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R帝国
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R帝国の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.48pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全84件 61~80 4/5ページ
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日本の現状を徹底的にシニカルに戯画化していて、終始息苦しくなるディストピア小説。安倍政権による三権支配を盲目的に支持するネトウヨの群れ、現政権の底知れぬ腐敗を暴く証拠が次々と出てきても、他よりましと自公に投票する、もしくは、投票すらしない、半径5m以内にしか興味を持たない大衆の群れは、ここに書かれた貧しくても帝国に満足し従順に従う85%の帝国国民そのもの。 欺瞞戦争を日常化する国際社会や、ご都合主義的な人間関係等々の設定にはあまり説得力はないものの、劇画の世界のように、深く解析することなくどんどん読み進められる。 | ||||
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ここで提起されている問題、社会のイヤな面、ダメな面、言いたいことには共感できるのですが、小説としては説明的すぎるというかあらすじだけ読んでるみたいな感じがしてさほど面白くはなかった。でも他のみんなにも読んで欲しいです。 | ||||
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現代にも通じるような展開は面白い思う。 話があっちこっちに飛ぶので理解することに苦痛がした。 意味不明の現代風刺。不必要だし寒い。 性的な描写が多い。 会話が説明的。苦痛。 | ||||
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人物が書き割りみたいだとか、陰謀論に基づいた話が薄っぺらいとかいうのは個人の感想だし、ここに描かれた体制に抵抗して不幸な目に遭った主人公に共感するかどうかも、個人の持つ考えによるだろう。だから気にいる人がいるのも理解出来る。しかし、R帝国の政治体制については、もっとよく造形した方が良いのではなかったか、政権党がここまで強い理由も国民が馬鹿だからだ、というのでは説得的ではないし、R帝国には選挙も議会も総理大臣もある。ロシアのプーチン体制のようなものを想定して(今の自民党一強政治をもそう考えたいようだが)いるとしても、あれは帝国ではないだろう、半とか擬似という名のついた民主主義体制だ。R帝国の中心にいるのは、元製薬企業の大物であった政治家で、別に世襲はめざしていないようだし、彼の権力の正統性は選挙によるらしいから、益々不可解だ。ネット掲示板での論争を読まされたみたいだった。 | ||||
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現在の日本が抱える政治的課題を網羅的にストーリーに盛り込んだということで、バッシングを恐れない作者の勇気と気概に星4つ。 荒唐無稽な話なんだけど、ほとんどのエピソードが現実とリンクしていて、特に過去の出来事を「都市伝説」として登場させるアイディアは、歴史修正主義の行き着く先をデフォルメした形で暗示していて笑えない。 高度経済成長以後のさまざまな困難を、政治的リーダーの不在のまま浮遊してきた日本のなれの果て。飼い慣らされることを良しとする国民性と、プラスにつながり合うのではなく足を引っ張り合う方が好きという文化が、官民を堕落腐敗させ、政治家のエゴイズムを増長させてきた。 その壊滅的な人心の危機に立ち向かえるのは女性(サキ)なんだろうという作者の意識の反映が感じられる。 | ||||
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私は政治に明るくないので政治的観点からは物は言いませんが、 普通にSF感覚で読めて面白かった。 中村文則作品の特徴に、主人公を通じた著者の人間性の「剥き出し」ということが 挙げられるけれど、 本作はその「剥き出し」に加えて著者の「主張」が籠められているのを感じた。 そして速度。物語に速度があるとするなら、中村氏はどんどん そのスピードを増していっている。本作はもはや「疾走」に近い。 中村氏に手を引かれるようにして、一気に読み終えてしまった。 漫画「ドラゴンヘッド」でもそうだけれど、安定を失った世界でこそ 人はその真価を問われるもので、そんな世界で自分を見失わずに生きる 四人の主人公の姿には胸を打たれた。 私もサキやアルファのように気高く、矢崎のように人間の誇りを失わず、 栗原のようにこんな世の中にあっても自分を否定せず生きたいと強く思った。 「彼氏だな」 「おあいこだね」 の台詞には、息苦しいこの実際の世界の中でも人間らしく生きようとする 中村氏の優しさが垣間見えるようで、この人は弱いけれど強い人だ、と感じた。 人間というものを常人より強く意識し、またその本性を敏感に感じ取れてしまう、 中村氏はそんなひとではあるけれど、それでも人間を否定しない。 作中に「人間なんてこんなもんだと思っているから逆に優しく出来る」 というような表記が出てくるけれど、本当に人間が嫌いならそもそも初めから 小説なんか書かないし、このひとは人間を肯定したいが故に苦しんでいるんだろうなと いうことが痛いほど伝わってきた。 ラスト一行は中村氏の叫びとなって直接鼓膜に響いてくるようで苦しかった。 おすすめです。 本作が好きなひとは、漫画「ドラゴンヘッド」「ぼくの地球を守って」も おすすめ。 | ||||
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独裁政権の成れの果て、極度のネット依存、人工知能、そして戦争など、近未来の世界観を壮大に描いた物語だった。 国民の不安、怒り、恐怖をいかに煽るか。そして、国民から支持されるように仕向けるのか。 国民の感情を巧みに操ったり、他人と比較することで優越感を感じたりする心理を利用したりといった描写には恐怖と危機感を感じた。 また、人工知能が搭載されたHumanPhone(HP)が自ら感情をもって行動したり、判断したりする世の中の怖さも感じた。 一方、アルファやサキ、栗原といった人種がいることにも希望がもてた。何が正しくて何が正しくないのか。マスコミの言葉を鵜呑みにするのではなく、自分なりの価値観や信念をいかにもつのか、考えさせられることが多かった。 | ||||
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氏の著作は初読 充分楽しめるけれど、ちょっと疲れるかな… 序盤の「口内の痒いところを掻いたり、耳を掃除するためのものではなりません」で、自分には思いもよらなかった使い方だwこりゃ好み系統かな? と、思ったが、多分ノリが違う 「リスペクトはしないが、タブーには踏み込まない」とか、言い回しはかなり結構好みなんだが、消耗したまま了になってしまうのが…やっぱ、疲れる 自分の為の覚書です | ||||
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総選挙には間に合ったが 結果は筆者予測通り 前の人も書いていたが 読売にも 理解者がいるということか かなり急いでいる文体が筆者の切迫感のあらわれ でも中途半端な批評家より 思いの深さは伝わる 村上龍の若いころのような とげとげしさがもっとあっても良いかも 自作も期待 | ||||
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2017年10月21日読了。 明日の結果がどうなるとしても、サキのように勇気を持って生きていきたいと願う。 しかし、この内容が御用メディアの読売に掲載されていたとは、信じがたい。(夕刊ではあるが) 登場人物たちは、中村さんテイストによって恐らく現実より(私が認識している現実よりは)すこしだけ業が深く描かれているが、 本質としては、正に今の日本人はこのような人たちがこのように考えて動いているだろうと深く納得させられるものだった。 中村さんとしては急いで描いたような印象を受けたが、それでも、2016年からこれを書き始め、 この選挙前に出版できた時代への洞察力と筆力には脱帽せざるを得ない。なんという才能、運命性。 そして、何よりも、勇気。 間違いなく現代日本の擁する最良の作家の一人。 | ||||
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即ち、この書物は世界中の国々、そして世界中の戦争の事実を描いたノンフィクションなのではなかろうか。こんな事を書くと、wwwのついた無数の「ただの陰謀論」と云う声が涌いてくるかとも思う。が、しかし私はそうは考えない者のひとりである。作者は支配者にこう言わせている、人は信じたいものを信じ、思い込みたいように思い込む、と。支配者は限りなく傲慢だが、それ以外の大多数もまた限りなく卑怯に描かれる。それは私達人間の真実でもあろう。今の日本に、敢えて戦争を起こす必然性は無いと考えるが、近未来のディストピアを思うと空恐ろしい。本文末尾とあとがきの間に、たった2行であるけれども、ブラックユーモアとも真剣な挑発ともとれる記述がある。もしやこの著作は、否、読者は完全に侮られているのではと、つい考え込む。未だ覚醒せざる人々の蒙を啓く可能性と、覚醒せし者を更なる絶望へと導く可能性との両義性を秘めた書物である。しかし著者は呻くように言う、曰く、希望を置き去りにしてはならないのだ。 | ||||
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移民問題・人種差別・戦争の危機・ネットへの依存・・・ 今の時代が抱えている問題が、さらに深刻化してしまった未来の最悪ケースを見せられているかのような作品でした。 決して大げさな作り話とは言えないのが怖いです。 ただ、人物描写が粗く、栗原と矢崎、どっちがどっちかわからなくなるのには困りました。 メッセージ性は強いけど、小説を味わうという意味でなら深みはありません。 SFは苦手なのでかなり苦戦はしたけど、著者が未来に対して感じてる危機感?・・・そのメッセージは受け取れた気がします。 | ||||
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小説の内容は現在の日本を覆う不気味さや閉塞感を、よく(過剰に)表現できていると思う。 少なくとも夢想レベルよりは現実味があると思う。 書かれている内容や技術について未熟だ、というコメントもあるが当を得ていない。 科学技術的な話は枝葉末節な部分であって、本書の本質と関係がない。本書は人間の話をしているのであって、IAや兵器など話は味付け部分に過ぎない。その描写の正確性やの正しさを論評しても全く意味がないし、作者もそんなことは分かって書いていると思う(科学的な正確性などどうでもいい、と)。シンギュラリティの話なんて数行しか出てこないんだから。 その辺を割り切って読めないのは、「スターウォーズ」や「ドラゴンボール」を非現実的だからつまらない、と言っているようなものと感じる。 | ||||
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教団Xもひどかったが、さらに輪をかけて薄い。 一言でいうと世界は陰謀で動いているとした陰謀史観本なのだが、 そういわれるのを見越して、作中にエクスキューズを入れているのがまた寒い。 本書で描かれるディストピアより悲惨な国家は現実に存在していたし、現在もすぐ近くに存在する。 R帝国は国民の管理に熱心だが、そもそも国民なんかどうでもいいと思っている独裁国家も多い。 作者の描く世界は陳腐で、軍事にせよ、経済にせよ、AIにせよ、あまりまじめに勉強したり考えたりしたことがないのであろう。 社会を憂える自分に、作者が陶酔しているようで正直気持ち悪い。 | ||||
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フィクションなのにフィクションと感じさせない作品、最後まで作品に引き込まれました。アルファベット表記の国名や固有名詞がすこし紛らわしい部分があった気もしましたが沢山のことを考えさせられる作品でした。 希望を持って、今何が起きているのか、今何をしなければいけないのか冷静に熟考し生きていきたいと思います。 | ||||
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この本を読んでいる途中、何度も「見てはいけないものを見てしまった」感覚に捕らわれた。この小説で描かれるあまりにも身勝手な人達に出会いながら。 そして、何回も「死にたくない」とも思った。この小説で描かれる理不尽に死んでいく人のシーンに出くわしながら。 だけど、この小説にとても大切なことを教えられた気がする。 どんな現実でも理想を掲げることで、肯定できること。 そのために、できる「抵抗」をしていくこと。 自分にできる抵抗は何か。 どんなことがあっても、希望を捨てずに生きていくべきだと思う。 | ||||
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私はこれまで中村文則氏のほとんどの著作に触れ、そのうちのいくつかからは、強烈な衝撃と影響を受けてきました。 そのうえで、あえて書きます。 今作は期待はずれだったと。 他の書評にもありますが、登場人物の描写があまりにも薄っぺらく、全く感情移入できません。 主要な登場人物として矢崎と栗原という異父兄弟がでてきますが、内面や言動の書き分けが明確ではなく、(つらい過去を持つこと、一見して冷めた性格ながらも人情に厚い部分もある、なぜか女性にモテる、など)どちらが矢崎で栗原だったのか途中で混乱してしまいました。 また、小説の筋書き自体もどこかで見聞きしたような内容で、物語というよりも定型の解説文の切り貼りを読んでいるような気になり、あえて読者の情緒に訴えかけるような描写も散見され、少々つらいものがありました(特に女性兵士が戦死する場面など)。 小説の舞台とされる国名もR帝国、Y宗国、G宗国、A帝国というようにアルファベットで示してある点も読みづらく感じてしまいました(この点はあるいは若い読者を想定してあえて覚えやすい表記にしたのか)。 「日本」や「第二次世界大戦」「アメリカ」といった現実の国や歴史が作中における架空の小説として紹介されている点は面白いなと思いましたが、この物語が私たちが生きている現実の世界の未来として描かれているのか、そうだとすれば西暦何年ごろの話であるのかが明らかではないため、消化不良感が残ります。 黒幕的存在である加賀の独白など、引き込まれる部分もありましたが、やはり細部の描写の弱さが最後まで気になってしまいます。 大衆に迎合することの恐ろしさ、民衆の無意識の悪意、右傾化・全体主義化していくことへの警鐘、戦争と貧困の繋がりとからくり、排外主義・差別主義への嫌悪感、思考を停止しないことの意義、「幸福 とは閉鎖である」こと 、、、 著者がこの小説を通して「世界」に訴えかけようとしていることはひしひしと伝わってきました。しかし、だからこそ、内容に関してはもっと推敲してもらいたかった、という気持ちになります。圧倒的な説得力と完成度がなければ、本来この小説を読まなければならない人々にはこの主張は届かないからです。 いろいろと偉そうなことを書き連ねてしまいましたが、中村文則作品のファンであるからこその辛辣な意見です。 「掏摸」を読み終えたときの足元がぐらつく感覚、「銃」「遮光」の引きずり込まれるような闇、「惑いの森」で教えてくれた多くの扉、「何もかも憂鬱な夜に」での無条件の存在の肯定、「悪と仮面のルール」の疾走感、「教団X」でかいま見えた世界の成り立ちと深淵、「あなたが消えた夜に」の喪失と希望。 あのときの感覚をまた味わいたい。 私は、中村文則さんの書く小説が、文章が好きです。 巻末にいつも書かれている「共に生きましょう」の言葉にはいつも小さく励まされています。 結局のところ、貶しているのか讃えているのかよくわからないレビューになってしまいましたが、自作への期待も大きく込めての星2つです。 個人的には政治的な主張や暴力描写からは離れた小説が読んでみたいです。 最後に余談をひとつ。 今作と同じ近未来ディストピアものがお好きな方にはカナダの女性作家マーガレット・アトウッドの「オリクスとクレイク」をお薦めいたします。バイオテクノロジーの進歩や社会階層の成り立ちなど、かなりリアリティーのある内容です。 もう一つ、こちらは話題作で小説ではありませんが、ユヴァル・ノア・ハラリの「サピエンス全史」では「R帝国」にも登場するAIの特異点の話や新人類の誕生に関して人類史の観点から詳細に綴ってあり、引き込まれるものがあります。 | ||||
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作者が今の世界を生きていて何となくモヤモヤしているものを、頑張ってシナリオプランニングしてみました - そういう本だと理解しました。スケールは壮大だし、天文学的な確率でこういう感じの世界が来るのかもしれません(未来のことは誰にもわからないのですから)。 僕が読んでいて苦痛だったのは、余りにも作者が描く未来がリアリティがなさすぎる事でした。恐らくテクノロジーの進歩はこんな感じにならないし、流石に一般人もここまで馬鹿ではない。勝手な想像で恐縮ですが、おそらく作者は、AIの現状を何も知らずにただシンギュラリティの本を読んで、人とあまり接さずにニュース越しに世界を眺めているのではないかと感じてなりませんでした。 言い換えると、お伽噺としては読めますが、少しでもリアリティのある未来を読みたいのであれば、この本は適切な選択肢とは言い難いでしょう(少なくとも、まともに社会に出て仕事をしている人からすれば) ※少し追記すると、人の価値観・社会の情勢・技術の進歩は、それぞれが絡み合って変化していくものだと思います。(勿論それ以外にも因子は星の数ほどありますが)それらを掛け合わせたときに、とても未来はこんな話にはならないんじゃないかと感じました。(技術の話だけ取り出して言っているわけではない) | ||||
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所謂ディストピアもの。描かれているのは戦争が始まった世界だが、作者の筆力のせいもあって、「近い将来現実になりそう」と感じさせる。 スマホに依存し、ネットに依存する人々。 匿名を盾にして誰かれ構わず攻撃する人々。 批判さえできれば対象はなんでも構わない人々。 そういう人々は確かに、権力者や国からすれば最も扱いやすい。自分で物事を考えないから。 そしてそういう人々が最近どんどん増えているように感じられるし、これからも増えていけば筆者の書いた通りになるのかもしれない。 ほとんど絶望しか描かれていないフィクションなのにフィクションと思えないのが何より恐ろしい。 | ||||
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中村さんの十八作品目の小説は、近未来の架空の世界を描いた「R帝国」。架空の世界を描くというのは、これまでにない試みではあるが、内容はしかし非常にリアルな現実がそこにあった。これは決して架空などではなく、私たちが生きている世界の構図を解りやすく例えて描き出して見せただけであり、人間の愚かな構造を見事に描き出している。 私たちがスマートフォンやインターネットで繫がっていなければ不安でならないその依存性が人工知能を搭載したHPなるものに依存している人々の姿に投影されている。そして、戦争、テロに高揚する人間の心理を巧妙に描いている。 「サキ」や「アルファ」など、自らの意志で戦い抜く強い女性が描かれているのも特徴的だ。ここまで強い意志で生きる女性像は中村文則作品では「王国」以来かもしれない。 私は時々、人は望んで戦争へ向かうのかもしれないと恐れていたが、この本を読むとそれはより確信に変わった。 人は自分の醜さや不幸を受け入れないために、容易に他人を貶め、憎み、蔑み、自分の優位性で馬鹿になるのだ。私は、そんなふうにはなりたくないと思う。 「R帝国」=「日本」と考えて差し支えないだろう。私たちは、ちゃんと自分の意志で物事を考えているのか、ちゃんと自分の足で立っているのか、誰かに何かに操られていないか、よくよく考える必要があると思う。 中村さんは、世界の、日本の未来を危惧してこれを書かれたと思う。私は、しっかりとそのメッセージを受け止め、世界がもし間違った方向に向かっても「サキ」や「アルファ」のように強い意志で「抵抗」したいと思う。 この小説では『抵抗』という言葉がなくなってしまっているが、私たちもそれを無くしてはいないか自分に問わなければならないのではないだろうか。 最後に、この小説のサイン会で中村さんに直接お会いすることが出来ました。その時、とても親切に気さくに優しく接していただきました。「肩の力抜いてね」と励まされて、とてもありがたかったです。本には『共に生きましょう!!』と書いていただきました。 一生の宝物です。ありがとうございました。 | ||||
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