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(短編集)
東京湾景
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東京湾景の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.83pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全55件 41~55 3/3ページ
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この“恋愛小説”をどう読めば良いのか実は判断がつかない。作者は愛、男女の繋がりというものを結局のところ信じているのだろうか。 女性の勤める「お台場」と男性の働く「品川埠頭」の距離はたったの1キロ。でもあいだを東京湾が隔てておりアクセスは悪い。これは明らかに主人公男女の距離関係だ。話の途中、りんかい線が開通し男女の距離は接近したかに見えるが、愛の永遠を証明するためには“泳いで渡って見せる”しかない。小説は男性がこの途方もない行動に出たのかどうかを描かずに終わる。 携帯メールというメディアで男女の関係を象徴的に示したり、お台場、品川港南口、天王洲アイルと言った東京の新しい風俗を観光ガイド風に記述したり、セックスを幻想的に描いたり、かなり“通俗的な恋愛小説”のコーティングを施してるけど、作者の真意はどこにあるのだろう?これまでの“一筋縄ではいかない吉田修一”を意図的に回避し、わかりやすすぎるシチュエーションや言葉を使っているが、それはどうしてなのか?この小説は「なぜの嵐」である。 小説中に、“主人公男女を主人公とした”雑誌連載小説というものを登場させ、その連載小説の筋書きを現実がなぞる、といったメタな仕掛けがあったり、一見シンプルでいて実は仕掛けの多い小説だ。小説中の連載小説は作者の「私にはまだ傷がない」という理由により休載になるのだが、結局傷を負ったり、東京湾を泳いで渡るしか、愛とは手に入らないものなのか。大体愛ってなんだ?幻想か?信じるってことか?と色々考え込んでしまう、悩ましい、すっきりしない、混沌とした、だからこそ面白い小説である。会話における若者達の言葉遣いや、若者達の“文学”に対するスタンスがよくスケッチ出来ていて、そういった点も感心した。 | ||||
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東京を舞台とした恋愛小説で、たまたま江國香織さんの「東京タワー」と並行して読んだのですが、「東京湾景」のほうが断然心に染みました。いままでの吉田作品と比べると、登場人物に感情移入しやすいです。 吉田さんは「パークライフ」では日比谷公園という東京のど真ん中を舞台にしていましたが、この作品では品川&お台場と、東京の淵の部分を舞台にしたんですね。品川港南口倉庫街の静かで暗い夜の雰囲気。東京の、あまり知られていない側面が描かれていると思います。 次の5つのことにピンとくるような方が読むといいんじゃないかな。 ・べたべたしてない・ひとりで生きてる・過去ときちんと向き合ってる・ときどき大胆なことがしたくなる・さびしい、という感情がある | ||||
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人間関係の描写の使い方がすばらしい。出会い系サイトで知り合った亮介と美緒。この2人の感情の移り変わりが彼らの友人との会話や行動を通してうまく表現されている。1つ1つの言葉や表現は何気ないのに、全体として見てみると2人の感情がよく伝わってくる。読み応え十分。登場人物たちはみな冷めている感じがした。絶望とかそういう大げさなことではなく、ただ毎日を淡々と送っている。人を好きになることに熱中してる訳ではないが、だれかといっしょにいたいと思ってしまう。そんな空気感はリアリティありでしょう。装丁もきれい。 | ||||
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著者は物語を構成する「場」の設定が実に巧みである。お台場にある大 手石油会社宣伝部に勤めるキャリアウーマンの美緒は23階のオフィスビ ルから東京湾を隔てた品川埠頭をみおろす。その品川埠頭で汗と埃にまみ れてフォークリフトを操る亮介は近くのアパートに暮らす。この2人をめ ぐる淡くも切ないラブストーリー。 この東京湾で隔てられた2つの「場」そしてその雰囲気が2人のキャラク ターを設定する。そしてその視点やすぐ近くに見えるが、行けば遠い位置関 係が二人の恋愛をめぐる心の距離や心の風景を実にうまく象徴している。肌 と肌とを重ね合わせても心はピッタリ重ならない。何かはっきりしない結末 も今時の恋愛を象徴するのか? 文章は切れ味鋭く、テンポも速い。ユーモアもちりばめ一気に読めた。 ただこれだけいろいろ工夫して設定してもなぜかキャラクターのイメージに 希薄なところがある。それはなんなんだろう?もう少し具体的な肉付が-- そのための仕掛けとか小道具とか--必要ではないかとおもった。 豊作 | ||||
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亮介と美緒の恋なのかただの肉体関係なのかわからない関係が 亮介の過去の恋愛歴や美緒の男関係で だんだんなくてはならない存在だと気づいていくところの 描写が私にはリアルに響きました。 私は片山恭一さんの『世界の中心で、愛を叫ぶ』も読みましたが、 吉田修一さんの『東京湾景』には勝てないなと思いました。 | ||||
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東京湾に隣接した品川の船貨物倉庫で働く亮介は、メールの出会い系サイトで涼子と知り合い、羽田空港で出会うが気まずく別れる。亮介は倉庫見学に来た作家青山ほたると知り合い、彼女の新しい連載小説のモデルにされる。メールのやり取りで再開した亮介と良子の関係、そしてその関係は、青山ほたるの作品でもパラレルに進んでいく。 東京湾をはさんで働く、立場は違うが同じ恋愛観を持った男女の関係を描いた作品、さすが吉田修一、江國香織を感じさせるような恋愛小説だけど数段うまい、といってもただの恋愛小説です | ||||
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東京湾景、最高でした!久しぶりに読み終わるのがもったいないって思いました。 まず目次にやられてしまいました。そして、出会い系での出会いっていう微妙な感じ、きれいな表紙に衝動買いしました。 俺はもともと台場とか天王洲とかベイエリアが大好きで、前の彼女も近くに住んでいたので、小説にのめりこんじゃいました。 いつも思うけど、あの辺って恋が似合う場所だと思います。 小説は風景描写がすごく綺麗で、どの登場人物もなんか味があって、印象深く、読み進んでいくうちにちょっと切なくなってくるような、心に残る余韻のある物語でした。 読んでる間、俺は恋っていいなあ、お台場いいなあ、湾岸沿いいいなあ、また行きたいな、明日、行こうかな、けど、切ないなあって感じで本当に良かったです。 パークライフの著者だとは知っていたけど、作品を読むのは初めてだったのですが、すごく良かったので他の作品も読みたいです。 東京湾、お台場、天王洲、モノレール、湾岸沿いの道、レインボウブリッジ、恋愛、切ない恋愛小説が好きなら絶対お勧めです。 俺もこんな雰囲気の恋愛をいつかします(美人と)。 | ||||
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パークライフにしても東京湾景にしても東京に住んでいる自分にとっては、すごく情景が分かりやすいし、わざとらしくない設定に親近感を覚えます。 その分、なかなか品川やお台場に親近感のない人が読むには表現が不足していてイメージが伝わらないかもしれません。 身の回りにいる人物と登場人物を自然に重ね合わせてしまいそうになりました。 情景描写、主人公の気持ちの描写などがバランス良く書いてあって 読み終わったあとにすっきりとしっかりと心に残る本です。 | ||||
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出会い系がよくわからないんですが、こんなにうまくいくんですかね。 職場が品川のせいか、とっても情景の描写がイメージしやすかったです。最後の場面もすごくキレイでした。 読み終わったあとに、サワヤカな気持ちになれる一冊と思います。 下手なレビューですみません | ||||
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亮介と偽りの名前、涼子との出逢い系サイトでの出会い、私は出逢い系サイトなんてやった事ないが、こんな出逢いで2人の心境の変化がどうなっていくのだろう、と思って読んでみた。涼子の本名は美緒と分かって、亮介がどう思うのか興味があった。出逢い系サイトに本名なんて書かない、それ位私も分かっていた。涼子の本当の名前をすんなり受け入れ、真理と別れて美緒との恋愛を選らんだ亮介。この2人は上手くいかないと思っていたが、読んでいくうちに2人は素敵な恋愛が出来る様な気になっていた。この物語の終わり方、その後の事を考えるのは人それぞれ。私はきっとこの2人は上手く恋愛出来るかなと思った・・・。美緒と亮介、それぞれの心境を読み終わってから考えてみると、この本の良さが出て来るはず。読み終わったら、暫く恋愛というものについて考えて欲しい。 | ||||
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舞台は、新幹線新駅開設とりんかい線の開通に伴って再開発が一層進み、超高層マンションが雨後の筍のように次々と建設されている品川駅港南口。 らしさを感じさせる部分は、まず、人は他人と「分かり合う」ことなどできず、自分というフィルターを通過した情報から意識の中で再構成された「他人」としか関わり合えないという事実が、明確に示されていることだろう。 また、この小説は、主人公2人がそうした事実に絶望して終わるのではなく、そのような認識を経た後でなお、あえて「信じる」ことを選び取り前に進もうとする、そんな場面で幕を閉じる。 その場面で描かれる2人の気持ちのありようには、あえて演じてみせるという「わざとらしさ」が拭い難く張り付いるけれど、そうした「わざとらしさ」とは、その言葉から想像される軽いノリのものでは決してなく、むしろ正反対のとても真摯なものなのだ。 というよりむしろ、そのような認識を通した後に残る「真摯さ」は、そうした「わざとらしさ」を抜きにしてはありえない、そう、作者は言っているように思える。 | ||||
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階級制度のない今でも、やはり、それぞれの生活環境やレベルに応じて、微妙な住み分けができているのが私たちの暮らす日本の現状。 品川の倉庫で働く男と、対岸のお台場のビルで働く女。 これって、一昔前は、身分違いの恋みたいな方向で、話が進むところだけど、恋の本質はそんなところにないでしょうっていうことを見事に描ききっています。 すれ違い、重なり合う二人の心の揺れは、どんな環境でも、どんな状況でも、昔からずっと変わらないんじゃないのかな。 ただ今の東京という都市の情景を切りとる、描写が、ほんとうにしみじみ美しい。 これは絶対、映像化したものを見てみたい気になりました。 主人公の二人や、周囲のひとびとの配役を誰にしたいかなぁなんて、考えるのが楽しいっていう読み方もできると思います。 | ||||
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読み終わって、ちょっと力がわいてきました。 人を好きになることに私も臆病になっていました。 だから主人公たちの気持がすごくよくわかった。 気持の行き違いとかあっても、私も信じてみよう、 きっと前に進めると思えたことがすごくうれしかったです。 | ||||
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この『東京湾景』は、今年のベスト1と言える位、ハマりました。 ヒロインの女性に共感しまくって、ラストシーンには思わず涙。『世界の中心で愛を叫ぶ』のときも泣いちゃったけど、あのときの涙より、ずっと前向きというか、自分に近いところで泣ける感じです。女の子には、この気持ち、きっと分かってもらえると思うし、男の子にも読んで、女心を勉強して欲しいです(笑)。 それにしても、この著者は男性なのに、すごく女性心理が分かっててオドロキました。きっとすごくモテるんじゃないかという気がします。 | ||||
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正直に言って、あまり期待はしていなかった。 物語の始め「出会い系サイトで知り合った「涼子」いうなの女性。 心のつながった恋愛を信用できない二人、お互い何かを求め彷徨い続ける。 「永遠の愛」とは何かをきれい事で描いていないところ、きれい事で物語を終わらせていないところがいい。 平凡と言えば平凡なのだが、無意味にごちゃごちゃしていないところが好感を持る。 何度か読み返して「永遠の愛」について考えてみるのもいいと思う。 そして「この本は、長く手元に置いておきたい」と思える小説である。 | ||||
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