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ロンドン橋が落ちる
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ロンドン橋が落ちるの評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点5.00pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
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アメリカの推理作家ディクスン・カーは英国史に精通し、昔のロンドンの風俗と犯罪者の世界を、一連の歴史ミステリーで生き生きと活写した。カーは下院議員の父を持つ、アメリカのインテリ一家に育ち、イギリス女性と結婚し、長らく英国で暮らした経歴の持ち主である。彼は密室トリックの大家として、数々のミステリ−の傑作を書いたのは知られている。その一方、後期には古くはチャールズ2世時代を舞台とした「ビロードの悪魔」から始まり、ジョージ4世朝の「火よ、燃えろ!」まで、イギリスの裏社会を描く数々の歴史ミステリーを書きつづけた。 この「ロンドン橋が落ちる」では、舞台をジョージ2世治下の1757年に設定し、ロンドン警視庁の前身となるBow street runnersを創設したジョン・フィールデイングや当時有名な作家ローレンス・スターンといった実在の人物を狂言回しとして登場させている。場面は、橋の上に4階建の家々がびっしり建っていた時代のロンドン・ブリッジから始まり、蝋人形館、Bagnoと呼ばれる、怪しげなトルコ風呂、悪名高きニューゲート監獄と、息つく間もあたえない。当時の風俗と退廃を数々の銅版画で描き、時代の告発者となった画家・ウィリアム・ホガースの世界そのものである。 ただ、これらの歴史ミステリーを正統的な推理小説と呼べるかとなると、少々疑問だろう。本格ものの巨匠として有名なディクスン・カーであるが、これら一連の作品では、彼は歴史に遊び、トリックなどにさほど心血を注いでいない。むしろ、これらの歴史ミステリーは、剣戟と美女が登場する、波瀾万丈の歴史ロマンスに近く、アレクサンドル・デュマの「三銃士」を連想させる。 そのうえで、わたしはこれらの作品を推奨したい。次々とディクスン・カーの歴史ミステリーを読んでいくと、通り一遍の教科書では知りえない英国社会のダーク・サイドがまざまざと理解できるだろう。ともかく、血沸き、肉躍る傑作群である。 | ||||
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