長いお別れ

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評判

長いお別れの評価:

4.34/5点 レビュー 290件。 A ランク

Amazon書評・レビュー点数毎のグラフです

平均点4.34pt

Amazonレビュー一覧

Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全446件 301〜320 16/23ページ
No.146
(4pt)

完全なるオリジナリティ

もう20年以上前に本書『長いお別れ』の方で読んでいた。それは村上春樹氏経由では無く当時ハマりまくっていた北方謙三氏から入っていった。で、今改めて読み直してみると、チャンドラーの一切の借り物ではない作風に改めて気付かされた。それと同時に村上春樹氏がこの文章の比喩や会話(人物造型)に如何に影響を受けているかがよく解る。巻末の村上氏の解説にも書かれているのだが、本作のユニークな点は-無論色々あるのだが-ミステリーの本筋と関わりのないディテールに光っている。フィリップ・マーロウを通して語られる様々なエピソードは読みながら思わずにやりとさせられる。そしてフィリップ・マーロウの皮肉なユーモアを交えた会話と人物造型は恐らく多くの模倣を生んだのだと思う。しかし彼はやはりチャンドラーの卓越した才能なくしては決して成立しないオリジナルなものだ。
ロング・グッドバイ (Raymond Chandler Collection) Amazon書評・レビュー: ロング・グッドバイ (Raymond Chandler Collection)より
4152090103
No.145
(4pt)

翻訳は正直下手、でもストーリーに引き込まれました

海外の小説が好きで、いろいろな翻訳ものを読んできたが、村上春樹の翻訳は正直うまくなかった。素人並み。読み始めから違和感と読みにくさを覚えていたが、下手な翻訳も気にならなくなるほどのストーリー展開で、ミステリー好きの私も大びっくりの展開と結末に徹夜で読んでしまいました。それはチャンドラーの力。清水さんの翻訳は省略してあるし。。。清水さんに原文を省略せずに翻訳してもらったら最高だっただろう。

ロング・グッドバイ Amazon書評・レビュー: ロング・グッドバイより
4152088001
No.144
(4pt)

あ、そうなの?

清水訳は、実は「超訳」だったって言うの?
私は、「超訳」のおかげで、チャンドラーを好きになっちゃっていたの?

先に村上訳を読んでいたら、どうでしょう?
うーむ。もちろん悪くはないんだけど、いまほど好きにはなっていなかったかもしれないなぁ、と思いました。だって、マーロウが、あまりにも等身大過ぎるのですよ。清水マーロウと比べるとあまりにも「凡庸」過ぎませんか?セリフも、もっさりしていて、くどいし、ガキっぽいし。
でも、マーロウの設定実年齢からすると、こちらのほうが現実味があるんだよなあ。こちらのほうが原作に近いのですよね?

あーあ。なんだかつまんないな。
ならば、清水訳で、より原作に忠実な「新訳・長いお別れ」が読みたい、と痛切に思いました。
ロング・グッドバイ Amazon書評・レビュー: ロング・グッドバイより
4152088001
No.143
(5pt)

すばらしい

あの村上春樹も絶賛なんだからおもしろくないわけがない。私自身、このチャンドラーのロング・グッドバイは今まで読んできた本の中で三本の指に入る。そしてフィリップ・マーロウは一番好きな探偵で間違いない。この長さなのに退屈を感じた瞬間は一度もなかった。森博嗣も言及していたが、本当に凄い作家というのはチャンドラーやサリンジャーのようになんでもないような事をここまでおもしろく魅力的に書き上げることのできる人なんだろう。こういう言い方は良くないかもしれないが、まあ日本の作家ではこれはかけないでしょう。
ロング・グッドバイ (Raymond Chandler Collection) Amazon書評・レビュー: ロング・グッドバイ (Raymond Chandler Collection)より
4152090103
No.142
(4pt)

面白い。

翻訳者がどうこうではなく、単純にアメリカ小説として楽しむことができました。
訳者あとがきでフィッツジェラルド『グレート・ギャッツビー』との類似が指摘されますが、むしろ私はオチのつけかたが訳者の『羊をめぐる冒険』に似てるなという思いを強く持ちました。

また読みかえしたい本です。
ロング・グッドバイ Amazon書評・レビュー: ロング・グッドバイより
4152088001
No.141
(5pt)

なかなかよいではないですか

昔、旧訳を読んではまったという経験がないので、村上春樹訳と比べて文句を言う、という楽しみ方が出来ないのが残念であるが、さすがのチャンドラーという名文にすっかり魅了され、上質のミステリーを読むという老後の楽しみが一つ増えて嬉しい。
ロング・グッドバイ (Raymond Chandler Collection) Amazon書評・レビュー: ロング・グッドバイ (Raymond Chandler Collection)より
4152090103
No.140
(4pt)

「羊」「鼠」「ノルウェイ」村上作品に通底するモチーフが息づく完訳

「羊」「鼠」「ノルウェイ」など、村上作品に通底するモチーフが息づく完訳です。訳文の中においても、「訳者あとがき」においても。

村上さんは「若い読者のための短編小説案内」をはじめとして、自身の小説作法(「システム」)を、いろんなところで読者に見えるようにしてくれています。それをやってしまうと、物語作家をとりまく、ある種のミステリアスなところが薄らいでしまうのではないかと思うところもありますが、基本的には僕は村上さんのその姿勢には賛成です。きっとこの人は「なぜ自分は小説を書いているのか」というところに、いまでも根源的な落ち着きのなさ、問いかけを覚えずにはいられないのだろうと思います。本質的、本格的な小説家である所以ですね。

本書の「訳者あとがき」では、そこのところが、ある種の痛切さを感じさせるくらいに、率直に、(悪くいえば)くどくどと、記されています。村上さんの説明を真に受ければ、ということですが。

村上作品に慣れ親しんだ人が「ロング・グッドバイ」を読んだときに、この会話、ないし流れや運びはどこかで聞いたことがあるよ、と感じるとしたら(きっとあると思います)、村上さんが高校生のころに「ロング・グッドバイ」を読んで受け取ったエッセンスが、「羊」「鼠」「ノルウェイ」などを通じて大人の作家になってから一応は消化、昇華された、でもその跳ね返ったお釣りみたいなものが今度は時を経て翻訳をしたときに「ロング・グッドバイ」のほうに過剰に反映されてしまった。しかも、彼はそのことをわかっていて自分に許している、それくらいこの作品が好きだから。そういうことではないかと僕は想像します。

だって、フィリップ・マーロウは、あのようには村上語でしゃべったりはしないですよね。はんちく、もそう。少なくとも彼らは原著では村上訳とはちょっと違った言葉遣いをしています(と、僕は感じます)。翻訳というのはもうちょっとドライで価値中立な作業であるはず。

したがって、それらを含めて、清水訳のほうがいいかといえば、「抜け」はたしかにあるけれど僕は清水訳のほうが好きな部分も少なくないです。

だから逆に「ムラカミ的」完訳であることを受け入れられるのであれば、本書のほうを推します。村上さんは(当然かもしれませんが)翻訳者としての資質より、小説家としての資質がどうしても上回ってしまうからこうなってしまうのでしょうね。受け入れることに抵抗のある読者にとっても、それはそれとして現時点で最高水準の翻訳だよ、ということは請け負ってかまわないと僕は思います。

以上、中立中性の翻訳などありえないことを踏まえた上で、「読者の贅沢」を込めて減点1、でも気持ちは星5つ。すばらしい本です。

追記:異性愛にはきわめてストイックで、むしろ同性愛的、友情よりである本書が、ムラカミ的回路に受容され、通過するとどうして「ノルウェイ」にたどり着いてしまうのか、そこのところは誰かがきちんと追いかけるに値するテーマであると思います。
ロング・グッドバイ (Raymond Chandler Collection) Amazon書評・レビュー: ロング・グッドバイ (Raymond Chandler Collection)より
4152090103
No.139
(5pt)

いい!

村上春樹の原点のひとつ

個人的には、
訳の良い作品は、
原書を読みたくなります。
本書も強くそう思いました。

キャラクターがとても良く、情景がリアルに伝わってきます。

疲れた時、
気持ちがもやもやした時読んでください。
ひとは死にますが、
セックスはありません。
ロング・グッドバイ (Raymond Chandler Collection) Amazon書評・レビュー: ロング・グッドバイ (Raymond Chandler Collection)より
4152090103
No.138
(4pt)

天下の名作、訳もいい! ただ、村上訳と意識しないほうがいいかも。

文庫版としては、すごいボリュームで、この価格は納得である。

チャンドラー作品、また村上作品の入り口としてもいい作品。もちろん、何冊も読んできた方にもお勧め。

ただ、個人的には、今回この作品を読むにあたって、どうも村上春樹の翻訳、ということを意識しすぎてしまったように思う。

チャンドラー(もちろん翻訳した他の作家も)に村上春樹が影響を受けているというのは、周知の事実だと思うが、最後のエピソードや、随所で出てくる表現やセリフに、村上作品、特に「羊をめぐる冒険」とかぶる場面が多くあり、入り込めなかった。

もしかすると、アンチ村上春樹で、村上作品を全く読まない人にこそ、適した作品なのかもしれないと思う。
ロング・グッドバイ (Raymond Chandler Collection) Amazon書評・レビュー: ロング・グッドバイ (Raymond Chandler Collection)より
4152090103
No.137
(5pt)

これが噂のハードボイルドか

目先の利益ではなく、ひねくれた信念を貫く私立探偵。一銭の得にもならないどころか、命の危険をさらしてまで事件の真相に近づいていく。中2病的な行動や台詞も、ここまで一環しているとカッコいい。男が惚れる男、男の中の男。村上春樹の『世界の終わりとハードボイルドワンダーランド』に出てくるあいつは、マーロウに比べればハードボイルドでも何でもないな。と思う。バーでギムレットを頼まずにはいられない。
長いお別れ (ハヤカワ・ミステリ 260 世界探偵小説全集) Amazon書評・レビュー: 長いお別れ (ハヤカワ・ミステリ 260 世界探偵小説全集)より
4150002606
No.136
(5pt)

これが噂のハードボイルドか

目先の利益ではなく、ひねくれた信念を貫く私立探偵。一銭の得にもならないどころか、命の危険をさらしてまで事件の真相に近づいていく。中2病的な行動や台詞も、ここまで一環しているとカッコいい。男が惚れる男、男の中の男。村上春樹の『世界の終わりとハードボイルドワンダーランド』に出てくるあいつは、マーロウに比べればハードボイルドでも何でもないな。と思う。バーでギムレットを頼まずにはいられない。
長いお別れ (ハヤカワ・ミステリ文庫 (HM 7-1)) Amazon書評・レビュー: 長いお別れ (ハヤカワ・ミステリ文庫 (HM 7-1))より
4150704511
No.135
(5pt)

テリー・レノックスの歪で極端な使命感

フィリップ・マーロウの世話ぶりから推測すると、テリー・レノックスという人物は人を引きつける魅力をたっぷり持っているのだろう。彼は大富豪の娘と結婚もした。しかし、良かれと思ってしたことが他人を凄まじい混乱に引きずり込む、という運命を彼は背負っているようだ。以下ネタバレです。戦争で捕虜になり、命は助かったものの顔の負傷や過ぎ去った時間のことを考え、彼は結婚したばかりの妻のもとへは帰らないことにした。するとその元妻が近所へ引っ越してきてしまう。そして彼の妻(シルヴィア)が元妻(アイリーン)の夫(ロジャー)と不倫をする。そのことに気付いたアイリーンがシルヴィアを殺してしまい、テリーは勝手にアイリーンの罪をかぶることにする。テリーの行動は一見理不尽だが、冒頭部分の彼の言動には何かそういうことをしそうな気配が漂っている。「これ以上君(マーロウ)に迷惑をかける理由がなかった。誰かに助けを求めるのは簡単なことじゃない。特に何もかもが自分のせいだという場合には」「僕のプライドはそれ以外に何も持ち合わせていない人間のプライドなんだ」「僕のような人間は生涯に一度だけ晴れがましい瞬間を持つ。空中ブランコで完璧な離れ業をやってのける」「(シルヴィアの)父親に対する目眩ましのような役割をつとめるだけじゃなく、いつかもっと真剣に自分が必要とされる時が来るんじゃないかと思ってね」テリーは歪で極端な使命感を持った人なのだ。往々にして極端な使命感は人を危険にする。そのうえ歪とくれば救いようがない。フィリップ・マーロウもこう言っている。「次にロールズロイスの中に倒れている礼儀正しい酔っぱらいを見たら逃げ出すべきだ。自分で自分に仕掛ける罠がなにより質の悪い罠なのだ。」
ロング・グッドバイ Amazon書評・レビュー: ロング・グッドバイより
4152088001
No.134
(4pt)

ギムレットが飲みたくなる

この本を読むと間違いなくギムレットが飲みたくなる。それもローズ社のライムジュース50%でジンを割ったもので。しかしローズ社のライムジュースはなかなか入手困難で、ハワイなどでしか入手出来ないらしい。というわけで私はいろんなライムジュースで試行錯誤したものの、いまだにテリー・レノックスの言う本当のギムレットの味をわからないでいるのだ……
ロング・グッドバイ (Raymond Chandler Collection) Amazon書評・レビュー: ロング・グッドバイ (Raymond Chandler Collection)より
4152090103
No.133
(5pt)

普遍的に素晴らしい!

遂に読みました!村上春樹のデビューからのファン
ですけど村上さんがこんなハードボイルドファンとは。
兎に角展開が面白い最後のどんでん返しも感動モン
です。外国小説の邦訳ではダントツの出来です。
秀逸な、あとがきも含めてね!
ロング・グッドバイ Amazon書評・レビュー: ロング・グッドバイより
4152088001
No.132
(5pt)

マーロウにやられた。これは効いたw

私が今までの人生の中で読んできた本の中でもっとも大事な本のひとつです。っていっても25年間しか生きてないんですがw
数多くのお気に入りの場面のなかの1つ、
物語りの最後で、マーロウがレノックスに対してウェイドのことを
「もちろんご亭主はほとんどとるに足らない人物だったよ。血液と脳味噌と感情を備えたそのへんの人間でしかなかった」
と言い切る場面にはただただ感服。どんだけ唯我独尊かつ細やかな気配り(ウェイドを蔑むことでレノックスへの敬意を払う)ができるんだよと。物語りの途中まではマーロウに憧れているような自分もいたんですが、ここでとんでもなく遠くにいるマーロウへの憧れがすべてが嫉妬に変わってしまいました。
さらに続けてウェイドのことを
「彼もやはりことの真相を承知しており、その秘密を抱えたまま生きていこうと歯をくいしばっていた」
と言いいますが、「やはり」ってなんだよ、とるにたらない人物と言い切っときながら、どんだけかっこいいフォローをするんだよと。
ま、けどマーロウにはこんな台詞を吐く資格があるんでどうしようもないですね。
あー、レイモンド・チャンドラーすごいですね、メロメロだ。どうしようもない、これは効いた。
ロング・グッドバイ Amazon書評・レビュー: ロング・グッドバイより
4152088001
No.131
(5pt)

別れ

コーヒーをつぎ、タバコに火をつけてくれたら、あとはぼくについてすべてを忘れてくれ―妻を殺したと告白して死んだ友人からの手紙にはそう書かれていた。彼の無実を信じ逃亡を手助けして私立探偵である主人公には、心の残る結末だった。だが、別の依頼で失踪の理由を探るうちに真実に辿り着く…。

「さよならをいうのはわずかのあいだ死ぬことだ」
長いお別れ (1958年) (世界探偵小説全集) Amazon書評・レビュー: 長いお別れ (1958年) (世界探偵小説全集)より
B000JATSCW
No.130
(5pt)

別れ

コーヒーをつぎ、タバコに火をつけてくれたら、あとはぼくについてすべてを忘れてくれ―妻を殺したと告白して死んだ友人からの手紙にはそう書かれていた。彼の無実を信じ逃亡を手助けして私立探偵である主人公には、心の残る結末だった。だが、別の依頼で失踪の理由を探るうちに真実に辿り着く…。「さよならをいうのはわずかのあいだ死ぬことだ」
長いお別れ (ハヤカワ・ミステリ 260 世界探偵小説全集) Amazon書評・レビュー: 長いお別れ (ハヤカワ・ミステリ 260 世界探偵小説全集)より
4150002606
No.129
(5pt)

別れ

コーヒーをつぎ、タバコに火をつけてくれたら、あとはぼくについてすべてを忘れてくれ―妻を殺したと告白して死んだ友人からの手紙にはそう書かれていた。彼の無実を信じ逃亡を手助けして私立探偵である主人公には、心の残る結末だった。だが、別の依頼で失踪の理由を探るうちに真実に辿り着く…。
「さよならをいうのはわずかのあいだ死ぬことだ」
長いお別れ (ハヤカワ・ミステリ文庫 (HM 7-1)) Amazon書評・レビュー: 長いお別れ (ハヤカワ・ミステリ文庫 (HM 7-1))より
4150704511
No.128
(4pt)

ハードボイルド私立探偵の代名詞、フィリップ・マーロウ

ハードボイルド私立探偵の代名詞ともいえるフィリップ・マーロウが一人称で語る本書は、レイモンド・チャンドラーの代表作であると共に、アメリカにおけるミステリーの最高峰、「MWA(アメリカ探偵作家クラブ)賞」’55年度ベスト・ノヴェル(最優秀長編賞)受賞作である。この“準古典小説”『長いお別れ』が村上春樹の訳出により『ロング・グッドバイ』として甦った。この新訳版は’07年、「週刊文春ミステリーベスト10」海外部門で第9位にランクインしている。それが、私が初めてチャンドラー作品を読むきっかけとなった。当然、清水俊二の旧訳も読んでいないので、レビューに多く見られるような新訳・旧訳の比較はできないので、作品自体の感想になる。本書でマーロウは、テリー・レノックスに友情を抱き、彼が犯したとされる妻殺しを信じようとしない。そして、ベストセラー作家ロジャー・ウエイドとその妻アイリーンと知り合うようになり、ロジャーがレノックスの妻の不倫相手のひとりだと知るのだが、ロジャーもアイリーンも死んでしまう。調査の結果、これらの愛憎の果ての血なまぐさい事件の真相を知るのだが、マーロウは、常にタフで、頑固で、機知に富み、孤独で、やくざで、金には淡白で、ロマンチックである。彼が語る一人称叙述は、余分な心理描写を省いて、その目に映る情景を切り取るように語られる。また、物事に一家言を持っており、そのこだわりも語られる。そのあたりを原文にあくまで忠実に、省くことなく翻訳したということが、村上春樹の長い「訳者あとがき」(これがまた名文であり、本書の価値を一層高めている)にあるが、読んでいてもまだるっこしいところはなく、不思議とストレートに胸に入ってくる。本書は、さすがにMWA賞受賞作だけあって、そのキャラクターが多くの読者を惹き付ける、紛れなき存在感を身につけたヒーロー、フィリップ・マーロウが主役の、その時代を背景にしたロス・アンジェルスを舞台にした男女の愛憎や二転三転するプロットと、変わらぬ男の友情を描いた、改めて清水俊二の訳による『長いお別れ』も読んでみたくなるような傑作である。
ロング・グッドバイ (Raymond Chandler Collection) Amazon書評・レビュー: ロング・グッドバイ (Raymond Chandler Collection)より
4152090103
No.127
(4pt)

ハードボイルド私立探偵の代名詞、フィリップ・マーロウ

ハードボイルド私立探偵の代名詞ともいえるフィリップ・マーロウが一人称で語る本書は、レイモンド・チャンドラーの代表作であると共に、アメリカにおけるミステリーの最高峰、「MWA(アメリカ探偵作家クラブ)賞」’55年度ベスト・ノヴェル(最優秀長編賞)受賞作である。この“準古典小説”『長いお別れ』が村上春樹の訳出により『ロング・グッドバイ』として甦った。この新訳版は’07年、「週刊文春ミステリーベスト10」海外部門で第9位にランクインしている。それが、私が初めてチャンドラー作品を読むきっかけとなった。当然、清水俊二の旧訳も読んでいないので、レビューに多く見られるような新訳・旧訳の比較はできないので、作品自体の感想になる。
本書でマーロウは、テリー・レノックスに友情を抱き、彼が犯したとされる妻殺しを信じようとしない。そして、ベストセラー作家ロジャー・ウエイドとその妻アイリーンと知り合うようになり、ロジャーがレノックスの妻の不倫相手のひとりだと知るのだが、ロジャーもアイリーンも死んでしまう。調査の結果、これらの愛憎の果ての血なまぐさい事件の真相を知るのだが、マーロウは、常にタフで、頑固で、機知に富み、孤独で、やくざで、金には淡白で、ロマンチックである。彼が語る一人称叙述は、余分な心理描写を省いて、その目に映る情景を切り取るように語られる。また、物事に一家言を持っており、そのこだわりも語られる。そのあたりを原文にあくまで忠実に、省くことなく翻訳したということが、村上春樹の長い「訳者あとがき」(これがまた名文であり、本書の価値を一層高めている)にあるが、読んでいてもまだるっこしいところはなく、不思議とストレートに胸に入ってくる。
本書は、さすがにMWA賞受賞作だけあって、そのキャラクターが多くの読者を惹き付ける、紛れなき存在感を身につけたヒーロー、フィリップ・マーロウが主役の、その時代を背景にしたロス・アンジェルスを舞台にした男女の愛憎や二転三転するプロットと、変わらぬ男の友情を描いた、改めて清水俊二の訳による『長いお別れ』も読んでみたくなるような傑作である。
ロング・グッドバイ Amazon書評・レビュー: ロング・グッドバイより
4152088001