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生物学探偵セオ・クレイ 森の捕食者



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【この小説が収録されている参考書籍】
生物探偵セオ: 森の怪物 (ハヤカワ・ミステリ文庫)

生物学探偵セオ・クレイ 森の捕食者の評価: 3.78/5点 レビュー 18件。 Bランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点3.78pt


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全2件 1~2 1/1ページ
No.2:
(3pt)

魅力的な素材だが、話はとんでもない方向へ

セス・クレイ教授は大学で生物工学を教えている。
モンタナ州の人里離れた町に滞在中、近くの森で昔の教え子の死体が見つかったことから、地元の警察から容疑者扱いされるが、殺害は熊の仕業とわかり、釈放される。しかし、彼はこの事件は熊による食害ではなく、殺人だと告発し、田舎の悪徳+無能警察を敵に回して、大変なトラブルに巻き込まれて行く。

生物工学というのがなんだかよくわからないが、データをもとにあらゆることを数値化するようだ。このセオ教授は、自然科学の広範な知識を最新のソフトやら計算式やらでデータ化して、「真実」に迫っていく。
それにしても、本人が自己分析しているように、最初は、「頭はずば抜けてよいけど、世渡りがものすごく下手で、社会性に欠けるオタクっぽい大学教授」というスタートだった気がする。つまり「一般社会の刑事事件なんかはまったく無知な学者」。
ところが中盤以降は、FBIの行動分析課も真っ青になるくらい、アメリカの連続殺人事件や悪名高い大量殺人犯について、データから内面までとうとうと、かなり強引な論法で論じるようになる。もちろんそれだけでなく、彼がデータをもとに歩くところ死屍累々となり、クライマックスは・・・

ということで、最初に期待していた展開とはずいぶんとかけ離れたストーリー展開となりました。作者はマジシャンでもあるらしく、登場人物からストーリー展開まで、ずいぶん強引にギリギリ無理させています。
主人公も、いやはや、とんでもない目に遭い続けるわけだが、警察が当てにならないとはいえ、とにかく発想も行動も強引すぎて、魅力的とは言い難かった。

しかし、だからといって、この作品が面白くないわけではなく、1日であっという間読了。
ただ、これは作者本人の問題なのか、翻訳の問題なのか、文章に一貫性とテンポがなく、また原文にとらわれて訳しすぎたのか、現在形と過去形が入り乱れて非常に読みにくかった。
テーマと材料がものすごく魅力的なのに、すべてにおいてもうちょっと整理するとか、なんとかならなかったのかと残念なところの多かった作品です。

アメリカでは続編も出版済みにようなので、次回作に期待です。
生物探偵セオ: 森の怪物 (ハヤカワ・ミステリ文庫)Amazon書評・レビュー:生物探偵セオ: 森の怪物 (ハヤカワ・ミステリ文庫)より
4151837515
No.1:
(3pt)

一途な思い=<霊性>は<科学>を超える

モンタナと言えば、ジェイムズ・クラムリーが創造した私立探偵ミロとスルーが懐かしい。原液のようなピュア・ハードボイルド・モルト。
 シリーズ1作目という「生物学探偵セオ・クレイ 森の捕食者("The Naturalist")」(作:アンドリュー・メイン、早川書房)を読む。
 モンタナの森で若い女性の死体が見つかり、熊に襲われたという死因に疑問を持った生物情報工学者、セオ・クレイは、森羅万象を網羅するかのような広範な知識とサイバー空間を操る直観力を持って、森の捕食者=犯人を孤軍奮闘、追い詰めていきます。これ以上は、いつものように語れません(笑)
 キャラクタリゼーションが特異だと思います。「象牙の塔」の住人、知識人でありながら、情に振り回され、弱虫のようでいて、頑固者、そして満身創痍の状況の中「あきらめる」ことを知らない。一人称で語られる物語であるにもかかわらず、中盤から少しトーンが変わります。探偵というより、一人の破天荒な冒険者としてのキャラが全面に押し出され、ブライアン・ガーフィールドの「ホップスコッチ」かと思わせるようなマジックを駆使して、アマチュア探偵として迂回しながらも強大な犯人へと辿り着きます。少し不満を言わせていただくと、布石が少なく、唐突な場面転換に戸惑い、中盤は少し「だれる」という感は否めません。

 それでも、言ってしまっていいのか悩みますが、クライマックスは、我が国の絶頂期の志水辰夫の著作のようでした。
 「彼女を守れ。本質はそこだ。ぬぐいがたい男性優越主義。わたしたちはそうするように生物学的にプログラムされている――どんな男でも」 (Kindle の位置No.5189-5191)
 この小説の好みは分かれると思いますね。ぬぐいがたい「マチズモ」に囚われた読者は快哉を叫び、異なる読者は静かに首をふるかもしれません。私は前者です。なぜなら、一途な思い=<霊性>は<科学>を超えると信じているから(笑)
生物探偵セオ: 森の怪物 (ハヤカワ・ミステリ文庫)Amazon書評・レビュー:生物探偵セオ: 森の怪物 (ハヤカワ・ミステリ文庫)より
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