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ひなた



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【この小説が収録されている参考書籍】
ひなた
ひなた (光文社文庫)

ひなたの評価: 3.84/5点 レビュー 25件。 Cランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点3.84pt


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全17件 1~17 1/1ページ
No.17:
(4pt)

ひなた

新堂レイは、誰もが知っているブランド、Hの広報に就職したばかりの新卒。昨年、元同級生の大路尚純と偶然再会して付き合い始めた。尚純は一浪でまだ学生、文京区小日向の実家に家族と暮らしている。その実家に兄浩一と兄嫁の桂子が引っ越してくるという。兄嫁はファッション誌の副編集長だ。浩一には離婚しそうな友人、田辺がいる。田辺はいつも日曜の午後浩一に電話をかけてきては浩一を連れ出していく…。
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No.16:
(4pt)

女性の居場所とは?

働き続けるにしても、主婦になるにしても、女性の居場所には何らかの理由がいるらしい。常日頃から抱いているのではなく、ふとした瞬間に足元が揺らぐのかもしれない。日常の淡々とした物語の中、ちょっと斜めからの思考が入る物語は大好きだ。みんなの居場所が「ひなた」であってほしいとのタイトルだろうか。
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No.15:
(4pt)

軽く読むのはもったいない。

ビートルズでいえば、ノルウェイの森、みたいな。好きになると憑りつかれるような深い作品。すべての章がそれなりの毒をはらんで重くて深い。不義の子供、不倫を重ねる妻、何も知らない哀れな男二人、前途明るく見えるけどそれではすまなさそうな彼女。それぞれの闇、濁り、澱み、そして救い。大なり小なりこういうものを抱えて生きる現代の男女、でも、どこか他人事のような醒めた目線で傍観する危うさと怖さ。やっぱりこの作者は一筋縄でいかない心の機微を描くのが上手い。階段に座って、幸せでいるって幸せじゃない、みたいなことを考えるお母さんの心。これを理解するだけでも数日かかるでしょう。それだけ、味のある小説です。
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No.14:
(4pt)

適度な距離感

互いを思いやりながらも、触れてはいけない何かを持っている恋人、夫婦、家族の物語。

一流ブランドに就職した新堂レイ、恋人の大学生 大路尚純、尚純の兄 銀行員の浩一、浩一の妻で編集者の桂子。春夏秋冬毎に4人それぞれの思いが語られていく。

自身のキャリアに悩むレイ、はからずも父母の隠された過去を知った尚純。浩一は親友田辺への想いをつのらせ、桂子は不倫から引き返せない。

何かあることを気付きながらも、それを踏み越えると今までとは同じではいられない。だから、他人を傷つけたり、自分が傷ついたりしない適度な距離感を保っているのだろう。同性愛や不倫を持ち込んでいるものの不快な気分にさせることなく、男女間の心のゆらぎを表現している。男女や家族の関係すべてに、本作品のようなドラマがあるわけでないけれど、共感できるものは確かにある。

ラストの浩一と桂子の抱擁シーンは、せつなくてホロリとしてしまったよ。
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No.13:
(4pt)

吉田修一ワールド

4人の主要キャラがみな不穏な空気に包まれている。
でもって、ライトな感覚で際どいことをしてたりする。
もちろん各人にはそれぞれの悩みがあるのだが
その危ない行動について、作者は一切言い訳をさせない。
それが逆に深い余韻になる。
できれば続編を読みたい。
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No.12:
(5pt)

この本はお勧めです。

彼の作品は、なんとなく歪んでいて面白い・・・この作品もなかなかです。これからも出版される本はすべて読みたいと思います。
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No.11:
(5pt)

面白い本です。是非読んでみてください

彼の作品は、なんとなく歪んでいて面白い・・・この作品もなかなかです。これからも出版される本はすべて読みたいと思います。
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No.10:
(4pt)

丁寧な取材を思わせる

Hの頭文字を持つ有名アパレル会社に就職したフランス語も話せる元ヤンキーの姉ちゃんとその大学生の恋人、その恋人の信用銀行勤めの兄とその雑誌編集者(後、専業主婦)の妻の語りで春夏秋冬が綴られる形式のお話。内容自体はいつもの上手さだが、書き手からすると、この話に関しては取材が徹底していると感じた。H内部の直接描写は多くないが、そのらしさ、日常会話での仕事の様子の説明、雑誌社の雰囲気のらしさ……これらは実際はどうだか知らないが、編集か知り合いに頼んで予め質問事項を用意して取材した感が強く感じられた。
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No.9:
(5pt)

読んでいてつらくなりました。

吉田修一の「ひなた」を読了。読んでいてつらくなりました。人間の嫌な部分、隠しておきたい部分、裏切りについて、家族みんなが持っている。しかしその家族は、傍から見ると上手くいっている。その嫌な部分に折り合いをつけられるからこそ、大人なのかもしれない。

でも自分はイヤ。青臭くとも何でもいいけど、この世界観はイヤだ。唯一、レイと尚純には救われる。
でも星は5。ここまで心を締め付けるということは、きっと自分もこんな世界を持っているから。そんなことを気づかせてくれた作品だから。

でも女性ファッション誌に連載されていた作品と聞いて、女性の感覚ではアリなのかと、ちょっと恐怖を覚えた中年男子なのでした。
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No.8:
(4pt)

4人の視点

それぞれ誰にも言えないことを胸の奥に持ちながら、
普段と変わらない日常を送っていくという作品。
ちょっとした出来事はあるが、何か劇的なドラマチックなことがあるわけではなく、
さらっとした内容。
深い心情までとらえているわけではないので、後味はさっぱり。
少し物足りなさもあるが、さわやかなような、寂しいような、ほんわかするような、そんな作品。
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No.7:
(4pt)

日常生活が不安定なものであること

大学生の大路尚純と彼女、尚純の兄と兄嫁の男女4人が、それぞれの立場から語り手となり、ひとつの小説を構成している。吉田修一の読者にとってはお馴染みの手法だ。今回は4人の“書き出し”を合わせるといったお楽しみ的な細工も見られる。
 「JJ」連載ということで、女性主人公は兄嫁が雑誌編集者、彼女がアパレルの広報といった「月9」ばりの流行り職業だが、男性のほうは兄が信金勤務、弟がフツーの大学生といたって地味、さらにはプレスの彼女も実は族上がり、こうした予定調和でない設定が逆にリアリティーを生んでいる。本作は4人の視点によって、大路家周辺の家族関係、夫婦関係、友人関係の表層と深層を描き、一見、賑やかで和やかで安らかな日常が、不倫や同性愛や出生の秘密に支えられた不安定なものであることを示している。「東京湾景」は実際「月9」になってしまったわけだけど、甘いコーティングに潜む毒を描くことこそが吉田修一の本質なのだと思う。そして闇を抱えながらも日常を生きていくことを是とする前向きな現実主義と楽観主義に救われる。
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No.6:
(4pt)

同居と別居

夫婦と独身の次男が住む核家族の家に長男夫婦が同居を始めますが、
いろいろあって次男が出て行きます。親夫婦は仕事で外国で暮らすようになります。
さらにはちょっとゲイっぽくって、長男に気がある人が一緒に住み始めます。

別居していればそれぞれの人がそれぞれに生きているんだけど、
同じ家に住んでいたり、昔、同じ家に住んでいたことがあるということで、
ひとつの関連のある全体像ができあがってきます。

人々を結びつける中心にあるのは家なんです。
概念的な家じゃなくて、実際に壁があり、屋根があり、部屋のある家。
特に暖かいひなたがその役割を果たします。

ちなみにこの家は、東京の小日向(こびなた)にあります。
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No.5:
(4pt)

かげ

誰もが影の部分を持っている。

それは秘密と呼ぶのかもしれないし、傷と呼ぶのかもしれない。

それを共有することが、共有できる関係が、家族、友人なのか?

答えはNoだ。全てを共有すれば人間関係は破綻しかねない。

どんなことにもバランスがある。

弱い部分があるから強い部分が生まれるし、

傷を持っているから他人にやさしく出来る。

人は他人の完全さに憧れ、他人の不完全さを好きになる。
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No.4:
(4pt)

日常生活が不安定なものであること

大学生の大路尚純と彼女、尚純の兄と兄嫁の男女4人が、それぞれの立場から語り手となり、ひとつの小説を構成している。吉田修一の読者にとってはお馴染みの手法だ。今回は4人の“書き出し”を合わせるといったお楽しみ的な細工も見られる。

 「JJ」連載ということで、女性主人公は兄嫁が雑誌編集者、彼女がアパレルの広報といった「月9」ばりの流行り職業だが、男性のほうは兄が信金勤務、弟がフツーの大学生といたって地味、さらにはプレスの彼女も実は族上がり、こうした予定調和でない設定が逆にリアリティーを生んでいる。本作は4人の視点によって、大路家周辺の家族関係、夫婦関係、友人関係の表層と深層を描き、一見、賑やかで和やかで安らかな日常が、不倫や同性愛や出生の秘密に支えられた不安定なものであることを示している。「東京湾景」は実際「月9」になってしまったわけだけど、甘いコーティングに潜む毒を描くことこそが吉田修一の本質なのだと思う。そして闇を抱えながらも日常を生きていくことを是とする前向きな現実主義と楽観主義に救われる。

 なんでもない風景が実は不安定で歪んだものであることを教えてくれる安村崇の表紙写真も、作品内容にマッチしている。
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No.3:
(5pt)

嘘と不安

登場人物の誰もが、嘘と不安を抱えています。あるいは、嘘があるから不安になり、不安から逃れるために嘘をつく。そんな「日陰」を抱え込んでいる登場人物たち。けれど誰もが一様にひなたに憧れ、ひなたを守ろうとし、ひなたに自分の居場所を見つけようとする。

それは決して遠い物語の話ではないように思えます。自分自身を振り返ってみれば、登場人物たちと同じように、ほのかな嘘とささやかな不安を隠し持っていることに気づきます。そして読み終えたとき、自分がとりたてて何の意識もしていなかった生活の「ひなた」が、ひどく愛しく、大切なものであるように思えました。
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No.2:
(5pt)

感性を柔らかくときほぐす文章

4人の人物それぞれの視点から語られる1人称の「日常風景」。どこにでもありそうな会話/行動に、自らが持つ狡さや脆さ・弱さを炙り出しにされるような瞬間が多く存在する。全体を通して感じる言いようのない不安感・いたたまれない感覚こそは、こうした普段は目を背けようとしている自らのネガティヴな感情に向き合うことを余儀なくされることから来ているのではないだろうか。

自らの弱さ故に生じる孤独感・空虚さから、相手への裏切りとなるような行為を行う人間の狡さ。そういったものを直視する作業は楽しいことではない。けれどもそうした負の感情のフィルターを通して見つめ直される"大切な人を想う感情"は、これまでに無い鮮やかさを持って胸の内を激烈に渦巻く。知らぬ間に随分と硬化していた感情の殻を、丁寧に丁寧に剥ぎ取っていく文章。

吉田修一が書く物語を読み終えたとき

自分を取り巻く世界はいつもよりほんの少し

鮮やかな質感を伴って目に映る。
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No.1:
(5pt)

「ひなた」の上のヴェール

吉田修一の久々、そして待望の新作。

彼の小説は単に男女の関係を描いてはいない。いつも人間と人間、その不完全なものどうしが織り成す会話、そして場面を丹念に描くことによって、その心の表面を覆ったヴェールのようなものをうまく書き出してみせる。

今作も兄弟、夫婦、恋人。様々な人間模様を軽いタッチで描いてみせている。ただその軽さの向こうには、日常がずれていく恐ろしさ、他人や自分と他人が作り出す環境へ適応することの難しさが潜んでいる。普段はあるかどうか気がつかない、自分が纏っているヴェールのようなものがしっかりとした手触りで描かれているのだ。

でも軽いんです。一気に読めてしまいます。
吉田ファンならずともオススメの一冊です。
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