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蹴りたい背中
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蹴りたい背中の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.63pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全112件 21~40 2/6ページ
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当作品の影響で、僕も、背中を蹴りました 格闘技の小説ではありません 作者の年代としてはギャグセンスがある でも、文の初めに意識して好フレーズを置くという技術はむしろ、直木賞ライクで、好きになれない 年々、不抜けた小説を作ってる ここをピークに見ても良いと思う | ||||
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にな川はつかみどころのない気がつかえる優しくてかっこ良い男でときめきました。長谷川がオリチャンに夢中のにな川に嫉妬して彼を痛めつけたいような気持ちになる瞬間はわかるような気がしました。自分の彼氏との思い出を重ねて懐かしさがありました。 | ||||
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感動しました。 一行目から示されている通り、作品の主題は「寂しさ」であり、 小説全体は「孤独の殻から脱け出して成長していこうとしている二人の物語」として読むことができます。 独白や細かい記述が多かったり、とっつきにくい人物たちだったりで、 前半は停滞感や作品への入り込めなさを感じて退屈しながら読んでいましたが、 「二人は成長していこうとしている」ということに気づかされてからは一気に感情移入が進み、 人物たちに愛しさを感じながら読み終えました。 二人の状況が理解でき、感情移入が成立していると、 たとえばお見舞いのシーンも非常にドラマティックなものに見えてきます。 「にな川、オリチャン以外のことについて話そう」 「クラスの人たちどう思う?」 と、一見はどうということのない日常会話に見える台詞ですが、 「孤独の殻を破って、一歩を踏み出す」という状況の中では、 勇気のいる、大きな意味を持つ台詞になってきます。 こういう風に、「小さなことで大きく動かす」ことができるのは、作者の技量でしょう。 ちょっとしたことを象徴として使うという技術も多用しており、 その辺りを読み飛ばしてしまうと物足りなく感じたりもするのかもしれません。 まずは冒頭の紙屑の山があります。 明示されている通りこれは「孤独な時間」の象徴ですが、 (「さびしさが聞こえないようにプリントを千切る」→「結果としてできた紙屑の山は孤独な時間の凝縮」と、 論理的に象徴を組み立てているのも上手いです) にな川と話したあとで、この紙屑の山がなくなっています。 にな川によってハツの孤独に変化が生じたこと、それでもまだ孤独にしがみつきたい気持ちがあることを、 「紙屑の山=孤独な時間」という象徴を無駄遣いせずに、上手く使って示しているところでしょう。 ここ、カーテンの内側では、私のプラスチックの箸が弁当箱に当たる、かちゃかちゃという幼稚な音だけが響く。 という記述も、表面上は音の話として書いていますが、 孤独を気取る自分の幼稚さをハツが自覚していることを、やはり象徴的に書いているところです。 こういう細かいところで内面の変化や、葛藤が生じ高まっていくことをちゃんと書いているので、 なんでもない平凡なような話が、ドラマティックな動きのあるものとして感じられます。 一番上手いと思い、感動もしたのが、表題にも引いたフレーズです。 焦らないで、ゆっくり前へ進んでください、 と。 一見はライブ会場の整理係の平凡な注意なんですが、 「成長していこうとしている二人の物語」の中では、 二人の成長を見守り励ます、優しく温かいフレーズとして響きます。 一歩を踏み出し、成長に向かい、関係も進んでいくであろう二人ですが、 家庭のことや学校のことなど、先がそうそう上手くいかないであろうことも示されています。 微妙なところに着地して終わる小説ではありますが、 このフレーズであったり、にな川がハツの手を引っぱる描写なども効いているので、 「全体としてはちょっとプラス」ぐらいの感覚になり、 爽やかで前向きな気持ちで読み終えることができます。 …ということで、全体として「上手い。感動する」という感想です。 デビュー当時の過剰な報道が去った今だからこそ、 ちゃんと価値や技術が評価でき、素直に楽しめるようになったのかもしれません。 一時期の話題で終わってしまうにはもったいない名作であり、優れた小説家だと思います。 | ||||
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「食わず嫌い」という言葉がありますが,わたしはどうやら「読まず嫌い」のようです。 芥川賞を受賞し,世間の注目を集め125万部も売れた本ですがようやくというか,いまさらというか読みました。それはタイトルの「背中を蹴る」という言葉に対しての嫌悪感というか,生理的に受け付けなかったからです。まさに読まず嫌いです。 背中を蹴ることについて自分なりに考えてみました。背中を「たたく」でもないし,「頭」を蹴るでもないし,「背中を蹴る」ことのピッタリ感が,長谷川とにな川のもやもやとした関係を象徴しています。人は,どんなときに背中を蹴りたくなるのか,想像してみました。そんなことがあるかな~とか,長谷川も,にな川もお互いに自分の感情を露わにしません。 高校生が登場人物なので,青春小説と言っていいでしょうが,感動や涙や苦悩や友情,信頼,恋愛などいっさい持ち込まない妙に乾いた世界が新鮮でした。背中を蹴るのは青春時代に限ります。わたしの青春はとっくの昔にはるか彼方に行ってしまいましたが,中高生がこの作品を読んだら,「あるある,わたしも○○○○の背中を蹴りたいときがあるよね~」と言うのでしょうかね。 | ||||
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にな川 は 「現在のハツ」が捨てた「過去のハツ」 そして その「過去のハツ」は「現在のハツ」にとって消し去り、忘れてしまいたい存在 しかし そのハツも 紛れもない「ハツ」の人格の一つであり、本当は愛したかった存在(自己愛) 主人公であるハツが にな川との出会いから 「自分自身」と向き合い 相反する感情の中で葛藤する姿を描いた作品「蹴りたい背中」 ハツが本当に蹴りたかった背中は 「にな川の背中」(「過去のハツ」)ではなく 「現在のハツ」自身の背中だったのかもしれない 途中までは ハツ自身も気付いてなかったけど 最後に気付いたんじゃないかな… だから 2回目は にな川を蹴らずに終わって 涙が出たんじゃないかと思う | ||||
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インストール以来の綿谷りささんの作品を読んだ。 自分の感性に正直な女子高生とファッションモデルヲタクの男子校生との不思議な関係の話。 さすがに20年くらい前の話だがが感性は凄い。 綿谷りささんしか書けないだろう。 もう少し大きくなったら娘とも出会って欲しい。 最新の綿谷作品も読みたくなった。 | ||||
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主人公とにな川と友達の絹代、そして憧れのオリちゃんといったたった数人しか登場人物のいない作品です。出来事も数回しか起こりません。心理描写、情景描写で見事に思春期の女子高生を描いていると感じました。理科室の最初の出来事はみんな感じたことのある情景ですが、にな川の癖が強すぎて笑えました。 同じ芥川賞受賞作である川上未映子の乳と卵、村上龍の限りなく透明に近いブルーあたりと同じ空気感を感じました。 1日で読めます。女性ならウンウンとうなずくのではないでしょうか。 | ||||
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私は男性なので、想像でしかないのですが、繊細で鮮やかな少女の心理で爽やかな読了感を味わえます。実際女性の方がこういう時期を過ごしているのかは不明ですが。 | ||||
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30歳手前の私には、閉ざされた狭い世界の、なんて事ない日常の話だった。そんなことどっちでも良くない?って思ってしまう。でもそれは私が10代の頃の、淡く時に痛い繊細な感情の浮き沈みを、とっさに放ってしまったトゲのある言葉をつぶさに表現してたと思う。今思えばバカだなぁ、若いなぁと思うことも当時は心動かされ、怒り、喜び、悲しみ、嬉しいた感じてたな。あの頃の青い感情と記憶を大事にしたいと思いました。 | ||||
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初めてこの小説を読んだのは11年前。 初めて読んだ日本の小説です。 当時私は韓国で高校生でした。夜、本を読みながらラジオを聞いていたら「世界の文学作品」を紹介してくれるコーナーで蹴りたい背中の冒頭部分が紹介されました。 私もハツと同じく高校生で学校ではグループに属していながらもその空気感が苦痛で悩んでいたので、本文に出る実験の時間に余り者にされてしまうハツの部分まで聞いて、続きが気になってすぐ図書館に向かって翻訳本を借りて来て一気読みしてしまいました。 間接的に味わった日本という国に魅力を感じました。何より綿谷りさの文体に惚れました。翻訳本じゃ物足りなくて、ひらがなも読めないのに原本を買い、原文のまま読みたくて日本語を勉強して、2年かかって読みました。 いつ読んでも、文体から伝わってくる色、音、雰囲気、顔の表情一つ一つがあの頃悩んでいた私を思い起こさせてくれます。 今は日本近代文学作品を研究する博士課程にいて、たくさんの日本の本を読んでいるのですが、今でも大好きな作品です。 | ||||
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はじめは正直イロモノ的なイメージだったのですが、ふと気が向いて読んでみると、予想外におもしろかったです。もっと早く読めばよかった。 一言でいうと、いい意味で、純文学よりの少女漫画のノベライズというような印象でした。 吉本ばななにも似た、瑞々しい、複雑な心情を感覚的に描く、いかにも若い女性作家な文章がいいですね。 ただ自分的に、主人公は、「にな川」のマイペースで、良く言えばどこか超人的な部分にこそ惹かれているように思っていたので、ライブのグッズ物販の時、にな川が周りの目を気にせず列に並ばないのは「なんでだろう?」と感じました。 もし「にな川」をマイペース超人だとするなら、やっぱり彼は現実の恋愛どころか他人の価値観に興味すらない、まったく社会性/協調性のない「自分の世界の住人」でもよかったかも。 (人目を気にしてしまう主人公から見た理想の人間=にな川) もっとも、ストーリー自体がおもしろかったので細かいところはどうでもいいですね。 あと、なんとなく「こういうライトノベルがあったらおもしろいのにな」と思いました。 ふだん純文学を読まない人にもおすすめの、透明度の高い、エンタメとしてもたのしめる小説です。 | ||||
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「ハツがにな川を蹴った理由」を読者が察せられるかどうかで、本作に対して抱く感想は「薄い」か「おぞましい」かに二分されると思う。作中の「にな川」という人物とは、「物事を俯瞰で眺めてしまうために他者に迎合できないハツが、組織から疎外される中で見つけた『依存の対象』」である。だからハツは、彼のことを蹴って貶めて、自分に都合のいい共依存の関係に持ち込みたい。そういうエゴがハツのサディズムの原動力となっている。 そのことは作中で、最後まで明かされない。絹代の存在を媒介にして、「結局、ハツはにな川のことが好きなのか?」という問いが繰り返し表れるも、最後の最後までそれが明かされることはない。これが読者を引き付ける力となっている。 しかしその答えは、唯一、最後の場面でぼんやりと暗示されるに過ぎない。こんな景色を見ていても、にな川と私は全く別のことを考えているんだ、というような意味の終盤の一文がそれである。彼女はオリチャンに熱を上げるにな川を蹴落として、自分の方を向かせたい。そして互いに依存し合う関係を作ることを求めているのである。作中で中心となっていた疑問が暗示されているのだから、たとえ目に見えるクライマックスがなくとも、作品としてはここで終わるのが妥当である。 答えが作中で出されないのは、ハツ自身がその潜在的な欲望を自覚していないことの表れである。したがって、これはこう書かなければ作品の味を損ねてしまう。しかしそれが大衆からの理解され難さに繋がっている。読者がこの辺りを読み込めるかどうかで、この作品に対する感想は変わってくる。 普通に、芥川賞受賞レベルだと思う。しかし芥川賞というのは新人の登竜門的な位置づけのものであって、「これを取ったから偉大な文学作品である」という類のものではない。この作品は技巧に優れていて、よく練られているけれども、良くも悪くも、芥川賞受賞レベルの域を出るものではないと思う。 ただ、こういう解説を誰かがしなければ、作品の意図を把握できない読者がたくさん表れるために、「こんなのが芥川賞!?」と無用な混乱をきたすようにも思われる。注意深く読めば理解できる内容を読み落としながら、ただ作品を読み終えただけでは「作品を読んだ」ことにはならない。結果的に、この作品のブームはますます文学というものを大衆に嫌煙させ、若者の活字離れを加速させることになったのではないかと思う。別にだからどう、ということもないが。 | ||||
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皆んなが体験した事のある感覚。懐かしさを、まるで昨日の事のように思い出させる。不思議な世界に。 | ||||
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芥川賞受賞当時以来、約15年ぶりに読んでみました。当時、「インストール」も読んでみて、この作品の方がずいぶん良くなった印象を受けていました。そして今回…、変わらず新鮮に読めました。 正直、背中を「蹴る」という行為の意味(芥川賞の選評なども読みましたが、)をいまだに理解できませんが、作者の言葉の使い方の面白さと、リズムと、何より無理がなく、破城のない構成が素晴らしいと思います。 その後の作品も読みましたが、「蹴りたい背中」は作者の作品で私が読んだものの中では、ぶっ飛んでると同時に、最も小説として「整っている」と思います。大好きな作品のひとつです。 | ||||
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斎藤美奈子さんが的確に解説しているのであまり書くことありませんが、 長谷川、にな川、お前ら何やってんだと笑って読みました。長谷川は好んで余り者になったに対し、 にな川は基本的に周囲から弾かれおり2人は同等ではありません。 誇れる疎外者が情けない余計者に執着する動機が今ひとつ分かりませんが、にな川の描写が妙にリアルで気色悪く 笑かせてもらいました。終盤、絹代を2人の観察者として登場させます。彼女の観察が正しいのか作者はあえて答えを出しません。 しかし、もっと惨めになれという思いや背中蹴りは視点人物の本音でしょうね。面白かったです。 ※画像・プロフィールは無視してください | ||||
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一気に読みました。自分の高校時代は決してその通りではなかったのに、この本の中に出てくる登場人物(またはその取り巻き)に自分の心をスッと重ねていくことができます。 ああでもないこうでもないという思考の流れと、そのくせ一旦決めてしまうとストレートな実行に移す速度のコントラスト。一人は怖いのに群れたくない気持ち。 日中はエアコンがないといられないのに、縁側で夕暮れになると涼しくなり始める夏休み後半。そんな時期こそがGrowing painとないまぜになって、清々しい青春を作るんだと思い至りました。 冷えた炭酸飲料のような爽やかさです。 | ||||
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表現が独特なので、純粋にそれを楽しみました。 ストーリー展開は物足りないかな。 著者の感性が、文章を通して強く感じられます。 19歳でこんな表現ができたなんてすごい。 | ||||
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いい意味でも悪い意味でも、2003年を感じてしまう文章でした。 口語っぽい文章ってその時は新鮮だけど、そこに当時の匂いが残りすぎるからか、15年も経つと急激に古びてしまいますね。 会話の中だったらそれほど気にならないのに、文章にすると途端に古臭さが出るのなんでだろう。 そういうわけで、長く残る小説ではないと思うけど、個人的にはとても好きでした。 目に映るもので価値観がコロコロ変わったりする年齢の中で生じる、言葉にできない変な感情というものを描こうとしたのは意欲的です。 個人的にはこういう気持ちのほうが惚れた腫れたよりよっぽど真実味があるし身に覚えがあるので、やっと言葉にしてるものに出会った!という喜びがありました。19歳で書かれたというのは敢えて触れなくても、素晴らしい作品であることに違いないです。 | ||||
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綿矢さんがこの本で芥川賞を取ったことは、 自分が中学生か高校生の時にニュースで知りました。 それから20年あまり。 ようやく読みましたが、自分の高校・大学時代がまさに この本の主人公が住んでいるような世界だったので 懐かしさを覚えながら読み進めました。 もう10年ほど前に、この本に出会っていたら もっと胆力を持って当時を過ごせたのかな、と思いながら。 いずれにせよ、手にすることができてよかったです。 | ||||
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表紙の絵が、まさに主人公の性格を表していて驚き、反面、感心します。 当時19歳だった女性が書いたと考えると、その時の気持ちをまんま表現しているように思えます。少し冷めている女の子の心の中を覗いているようでした。 文章から滲み出る皮肉や不満が、本当は私もそうしたいのに、と羨ましがっているように感じられます。思春期の繊細な女心がかなり気持ちよく表現されていました。物語よりもそちらに面白味を感じて読み進めていたので、純文学である、と思えます。 口コミなど見て、あまり期待せずに見たので、逆に感激しました。 星のマイナス一は、体言止めの多さですかね。なんか読み進めるリズム感を気にしているのか、見た目の美しさにかけます。最後まで言い切ってくれないと、内容がスカスカのように思える。軽い感じがマイナスでした。 若い女性の心なので、それはそれで高評価になるのかもしれませんが……。 個人的には気になりました。 | ||||
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