告白

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評判

告白の評価:

4.48/5点 レビュー 176件。 D ランク

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平均点4.48pt

Amazonレビュー一覧

Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全350件 321〜340 17/18ページ
No.30
(5pt)

町田康、渾身の一作

今まで宮部みゆきなど「殺人犯の心理」を探りたい気持ちで読んだ作品があるが、ピンと来るものがなかった。しかし町田康さんのこの作品は、主人公の破天荒さだけでなく、周囲の、小さい村の人々の悪意が事細かに書いてあり、それが主人公を犯罪へと走らせたことがよく分かった。貧しいと助け合う、のではなく、貧しいと生きるのに必死でここまで悪意をみなぎらせて生きるのか、と悪い夢を見そうなくらい作品に飲み込まれた。また旧き良き時代なんてのはノスタルジックな考え方で、小津安二郎の映画でも観ていればほのぼのするが、この『告白』では決してそういう気分は生まれず、こんな時代のこんな村に生まれなくて本当に良かった、と心から思えた。少ない資料からここまでの大作に仕上げた町田康の手腕に感服する。スゴイ。
告白 Amazon書評・レビュー: 告白より
4120036219
No.29
(5pt)

町田康、渾身の一作

今まで宮部みゆきなど「殺人犯の心理」を探りたい気持ちで読んだ作品があるが、ピンと来るものがなかった。しかし町田康さんのこの作品は、主人公の破天荒さだけでなく、周囲の、小さい村の人々の悪意が事細かに書いてあり、それが主人公を犯罪へと走らせたことがよく分かった。貧しいと助け合う、のではなく、貧しいと生きるのに必死でここまで悪意をみなぎらせて生きるのか、と悪い夢を見そうなくらい作品に飲み込まれた。また旧き良き時代なんてのはノスタルジックな考え方で、小津安二郎の映画でも観ていればほのぼのするが、この『告白』では決してそういう気分は生まれず、こんな時代のこんな村に生まれなくて本当に良かった、と心から思えた。少ない資料からここまでの大作に仕上げた町田康の手腕に感服する。スゴイ。
告白 (中公文庫) Amazon書評・レビュー: 告白 (中公文庫)より
4122049695
No.28
(4pt)

自分には関係ない人の話、と思っていたが...

読み進めるにつれて、イヤな気持ちになっていきます。
最初は、主人公が自分とあまりにも違う価値観を持つ人物ということが
原因だと思っていたけれど、読み終わってから、そうじゃないかこと
に気づきました。つまり、私が感じるイヤな気持ちは、この主人公と
自分の差異ではなく、共通点から発せられているようなのです。
まとまらない思考。現実の問題を解決せずに逃げ出す姿勢。
頭の回転の悪さ。歯切れの悪さ。凶暴な精神。
悪い方へ悪い方へ転がっていく人生。他者を軽んじる利己的な人生観。。。
彼は、普段は目をそむけている自分自身の悪と愚の結晶。
おんどれ、うわべだけ善良ぶって生きとんちゃうん?と問われている
ような、強烈な揺さぶりをかけてくる本でした。
たまにはこんな本も良いです。
告白 Amazon書評・レビュー: 告白より
4120036219
No.27
(4pt)

自分には関係ない人の話、と思っていたが...

読み進めるにつれて、イヤな気持ちになっていきます。
最初は、主人公が自分とあまりにも違う価値観を持つ人物ということが
原因だと思っていたけれど、読み終わってから、そうじゃないかこと
に気づきました。つまり、私が感じるイヤな気持ちは、この主人公と
自分の差異ではなく、共通点から発せられているようなのです。
まとまらない思考。現実の問題を解決せずに逃げ出す姿勢。
頭の回転の悪さ。歯切れの悪さ。凶暴な精神。
悪い方へ悪い方へ転がっていく人生。他者を軽んじる利己的な人生観。。。
彼は、普段は目をそむけている自分自身の悪と愚の結晶。
おんどれ、うわべだけ善良ぶって生きとんちゃうん?と問われている
ような、強烈な揺さぶりをかけてくる本でした。
たまにはこんな本も良いです。
告白 (中公文庫) Amazon書評・レビュー: 告白 (中公文庫)より
4122049695
No.26
(5pt)

思考と表現

熊太郎は思考と表現が一致しないという違和感をかかえながら最後までもがき続ける。あるとき獅子舞の獅子を被った熊太郎は、自分がかぶりものの裏側を通して相手を見ているのに対し、人がかぶりものの表側を通してこちらを見ているそのずれを、思考と表現が一致しないときに感じる違和感と似ていると気付く。
熊太郎は自意識過剰で大人になっても自分探しをしているモラトリアム人間の定義のような人である。常に現実逃避しながら自分の内面と戦っている。自分の内面を重視しすぎて何をするにもシュールさを求めすぎる。
彼はいったい誰のために装っているのか。そこにばかばかしさと悲しみを同時に感じる。悲しみとは熊太郎はただ一人死ぬその時まで「まだ、ほんまのこと言うてへん気がする」と思い、自分の心の奥底を探すとき、何の言葉も思いも出てこなかったことだ。これは誰にも笑えることではない。
熊太郎は自分が特別な人間だと思っているが、思考と表現が完璧に一致する人のほうがめずらしいのではないか。それに気付くのか付かないかの違いではないのか。内向する思いを徹底的に育ててしまったことと、最後までそれを表現する術を持てなかったことが彼を殺人に導いてしまった原因ではないかと思う。
ストーリーの重苦しさとは裏腹に、河内弁の表現はリズム感があってよかったし、下手な漫才より笑えた。笑いとは悲しみが伴ってこそ本物だと気付く。ロックを聞いて哲学を知るような感じだ。衝撃的だった。
告白 Amazon書評・レビュー: 告白より
4120036219
No.25
(5pt)

思考と表現

熊太郎は思考と表現が一致しないという違和感をかかえながら最後までもがき続ける。あるとき獅子舞の獅子を被った熊太郎は、自分がかぶりものの裏側を通して相手を見ているのに対し、人がかぶりものの表側を通してこちらを見ているそのずれを、思考と表現が一致しないときに感じる違和感と似ていると気付く。
熊太郎は自意識過剰で大人になっても自分探しをしているモラトリアム人間の定義のような人である。常に現実逃避しながら自分の内面と戦っている。自分の内面を重視しすぎて何をするにもシュールさを求めすぎる。
彼はいったい誰のために装っているのか。そこにばかばかしさと悲しみを同時に感じる。悲しみとは熊太郎はただ一人死ぬその時まで「まだ、ほんまのこと言うてへん気がする」と思い、自分の心の奥底を探すとき、何の言葉も思いも出てこなかったことだ。これは誰にも笑えることではない。
熊太郎は自分が特別な人間だと思っているが、思考と表現が完璧に一致する人のほうがめずらしいのではないか。それに気付くのか付かないかの違いではないのか。内向する思いを徹底的に育ててしまったことと、最後までそれを表現する術を持てなかったことが彼を殺人に導いてしまった原因ではないかと思う。
ストーリーの重苦しさとは裏腹に、河内弁の表現はリズム感があってよかったし、下手な漫才より笑えた。笑いとは悲しみが伴ってこそ本物だと気付く。ロックを聞いて哲学を知るような感じだ。衝撃的だった。
告白 (中公文庫) Amazon書評・レビュー: 告白 (中公文庫)より
4122049695
No.24
(4pt)

人間の業

「浄土」につづき、読みました。
テンポの良い河内弁、相変わらずの町田節。こちらまでが「くほほ」と読み進めている状態。熊太郎は確かに「あほ」なんだと思うけれど、その心の深いところまでしっかり入り込んでいる作者の目に脱帽です。
自分の人生を何度かやり直そうとして、でもまた深みにはまっていく熊太郎。そんな彼を兄貴分として慕い、命までも共にする弥五郎、金や権力に惑わされ、汚くなっていく人々よりも、彼らのほうがよっぽど純粋に思えました。
「まだ、ほんまのこと言うてへん気がする」と、死の直前につぶやき、自分の本当の、本当の思いを探って話す最後の言葉には、重みがありました。
町田氏渾身の超大作といえます。でも、町田ワールド初心者の方は、まずは軽いものから読んで、その後本書を読んだほうが、よりわかりやすいと思われます。
告白 Amazon書評・レビュー: 告白より
4120036219
No.23
(4pt)

人間の業

「浄土」につづき、読みました。
テンポの良い河内弁、相変わらずの町田節。こちらまでが「くほほ」と読み進めている状態。熊太郎は確かに「あほ」なんだと思うけれど、その心の深いところまでしっかり入り込んでいる作者の目に脱帽です。
自分の人生を何度かやり直そうとして、でもまた深みにはまっていく熊太郎。そんな彼を兄貴分として慕い、命までも共にする弥五郎、金や権力に惑わされ、汚くなっていく人々よりも、彼らのほうがよっぽど純粋に思えました。
「まだ、ほんまのこと言うてへん気がする」と、死の直前につぶやき、自分の本当の、本当の思いを探って話す最後の言葉には、重みがありました。
町田氏渾身の超大作といえます。でも、町田ワールド初心者の方は、まずは軽いものから読んで、その後本書を読んだほうが、よりわかりやすいと思われます。
告白 (中公文庫) Amazon書評・レビュー: 告白 (中公文庫)より
4122049695
No.22
(5pt)

正気からの逸脱

今さらではあるが、記念的にレビューを残したくなった。それほどこの作品には震えた。内容については既にここで書く必要はなさそうだ。
 これほどまでに深刻な狂気をきちんと描ききった作品は、そうそう見つかるものじゃない。
告白 Amazon書評・レビュー: 告白より
4120036219
No.21
(5pt)

正気からの逸脱

今さらではあるが、記念的にレビューを残したくなった。それほどこの作品には震えた。内容については既にここで書く必要はなさそうだ。
 これほどまでに深刻な狂気をきちんと描ききった作品は、そうそう見つかるものじゃない。
告白 (中公文庫) Amazon書評・レビュー: 告白 (中公文庫)より
4122049695
No.20
(5pt)

とうとう町田康はここまで来てしまった

朝日新聞の書評に近代的自意識がどうたらこうたら書いてたけど、「ちょっと違うんじゃないの」と思った。なんというか、そんなええもんちゃうでしょ?単なるええかっこしいのアホですよ、この熊太郎は。
でも、そんな熊太郎と弥五郎を「アホ」とばかり笑っていられるかというと、必ずしも他人事とは思えない部分もあるわけで、それがこの物語のすごいところだ。
弥五郎が妹と分かれる場面。私は不覚にも電車のなかで、この場面を読んでしまった。妹に対してうそを言うことが出来ない弥五郎の不器用さに、涙が止まらなかった。
町田康はこの「告白」のなかで、すべての時代のすべての人間が生まれ持っている業というものを描いている。「近代」なんか関係ない。だからこそ、こんなに読む人の心に突き刺さってくる。
そして、この物語でなによりも重要なのは、読者が結末を知っているということだ。あの陰惨な結末に向けて、熊太郎と弥五郎が吸い込まれていく様子を読者は見届けなければならない。
こんなに悲しくて痛い話を私は読んだことがない。
告白 Amazon書評・レビュー: 告白より
4120036219
No.19
(5pt)

とうとう町田康はここまで来てしまった

朝日新聞の書評に近代的自意識がどうたらこうたら書いてたけど、「ちょっと違うんじゃないの」と思った。なんというか、そんなええもんちゃうでしょ?単なるええかっこしいのアホですよ、この熊太郎は。
でも、そんな熊太郎と弥五郎を「アホ」とばかり笑っていられるかというと、必ずしも他人事とは思えない部分もあるわけで、それがこの物語のすごいところだ。
弥五郎が妹と分かれる場面。私は不覚にも電車のなかで、この場面を読んでしまった。妹に対してうそを言うことが出来ない弥五郎の不器用さに、涙が止まらなかった。
町田康はこの「告白」のなかで、すべての時代のすべての人間が生まれ持っている業というものを描いている。「近代」なんか関係ない。だからこそ、こんなに読む人の心に突き刺さってくる。
そして、この物語でなによりも重要なのは、読者が結末を知っているということだ。あの陰惨な結末に向けて、熊太郎と弥五郎が吸い込まれていく様子を読者は見届けなければならない。
こんなに悲しくて痛い話を私は読んだことがない。
告白 (中公文庫) Amazon書評・レビュー: 告白 (中公文庫)より
4122049695
No.18
(5pt)

圧倒されました!!!

まさに凄いの一言。ある男の一生を徹底的な内面の描きこみで表現し、あたかも読者自身が熊太郎に同化されたような感覚で本に引きずり込まれるようなパワーがありました。
 たしかに熊太郎はアホでどうしようもない駄目男なんですが、彼の事を笑える人間なんて本当にいるのだろうか? 読中は笑わしてもらったり、唖然とさせられたり、びびらされたりもしましたが、彼って典型的な日本人のような気がして、ある意味とても考えさせられる小説ではないでしょうか。多かれ少なかれ誰でも熊太郎に似たようなところがあるのではないかと思い、自分の生き様までも考えさせられる、とても重厚で心に訴える作品でしょう。
 圧倒的描きこみと700ページ近い長編で読み応えは充分です。町田 康さんらしい面白い表現も多々あり読み始めると止まらないと思いますよ。私の最大の事案ごとは「葛城ドール」「葛城モヘア」とは結局なんだったのだろうか、この存在がこの小説を陰で支えてある隠し味のような気がしました。
 予断ですが、熊太郎の駄目男ぶりと小説内での風貌の描写から、どうもチャウ・シンチー(映画「少林サッカー」「カンフーハッスル」の主役の人)の顔が浮かんできて仕方ありませんでした。なんかイメージに似てると思いませんか!? 私だけ!?(笑)
告白 Amazon書評・レビュー: 告白より
4120036219
No.17
(5pt)

圧倒されました!!!

まさに凄いの一言。ある男の一生を徹底的な内面の描きこみで表現し、あたかも読者自身が熊太郎に同化されたような感覚で本に引きずり込まれるようなパワーがありました。
 たしかに熊太郎はアホでどうしようもない駄目男なんですが、彼の事を笑える人間なんて本当にいるのだろうか? 読中は笑わしてもらったり、唖然とさせられたり、びびらされたりもしましたが、彼って典型的な日本人のような気がして、ある意味とても考えさせられる小説ではないでしょうか。多かれ少なかれ誰でも熊太郎に似たようなところがあるのではないかと思い、自分の生き様までも考えさせられる、とても重厚で心に訴える作品でしょう。
 圧倒的描きこみと700ページ近い長編で読み応えは充分です。町田 康さんらしい面白い表現も多々あり読み始めると止まらないと思いますよ。私の最大の事案ごとは「葛城ドール」「葛城モヘア」とは結局なんだったのだろうか、この存在がこの小説を陰で支えてある隠し味のような気がしました。
 予断ですが、熊太郎の駄目男ぶりと小説内での風貌の描写から、どうもチャウ・シンチー(映画「少林サッカー」「カンフーハッスル」の主役の人)の顔が浮かんできて仕方ありませんでした。なんかイメージに似てると思いませんか!? 私だけ!?(笑)
告白 (中公文庫) Amazon書評・レビュー: 告白 (中公文庫)より
4122049695
No.16
(5pt)

頭がかっかしてる

自己の内にうずまく感情としての自分と、外の世界で確かに存在する自分。
これに奇妙なずれや違和感を感じ続けてきた、という人にとって、
熊太郎の思弁の節節に表われる、劣等感、疎外感、と言う一言では到底
言い表せないような感情の表現に、ドキッとさせられるんじゃないかと思う。
町田氏に見透かされてるのかと思った。
辛く重い作品ではあったけれど、ところどころに町田氏特有のリズム、
シュールな言葉遊びのようなユーモアがきちんと散りばめられていて、
そこで、無意識に止めていた息を、ふっとつける気がしました。
後半はさすがに息がつまりそうで、気がついたらちょっと熱があんじゃないか
ってぐらい頭に血がのぼった感じで覚醒したような、ぼーっとしたような、
不思議な感じになりました。
ジャンルは違うけど、古谷実氏の作品がデビュー当時から、笑いの中に
隠し切れない闇をはらんでいて、それが膨らみ続けて、『ヒミズ』という作品で
ついに深みにはまってしまったように、町田氏もついに闇が溢れちゃったなあ、
と思ったりしました。
この先、そのドツボにはまってしまうような作家さんではないと思いますが。
告白 Amazon書評・レビュー: 告白より
4120036219
No.15
(5pt)

敗北者の人生の全て。正統派大傑作長編小説

第41回谷崎潤一郎賞受賞作。
この作品は間違いなく日本文学史に残る傑作長編であり、町田康の現時点における最高傑作です。
百年後の人達にも読まれる作品だと思う。
町田康はよく太宰治と比較されるが、この作品は太宰治の「人間失格」によく似ている。
例えば「告白」を「人間失格」、「人間失格」を「告白」というタイトルにしたとしてもほとんど違和感がない。
しかし誤解を恐れずにあえて言わせてもらえば、町田康はこの作品で、太宰治を超えたと思う。
太宰治がついに書き切れなかった領域まで描き切っているように思う。
太宰治ももちろん素晴らしいけど、今読むならば町田康。
ほとんど文句のつけようがない素晴らしい作品だけど、特に熊太郎の最期の台詞が素晴らしい。
その一言で僕は涙が止まらなくなった。
あかんかった、というあの台詞によって「告白」は、
おそらく未だかつて日本文学が到達したことのない領域にまで辿り着く。
何があかんかったのかは自分で読んでください。
少なくとも丸一日をこの一冊に費やす価値は十二分にあると思います。
告白 Amazon書評・レビュー: 告白より
4120036219
No.14
(5pt)

頭がかっかしてる

自己の内にうずまく感情としての自分と、外の世界で確かに存在する自分。
これに奇妙なずれや違和感を感じ続けてきた、という人にとって、
熊太郎の思弁の節節に表われる、劣等感、疎外感、と言う一言では到底
言い表せないような感情の表現に、ドキッとさせられるんじゃないかと思う。
町田氏に見透かされてるのかと思った。
辛く重い作品ではあったけれど、ところどころに町田氏特有のリズム、
シュールな言葉遊びのようなユーモアがきちんと散りばめられていて、
そこで、無意識に止めていた息を、ふっとつける気がしました。
後半はさすがに息がつまりそうで、気がついたらちょっと熱があんじゃないか
ってぐらい頭に血がのぼった感じで覚醒したような、ぼーっとしたような、
不思議な感じになりました。
ジャンルは違うけど、古谷実氏の作品がデビュー当時から、笑いの中に
隠し切れない闇をはらんでいて、それが膨らみ続けて、『ヒミズ』という作品で
ついに深みにはまってしまったように、町田氏もついに闇が溢れちゃったなあ、
と思ったりしました。
この先、そのドツボにはまってしまうような作家さんではないと思いますが。
告白 (中公文庫) Amazon書評・レビュー: 告白 (中公文庫)より
4122049695
No.13
(5pt)

敗北者の人生の全て。正統派大傑作長編小説

第41回谷崎潤一郎賞受賞作。
この作品は間違いなく日本文学史に残る傑作長編であり、町田康の現時点における最高傑作です。
百年後の人達にも読まれる作品だと思う。
町田康はよく太宰治と比較されるが、この作品は太宰治の「人間失格」によく似ている。
例えば「告白」を「人間失格」、「人間失格」を「告白」というタイトルにしたとしてもほとんど違和感がない。
しかし誤解を恐れずにあえて言わせてもらえば、町田康はこの作品で、太宰治を超えたと思う。
太宰治がついに書き切れなかった領域まで描き切っているように思う。
太宰治ももちろん素晴らしいけど、今読むならば町田康。
ほとんど文句のつけようがない素晴らしい作品だけど、特に熊太郎の最期の台詞が素晴らしい。
その一言で僕は涙が止まらなくなった。
あかんかった、というあの台詞によって「告白」は、
おそらく未だかつて日本文学が到達したことのない領域にまで辿り着く。
何があかんかったのかは自分で読んでください。
少なくとも丸一日をこの一冊に費やす価値は十二分にあると思います。
告白 (中公文庫) Amazon書評・レビュー: 告白 (中公文庫)より
4122049695
No.12
(5pt)

人は、自己を伝えきれるのか。という問に対する町田節アンサー

町田康作品の中でも、主人公の城戸熊太郎に圧倒的な感情移入をしてしまい、最後の河内十人切りにいたる前に、あまりにも読んでいられなくなって一旦本を閉じてしまったほどだった。

他の町田作品だと、お話しが短いのと、主人公がだいたい破天荒というか真面目なんだけどどこか突き抜けてはちゃめちゃで、ここまでのシンパシーを感じることはなかった。今年一番響いた作品になりそうな予感がする。

でも、この「告白」の主人公熊太郎は思弁的な自己を表現する言葉を持たず、何気なく反対の行動を取ってしまってもごく僅かの友人を除いては誰にも理解をされないどころか侮蔑される。その心理描写における思弁的な言い訳の仕方が、またあまりにも分かる気がするる。

たとえば、海外に行ったとして、ふと目の前に見かけた吉野家に入る際に「いや自分は吉野家が食べたいと感じて今まさに入らんとしているのだが、なるほど海外に来てまで吉野家を食べるのはどうか、せっかくだから現地の料理を探索すべしという考えにも一理あるだろう。いやしかしながら、そういったステレオタイプな言説に惑わされることはなく、自分はただ安易に吉野家にはいるのではなく、あえて海外で吉野家を食らい、自分のスタイルを安易に変えずに苦節を自ら呼び込む男であることを示しているのだ。などと考えてはみたが正味誰もそんなこと気にしないか」のようなことを考える。

考えるだけ、考える。結局行動は変わらないのである。

そりゃその中身を理解されないのが当たり前な行動を取っているんだが、その理解のされなさ加減が無性に悲しくなり、何かしら信じていたことも覆され、信じていた僅かの人間もいなくなり、結局誰からも孤絶して、最後の最後まで「本当のこと」を口にすることができない。

人は、自己を伝えきれるのか。結局は孤独に生まれ、孤絶へと向かうのか。
そんな問いを町田節で時代劇風に読みやすく書ききった名作だった。
告白 Amazon書評・レビュー: 告白より
4120036219
No.11
(5pt)

人は、自己を伝えきれるのか。という問に対する町田節アンサー

町田康作品の中でも、主人公の城戸熊太郎に圧倒的な感情移入をしてしまい、最後の河内十人切りにいたる前に、あまりにも読んでいられなくなって一旦本を閉じてしまったほどだった。

他の町田作品だと、お話しが短いのと、主人公がだいたい破天荒というか真面目なんだけどどこか突き抜けてはちゃめちゃで、ここまでのシンパシーを感じることはなかった。今年一番響いた作品になりそうな予感がする。

でも、この「告白」の主人公熊太郎は思弁的な自己を表現する言葉を持たず、何気なく反対の行動を取ってしまってもごく僅かの友人を除いては誰にも理解をされないどころか侮蔑される。その心理描写における思弁的な言い訳の仕方が、またあまりにも分かる気がするる。

たとえば、海外に行ったとして、ふと目の前に見かけた吉野家に入る際に「いや自分は吉野家が食べたいと感じて今まさに入らんとしているのだが、なるほど海外に来てまで吉野家を食べるのはどうか、せっかくだから現地の料理を探索すべしという考えにも一理あるだろう。いやしかしながら、そういったステレオタイプな言説に惑わされることはなく、自分はただ安易に吉野家にはいるのではなく、あえて海外で吉野家を食らい、自分のスタイルを安易に変えずに苦節を自ら呼び込む男であることを示しているのだ。などと考えてはみたが正味誰もそんなこと気にしないか」のようなことを考える。

考えるだけ、考える。結局行動は変わらないのである。

そりゃその中身を理解されないのが当たり前な行動を取っているんだが、その理解のされなさ加減が無性に悲しくなり、何かしら信じていたことも覆され、信じていた僅かの人間もいなくなり、結局誰からも孤絶して、最後の最後まで「本当のこと」を口にすることができない。

人は、自己を伝えきれるのか。結局は孤独に生まれ、孤絶へと向かうのか。
そんな問いを町田節で時代劇風に読みやすく書ききった名作だった。
告白 (中公文庫) Amazon書評・レビュー: 告白 (中公文庫)より
4122049695