャード三世も、敵による歪曲された言い伝えか?という視点に立ち、興味深いです。 1955年に描かれ、2012年には、リチャード三世の、遺骨が見つかる!という、まさに時をかけるロマンスです!20年ほど前に、読んだ時はチンプンカンプンでしたが、歳を重ねて読み直し、新たな理解と感動を覚えました。
時の娘 (ハヤカワ・ミステリ文庫 51-1)Amazon書評・レビュー:時の娘 (ハヤカワ・ミステリ文庫 51-1)より
4150727015
No.43:
(4pt)

読みやすい

だいたいの内容を聞いてはいたのですが、古い話とはいえ主人公の興味にそのままのっかっれる感じでスラスラ読めました。
どこか飛んでる箇所があるっぽかったので1点原点です。
その人物をしろうとするには同時代の人のなんでもない書簡から、勉強になりました。
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4150727015
No.42:
(5pt)

リチャード三世

駐車場で発見された頭蓋骨がリチャード三世のものだと囁かれた時には、噴き出していたものですが、
なんとめでたく承認され大聖堂に埋葬されたと聞いてびっくり。
慌てて読み直しました。それにしても電子書籍はありがたい!何せ、老眼鏡がいらないのですから。
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4150727015
No.41:
(5pt)

傑作です

これはうもう有名なテイの傑作。ミステリファンなら必読の書でしょう。
時の娘 (ハヤカワ・ミステリ文庫 51-1)Amazon書評・レビュー:時の娘 (ハヤカワ・ミステリ文庫 51-1)より
4150727015
No.40:
(5pt)

面白かった!

まあ古典だけれども、いまだ世間で広く流布しているリチャード3世の実像がわかって、先ごろ見つかった遺骨のニュースをあらためて感慨深く見ることができた。他の出版社からも出ているけれど、やっぱりハヤカワのこの肖像画の装丁がいい。
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4150727015
No.39:
(5pt)

英国歴史ミステリー

骨折した警部が、たまたま手にしたリチャード三世の肖像画を見て、本当にこの男が甥である王子二人を殺害したのか?そんな疑問から、今迄定説となっていたリチャード三世が悪名高き王なのかを解き明かしていく歴史ミステリー。
テンポのよい会話での展開なので、わかり易いので歴史が苦手な人でも楽しめる作品だと思う。
もちろん歴史好きの方ならもっと楽しめます。
もちろん登場人物の言い分は作者の言い分でもあるわけで、要するに当時の権力者によりいくらでも歴史は覆される。
資料を基にベッドの上で推測するベッド探偵。中々面白い設定だと思います。
何度読んでも新鮮さが伝わる作品です。
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4150727015
No.38:
(5pt)

リチャード三世の遺骨発見の元になった小説

2013年の2月、イギリスのリチャード三世の遺骨の特定がされたというニュースが世界中に流れました。その時私はそのニュースと関連動画をむさぼるように見たりニュースをネットで検索したりして過ごしました。イギリスのドキュメンタリーでは発見された場所、その時の様子、DNAの特定方法、頭蓋骨からの生前の顔の再構築の方法など詳しく説明されていましたので食い入るように何度もみました。また世界に配信されたニュースもかなりたくさん読みました。

そうして見ているにニュースの中心にいる一人の女性が「リチャード三世協会」の人だということがだんだんわかってきたのです。この協会の人達はリチャード三世は彼を戦いで破ったチューダー王朝の下で歴史的に汚名を着せられた、しかし実はそれは敵方の王朝が後から着せた汚名であって実は彼は邪悪な王ではなかったということを信じているファンクラブなのだそうです。

ニュース動画に出ていた女性が発案者になり資金を募り何百年も行方不明だったリチャード三世の遺骨を探し始め、長年の努力の結果やっと見つけたのです。DNAの鑑定のためにリチャード三世が受け継いだ彼の母のDNA(ミトコンドリア)を連綿と持ち続ける女系の直系子孫を調べあげ、連絡を入れたのは5-6年前ぐらいだったそうです。ですからかなり長期間にわたって調査を続けてきています。

さらにニュースを読み進めてゆくとこの「リチャード三世協会」の活動の大きなよりどころとしてこの「時の娘」というこの推理小説が一役かっているらしいことがわかってきました。ところがドキュメンタリーの中でリチャード三世の遺骨の背骨が曲がっていることに最初に気がついた時にこの女性が困惑したようながっかりしたような反応をしたのが気になりました。そこで一体この「時の娘」は何が書かれていたのだろうかと気になったのです。

そういう理由で今回やっとこの小説を読んだわけですが、この小説では背骨のことについてはあまり大きく触れられてはいませんでした。そしていろいろ調べ推理した結果、結論としてリチャード三世には甥たちを殺す必要は全く無かったのです。では探偵の推理で一番重要なことなのですが、彼の甥たちを殺すことで一番利益があったのは誰だったのか、、、その理由はこの小説の推理を読んでみればわかります。

この小説の中にも書かれていますが、似たようなリチャード三世の擁護説は過去数百年間何度も出てきているようです。しかし文豪シェークスピアの「リチャード三世」影響が大きすぎ一般社会に広がった汚名を覆すまでには至らなかったのです。「リチャード三世協会」は1920年代に設立されていますが、20世紀になって最初に大きな影響を与えたリチャード三世擁護説は1951年に出版されたこの小説なのだそうです。過去約500年間行方不明だったリチャード三世の遺骨を見つける動機になった小説と考えれば歴史的な価値のある小説ではないでしょうか。
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4150727015
No.37:
(5pt)

メモリーポリティクス

本作は、探偵小説だが、主人公であるスコットランドヤードの刑事グラントは、ケガで入院中。全く動けない。その暇な時間を使って、彼はベッドのうえで、数々な歴史文書を考証し、イギリス王室史にまつわる歴史ミステリーの解明に取り組む。「歴史秘話ヒストリア」だ。原作は、1950年に書かれているから、かなり古い。日本語訳も二度目になるが、今回は、Kindle化されている。

時は、15世紀後半。イギリス王室は、王位継承を巡るヨーク家とランカスター家の対立に明け暮れていた。「薔薇戦争」という。そのヨーク家の最後の王となるのが、リチャード三世だが、通史では、この最後の王の評判がよろしくない。兄であるエドワード四世の急逝後、本来の王位継承者である兄の二人の子どもをロンドン塔で惨殺し、王位を簒奪したという。シェイクスピアの戯曲でも極悪非道な王として描かれている。この通説に疑問を抱いたグラントは、様々な文献に基づく犯罪捜査的推理を積み重ね、ついにねつ造された歴史の裏側に迫る。

米国などでは「歴史」のことを「メモリーポリティクス(Memory Politics、記憶の政治)」とも云う。過去の事実のうち、何を残し、あるいは、強調し、何を忘却の彼方に追いやるか。そこには、歴史を編纂する現在の政治権力構造や政治情勢が色濃く反映される。現在の政治権力の正統性を担保することが、「歴史」の役割でもあるのだろう。この作品は、推理小説ではあるが、「歴史」が果たしてきた政治的役割を見事に描いている。
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4150727015
No.36:
(5pt)

図式的なものの見方への反論

コペルニクス的転回で、既存の歴史認識を覆してみせる本書。
しかし作者のねらいはそれそのものにあるのではなく、
図式的なものの見方を鵜呑みにする愚に対しての反論だろう。

つまり、ここではリチャード三世の濡れ衣を晴らすことが
目的なのではなく、そのような解釈が成立するロジックを
エンタテインメントとして示すことによって、
歴史がいかに玉虫色のものであるかを告発することを
主眼としているように、わたしには読めた。

蒙昧がひらかれたような気がしている。
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4150727015
No.35:
(4pt)

面白い!

言葉の言い回しがとても巧みで、読書欲を誘います。
他にない趣向の作品なのでとても新鮮でした。
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4150727015
No.34:
(4pt)

すっきりしました!

面白い!
登場人物と一緒に謎を紐解いているかのような感覚がいいですね。
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4150727015
No.33:
(5pt)

永く生き続ける『傑作』とはこういうものなんだなぁ、と思ってしまう作品

オリジナルは1951年リリース。最初の邦訳は、村崎敏郎氏にて1953年リリース。電子版は2012年9月25日リリース。ジョセフィン・テイの代表作にして、歴史ミステリの名作として、またベッド・ディテクティヴの嚆矢的作品(こうしやてきさくひん→嚆矢《昔、中国で戦いを始めるとき、敵陣に向かって一の矢を射たところから》物事のはじまり。最初の意味)としてあまりにも有名な作品である。本作の内容とは逸れるが、このような名作が毎週金曜日の午前0時に、『Kindle本セール』として毎週選別されリリースされているのだが、愉しみで仕方がない。毎週その選択された本を選び出す『眼力』に感心している。

リチャード三世については、韓流時代劇における首陽大君(スヤンテグン)/第7代王世祖(セジョ)並に非道な人物として多くの歴史書物、特にあのシェイクスピアによって描かれているわけだが、その実像を『安楽椅子探偵(armchair detective)』が、探偵の視点から解き明かす、という歴史ミステリである。つまり、

『物証を重んじ、伝聞証拠を排し、常に"誰が得をするか"を考える』

を、歴史の事象に対しも実践したところが素晴らしい。

登場人物の設定や会話の秀逸さやユーモアも素晴らしく、読んでいて感心してしまう。そして全く古さも感じない。永く生き続ける『傑作』とはこういうものなんだなぁ、と思ってしまう作品です。
時の娘 (ハヤカワ・ミステリ文庫 51-1)Amazon書評・レビュー:時の娘 (ハヤカワ・ミステリ文庫 51-1)より
4150727015

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