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ミッテランの帽子
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ミッテランの帽子の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.27pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全18件 1~18 1/1ページ
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人生の何かがうまく行っていない主人公たち。そんな彼らの人生が、ミッテランの帽子を拾ったことをきっかけに大きく動き出します。 大人になると、みんなどこかでそんな不全感を持っていて、だけどそれを打開する勇気もない。だからこそ、ミッテランの帽子をきっかけに新しい一歩を踏み出した主人公たちに共感できるのだろうなと思います。 フランスの小説らしく、香水やパリのレストラン、絵画とお洒落なエッセンスも満載。オチも気が利いています。 大人が楽しく読んで、さわやかな読後感も得られる素敵な連作小説集です。 私のもとにも風に乗ってミッテランの帽子が転がってこないなかな。 | ||||
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現代と言ってもミッテラン大統領が活躍していた1980年代のフランス、主にパリが舞台である。 一つの出来事をきっかけに主人公が変わる連作小説ですが、その人物がどれも大人で一定の悲観と楽観がある。つまり、読んでいる方もそれなりの大人の人生のリアリズムを自然と共有するという訳です。 時に甘く時に厳しい、運命の糸に引かれて紡がれる物語に流れるのはフランス人のセラヴィ=それが人生(だがそういう言葉は一度も表れない)。 私がこの本に出合ったのは映画のグザヴィエ・ドラン監督の「幻滅」を見た直後だった。両者にはポリコレのかけらもない、まさにフランス人のあるがままの皮肉とユーモアの人間喜劇。私はそこに「教養」という大事な臭いを嗅ぐ。 お薦めしたいのは、大学で仏文科を専攻した人達やフランス文化に何かしら携わっている人。ファッション・芸術・政治のどれでも結構、フランスが嫌いじゃなければこの本を読むともっと嫌いじゃなくなる、悪くなく感じる。 私は小説の読書を娯楽としてしか考えておらず、どんな小説でも読むときは一気読みと決めているが、この本に限ってはそれは出来なかった。一章一章が味わって堪能しながらじゃないと読み進められなかった。 | ||||
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置き忘れられた大統領の帽子が、会計士や調香師といった様々な人々のもとを訪れ、彼・彼女らの運命に変化をもたらし、また去っていく様子が描かれる。 ユーモアも悲哀も極端に走らず、抑制の効いた文体で綴られており、読後感も爽やかだった。 ミッテランも魅力的な人物として登場する。 80年代のフランスを楽しむことができる小説だと思う。 訳者によるあとがきの中では、物語、本編同様、少し不思議な創作時のエピソードが紹介されており、最後まで興味深く読んだ。 | ||||
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軽いタッチのストーリーなんだけど、各エピソードはそれなりに軽くはない。フランス料理や香り、当時の風俗・文化などは興味深いが、やや押しつけがましい。ちょっとくらい知っていないと「なんのことやら」ってことになりかねない。文化の違いを楽しめるし、フランス人のちょっとした鼻につく「上から目線」を楽しめる。下から覗き込む感じで。悪くはない。 | ||||
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フランス語の勉強にと、フランス語原文と訳文、Audibleが揃うものを探して購入しましたが、映画のような物語で、純粋に作品として楽しめました。とくに最初のレストランのシーンは本当に美味しそうでおしゃれで、何度読んでも楽しいです。 | ||||
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本の見た目もおしゃれだけど、 本内容もおしゃれ。 短編だけど、繋がりのある話。 好きです。 | ||||
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妻と息子が留守のためにブラッスリーに入った財務部員のダニエル・メルシェは、偶然に隣に座ったミッテランの大統領が忘れた帽子を獲得した。その帽子が周り回って不倫を続ける作家志望の女性ファニー・マルカン、天才調香師ピエール ・アスラン、資産家ベルナール ・ラヴァリエール…、そしては最後はミッテラン大統領。 この帽子は、手にした人に幸運を招く。 ほのぼのとしているけれど、その時期のパリの様子が克明に描かれ、しかもエピローグの後日談も素晴らしい。 | ||||
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訳者あとがきにミッテランの愛人アンヌと二人の間にできた子供マザリーヌが登場していると記載があったのですが、全く気が付かず…(^_^;) もう少ししっかり読まないとですね。気付いた方、是非教えてください。 | ||||
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図書館司書さんの推しでした。プレゼントしたい方がおり、購入してみました。喜んでくれると思います。有難う御座いました。 | ||||
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最初奥さんが絵本と間違えて買ってしまったこちらの本。 表紙がかわいく、おしゃれで思わず持って歩きたくなります。 お話も、心温まるお話にちょっとエスプリを効かせた、 おしゃれなグランドホテル形式の映画を読んでいるようでした。 コロナ禍でヨーロッパには当分行けそうもありませんが、 こうした良質な本を通して”いった気分”に浸るのも悪くないです。 | ||||
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なし。 | ||||
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フランス文化と文学を齧っているので、フランス特有の空気感が感じられるこの作品は非常に素晴らしいものだと感じました。私はいま20代前半なので80年代やミッテランをよく知りませんが、なんとも魅力のある時代だったのだろう、と思います。あたたかで優しく、そして力強い物語です。私も帽子が欲しい… また、訳者によるあとがきも読むことで物語の整理がつきました。面白かった。 | ||||
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ミッテランがレストランに置き忘れた帽子を、うだつの上がらない会計士が盗んだところから始まります。 ミッテランの帽子を手にした途端、人が変わったように思い切った行動を取れるようになります。 私は貴族男性のエピソードが好きでした。ミッテランは貴族階級にウケが悪かったようで、上流階級の社交の場ではミッテランの悪口を言うのがお約束だったようですが、突如としてこの男性は周りを凍りつかせるような発言をしてしまいます。そこからの突き抜けた生き方に溜飲が下がります。 色々な登場人物が出てきますが、エピローグで各々のその後がまとめられているのが良いですね。面白かったです。 | ||||
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人が幸せになるってどういうことだろう。人生の分岐点を成功側に導く勇気。そんな勇気をあたえてくれるちょっとしたキッカケさえつかめれば……。 勇気を持てずにいる財務担当社員、不倫関係に悩む女流作家の卵、過去の人とみなされた調香師、それに変革に踏み出せないでいるブルジョワ男性。本書は、様々な境遇で悩ましき人生を送る老若男女が、ふとしたことから「黒いフェルト帽」を手にし、運命を切り開いてゆく様を描写する。 ・きっかけは偶然の出来事だった。ブラッスリーで牡蠣にビネガー・ソースを数滴たらし、その男の声を聴く。「私は先週それをヘルムート・コールに言ったんだが……」隣接するテーブルに大統領がいる! ダニエル・メルシエの奇妙な運命はここにはじまり、 "置き忘れた"帽子は、ファニー・マルカンの人生をも劇的に変えてしまった。 ・ピエール・アスラン。一世を風靡しながら、時代に忘れられたスター調香師の現在の姿はみじめだ。彼もまた帽子を手に取り、人生を変えてゆく。到来した偶然のチャンスを引きずり掴むその強さを、僕も持ちえたいものだ。 ・後半に登場するはブルジョアのベルナール氏だ。古い価値観にしがみつき、晩餐会での左派を呪うお決まりの会話に、お決まりの食事、旧弊を美徳と思い込み、世に背を向けることで自分を正当化する一群の人々の中に、彼もまた埋没するのか。だが彼は時代と向き合うこと(p153)を知り、行動した。すがすがしいほどの共感を得られた気がする。 「……自分の運命に立ち向かい、果敢に行動していかねばならない」(p174) 仮に帽子を手にしなければどうだったのだろう。きっかけは何であれ、彼らはそれでも、チャレンジ精神を発揮していたと信じたい。 それにしても、ミッテラン氏の懐の広さは見事。そしてシーフード・プレートと白ワインの描写も見事。今度パリへ行ったときに試してみよう。 | ||||
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大統領の忘れた帽子が色々な人の手に渡り・・・というお話。 設定されている年代が80年代という事で、私も著者の方と同じくらいに生まれて80年代を体験した世代で、あの頃はテロや戦争がなく物価も安定していて3食普通に食べられたいい時代だったなぁ(嫌な事もありましたが)と思ってしまいました。今のフランスの大統領は徴兵制を復活させるそうで、フランスでは反大統領のデモ等もよく起こっているという事で、80年代が懐かしいという著者の感慨を小説に昇華した感のある小説だと思いました(全然違うかもしれませんが)。 80年代という事であの頃のヒット曲でファルコという人の「ロック・ミー・アマデウス」とかヨーロッパというバンドの「ファイナル・カウントダウン」とか、人気のあったドラマ「ナイトライダー」とかあの時代を感じさせる小道具が作中に頻出するので、80年代に幼年期を過ごした人の方が面白いかも。もちろん、上記の事を知っていなくともとても面白い作品ですが。 作中、フランス料理が出てくる場面も多いですが、フランス料理に見識のあった日影丈吉氏のエッセイに依ると、フランス料理には安い食材でうまい物を作る深い技術があるそうで、この小説でも帽子というありふれた小道具から面白い小説を紡ぐ才気を感じました。著者の他の作品も読みたくなります。 個人的な事を少し書くと、よく拾った帽子を洗って使ったりする事があるもので、そういう帽子も風で飛ばされてどこかへ行ってしまう場合もよくあり、拾った人が捨てたり、洗って再利用したり、この小説の様に色々な旅を続けているのかもとか思ってしまいました。 80年代が懐かしくなる牧歌的かつ政治的な小説。是非ご一読を。 | ||||
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軽くてなめらかで、気が利いていて、しかも心に残る、でも奇妙な物語です。 「まったく現実味を欠いて」(21頁)いて、ほとんど行方知れずの「空想」(19頁)物語です。 コロコロと風に吹かれて転がって行って、どこかに行方不明になってしまった帽子の話のようです。 次々に、その「ミッテランの帽子」と出会った人間たちをめぐるお話しにつながっていきます。 それらを一筋に綴った物語がこの本です。日本文学の「連歌」のような物語だと思います。 「人生の重要な出来事はいつもささいなことの連鎖の結果である」(21頁) いったん読み始めたら、最後の「エピローグ」(179頁)を読まずには安眠できなくなる本です。 最初のお話しは、隣のテーブルの後ろの銅の帽子掛けバーに置き忘れられた「ミッテランの帽子」を こっそり頭にかぶってブラッスリー(レストラン)を出てしまった男のお話しです。 その主人公は、「首をぽきぽき鳴ら」(21頁)すクセのあるダニエル・メルシエ。 「帽子は帽子をかぶる人にそれをかぶらない人以上の威厳を与える、とダニエルは思った」(30頁) 「頭の上に帽子を乗せることで人は それを持たない人たちに 疑う余地のない威厳を誇示できるのだ トリスタン・ベルナール」 このエピグラフ(題辞)が大事です。この本の物語を要約しているからです。帽子 イコール 威厳。 「ナノ粒子ほどの極小の目に見えない何かが非物質的な形で帽子に残っていて、その何かが運命の息吹をもたらしたのだ」(34頁) そして、ダニエルには地方財務部長に栄転する幸運がめぐってきたのです。 それもつかのま。 新天地へ赴任する電車の網だなの上に 「ダニエルの帽子。ミッテランの帽子」(37頁)を置き忘れてしまうのです。 次の頁(38頁)は、ファニー・マルカンのお話し。 国税庁ル・アーヴル支局で秘書を務める女性のお話しです。 パリの有名な会社の管理職と「二年五か月と二週間」不倫関係を続けています。 このお話しは突然、なんの見出しもなく、始まっています。 著者は、区切り用の見出しも付けず、章立てもしません。 あたかも、この本全体が一つの流れの中にあるように物語をつづっています。 雨のパリの駅に到着した「ファニー」は傘を持っていなかったのです。 電車のコンパートメントの網だなには、忘れられた、持ち主のいない黒い帽子。 その帽子が目に留まり、「ファニー」はその帽子をかぶって電車を降ります。 「帽子の内側の革のバンドにF.M.という二文字が金色で刻まれていた。運命は彼女の味方なのだろうか。FとMの二文字をファニーは自分の名前、Fanny Marquant(ファニー・マルカン)のイニシャルとして読んだ」(47頁) 「フランソア・ミッテラン」(14頁)のイニシャルを、 勝手に自分の名前のイニシャルとして読んでしまった「ファニー・マルカン」の運命や如何に。 このお話しの教訓。 「偶然に交わされた言葉、それが関係の始まり。偶然に交わされた言葉、それが関係の終わり。その前は無、その後は空」(53頁) この「エドワールとの物語は今、帽子一つで幕を閉じた」(54頁) 感動的で、たまらなくステキで、エレガントな結末で幕を閉じました。 と思いきや、結論は「エピローグ」まで引きずられていたのです。著者はすごいストーリーテラーです。脱帽。 さて、突然ですが、次のお話しの始まり始まり。 パリの公園のベンチに座りながら、ぼんやりとしている「ファニー」の目に、 公園の広告塔に大きく貼り出された週刊誌の「表紙」が目に映ります。 「頭に黒いフェルト帽をかぶったフランソア・ミッテラン」(58頁)大統領の顔の表紙。 釘付けになったファニーは、大統領が自分を見つめているように思った、という場面で終わります。 これが、58頁です。この本は、まだまだ、185頁まで続きます。 こんなふうに、この本では帽子が仲介となって次々とお話しがめぐりめぐって続いて、展開していきます。 まるで「ミッテランの帽子」がリレーのバトンのように次々に、次の主人公へ受け渡されていく、 そんなエレガントな、サスペンス・タッチの小説です。 こんな調子で次々につながって進行していく物語なので、最後の頁を読み終わるまで、 この本の頁をめくる手が止まらなくなりました。 《備考》 この小説の舞台は、1986年~1988年のパリ。本作の刊行は、2012年。 「ミニテル(一九七〇年代にフランステレコムが開発したモノクロ画面のダイヤルアップ接続型情報通信サービス機)」(30頁) 「ミニテルのモニター内で、そこ以外に、ファニーを待つ人はいなかった。モニターは不倫をする人たちのために開発されたようにさえ思えた。 エドワールの自宅に電話をかけるのは不可能で、オフィスも難しかったので、二人は3615アラインサービス(ミニテルの出会い系チャット・サービス)を通じて連絡を取り合った」(43頁) | ||||
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著者のアントワーヌ・ローランは、1970年代初頭、パリ生まれ。 大学で映画を専攻後、シナリオを描きながら短篇映画を撮り、 パリの骨董品屋で働く。 小説「行けるなら別の場所で」で作家デビューし、ドゥルオー賞を受賞。 本書「ミッテランの帽子」は、4作目で、ランデルノー賞、 ルレ・デ・ヴォワイヤジュール賞を受賞し、十数か国に翻訳。 ミッテランは、1981年から1995年、フランスの大統領を務めました。 本書は、ミッテランのかぶっていた帽子を巡って、 ぐるぐるストーリーが進んでいきます。 「パリ、ジュテーム」や、「マグノリア」といったオムニバス映画をみているような 錯覚を起こしそうになります。 しかし、映画よりも小説で読まれる方がふさわしいと思います。 本書には、パリの文化がすべて詰まっています。 ファッション、メディア、香水、料理、政治、文化人、建築、調度、芸術・・・。 現状に行き詰まっている中で、主人公たちは、ミッテランの帽子を手にしたことがきっかけで、 状況が好転していきます。 たかが帽子。 されど帽子。 状況を変えるのは自分自身であり、そして、なによりもエスプリが重要と認識しました。 「訳者あとがき」で、小説にからむ1980年代のフランスの時代背景に触れていますので、 このあとがきを読んでから小説を読むと読みやすいかと思います。 | ||||
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クレストブックスはほとんど読んでいますが、これは久々の一気読みでした。 「洒脱な大人のおとぎ話」とあるとおり、ストレスを感じることなく読めるのがいいですね。 最後のエピローグを読むと、帽子の本来の持ち主のミッテランはまさに「大人の対応」です。 穏やかにほんわかとした気分で、年の瀬を過ごすのにおススメですね。 | ||||
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