■スポンサードリンク


ロンドン橋が落ちる



新規レビューを書く⇒みなさんの感想をお待ちしております!!
【この小説が収録されている参考書籍】
ロンドン橋が落ちる (ハヤカワ・ポケット・ミステリ 1195)

ロンドン橋が落ちるの評価: 5.00/5点 レビュー 1件。 -ランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点5.00pt


■スポンサードリンク


Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全1件 1~1 1/1ページ
No.1:
(5pt)

18世紀のロンドンに招待

アメリカの推理作家ディクスン・カーは英国史に精通し、昔のロンドンの風俗と犯罪者の世界を、一連の歴史ミステリーで生き生きと活写した。カーは下院議員の父を持つ、アメリカのインテリ一家に育ち、イギリス女性と結婚し、長らく英国で暮らした経歴の持ち主である。彼は密室トリックの大家として、数々のミステリ−の傑作を書いたのは知られている。その一方、後期には古くはチャールズ2世時代を舞台とした「ビロードの悪魔」から始まり、ジョージ4世朝の「火よ、燃えろ!」まで、イギリスの裏社会を描く数々の歴史ミステリーを書きつづけた。

この「ロンドン橋が落ちる」では、舞台をジョージ2世治下の1757年に設定し、ロンドン警視庁の前身となるBow street runnersを創設したジョン・フィールデイングや当時有名な作家ローレンス・スターンといった実在の人物を狂言回しとして登場させている。場面は、橋の上に4階建の家々がびっしり建っていた時代のロンドン・ブリッジから始まり、蝋人形館、Bagnoと呼ばれる、怪しげなトルコ風呂、悪名高きニューゲート監獄と、息つく間もあたえない。当時の風俗と退廃を数々の銅版画で描き、時代の告発者となった画家・ウィリアム・ホガースの世界そのものである。

ただ、これらの歴史ミステリーを正統的な推理小説と呼べるかとなると、少々疑問だろう。本格ものの巨匠として有名なディクスン・カーであるが、これら一連の作品では、彼は歴史に遊び、トリックなどにさほど心血を注いでいない。むしろ、これらの歴史ミステリーは、剣戟と美女が登場する、波瀾万丈の歴史ロマンスに近く、アレクサンドル・デュマの「三銃士」を連想させる。

そのうえで、わたしはこれらの作品を推奨したい。次々とディクスン・カーの歴史ミステリーを読んでいくと、通り一遍の教科書では知りえない英国社会のダーク・サイドがまざまざと理解できるだろう。ともかく、血沸き、肉躍る傑作群である。
ロンドン橋が落ちる (ハヤカワ・ポケット・ミステリ 1195)Amazon書評・レビュー:ロンドン橋が落ちる (ハヤカワ・ポケット・ミステリ 1195)より
4150011958

スポンサードリンク

  



新規レビューを書く⇒みなさんの感想をお待ちしております!!