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ブルーバード、ブルーバード
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ブルーバード、ブルーバードの評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.33pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全6件 1~6 1/1ページ
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テキサスの田舎町で2件の殺人事件が発生する。1件目はテキサス外からやってきた黒人の男性弁護士のマイケル。2件目は地元の酒場でウェイトレスをしている白人女性のミシー。白人至上主義の犯罪組織のABTが集う酒場に関わった人が事件に巻き込まれている。事件の調査をしているのはテキサス・レンジャーのダレン。ダレンも黒人であり、家族とは問題を抱えている。マイケルがなぜ殺害されたのか。ABTが何らかの理由で殺したのか。白人のミシーが殺された理由は? 人種問題にからんだ事件かどうかさえ確信はないままダレンは捜査をする。終盤になると犯人はこの人くらいしかいない感じになるので、謎解きとしては深くはない。ただし、物語の背後に隠れている人の生き方などのドラマを読むべきなのだろう。 | ||||
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アフリカ系アメリカ人への差別を扱った小説で、日本人には簡単に評価できない問題を扱っています。90年代に起こったジャスパーの事件にも物語内で触れています(主人公がレンジャーを志したきっかけとして)。ミステリーとしての側面よりもこの小説が重要なのはジャスパーの事件やKKKの様な思想、そしてアメリカいまだある差別、そして現在も続く悲劇だと思います。この小説がこれら問題のすべてを語っているとは思いませんが、数々の賞を受賞していることから一定の真実であるともいえます。日本にも多くの差別、ヘイトクライムがあることがあえて見逃されている状態を考えるとアメリカ自身の作家からエンタメ作品としてこのような小説がリリースされ、評価されることは米国の良心であり、日本のメディアの未熟さを体現しているのかもしれません。 | ||||
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軽い気持ちで読み始めたが、実に重い作品だった。黒人で名家の出身であるダレン・マシューズは テキサス・レンジャーの肩書を持つが、黒人男性と若い白人女性の殺害事件を捜査するにあたって テキサスの根深い人種差別的な風土に絡めとられてゆく。 ブルースを生んだ土壌を初めて実感させられた物語で、マイルス・デイビスがかつてブルースを愛したエリック・クラプトンに対し「白人のクラプトンにブルースがわかるわけがない!」と言ったのもむべなるかな、と思わされた。 フォークナーの世界が今でも引き継がれているのになかば唖然とするが、おそらくこれがアメリカの実態なのだろう。 あとがきには「憎しみではなく、深い愛に基づく事件」と書かれているが、 幾重にも重なった過去の因縁が解きほぐされるラストには驚いた。 今後のダレン・マシューズはどのように生きてゆくのか、本を閉じても気にかかってしかたがなかった。 | ||||
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東テキサスの田舎町ラークで、北部からきた黒人男性と地元の白人女性が相次いで死体となって発見されるところから始まるミステリー。粘っこい気候、排他的で人種差別的な土地柄の叙述が重苦しいが、緊迫感を持続させつつ逆転劇もありどんどん読み進めることになる。 「変化はホワイトハウスから徐々に浸透してくるはずだと、ダレンは信じたかった。ところが実際には、その反対のことが現実になった。オバマ後のアメリカを見れば自明だった。」という主人公の思い(著者の思いでもあろう)が苦い。 | ||||
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上の商品説明にもあるが、テキサスの田舎町で、都会からやってきた黒人弁護士ライトと地元の酒場で働く白人女性ミシ―の死体が相次いで発見される。停職処分中の黒人テキサス・レンジャーのダレンがFBIの友人に頼まれ捜査に乗り出すが… まず疑問となるのは、殺された順序。白人女性が黒人と関わって殺された場合、差別主義者がその黒人を殺すことは珍しくないが、逆の場合はほぼない。しかも、黒人弁護士は、自身の故郷でもない町になんためにやってきたのか分からない。町全体の雰囲気が黒人に対して差別的であり、ダレン自身が黒人で、しかも最初は身分を隠して町にやってきたため、黒人の信頼も得られずに、捜査に苦慮する。 アメリカ・テキサスの実態を知っているわけではないが、昨今のアメリカから入ってくるニュースから判断する限り、リアリティを感じる部分は多い。 地域の独自性に加え、アメリカの警察制度(保安官とレンジャーの関係など)もあって、戸惑う部分はあるものの、全体に緊張した雰囲気が張り詰め、一気に読むことができた。謎解きという部分だけ見ると、それほどインパクトのあるものではないが、退屈するようなことはない。 また、田舎町の飲食店を地道に営んできたジェニーヴァとジョーの夫婦が深い絆で結ばれていたのに対し、ダレンとその妻リサ、ライトとその妻ランディ、二組の夫婦はそれぞれそれなりの地位を得て理想的に見えるものの夫婦関係に苦慮している姿は、現代社会の病弊を象徴しているのかもしれない。 人種問題、アルコール・ドラッグ、夫婦関係など、アメリカ社会の軋みが全体にわたって響いている作品だ。 | ||||
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Netflixで観た映画「最後の追跡」は、テキサス・レインジャーとネイティブ・アメリカンが主役でしたが、今回読み終えた「ブルーバード、ブルーバード」"Bluebird,Bluebird"(作:アッティカ・ロック、早川書房)の主人公ダレンもまた、黒人のテキサス・レインジャーです。 東テキサスの田舎町で発生した二つの殺人事件、男が先に亡くなり、その後、女が亡くなったことの順番に疑問を抱えながら、また、別居中の嫁との確執に囚われ、別の事件によってレインジャーのバッジを外さざるを得ない状況の中、ダレンは、事件の闇の中へ深く、重苦しく埋没していきます。ミステリーですから、いつものように多くは語れません。 アメリカ南部の小川、バイユーに足を取られ、ABTと向き合い、白人対黒人、ミシシッピ川のように太く長く続く「人種差別」という歴史を背負いながら(ジム・クロウ法の廃止から、何十年も経過したという記述もある)、彼は手探りのまま真実を求めて事件を追跡します。それは、テキサス・レインジャーとしてのアイデンティティの確立のためなのかもしれません。ABTは、「アーリアン・ブラザーフッド・オブ・テキサス」。言わずもがなですが、The Aryan Brotherhoodは、プリズン・ギャング、白人優位主義、レイシスト、ヘイト・クライムの温床、禿頭、タトゥーと麻薬。様々なネガティブ・ワードを呼び起こします。アメリカン・バレー・シアターのことでは、ありません(笑) 物語は、ミステリーですからフーダニットによって、サスペンスと緊張感を醸し出しますが、一方、過去の事件が明るみに出るにつれて、ドナルド・トランプを大統領にしたアメリカ合衆国の中の「テキサス」という国の物語であったことを読者に提示します。そして、読者は、ロス・マクドナルドが繰り返し描いた西海岸の静かで狂おしい悲劇とは異なる「バイユー」の匂いがかぎ取れるほどの臨場感とそれでも愛おしい郷愁の中で繰り広げられる悲劇に深い溜息をつくことになるのだと思います。登場人物、ジェニーヴァがいるハイウェイ沿いのカフェが、映画「I AM THE BLUES」で描かれた本物のブルースに満たされた時、そのカフェの舞台は、良くできた回り舞台のように、二度くるっと反転してみせます。 言ってしまっていいのか、タイトルは、ジョン・リー・フッカーのブルースの楽曲”Bluebird"から取られています。 「ブルーバード、この手紙を南へ届けておくれ。。。 "If you see my baby, tell her I want her to come back home to me"」 | ||||
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