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勝手にふるえてろ



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【この小説が収録されている参考書籍】
勝手にふるえてろ
勝手にふるえてろ (文春文庫)

勝手にふるえてろの評価: 3.45/5点 レビュー 102件。 Cランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点3.45pt


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全50件 21~40 2/3ページ
No.30:
(4pt)

とっても共感できる作品でした

ヨシカのこじれ具合が自分とそっくりで何度も笑ってしまいました 笑 最初はニに対して批判的だったのに、向こうが離れていくと途端寂しくなって、連絡がないかそわそわするところとか この人でいいのかとなにもせず頭であれこれ考えるだけではなにも分からないんだと気付きました。自分の価値観・イメージよりも相手からの好きって気持ちを素直に信じてみる方が素敵な恋愛ができるかも なかなか難しかったりするけど
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4163296409
No.29:
(5pt)

綿矢作品で一番好き

色々なことを考えているにもかかわらず、自分の気持ちを相手に伝えられない人に読んで欲しい本です。

イチとニ、どちらにも本音をぶつけることのできない主人公。
たくさんの思い、感情を持て余しているのに全く伝えることができない。ヨシカのそんなところが好きです。特にニに対しては不満を感じているけども言わないでいてあげる、こちらからはいつでも切り捨てられるのよ、のような上から目線が笑えました。

最後にはヨシカがニに対して、わたしのこと知りたいと思わないのと気持ちをぶつけます。
そのシーンを見て、考えていることや不満を伝えて相手と向き合うことが対人関係のスタートなのだなと感じました。

怖がらず、相手にぶつかっていきたいときに背中をおしてくれる本です。
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4163296409
No.28:
(4pt)

読み出したら止まらない!!

著者は、1984年京都府生まれ、早稲田大学教育学部卒の綿谷りさ。
(2012.8.10 第1刷)

江藤良香、26歳、中学時代の片思いのイチが忘れられず未だに恋愛経験はなし。
おたく期間が長く現実慣れしていない彼女に、熱烈に愛してくる彼が出現。
理想と現実の間に揺れ動き、時には暴走しつつも前に進むキュートな恋愛小説。

綿谷りさの作品を読むのは初めてだったけれど、めちゃくちゃ面白かった。
読点が少ない彼女の文章スタイルは、息継ぎさせる間もなく怒涛に過ぎ去ってゆき、気付けば数時間のうちに読み終わり、降りる駅も乗り過ごしてしまった。

根っこの部分はおたくだけれど、女子女子した気持ちもふんだんに持ち合わしていて、炭酸ジュースのように乙女の気泡がパチパチと音を鳴らしては連続してせり上がっていくようだった(でも、その味はキュウリ・ペプシみたいだけれど)

時には妄想が爆発して、行動まで爆発してしまう良香には、読んでいてヒヤヒヤしたけれど、結末はホッと安心してページを閉めることができました。

ページも少ないし、小説を普段あまり読まない人にも絶大にお勧めです。

───今日は会社帰りに池袋をぶらついていたけれど、気がついたら乙女ロード周辺を歩いていて、私は現役のおたくだったときに聖地だったその場所が懐かしくてアニメイトに入りたくなった。でもニは入ったとたんそわそわして、私は目当てのマンガの棚にたどり着くころには、もう出口のすぐ近くの壁に同化していた。クラブのときもそうだったけれど、彼は自分の興味のない場所に行くと途端に帰りたそうにする。自分の興味のあるものに興味を持ってもらったら嬉しい人心というものを、まったく理解しない。(p.71-72)
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No.27:
(5pt)

やっぱ面白いわぁ

どこが?って言われたら困るけど

なんとも形容しがたい綿矢りさの中二病な感じって気持ちいいよね
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No.26:
(4pt)

こころの描写が大変リアルで面白くて、本当に、うまいなーと思います。

ちょっとした卑屈さ、他者への見下しなど、天使のように心が清らかな人でもなければ
誰でもある気持ちをテンポよく書かれるところはすごいです。
主人公が病みすぎでちょっとこわいところがありますね。自己完結型で、タイミングを読むのもヘタだし、
分かれ目で選択を誤るタイプ。何故そこでそうする?あまり共感できないのが残念でしたが、
一歩引いて読む分には大変面白かったです。

ただ、締めの急展開にビックリしておいおいおいーーとなりました。
文句なしのハッピーエンドでもないし、転落しているわけでもないという
まあ日常生活に一番多い感じの結末というか。でも日常生活とは違って
一応締めがある物語ですから、今後の展開を想像するとコワイですね。

あまり精神的に疲れていない時に、何度も読みたい作品です。
というか綿矢さんの作品は全部そうかも・・
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No.25:
(4pt)

ほほえましい主人公

私にはそう映りました。
主人公には皆さんの言う通り、イタいところもありますが、そういうところも含めて主人公の魅力であり、それが綿谷りさなのだと改めて思いました。
イタいのを受けつけなかったり、こどもっぽ過ぎると感じてしまう方は一旦頭を柔らかくして臨まないと、この小説を楽しむことは難しいと思います。
私自身、男ながら、何故か乙姫のくだりは共感できました。乙姫での主人公が持っている「自分の中であたためている人には言えないような楽しみ」に深く共感でき、出だしから笑わせてもらいました。
電車がホームを通過する瞬間に、思い切りおならをしても電車の轟音と巻き込み風で、音も匂いも周囲にばれない原理に似ている気がしました。

私は彼女の「蹴りたい背中」と本作しか読んでいませんが、それと比べて、パワフルさは少し衰えたように感じました。何故なら、私は彼女の持ち味は「学校で生きる」と思うからです。蹴りたい背中は高校が舞台で、キレッキレの感性で周囲の状況と自分との距離や、小さな発言やしぐさを限界までクローズアップし、展開させるパターンが多かったのです。その感性は学校という非常に小さな社会に通う高校生だからこそ、周りの生徒との格の違いや主人公の魅力を引き出すのに非常に効果的だったと思います。
しかし、本作の舞台は会社で、しかも主人公は社会人の26歳。正直、この設定を本の裏側を見ただけで大丈夫かな?と思いました。やはり、予想は当たっていました。これまでの綿谷りさの持ち味を社会という舞台ではまだ完全には生かしきれていないように感じました。蹴りたい背中の時の主人公がそのまま社会人になってしまったような、やはり子供っぽいままで、今度は子供っぽすぎるあまり、キレッキレの感性が格の違いを抱けるものから、どちらかというと社会から置いてきぼりにされていくような、簡単に言うと、蹴りたい背中の時が能動的な意識の流れだとしたら、本作はどうしても受動的な意識の流れが強かったと思います。やはり、受け身になっている綿谷りさの主人公は蹴りたい背中の時のような「クール」には映りませんでした。

しかしながら、本作では舞台が会社になったこと、26歳という年齢設定もあいまって、より主人公が子供っぽいながらも女であることを強く意識しているあたりが魅力でした。
高校生の時にはなかったタイプの焦りや倦怠感がそれとなく描かれており、それが心地よいベースになっていたと思います。
本作からは決して傑作と言える程のパワーは感じませんでしたが、随所に綿谷りさが自分の持ち味を舞台を変えて発揮しようとしているように見受けられ、彼女のトライを感じました。
持ち味が少しずつ様々な方向へ変化していくことをこれからも期待しています。
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No.24:
(4pt)

ドロドロ

著者はきっと、そこらの人より頭が良い。僕のようにあまり冴えない人は、文章から著者が何を言わんとしているか汲み取るのが困難かと思われます。

僕はぜんぜんモテない男なんで、女性の意中の人意外に抱く印象が素直に描写されていて心をえぐられた。

総評ぼくには難しすぎた。楽しくはなかったけど、作品としては素敵だと思います。
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No.23:
(5pt)

最後が残念

世間では「女性は好きだ好きだって言われて結婚する方が幸せになれる」とか
「想うより想われて結婚する方が幸せ」と言うけれど、、、、

この小説も、最後は想ってくれた方と結婚してしまいます。

1結婚する気もなければ想ってもくれない人
2好きだ結婚してくれと言ってくれる人

私が思うのは、
どっちを選んでも必ず後悔すると思うんです。
なのでどうせ後悔するのなら、たとえ結婚できなくても自分で選んだ人を想い続ける方がマシだと思うんです。
結婚だけが幸せとは思えないですし。
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No.22:
(4pt)

少女漫画的心理恋愛小説  読後感も悪くはない

筆者が当時最年少で芥川賞を受賞した時に、話題になったので『インストール』と『蹴りたい背中』を買い求めたのだが、本屋でカバーをかけてもらったその二冊は、書棚のどこかに埋まって未読のままだ。

数十年前、俵万智さんの『サラダ記念日』も買い求めた経験があるが、これも読まぬまま数年後に古本屋に引き取られていった。

どうも私は世間で騒がれる本が苦手なようだ。
多くの人が読んでいるんだから、わざわざ自分もそのなかの一人に入ることもないのではないかと思ってしまうのである。
人々が騒ぐものには懐疑的に斜に構えてしまうのかもしれない。

三作目の『夢を与える』は題名からして駄作臭ふんぷんだったのでもちろん手に取らなかったのだが、四作目の本作はユーモアたっぷりの表紙に惹かれてうっかり読んでしまった。

読後感は重厚な純文学というよりも、月刊・週刊マーガレットの趣のある少女漫画的作品といえばいいだろうか。

別に貶めて言っているわけではなく、作中の主人公の女の子の心の動きがなんとも昔愛読した少女漫画を連想させたからだが、文章は節度があって淡い品位もあるからそこいらの通俗恋愛小説とは一線を画した作品だと思う。

筆者は古い少女漫画がお好きなようだから、マーガレット的心理恋愛小説と言ってもけなしたことにはなるまいと思う。

芥川賞作家だからといって重厚で退屈な小説を書かなければならない道理はない。

筆者の才能にはこういうちょっと軽めな恋愛ものが合うのではないかと思う。
無理して身の丈に合わない超大作に挑戦するのもよいが、読者が納得しないものを書けば、結局読者は離れてしまう。
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No.21:
(5pt)

愛読書決定

これほど主人公に感情移入できたのは久しぶり…いや、初めてかも知れません。
「私のこと?」かと思いました。
15年後のヨシカを書きたい時は私に取材してください(笑)>綿矢先生

読んでいて気持ちのいい美しい日本語はもちろんのこと、盛り過ぎず、かと言って端折りすぎず、見事にまとまっていると思います。
さすが芥川賞作家!

てっきり星5つの人が多いのかと思いきや…評価が見事にばらついてますね。
それも面白い。
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No.20:
(5pt)

面白い!

今までの綿矢さんの作品は全部(たぶん←)読んでいますが、なんといっても冒頭部分がすっごく惹きこまれます。この作品の冒頭も何回も読み返しました。独特の感性をもってらっしゃる方だと、思います。全体の内容は、中学の頃好きだった彼(イチ)と自分を好いてくれている彼(二)、どっちを取るかというような内容です。主人公の、ちょっと頑固で でも純粋な考えは共感できる部分もあり、あ〜分かるわ と思いながら読みました。女性の方なら、同じように共感しながら読めるんじゃないかなと思います。音姫の所は、とくに笑

綿矢さんにしか書けない、小説であると思います。読んでみてください。
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No.19:
(4pt)

イノセント?

この主人公のものの見方、初恋への子供っぽいが恐ろしいまでの執着。そこにはひどく魅力を感じた。イノセントさゆえの潔癖が全体に流れていて、ヨシカという人物がはっきりと見える。 そしていずれ習慣化してしまう結婚って一体何だろうとそのシステム自体への疑問まで浮かぶリアリティ。 確かにすごい。 だが、あえて反論するならば、ヨシカ自身の了見の狭さや魅力のなさに関して、女一人称特有の甘さが出ているところだと思った。 他者からヨシカに注がれていた目線は結局のところ、美人の同僚の、羨望をはらんだものや「二」のよくわからない恋情。誰もヨシカをいやな女、と突き放して考えない。 私はヨシカの「すごくかわいくはないけど変わった目を持つ私は特別」感が嫌だった。二もクルミも普通なように、あなたとイチも特別じゃないよ、と思ってしまった。 ヨシカの魅力とされる変わった所はポジティブだと受け取られるが、折角だから、誰かに冷たい目で見て欲しかった。羨望ではなくて。自分こそ勝手にふるえてればいいのに、誰かとふるえたがるヨシカ。すごい作品だ。でもなんか腹立つ、と思った。それがこの小説の魅力なのだろう。
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No.18:
(4pt)

さらさらと読める

さらさらと読めるというのが第一の感想です。

文字が大きめだし、行間が広い!というのももちろんあるのですが、
私個人としては主人公にそこまで感情移入できなかったし、
推理とかなーんにも考えなくて良い感じだったからです。

まぁ私は図書館で借りてきて読んだんですが、
もし定価でこの本を買っていたら、☆4つつけたか分かりません。

・・・読み応えがなぁ・・・

まぁ、話はおもしろいです。
さすが若い人が書いてあるだけあって、斬新でパワフルな文章です。
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No.17:
(4pt)

独特な恋愛小説。

友人との力関係や、男女の駆け引きなど、自分の感じ方、気持ちの持ち方ひとつで人との関係は大きく変わる。
その微妙さがうまく書かれてるなぁと思いました。

綿矢さんの男性に対する視点や観察力、独特の語り口などやっぱりわたしは好きだな。
「蹴りたい背中」が好きな人にはおすすめだと思います。
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No.16:
(5pt)

奥が深い

表面上のコメディタッチのストーリーと背後にある物悲しさが重なり合っている。
また、数多くの隠喩が埋め込まれていて、見た目以上に複雑な作品である。

この小説を理解する上で最も重要な要素は、主人公が抱える「心理的な問題」である。しかし、それは明示的には書かれていない。
彼女は、通常はごく普通のOLで、時には行動的ですらあるが、「好き」という事に関しては非常に純粋で、あまりにも傷つきやすいため、
回避的な様相を帯びてしまう。つまり、好きな相手に対しては、拒絶されることを極度に恐れるあまり、相手の本心を確かめることもないまま、
初めから自分は好かれていないと思うのである。
自分が好かれていて、尚且つすべてを受け入れてくれるという確信が持てない限り、恋愛は成就することはない。
彼女に残されているのは、好きでない人の愛を受け入れるという選択肢だけである。

表題の「勝手にふるえてろ」は、イチではなく、本当は主人公が自分自身に言った言葉であろう。
寄る辺のない彼女の「ふるえ」こそ、この作品の主題である。
そしてそれは、読者に、胸の痛む思いと共に、いとおしい感情も引き起こすかもしれない。
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No.15:
(4pt)

恋愛の仕方を知っている人には不向き

綿矢りさ作品を読むのは初めてだったので、期待や先入観なしに読んだのだが、なかなかに面白かった。
無駄のない物語構成や最後まで読ませる文章力は、プロの作家としては当然といえば当然、まあ普通のOLの恋愛小説かな、と思っていたら、違った。

これは恋愛というより恋愛以前の小説なのだろうと思う。
ずっと片思いしているというイチにしても、関わったのは数度だけ、むしろそこから自分の脳内で補填した2次元のキャラクターに対する「萌え」とでも呼べそうな「好き」という気持ちを抱いているだけ。
アプローチしてくるニとの関係も、不満があっても相手に告げるでもなく、自分の心の中だけで完結している。
相手との相互関係ではなく、常に自分視点からの気持ちしかない。だからこそ相手を固有名詞ではなく、自分の中の順序でしかないイチ、ニという呼称で呼んでいるのだろう。

好きな相手にまっすぐ視線を送れない。教室でも人が来てくれるのを待っている。女子力をアピールしてみたいものの空回りしている。裏切られても直接意見できない。
この主人公のコミュニケーション能力のなさこそが、人と深くつながること、その最たるものである恋愛の欠如に結びついているのだろう。
私はこの主人公にとても共感できたのだが、他の女性はどうなのだろうか。
そんな主人公が少しずつ相手に自分の気持ちを告げることで場面は展開していき、最後に自分を曝け出して感情を吐露するくだりは、胸が熱くなった。
結局、自分をぶつけ、相手を知り、お互いを理解しあうことでしか深くつながることはできない。
自分の心の中で想うだけだったりメールや電話を使うのではなく、直接向かい合うことでしか届かない。
そうした先に、人を「愛する」ということを見つけることができるのだと思う。

恋愛や結婚やセックスをしたいとは思っている。
でも本当に想い合う相手としかしたくない。
だけど人を「好き」になることはできても「愛する」ことがわからない。
そんな草食系女子には、おすすめしたい小説。
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No.14:
(5pt)

素晴らしい!!

主人公の気持ちに深く共感しました。

私も中学のころ好きな人がいて、何か一言話せただけでもすっごく嬉しかった。

相手はとっくに忘れているだろうということをいつまでも覚えていたり。

そんな気持ちを思い出しました。

深くて細かい心理描写が素晴らしいです。
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No.13:
(5pt)

とどきますか、とどきません

綿矢さんの作品には到底、とどかない感想を書こう。

元おたくの26歳OLの三角関係を描いた小説。
三角関係と言っても一人は実在しない人。主人公が憧れてやまない青春の日の同級生、イチ。
イチは確かに、主人子の同級生として存在したし、同窓会でも逢っている。

でも、彼女が想っているのは実在の彼ではなく、彼女の頭の中で理想化された彼なのだ。
頭の中で理想化した彼に嫌われないために、主人公は学生時代、ほとんど彼に話しかけない。
クラス全員にかまわれるのにうんざりしている彼に話しかけることによって嫌われると思い込んでいるからだ。

主人公は元アニメおたく。

アニメキャラクターという実在しないものを愛する彼女が、実在しない憧れの同級生を頭に創り出し、いつも頭の中で空想にふけり、にやにやとしながら過ごしていた。

それだけで、たった一人の東京は淋しくなかった。

自分のことを想ってくれる、もう一人の実在する同僚のことなんて、どうでもよかった。
名前もイチに合わせて、それより劣るからニと心の中で呼んでいた。

主人公は経理課で唯一、友達だったと思っていた人に裏切られて、会社にもう行きたくないと思う。
妊娠したとウソをついて。
ひどく幼い行為。中学生くらいが仮病で休むのと似ている。

主人公は26歳にもなって、未だに母親以外の実在する人間を好きになれない。
その主人公が、全てを失って、憧れの人もそうじゃない人も友達も全て失って気付くのは自分の幼さと周りにいた人たちの大切さ。

あの人はここが嫌い、だから絶対に合わない。
ではなく、あの人はここが嫌い、でも、あそこは好きかもしれない。好きになれるかもしれないと考えられるようになる。
否定から肯定することに思考をシフトする。排他ではなく寛容することへ。

要は本当の意味で大人なるということ。

これは、『エヴァンゲリオン』で庵野秀明がやろうとしていた事だし、未だに大人になれないおたくの多い日本では突き刺さる人も多いと思う。

いつまでも仮想の恋人を求めていても、仮想の恋人は現実には振り向いてくれない。
現実と向き合うことは、妥協ではなく成長だ。

愛しているなら全てを受け入れてくれ、と泣き叫ぶ主人公に、現実の彼・ニは優しく諭す。

「でもいくら好きだからって、そのまま受け入れるなんて無理だ。相手に全部受け入れてほしいなんて、乱暴だ。うまくやっていくには、二人とも相手に合わせて少しずつ……変わっていかないと」

これができないから、結婚できないし、結婚しても、すぐ離婚する……っていうのが、現代の若者。
それを正当化して親や社会やネットに甘えてしまうのも。

これが、この主人公だけの「甘え」とか「幼さ」で、「現実的」じゃないなんて思っているなら、それは、あなたのほうが遥かに「現実」を知らないのでは?

美しい日本語で綴られ、現代社会の若者を情緒感たっぷりに描いた見事な作品。

次回作も楽しみにしています。
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No.12:
(5pt)

恋愛小説が苦手な人に。

恋愛小説は滅多に読まない私ですが、この小説は最初から最後まで面白く読めました。主人公はちょっと変。でも最近の漫画や小説のキャラクターのようにものすごく変、ていうわけではなくて探せばそのへんにいそうな「ちょっと」変さ加減が絶妙。確かに身勝手な所もありますが、女の子ってだれでも多かれ少なかれずるいところやわがままなところを持っているものですし。たまに男性の作家さんの作品では聖女みたいな女の人が出てきて、なんだかな〜と思ってしまいます。恋愛もので主人公を応援したくなったのは久々です。
 ヨシカの心の王子様であるイチも魅力的ですが、ニも人間臭くてよかったです。前半では酷い描かれ方をしていますが、それは語り手であるヨシカがイチを神聖視するあまり、他の男性をことさら厳しい目で見てしまっていたせいでしょう。第三者の視点で見てみると、ニはそこまでダメには見えません。筋肉自慢?なんかかわいいもんです。
 このお話で一番あ〜わかるなあと感じたのが、主人公の気持ちの変化。中盤ではイチに、後半ではニに。本当に小さな出来事、他の人からしたら「なんでそんなことで?」というような事で人の気持ちはすうっと冷めたりするものです。逆もまたしかり。それまで全然なんとも思っていなかった人が、ふとした瞬間に特別に見えたり。ラストの、はじめて名前が明かされる場面がとても好きです。彼らの今後の話が読みたい……!なかなかいいコンビになる気がします。
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4163296409
No.11:
(5pt)

名前では買わなかった。

私は、最後に作者が綿矢りさだと知った。

蹴りたい背中も読んだけど、蹴りたい背中はかなり意味が分からなかった。

なんで賞をやったのだと言いたい程。しかしそのおかげかで、また作品を世に出すことも出来たのだと思う。

今回、正直、ラストは泣いた。これは勿論、女性が読んだ方が共感できると思う。

また、深く細かく考えないこと。注目すべきなのは、会社がどーのだのではなく、 『心理描写』。素晴らしい。本当に共感できた。
本のあらすじにも書いてあるのだし、共感できそうだなぁという人が買うべき。
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4163296409

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