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共喰い
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共喰いの評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.19pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全92件 61~80 4/5ページ
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さすがに芥川賞だけあって、他の作家よりも描写力のある文章を書くなあと思いました。 内容は、家庭に難をもつ男子高校生の物語。 それについて葛藤する、というよりかは、 親父のDVを悲観し、 自分の将来に希望をもてず、同時に親父と似てしまった自分の性に強く不安を抱いていく、というお話。 ただただ絶望していく……どんよりした内容です。 感動小説ではないでしょうが、 想像をめぐらせればめぐらせるほど、 主人公に感情移入してしまい、同情してしまいます。 あと、個人的に文章が読みにくいと思ったのですが、 これは主人公の投げやりな心情を象徴するために、わざとやっていることなのでしょうか? 一読の価値はあると思います。 が、ストーリーの面白さを追求する人には、ちと合わない作品かもです。 | ||||
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受賞会見が話題になり気になっていたので近所の本屋へ駆け込むが、品切れの状態に。これまた近くのTSUTAYAへ直行するがここでも置いていなかった。相当人気なんだなあと思いつつ、しばらくたってから本屋で購入。日本の地方都市で繰り広げられる土着的な香り漂う濃いめの物語。下関弁、暴力、セックスが一体となって絡み合い、その粘っこい文体からはどぶ川に沈殿したヘドロのような匂いさえ漂ってきそうだ。ただ文体、物語、共に新鮮さは皆無で昔ながらの中華そば(正統派純文学)を食べている感じか。流行のラーメンに食べ飽きて、懐かしの味が恋しくなった方はぜひご一読を。 | ||||
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半ば狂ったヒトという生き物の業が熱気と共に伝わってきて、そのエネルギーに煽られる。狂っているのはオスであるが、それを受けとめているメスの優しさは天女のようでありながら、時に神のように厳しくオスを審判する。既視感のある世界であるが、「川辺」の暗鬱な光景描写と会話のリアリティある方言を得て新たに甦ったようだ。 しかし違和感も残った。結末は物語が踏む定型であろうが、それ故にやや甘く性急でカタルシスには遠かった。こんなにも都合良く罰は下されるものだろうか。 | ||||
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救いようのない話、という点では西村健太の「苦役列車」と似てるような気がした。 本当に汚くて生々しいが何処か郷愁を感じる。雨が振り止んで、親父が死んで、 母親が刑務所に連れていかれて全てを失った虚無感の後に希望を示唆する終わりが いい読後感を与えてくれた。同時収録の「第三紀層の魚」の方が個人的に好み。 | ||||
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この小説は、今年(平成23年度下期)の芥川賞受賞作品である。 昭和と平成の狭間・昭和63年7月。遠馬は17歳。遠馬の恋人(というかセフレ)。父・円。母・仁子さん。父の愛人・琴子さん。父と子の性癖は、閉塞感の漂う時間が滞る街で、悲劇から解放へと向かうのか。そして女たちは・・・・? まるで『スターウォーズ』のルーク・スカイウォーカー(遠馬)とダース・ベイダー(父)のように、父子の構図が描かれる。 ルーク(遠馬)は父親アナキン(円)のように暗黒面(女を殴る性癖)に沈むのか、フォース(母性)の力で救われるのか? ある論評で、「仁子さんのハードボイルドとして読んでも面白い」というのがあったが、仁子さんは『スターウォーズ』でいえばハン・ソロのようなもので、フォースの力をかりなくても、自分の力で因縁を断ち切る。不謹慎ではあるが、仁子さんの義手がライトセーバーに見えてくる。 この小説の男たちは、まるで寓話の中の生き物だけど、女たちはリアリティがあり確かそこに生きている。作者がわざと仕組んだのなら成功している。男はすぐに虚構の罠にはまるし、はまりたがる。寓話と写実は背中合わせの双子の兄弟といえなくもない。 不愉快なセックス描写や沈痛な雰囲気で、重い気持ちで読み進んだが、後半の女たちの行動にカタルシスを感じる。 この作者、顔に似合わず女を描くのがうまい。(失礼) | ||||
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個人的には、話自体には魅力を感じました。 パッと見、人間関係が簡単なようで、実はかなり複雑な様子がひしひしと伝わってきました。 作者が伝えたかったこともわかりはしますが…… 正直、これだけ? って感じです。 比べるわけではありませんが、自分が過去に読んできた作品に比べると、どことなく物足りず、自分に影響を与えた……とまでは言い切れない、暇潰しになったという作品でした。 ただ、一読する価値はあるかと思います! 最後に、性描写がヘンに生々しいので、そういうのが嫌いな方は読まない方がいいかと | ||||
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批判的なレビューを書くのもいいが、批判するならするで、正確に書く(あるいは書こう)とするべきだ。「中上健二がいるからいいやん」みたいなことを言って批判しているらしきものがあったが、「中上健二」というのは一体誰だ?もしかして、「中上健次」と書きたかったのだろうか?「中上健次」と言えば、かつて村上龍が同賞選考委員の時、中上のある作品を挙げ、自分はこれを基準にしているから、という理由で、ある作家を落選させたことがあった。しかし、実際のところ、こういうロジックは「カラマーゾフの兄弟」があるから、「1Q84」はいらないと言うのと同じで、あまり意味のある批判ではないと思う。 | ||||
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受賞時のなんともユニークな会見には笑いました。 久しぶりに喝采でした。 こんな人物がどのような作品を書き芥川賞を受賞したんだろう。 期待と興味で読み進みましたが、正直難解な作品でした。 性の描写も理解できず、この作品で優しさは感じませんでした。 セリフが方言のせいでしょうか、文体に不思議なリズムと抑揚を感じました。 主人公が潰れた鰻の頭で欲情するのも女性としては理解できず。 この著者の長編を期待しています。 読んで損はない作品であることは間違いないと思います。 既に20万部売れたそうですね。 高校卒業後、職にもつかず毎日毎日書き続けたとか。 こういった苦労・信念が報われることもあることに希望を見出しました。 | ||||
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芥川賞の受賞作品ということで読んでみました。ロンドンブーツの田村淳さんと同じ 下関の出身ということもあり私も山口県のど田舎の出身だからなんとなく気になっていました 「共喰い」は昭和の片田舎のドロドロ感がよく出た小説だと思いました。女性を殴らずにはいられない父と息子の物語都会よりも人口は少ない割に嫉妬深さがあったりする独特のコミュニティーだと大人になってからも感じさせれれることがある… この作品ですけど週刊新潮に実際の殺人事件を基にした 小説風の作品が掲載されているのですがあの作品に似た感覚を受けました。割と具体的で過激な性描写は近年の芥川賞では「蛇にピアス」にもやや似ている気がします。川と鰻 生臭さなどが性と生などの感覚を鮮明にさせてる気がします。ややグロテスクな印象も受けましたが… 私は普段政治関連本やエッセイのような作品は読むのですが こういった純文学に近い文章を読むのは久々なせいなのか やや難解の作品に感じられました しかし作者の腕なのか割と苦も無く淡々と読めました。 もう一遍の「第三紀層の魚」は性描写は見られず曾祖父と孫の交流の話でした。こちらは割と短く読みやすいです 記者会見の態度が酷評されますが照れと田舎者という部分がいい意味で出ていてよかったと思う 同じような作家ばかりじゃつまらないでしょ この作品は立派な純文学だと思うけど | ||||
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この話、母が義手なのだが、その描写がやたらにすごい。 現在は、義手もいわゆる「手のかたちに似せたものではなく、使えるように」 デザインされ、マイノリティーの人のためにも やさしいデザインがあらわれる世界になったが、 60年代の世界にも、日本にはそんなマイノリティーの人々へのやさしさはなかった。 最後もその義手が鍵になる。、、、犯人が特定されて母は逮捕されてしまう。。。そして。。 今回の芥川賞は「ばかみたいな作品ばかり」と石原都知事は言ったそうだが、 やはり石原さんは、「やさしくない時代をつくった代表選手」なんだろうなあと思いました。 マイノリティーな人々を認めない、社会をつくった張本人たちには この作品の深みはわからないと思います。 | ||||
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本作は田中慎弥氏による第146回芥川賞受賞作。 全体的に暗鬱でグロテスク。 読んでいる間中、常に臭気が立ちこめるという印象が強かった。 それも海に近い川や魚など、どちらかと言うと生臭さが強い。 しかしそれはこの作品の重要な個性の一つだと思う。 性に関する描写も不必要さを感じず、ストレート且つ冗長感が無くてよかった。 (たまにサービス的に性描写を用いる作品もあるので) 舞台も登場人物もコンパクトでわかりやすく、余計なエネルギーを使わずに読める。 また、大雨と共にクライマックスへ向かう終盤はなかなか迫力があった。 「もらっといてやる」と大口を叩くだけのことはあるかも知れない。 陰気臭さ、泥臭さが目立つこともあり、好き嫌いがはっきり分かれる作品の典型だと思う。 爽やかな読後感を求める人には向かない。 個人的には結構好きな作品である。 | ||||
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女性を殴らずにはいられない父と息子の物語。男の暴力に向き合う女性たち が存在感があり魅力的である。 二人の母を持つ主人公、父との関係、セックス、筆者の構成の上手さもあり 一気に読める一冊です。 | ||||
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話題作で、何かを期待して読む人も多いだろう。 その「何か」とは、人生のヒントであったり、現代社会をあぶり出すような何かであったり、あるいは人間社会の真理だとか、はたまた強いカタルシスを持った感動であったり、人それぞれだろうが、芸術作品に触れる際に人は何かを期待する。そうでなければ、時間とエネルギーを割いて、文章を読むなんてことをするわけがない。 で、芥川賞は純文学の賞で、新人・中堅向けの賞であるからそこまで完成度の高い作品ばかりでもないが、日本で一番有名な文学賞でもある。純文学とは芸術で、それを読めば何かある。自分の中に何かが起きる。といった期待が出てしまう。 期待していたものが得られず、反動でレビューで低い点をつける人もいる。これは毎回の芥川賞受賞作に言えることだろう。いつものことだ。 ただ、作者自身「それまで本というのは役に立つものだと思っていたのに、役に立たなくてもいいんだとわかった。」と川端、谷崎、三島の作品に出会った感想を述べているように、別に文学というのは何の役にも立たない(=読んでも何も得られない)としてもいいものなのだ。もちろん、そんな作品が世間で持てはやされることに腹が立つというのは分かるが。 個人的には、日本の純文学らしい端正な文章に触れられたということで満足。ただ、物語内容は80年代くらいまでの日本っていう感じで、岡崎京子とかが出てきたのは何年前だったかな、と古さを感じた。コンビニと大型ショッピングモールが進出する前の地方という感じか。 | ||||
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受賞会見の発言を見て本を読んでみたいと思ったひとりです。 読んだ感想について 「川の悪臭が文字から臭ってくる初体験をした」です。 この本の中で繊細な部分の表現を読んで 記者会見の田中さんの、本質の中の田中さんを読んだように 思います。 賛否両論さまざまな意見が書き込まれているというのは とても良いと思います。 その場を与えてくれた田中さんに感謝します。 読むかどうか迷っているのなら 読まれた方がよろしいのではないでしょうか。 | ||||
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田中慎弥「共食い」を読了。テーマといい、内容といい、これまでの日本文学のフォーマットにのっとった作品です。性や暴力から人間性をあぶりだし、そして地方の土着的な思考を織り交ぜています。 このようなテーマなのに、読後は荒んだ気持ちにならず、逆に清清しい気持ちになります。それが作者の力量なのでしょう。不思議です。理由の一つに登場する女性に悪い人がいない、というのがあるのでしょう。 そして何より、文章が読みやすいのです。いい作家さんです。鷺の記述なんかは感動しました。 男読者の感想ですが、そういった点が「清清しさ」の源泉であるように思えました。 いい作品です。祝芥川賞。 | ||||
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芥川賞受賞ということで、かつて読んだ作者の『切れた鎖』いらいの鑑賞。あの頃の難解な文体そのままに、格段に読みやすくなっていて、この作者のたゆまぬ向上心にまずは脱帽するばかり。そして、内容もさらに深化され濃密な絵画的世界に圧倒されました。いつの時代も男は女を虐げることで、この社会を造り出している、それでも女は戦うことを止めない。それはやはり子供のため、例えその子供にも暴力の芽があろうとも。そんな力強いメッセージが、僕の心に響きました。高校卒業から小説を書くことしかしてこなかった、そんな作者を支え続けてくれた母への深い感謝も行間に満ちています。納得の芥川賞受賞作でした。 | ||||
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記者会見で著者のことを知りました。 興味本位で手に取ったのは確かです。 でも暗くてドロドロした話が好きな私はハマってしまいました。 文章が難しいのでスラスラは読めませんでしたが面白かったです。 | ||||
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しつこい描写に読み始めはうんざりしたけれど、読むうちに著者の優しさを感じた。 女の人に優しい人なんだろうか。 女の人に暴力をふるう話なのに、女の人を大切に描いている。 仁子さんの強さと愛が好き。 『第三紀層の魚』は、それぞれの静かな心の動きが『共食い』の強烈さを中和させてくれた。 | ||||
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「共喰い」のレビューです。 会話文の訛りがキツかったり、情景描写が難解だったりと読書をあまりしない人にはオススメ出来ない作品でした。 去年の芥川賞受賞作品「苦役列車」「きことわ」は初心者でも読める作品であっただけに、それとは対照的といえるでしょう。 頑張って5分の4ほど読んでしまえば、あとは一気。面白かったと言える作品になる思います。 この小説は、主人公・遠馬の心情を徹底的に追い求めている作品ですが、そんな中にもその他の登場人物の心情も垣間見れ、 物語全体を俯瞰できるところに面白みがあると感じました。暗いストーリー展開でもラストは温かく?締められ、 読み手のことを深く考えられた小説であることは間違いないでしょう。 70ページ程度の短い作品でありますが読み応えバッチリの重く、温かい作品です。 これから読む人はちょっと力入れて読み始めてください。 >読書時間:1時間強程度 | ||||
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他者に対する父親のふるまいが許せない。父の血が流れる自分を許せない。というそぶりをするが実は自己愛の塊の主人公。 家庭はもとから崩壊し、家庭の体を成していない。 しかし、集落の祭りには参加し、共同体の一人として役割を果たしてはいる。 よくわからない。 でも、何か文学的な感じはする。ストーリーに起伏もある。中途半端な感じがまた煮えきらなくていい。 何より、細かい描写がいちいちうまくて気取っている。文章を書くのが本当に好きな人だね。 「アパートの女の目は異常なほど澄んでいた。」の後、 「夢に見たこともない別な人生が通り過ぎてゆくのを眺めているに違いなかった。」なんて、ちょっくら思いつかないもん。 こういう会心の一撃風の文がいくつもある。 一部の選考委員はこういう技巧を嫌いかもしれないけど、こんなに一所懸命自分の文章を磨いて温めて愛撫している人には、やはり賞をあげてよかった。 | ||||
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