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跳ぶ男
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跳ぶ男の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.37pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全19件 1~19 1/1ページ
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青山文平氏の本領発揮です。唸らされます。 | ||||
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読みながら予想したのは①保の切腹理由についての謎解き、②藩主身代わりがばれそうになるハラハラドキドキ、③跳びに跳んで周囲を圧倒する場面、を軸としたエンターテインメントであったが、すべて外れた。まあ、①については、ここまで読んだらわかるだろうという曖昧な提示はあったが②③は皆無で、著者が安易で凡庸な小説を拒否する姿勢が伝わってきた。 結末にはあっけにとられたが、解説者が述べるとおり、ラスト3行の与える余韻は深い。この平易な文章を読者に飲み込ませるための難解な「能」だったのかと思う。 | ||||
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この小説を碁に例え、主人公が国元を離れ江戸に出るまでを序盤、江戸で次第に能で評を得るまでを中盤、自裁の決意をして以降を終盤とするならば、中盤が間延びすぎる。 中盤では、能についての解釈、説明が延々と、しかも断片的になされるので、何を言いたいのかよくわからず、飽きてしまう。 しかし、終盤のまとめは見事である。さすがと言ってもよく、中盤のもやもやが吹っ飛ぶ思いがした。 自分としては、この程度の分量の単行本は通常3~4日で読了するのあるが、中盤が面白くなく結局、読了まで3週間弱もかかってしまった。中盤を引き締めて描くことができれば、もっとよい小説になったのではないか。 作者には一定の根強いファンがおり、出版できたのであろうが、読者に斟酌は必要なく、自分の考えで自由に評してよいのではないか(ただし、その論拠は必要だろう)。 | ||||
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小学校の時に能楽鑑賞に行きましたが、狂言の題目は「ブス」で小学生でも皆大笑いしました。能は眠かったことしか覚えていません。そんな私が能楽の本を4冊購入し、NHKの日本の伝統芸能で「恋重荷」、金沢能楽会の「船弁慶」を鑑賞しました。なんだかこのまま能に嵌りそうです。怨霊、鬼、鵺、人の煩悩。悩み苦しむ人に、理不尽な世の中は優しくありません。しかし、その理不尽な世を作っているのも人なのです。能は全てに優しい、全ての人に優しい。三分の一を過ぎた辺りから止まらなくなり最後は涙で文字がかすみました。剛が海で保と母に再開できることを願っています。 | ||||
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お能が題材と知って手に取り、その部分は面白く読みましたが、文章が読み辛く小説としては楽しめませんでした。例えば「思う」を「想う」、「知らない」を「識らない」などと書かれるのですが、それが物語に馴染んでいないというか、違和感がひどくて最後まで読み通すのが大変でした。 | ||||
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能の所作を描写して能を描いている本ではない。この本そのものが一つの幽玄能。人すなわち能、生すなわち能ということだろうか。最後の場面は平安な白光に包まれる気がした。 | ||||
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本作品は天保の改革前夜の時代に、表高と実高が等しい2万2千石の小藩(おそらく無城格)を舞台に、20俵2人扶持のお抱え能役者の息子が主人公である。継母に疎まれ、何より頼りになる優秀な兄貴分を失った寄る辺ない主人公が夭逝した藩主の身代わりとなる。これだけ書くとひどく陳腐だ。 本作品において能は単なる小道具ではなく、主題になっている。作中においては能の演目やその技術の良し悪しに止まらず、その歴史から何からが述べられている。能のなんたるかを見出す過程自体が物語の信仰そのものであり、最終的には 鵺のような化生の者まで包含した、生きとし生けるものへの、尽きることのない肯定。それが能を能にしている。 青山 文平. 跳ぶ男 (Japanese Edition) (Kindle の位置No.5176-5177). Kindle 版. と見出される。筆者はこのあたりを読んでいてM・プルーストの「失われた時を求めて」を想起してしまった。要約すれば芸術表現を通じた人間存在の普遍性の表現。「全体小説」というのはこういうものなのかもしれない、あるいは純文学出身の著者らしいなあなどと思ってしまった。 さらに結末に向けて畳み掛けながら余韻を残し、余計な説明をしない「演出」にも感心した。しかしこの結末の潔さは現実世界の摩擦や抵抗から乖離していて、その点で全く娯楽小説そのものである。視点を変えれば「純文学」に偏ることなく目的を達成したと言えるかもしれない。筆者はその点を惜しみつつ、しかしすっきりとした小気味良さに唸らされてもしまった。複雑な気分だが、その葛藤も含めて本作品の味わいであり達成でもある。 | ||||
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2019年1月にこの作品で青山文平を初めて読みました。 そもそも歴史は好きなので、時代物は決して嫌いではないけど、史実を追う歴史ものは事実や歴史意味と作品の独自性との兼ね合いでなかなか満足ができなかった。 かといって史実無縁の時代物は結局は人情ものになり、物語性の貧弱さを補うだけのものに陥っている。 文学と歴史のはざまで、どこかに無理が生じ、どれもこれも中途半端。 青山文平の作品は、黒澤明の時代物の本質と同じ。 その時代を描くのに不可欠な時代性、本質はその時代でなければ書けない。史実は最小限の社会的事実のみ。 他の作品もほとんど2019年の間に読みましたが、この作品はまさに青山文平の傑作です。 できれば古い作品からすこしずつ同時代的に追い、この作品に辿り着きたかった。 能は2回しか観たことがないが、観ておいて良かったのと、これからも一層観ていきたいですね。 | ||||
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えっ シリーズの最新作でしょうか・・女性・・忍者・・万年青師・・釣具師・・刀・・等、順不同に読んできて、これが一番・・・ | ||||
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幕末期の貧乏藩の経済状況を背景に、能についてその瞠目すべき・目を開かれるような本質論は勿論、また歴史や江戸時代武士社会の中央政権内・地方政権内・またその社交の中での意味など様々な位相から説き起こしています。少しでも興味を持った事がある人は必読です。(初期作品の経済論から新たに芸術論に踏み込んで来られたという事で、こうなったら茶道や庭園論など片端からやって欲しいです。 | ||||
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筋書きといい、記述といい、驚く内容だった。小説としての筋書の他に、能についての解説が延々と述べられていて、少し冗長ではないか、と思うくらいではあるが、その知識と見識を称賛したい。 江戸時代の藩主の社交は能であった、という時代背景を基にして、旧藩主とは血の繋がりも何もない、ただ能に関わっている、というだけの下級藩士を藩主の身代わりにする、と言う図抜けた発想の小説である。著者は、藩士が望むのはただ一つ、藩が続いて藩士達が生き延びることであり藩主には誰がなってもよいのだ、と藩主の身代わりを画策した藩士に述べさせているが、まさかに実際にそうであったのかどうかは俄かに信じ難いものの、一方で歴史に記載されている藩士の経歴を見ると、徳川家を含めて養子という制度がなければ藩が成り立たなかった、ということが改めて認識されるのだった。 そのような養子制度に目を向けたのが先か、能というものに元々造詣が深いことからこのような筋書きを整えたのかは知らず、いずれの発想が先にあったとしても、この著者の異能さには感嘆するばかりである。すごい小説を読ませてもらった、という感想だ。 | ||||
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ここで何度か言った。青山文平は調べる作家だと。 どこまで調べれば、小説にするのだろう。と。 『跳ぶ男』では、究めすぎたのではなかろうか? それとも、ここまで調べないと、書けない、ところまで彼は行ってしまったのだろうか? 今回は「能」である。 どこまで調べても底も天井もないのだろう。 素人にはわからない。 ただ、青山文平を信じて付いていく(読み続ける)だけである。 なんども頓挫しそうになる。 青山文平の探究心に完全に置いてきぼりになる。 でも、それは承知だったはず、と諦める。青山文平を読むならば、その覚悟はなくてはならないのだ。 やっとこさっとこと、読破した。 完全に置いてけぼりにされた。 しかし、最後はこれまでの青山文平作品と同様の、期待していた通りの、清々しさを満喫できる。 ああ、今回も潔し、という日本人の美しさを、楽しませてもらったと、満足して本を閉じた。 | ||||
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素人として謡と仕舞を習っています。お社中の方に紹介してもらい、読了しました。 能の魅力を要素とした小説ですね。やや説明的でありますが、共感を拾いながら読み進め、苦しい結末に苦しい時代を想いました。 式楽ではなくなった現代ですが、涙も流せない現実の中で、私も「優しさ」に救われる一人です。 | ||||
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能の話しで退屈かなって思ってたら、最近で一番シンパシーを感じました。心の描写が奥深く、すごい作家さんだなぁって。中々出会わない本でした! | ||||
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直木賞作家の作品で、レビュアーの評判もすこぶる良いのだが、結局何が何だか訳が分からなかった。 途中を飛ばして最後の最後を読み、なるほどねこういうとことになるのかと知り、前に戻って読み直したがそれでも分からないし納得もできない。だいたい筋が通っているのかいないのか。。。 この小説は一体なに? 作者が自分の世界に入り込んでしまって読者の方に下りてこない。ある種のマニア向けの本なではないか。これほど小説を分かり難くする必要があるのだろうか。 この本も確か新聞の書評で高い評価を得ていたし、これまでの評価も5つ星ばかりだ。しかし、私は読み通してしまったことを後悔している。 | ||||
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貧しい小藩お抱えの能役者の子として生まれた主人公の剛。若い藩主が跡継ぎもないまま急死したため、歳の近い15歳の剛が身代わりとして、秘密裏に藩主に仕立て上げられます。 江戸に行き、能を通じて各藩の藩主と誼を結んでいきますが、生まれは士分であるとはいえ、ほとんど野育ちの少年が、側近や他藩の諸侯達と、生まれながらの藩主のように臆することもなくいきなり会話できるところが、まず驚きました。(能の稽古により培われたものでしょうか) そして、亡き親友の悲願だった藩政の立て直しを計画するのですが、そんな方法で果たしてうまくいくのか?(結果に行き着くまでに話は終わります) 更に、最初から最後まで、通底どころか物語のど真ん中を貫く、能の話。能にご縁がないので、何がなんだかわかりません。(ネットで調べれば、あらすじも動画もすぐに見ることができますが) そんな訳のわからない話なのに、現実離れした話なのに、読み出したら止まらないのです。面白い、というよりも、話に取り込まれてしまう感じでしょうか。青山氏ならではの静謐で品格のある筆致で、能という幽玄の世界に、切ない夢物語に誘い込まれてしまいました。 | ||||
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私自身もそうですが、現代人は一見選択肢にあふれ、どれを選んだらよいのやら、どう行動すればよいのやら、右往左往するばかり。 本書で描かれる主人公は、いや、すべての登場人物は、選ぶことを許されない時代において、それぞれの「さだめ」を背負って懸命に生きています。 その一途な生き方に、心を打たれます。 とりわけ、出雲守からの招きを受けた最終章は、引き込まれるように一気に読み切りました。 出雲守と主人公との座敷(納戸)でのやり取りは、覚悟を背負った者同士の美しくも哀しい対話で、涙がこぼれます。 能をテーマにした一冊で、全く能についての知識を持たない私にとっては読み進むのは大変でしたが、この一冊を読み終えて、「少し能について学んでみようか」という気持ちになりました。 | ||||
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心待ちにした作家の作品に、思わず居ずまいを正して読みたくなった。今までの作品と同じように、江戸時代の貧しい藩の存続をかけた物語である。しかし、必ず豊かな才能を持つ人物が現れる。この作品は「能」が中心にあるので、その素養があると何倍も楽しめると思う。何度も読み返し、確認しながら、登場人物の仕掛けを考えてしまう。しかし、悪人はいない。硬い武士の言葉の中に「ここまでつるんと運ばれ、そして江戸までもつるんと運ばれていく」という表現に、思わず和む。いつまでも手元に置いておきたい作品である。 | ||||
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青山文平 外れがない貴重な作家 これからも期待してます。 | ||||
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