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蒼穹のかなたへ



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蒼穹のかなたへの評価: 3.75/5点 レビュー 4件。 Cランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点3.75pt


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全3件 1~3 1/1ページ
No.3:
(4pt)

心惹かれるタイトル

「蒼穹のかなたへ」(into the blue)魅惑的な邦題です。とても惹かれます。
「さらば愛しき人よ」と比肩するのじゃないかしら。
さて、以下若干ネタバレです。
最も疑わしくない人物が黒幕というのがよくある設定です。
ただその動機が何だったのか...それがこの本作の注目すべきところなんでしょう。
結末で明らかにされる、思わずのけぞり天を仰ぐ事実...
この衝撃こそがゴダードファンにはたまらないものだと思います。

ダメ男ハリーが主人公のお話は、この後「日輪の果て」「還らざる日々」があります。
臨機応変の才覚を発揮する主人公は好ましい限りですが、心身共に能力って使わないと
退化するんですよね。アル中でその日暮らしが突然やる気全開。作り事といえばそれまでですが、せめて、日々の暮らしは貧しいけれど、何かのプロフェッショナル(鋭敏な頭脳を常に鍛えている)であるという設定であれば、しっくりと感情移入が出来る感じがします。
蒼穹のかなたへ〈上〉 (文春文庫)Amazon書評・レビュー:蒼穹のかなたへ〈上〉 (文春文庫)より
4167254212
No.2:
(4pt)

ゴダードの技を堪能できる

週刊文春 1997年 海外4位。
このミス 1998年 海外6位。

フォーマットはミステリではあるものの、文芸作品に分類した方が納得できる重厚な仕上がりとなっている。ある出来事をきっかけとして、主人公が過去を探っていくうちに驚くべき真実が明らかになるというもの。やたらと多い登場人物と錯綜した人間模様、こんがらがったプロットが特徴的でもある。

登場人物たちの行動原理に納得性を持たせるためか、微に入り細を穿つがごとく、かなりねちっこい書きっぷりになっている。どこに伏線があるのか分からないので、気を抜いて読み飛ばすことができない。読み応えがあるかわりに、ストーリー展開が緩慢なので、ゆったりと作品を楽しむ余裕が必要だと思う。ミステリという冠だけで本作品を手に取ると苛立たしさを感じてしまうかもしれない。

本作品は、ラストに一気に真相が氷解するのではなくて、主人公ハリーの試行錯誤ともいうべき行動が、網の目のように入り組んだ因果関係を少しづつ解きほぐしていく。巧妙なミスリードが仕掛けられているので、ハリーとともに途方に暮れることしばしばだ。長く地味な物語であっても読者を飽きさせることのないゴダードの技を堪能できる。

本作品は最初から影の存在を感じる。”誰が”というのが、おぼろげながら分かるのだ。そうであっても、ハリーがたどり着く暗く悲しい結末には、あっという驚きが隠されている。中年男の再生の物語という側面もあるので、ハリーとともに読者は、しばし感慨に浸ることになると思う。伏線を見落としていると辛いのだけど。
蒼穹のかなたへ〈下〉 (文春文庫)Amazon書評・レビュー:蒼穹のかなたへ〈下〉 (文春文庫)より
4167254220
No.1:
(4pt)

初期作品はいい

1986年に処女作「千尋の闇」を発表したゴダードの1990年の作品である。最近のゴダードの作品は質が落ちたとよく聞くが、この作品は、4作目ということもあり、まだまだ初期ゴダードの質を保っている。とは言え、でだしは退屈だった。物語の事件の起こりを説明する部分なのだが、読んでいて楽しさが感じられなかった。日本人には比較的馴染みの薄いギリシャの、とある山での出来事、ということも関連しているだろう。この作品がおもしろくなってくるのは、主人公が失踪した女性の残した写真を発見し、そこに映っていた被写体を順次追いかけていくあたりからだと思う。ゴダードは作品の中で、さまざまなテクニックを使うが、この作品では、ある人間の行動を写真の順番通りに追いかけることにより、その人物が何を感じ、どう行動したか、の謎を順次解き明かしていく、という方法をとっている。上巻では、オックスフォードのあるクラブでの出来事(ゴダードはケンブリッジ出身だが)、精神科医、などが重要なカギを握ることが明かされる。下巻に入る前に明かされた謎で、話の流れが決定しないどんでん返しが待っているのがゴダード作品だが、その結末やいかに・・・。下巻に期待。
蒼穹のかなたへ〈上〉 (文春文庫)Amazon書評・レビュー:蒼穹のかなたへ〈上〉 (文春文庫)より
4167254212

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