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信長の原理
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信長の原理の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.46pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全85件 81~85 5/5ページ
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数多くの作品で語り尽くされてしまった感のある織田信長。史実に関しては信長ファン、時代小説ファンでなくとも既知のことが多かったのですが、切り口が斬新に思えました。 なんとなく、時代小説は「情」が中心になるもののように思っていましたが、本書では、人物の感情も行動も徹底して、分析、解析して語られます。出身階級・出自に始まり現在の地位・立場まで勘案して、その人物の行動が理論立てて解説されながら話が進みます。 信長の視点からだけではなく、秀吉や光秀などの家臣からの視点でも書かれているため、今まで史実として何も考えず丸呑みしていた出来事も、「こんな因果関係があったのか」と驚かされることばかりでした。作者の創作であったとしても、思わず納得させられてしまいます。 旧習にとらわれない斬新な考えを持つ優秀な人物である一方で、短気で癇症、気に入らなければすぐに手が出る、死に追いやる、という典型的なパワハラ上司だと思っていた信長の行動原理を理詰めで説明されて、新鮮な読後感を覚えました。 | ||||
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皆さん、「パレートの法則」というものをご存知でしょうか 5匹の蟻がいたら、「1匹はまじめに働き、3匹は日和見をし、1匹はさぼる」というものです で、幼少期から、生母にも疎まれ、一人で遊ぶうち、「パレートの法則」を発見した信長の組織論・人事論の結果、「本能寺の変」が起こったとする1冊です さて、ご存知のように、尾張織田家の分家から成りあがった信長は、若い頃より、周囲からは奇人変人として見られていましたが、「有用な人間と見たら、謀反を起こした人物でも利用する」という独特の起用法で、次第に領土を広げていき、信玄・謙信らをはじめ、各地の戦国大名を平定していきます 一方、信長に仕える武将に対しては、信長にとって「有用な人間」でいる間は登用し、領土も与えていきますが、「無用な人間」とみなすと、仮に、尾張時代の部下や将軍であっても、容赦なく、殺傷することも厭いません こうして、最後まで残ったのが、羽柴秀吉、明智光秀、丹羽長秀、柴田勝家、滝川一益に徳川家康を加えた6人 この6人が残るまでで、各地での闘争が描かれますので、約600ページの500ページを使われます で、「本能寺の変」の謎解きが始まるのは500ページを過ぎてから 「パレートの法則」に従い、次に、信長に背を向けるのが家康だと思った信長は、自分が本能寺に滞在中、家康を堺に饗応する機会を利用し、光秀に「家康の暗殺」を命じます ここで、「これまで仕えてきた家康でさえ、無用とみると暗殺する」という信長の考え方に気づいた光秀は、「いつ、自分も、家康のようになるかもしれない」と考え、本能寺で30名の小姓のみを従える機会をとらえ、信長の暗殺を企てるというものです これまでも、「本能寺の変」については、様々な説が唱えられてきましたが、信長という棟梁から見た「部下の把握術」、光秀という、信長に仕える「武将の心情」から、その原因を探ったものはなかったと思われます さて、小説中では、ここまで触れられていませんが、実は「パレートの法則」に気づいていた武将がいます そう、天下人となる秀吉です ただ、秀吉は、信長の「パレートの法則」に気づいていながらも、「次は、自分が殺される番だ」などと考えず、信長の指示にまい進したところに、「光秀と秀吉の差」があったのかなあとも思いました いずれにしても、「組織論・人事論」から「本能寺の変」に新たな解釈をした面白い1冊でした | ||||
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信長と、彼を支える佐久間信盛、柴田勝家、丹羽長秀、羽柴秀吉、明智光秀ら諸部将達の盛衰を、数の原理(パレートの法則)を据えて、群像劇仕立てに展開する。数の原理の説明に饒舌的なところが見られるものの、筋立て・進行に無理はなく、短く書き連ねる文章にリズムがあり、論理的で主人公信長に似合う。また推理的要素も織り込まれていて、小気味よく読ませる。 信長の本質は、彼を2度まで裏切った松永久秀に見抜かせる。信長は「自分の足元からこの世の根本を疑うことを知っている。そこから独自の物の見方を完全に発酵させている」。この二人、「神などは、おらぬ」「されど、この世は神に似た何事かの原理で回っている」に共感し合うが、久秀は、信長が「ありとあらゆるものに効率を重視しすぎる」故に、「人は、この世の摂理に反することをしてはならぬ」とする故に、信長に背く。光秀は、こうした二人の間を唯一、理解する。 そこでクライマックスの光秀謀叛であるが、これに数の原理を当て嵌めるのは筋が通る。しかし信長が「悟った」自身の最期を、同じくして導く件は、本来『質』に属すべきを『量』との隔たりを顧みず等閑視していて、小説とは雖もその可能性を超えているように思われ、このまま読み置くことに躊躇いがある。 | ||||
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信長が蟻(ジャケの絵がまさに!)を観察して気付いた2:6:2改め1:3:1という原理。 明智秀満の言う三宅家に伝わる古き諺。 この2つがぶつかる本能寺の変で、信長が真に悟った”復元する力”とは!? 巷に溢れている信長小説に飽き飽きしてる私でも、前作『光秀の定理』同様楽しめました。 | ||||
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やはり、垣根涼介。 この人の神髄はハードボイルド。 男の心の内を書かせてここまで書ける人はそうはいないのではないか。 信長の考え方の基本。 それを知っている(という設定の)秀吉、松永久秀。 佐久間、柴田、丹羽、滝川、秀吉、光秀、家康 武将たちは織田家の中でどのような生き様を見つけるのか? 生きるとは何か? 信長は本能的に世の中の仕組みの一端を知ってしまい、 その仕組み上、この中の誰かが裏切ることも理解している。 それでも止まらない、信長と武将たち。 そして、信長が最期のときに知る天道とは。。 パレート法則云々は実質的に、この小説の中ではおまけのようなもの。 武将たちの心情描写を読むだけで、あっという間に時間がすぎていきます。 600ページ近くあるが、本当に一気読みという感じでした。 面白かった。 | ||||
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