嘘の木

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評判

嘘の木の評価:

4.30/5点 レビュー 20件。 B ランク

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平均点4.30pt

Amazonレビュー一覧

Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全40件 1〜20 1/2ページ
No.40
(5pt)

中盤以降、尊敬する父が不審な死をとげるところから一気におもしろくなってくる

ファンタジーとサスペンス、それぞれの要素がうまく混ざっていてドキドキしながら読んだ。

本書は博物学が好きな14歳の少女フェイスの視点で描かれていく。

物語の序盤は、なぜ家族が島へ移住することになったのかが分からず、また島で知り合う登場人物の多さや、フェイスの周囲の人間関係を把握するのが大変だった。

それが中盤以降、尊敬する父が不審な死をとげるところから一気におもしろくなってくる。

父の死は事故か殺人か自殺か、父が隠していたことは何か、家族が島へ移住することになった理由、各関係者の利害関係などを調査するため、フェイスが嫁入り前の少女という鎧を脱ぎ捨てて、父の復讐という名目で一心不乱に調査していく展開は読み応えがあった。

19世紀のイギリスでは、女性は結婚するまでは親のすねをかじり続けるだけで、なんらかの職業で身を立てることが難しい時代。

そんな時代に生まれながらも、植物や解剖の勉強が好きで親の前では反抗しない優等生のフェイスが、持ち前の賢さと怒りからの行動力を生かして、他者に嫌がらせをしたり、脅迫したり、嘘をついたりしながら真相に迫っていく姿は鬼気迫る勢いがあった。

また、嘘を養分として成長するという不思議な木の存在も本書の鍵となってくる。

小さな嘘が炎のように広がるとともに成長する木、その木の果実を食べると誰も知らないことを脳内に教えてくれるという謎の現象、それが事件の真実とどう繋がっていくのか。

終盤は様々なピンチを迎えるが、それに立ち向かっていく勇敢な少女の物語は読後感もよかった。
嘘の木 (創元推理文庫) Amazon書評・レビュー: 嘘の木 (創元推理文庫)より
4488151078
No.39
(5pt)

中盤以降、尊敬する父が不審な死をとげるところから一気におもしろくなってくる

ファンタジーとサスペンス、それぞれの要素がうまく混ざっていてドキドキしながら読んだ。

本書は博物学が好きな14歳の少女フェイスの視点で描かれていく。

物語の序盤は、なぜ家族が島へ移住することになったのかが分からず、また島で知り合う登場人物の多さや、フェイスの周囲の人間関係を把握するのが大変だった。

それが中盤以降、尊敬する父が不審な死をとげるところから一気におもしろくなってくる。

父の死は事故か殺人か自殺か、父が隠していたことは何か、家族が島へ移住することになった理由、各関係者の利害関係などを調査するため、フェイスが嫁入り前の少女という鎧を脱ぎ捨てて、父の復讐という名目で一心不乱に調査していく展開は読み応えがあった。

19世紀のイギリスでは、女性は結婚するまでは親のすねをかじり続けるだけで、なんらかの職業で身を立てることが難しい時代。

そんな時代に生まれながらも、植物や解剖の勉強が好きで親の前では反抗しない優等生のフェイスが、持ち前の賢さと怒りからの行動力を生かして、他者に嫌がらせをしたり、脅迫したり、嘘をついたりしながら真相に迫っていく姿は鬼気迫る勢いがあった。

また、嘘を養分として成長するという不思議な木の存在も本書の鍵となってくる。

小さな嘘が炎のように広がるとともに成長する木、その木の果実を食べると誰も知らないことを脳内に教えてくれるという謎の現象、それが事件の真実とどう繋がっていくのか。

終盤は様々なピンチを迎えるが、それに立ち向かっていく勇敢な少女の物語は読後感もよかった。
嘘の木 Amazon書評・レビュー: 嘘の木より
4488010733
No.38
(4pt)

女の子の成長物語

異生物の嘘の木にまつわるファンタジー、SF、サスペンス活劇と、盛りだくさんな要素を詰め込んだ作品。意外な展開が続くストーリーラインもだが、娘が両親への無条件の憧れを卒業して現実を受け入れる、というテーマが面白かった。父親は人々に尊敬される立派な人。母親は美しく守ってあげたい人。意識の上ではそう信じている主人公。でも文章の端端に、そのテーゼとは反対の現実を感じながら必死で否定している健気な娘の心情が垣間見える。最後には娘というより女同士対等の立場で母親を批判的に見るまでに成長する。
同じ作者の「カッコーの歌」が一番のおすすめ。
嘘の木 (創元推理文庫) Amazon書評・レビュー: 嘘の木 (創元推理文庫)より
4488151078
No.37
(4pt)

女の子の成長物語

異生物の嘘の木にまつわるファンタジー、SF、サスペンス活劇と、盛りだくさんな要素を詰め込んだ作品。意外な展開が続くストーリーラインもだが、娘が両親への無条件の憧れを卒業して現実を受け入れる、というテーマが面白かった。父親は人々に尊敬される立派な人。母親は美しく守ってあげたい人。意識の上ではそう信じている主人公。でも文章の端端に、そのテーゼとは反対の現実を感じながら必死で否定している健気な娘の心情が垣間見える。最後には娘というより女同士対等の立場で母親を批判的に見るまでに成長する。
同じ作者の「カッコーの歌」が一番のおすすめ。
嘘の木 Amazon書評・レビュー: 嘘の木より
4488010733
No.36
(4pt)

読んで損のない高年齢でも読み応えのあるジュブナイル

ある学者が捏造の疑いをかけられ、僻地に隠れ住み・・・というお話。

上記だけだと何だか判りませんが、ある特殊な木を発見した学者がそれが原因で不審な死に方をし、その娘が真相を求めて、独自に捜査し・・・というお話でした。

一応、ジュブナイルという事で、若い人向けらしいですが、ファンタジー風の設定を許容すれば、年齢の高い人が読んでも結構面白い作品ではないかと思いました。

ここで、著者が嘘をネタにした理由を憶測すると、人生の中では時に嘘をつかないといけない場合もあり、単純な二元論で割りきれない複雑な状況もありうる、場合によっては嘘をついた方が慰めになったりする(白い嘘というらしいですが)事もあるという事実を若い人に伝えたかったのではないか、と思いましたがどうでしょうか。

推理小説としての結構も備えており、そういう小説としても楽しめましたし、上記の様なビルドゥィグス・ロマンとしても意義のある作品に思えました。ただ、宮部さん程の感動はしませんでしたが。

ともあれ、読んで損のない高年齢でも読み応えのあるジュブナイルでした。機会があったら是非ご一読を。
嘘の木 (創元推理文庫) Amazon書評・レビュー: 嘘の木 (創元推理文庫)より
4488151078
No.35
(4pt)

読んで損のない高年齢でも読み応えのあるジュブナイル

ある学者が捏造の疑いをかけられ、僻地に隠れ住み・・・というお話。

上記だけだと何だか判りませんが、ある特殊な木を発見した学者がそれが原因で不審な死に方をし、その娘が真相を求めて、独自に捜査し・・・というお話でした。

一応、ジュブナイルという事で、若い人向けらしいですが、ファンタジー風の設定を許容すれば、年齢の高い人が読んでも結構面白い作品ではないかと思いました。

ここで、著者が嘘をネタにした理由を憶測すると、人生の中では時に嘘をつかないといけない場合もあり、単純な二元論で割りきれない複雑な状況もありうる、場合によっては嘘をついた方が慰めになったりする(白い嘘というらしいですが)事もあるという事実を若い人に伝えたかったのではないか、と思いましたがどうでしょうか。

推理小説としての結構も備えており、そういう小説としても楽しめましたし、上記の様なビルドゥィグス・ロマンとしても意義のある作品に思えました。ただ、宮部さん程の感動はしませんでしたが。

ともあれ、読んで損のない高年齢でも読み応えのあるジュブナイルでした。機会があったら是非ご一読を。
嘘の木 Amazon書評・レビュー: 嘘の木より
4488010733
No.34
(3pt)

文学的すぎてエンタメとしてノレなかった

紹介文を読んでファンタジー、ミステリ、19世紀と、面白要素でいっぱいの児童文学的ミステリを楽しもうと思ったら、期待には応えられないかもしれません。

ことのほか現代的、ジェンダー的なテーマが重くのしかかってくるし、アクが強すぎて好感が持てないキャラクターばかり。なぜかというとエンターテインメントである前に「文学的」な意味で評価の高い作品だから。上記の意味で、私には楽しむことができませんでした。
嘘の木 (創元推理文庫) Amazon書評・レビュー: 嘘の木 (創元推理文庫)より
4488151078
No.33
(3pt)

文学的すぎてエンタメとしてノレなかった

紹介文を読んでファンタジー、ミステリ、19世紀と、面白要素でいっぱいの児童文学的ミステリを楽しもうと思ったら、期待には応えられないかもしれません。

ことのほか現代的、ジェンダー的なテーマが重くのしかかってくるし、アクが強すぎて好感が持てないキャラクターばかり。なぜかというとエンターテインメントである前に「文学的」な意味で評価の高い作品だから。上記の意味で、私には楽しむことができませんでした。
嘘の木 Amazon書評・レビュー: 嘘の木より
4488010733
No.32
(4pt)

楽しみに少しずつ読め・・なかった、徹夜本

ほんとの話にちょこっとファンタジー。匙加減が素晴らしいです。
字が小さいけど、内容的には本好きな中学生も楽しめるのでは。アニメーションにできそうな話ですね。
高額なので迷いましたが、書店のレジに出すときには、「これ買っちゃうよ!」と気分が高揚し「ああ、本を買った!」というワクワクがありました。
ずっと気になっていたのですが、手に入れてよかったです。本があれば、好きそうな友だちに譲ることもできますからね。
嘘の木 (創元推理文庫) Amazon書評・レビュー: 嘘の木 (創元推理文庫)より
4488151078
No.31
(4pt)

楽しみに少しずつ読め・・なかった、徹夜本

ほんとの話にちょこっとファンタジー。匙加減が素晴らしいです。
字が小さいけど、内容的には本好きな中学生も楽しめるのでは。アニメーションにできそうな話ですね。
高額なので迷いましたが、書店のレジに出すときには、「これ買っちゃうよ!」と気分が高揚し「ああ、本を買った!」というワクワクがありました。
ずっと気になっていたのですが、手に入れてよかったです。本があれば、好きそうな友だちに譲ることもできますからね。
嘘の木 Amazon書評・レビュー: 嘘の木より
4488010733
No.30
(5pt)

自分たちの生活を守るためと真実を突き止めたい好奇心から「嘘の木」を利用する少女が、真実と嘘、女性の立場と戦略などに気づいていくミステリー

19世紀後半、ダーウィンの進化論に揺れる英国。牧師であり博物学者である父の世紀の発見「翼ある人類」の化石が捏造だったというスキャンダルから逃れるために、14歳のフェイスは、両親に連れられ、弟とともにヴェイン島に移住する。好奇心の強い彼女は、その捏造が厳格で正直な父の所業とは納得できず、スキャンダルの内容をもっと知りたいと思っていたが、島での父は、人を近づけたがらなかった。父からの依頼で「秘密」を手伝って「植物」を海の洞窟に運び入れた夜、再び出ていった父は、翌朝木に引っかかった形で死亡しているのが確認される。自殺が疑われるため通常の埋葬ができない。検死と審判まで埋葬は待たれることになった。父の手記から、隠した植物が「偽りの木」で、嘘を養分として育ち、つけた実を食すと真の知識を得られると知った彼女は、父の死因を突き止めるためにその木を利用しようと考える。

自分たちの生活を守るためと真実を突き止めたい好奇心から「嘘の木」を利用する少女が、真実と嘘、女性の立場と戦略などに気づいていくミステリー。

*******ここからはネタバレ*******

これは文句なしにおもしろかった。秀作です。
「進化論」に揺れる学会と教会で、その両方に所属する厳格で正直な父親が、嘘をつくことによって真実を得ようとする矛盾。
女性は無知だと言いながら「お前がどれだけ賢いか、証明してみせてくれ」と娘に秘密の協力をさせる父親。
そして、無知で非力な女性が、その存在感のなさを利用して周りの男達をあやつる。

フェイスの貶められぶりが実にすごい。
雨の中馬車の荷重が大きすぎて何かを降ろさなければならなくなったとき、弟よりも荷物よりも娘であるフェイスを降ろすことにするとか、弟の子守役を押し付けられるとか、母が、自分の年齢を高く見積もられたくないために娘にわざと子どもの格好をさせ続けるとか、頭蓋骨が小さいから知恵を入れないほうがいいとか、稼げないし名声も上げられないし、持参金は家から出るし、嫁に行かなければ弟の面倒になると言われるし……。ああ、この時代の女性は本当に大変だったんだなぁと思います。こういう人たちの人生の積み重ねのおかげで、フェイスの受ける辛い仕打ちも、過去のものとして受け止められるのでしょうね。

この物語の中で突出しているのは、「嘘の木」の存在感よりも、主人公フェイスの頭の良さです。
この木を利用するに当たり、父のサンダリー師は、自分の名誉を引き換えにしましたが、賢い彼女は、出どころを突き止められず、かつ、人々が勝手に翻弄されるような嘘をつくっています。この賢さが父親にあれば今回の悲劇はなかったでしょうに。

彼女の嘘のおかげで放火や略奪、傷害を負ったミス・ハンターが、最後に彼女たちを助けてくれるところと、彼女が都合よく持っていた手鏡のおかげで嘘の木を焼けたというところだけは、ちょっと出来すぎ感はありますが、読みながら、どんな結末になっても満足できるだろうという安心感がありました。
なんとも完成度の高い作品です。

子どもたちだけでなく、大人の読書にも十分耐えます。
嘘の木 (創元推理文庫) Amazon書評・レビュー: 嘘の木 (創元推理文庫)より
4488151078
No.29
(5pt)

自分たちの生活を守るためと真実を突き止めたい好奇心から「嘘の木」を利用する少女が、真実と嘘、女性の立場と戦略などに気づいていくミステリー

19世紀後半、ダーウィンの進化論に揺れる英国。牧師であり博物学者である父の世紀の発見「翼ある人類」の化石が捏造だったというスキャンダルから逃れるために、14歳のフェイスは、両親に連れられ、弟とともにヴェイン島に移住する。好奇心の強い彼女は、その捏造が厳格で正直な父の所業とは納得できず、スキャンダルの内容をもっと知りたいと思っていたが、島での父は、人を近づけたがらなかった。父からの依頼で「秘密」を手伝って「植物」を海の洞窟に運び入れた夜、再び出ていった父は、翌朝木に引っかかった形で死亡しているのが確認される。自殺が疑われるため通常の埋葬ができない。検死と審判まで埋葬は待たれることになった。父の手記から、隠した植物が「偽りの木」で、嘘を養分として育ち、つけた実を食すと真の知識を得られると知った彼女は、父の死因を突き止めるためにその木を利用しようと考える。

自分たちの生活を守るためと真実を突き止めたい好奇心から「嘘の木」を利用する少女が、真実と嘘、女性の立場と戦略などに気づいていくミステリー。

*******ここからはネタバレ*******

これは文句なしにおもしろかった。秀作です。
「進化論」に揺れる学会と教会で、その両方に所属する厳格で正直な父親が、嘘をつくことによって真実を得ようとする矛盾。
女性は無知だと言いながら「お前がどれだけ賢いか、証明してみせてくれ」と娘に秘密の協力をさせる父親。
そして、無知で非力な女性が、その存在感のなさを利用して周りの男達をあやつる。

フェイスの貶められぶりが実にすごい。
雨の中馬車の荷重が大きすぎて何かを降ろさなければならなくなったとき、弟よりも荷物よりも娘であるフェイスを降ろすことにするとか、弟の子守役を押し付けられるとか、母が、自分の年齢を高く見積もられたくないために娘にわざと子どもの格好をさせ続けるとか、頭蓋骨が小さいから知恵を入れないほうがいいとか、稼げないし名声も上げられないし、持参金は家から出るし、嫁に行かなければ弟の面倒になると言われるし……。ああ、この時代の女性は本当に大変だったんだなぁと思います。こういう人たちの人生の積み重ねのおかげで、フェイスの受ける辛い仕打ちも、過去のものとして受け止められるのでしょうね。

この物語の中で突出しているのは、「嘘の木」の存在感よりも、主人公フェイスの頭の良さです。
この木を利用するに当たり、父のサンダリー師は、自分の名誉を引き換えにしましたが、賢い彼女は、出どころを突き止められず、かつ、人々が勝手に翻弄されるような嘘をつくっています。この賢さが父親にあれば今回の悲劇はなかったでしょうに。

彼女の嘘のおかげで放火や略奪、傷害を負ったミス・ハンターが、最後に彼女たちを助けてくれるところと、彼女が都合よく持っていた手鏡のおかげで嘘の木を焼けたというところだけは、ちょっと出来すぎ感はありますが、読みながら、どんな結末になっても満足できるだろうという安心感がありました。
なんとも完成度の高い作品です。

子どもたちだけでなく、大人の読書にも十分耐えます。
嘘の木 Amazon書評・レビュー: 嘘の木より
4488010733
No.28
(4pt)

唯一無二の傑作ファンタジー

本作の著者であるフランシス・ハーディングが紡ぐ物語の特徴といえば、独創的かつ伏線が散りばめられている点であろう。
本作も著者の特徴がふんだんに盛り込まれており傑作であった。

ダーヴィンの「種の起源」が発表されて間もないキリスト教国を舞台とし、そこに「嘘の木」という植物を登場させることで本作は唯一無二の物語となっている。
この「嘘の木」の設定が素晴らしい。
詳細は省くがその設定により物語がより複雑になっている。
設定以外にもビジュアル面やその木に携わった者に起こる変化などの些細な描写も見事であった。

しかしあくまでも「嘘の木」は物語のキーアイテムであって、物語の本筋はやはり主人公であるフェイスが父の死の真相を暴くことである。
父の死の真相を暴くために奔走するフェイス。
散りばめられた謎と見事な伏線。
冒頭から滲み出る不穏な雰囲気などダークファンタジーやミステリー好きにはたまらない作品となっている。

個人的に、真相を暴こうとするフェイスが嘘に翻弄されつつも、次第に自らも嘘を利用していく展開がとても印象に残った。
いかに人間が真実に対して盲目的で、自らが信じたいものしか信じないかという人間の愚かさも描かれていた。

上記以外にも本作は女性差別についても焦点を当てている。
”女たち、女の子たちは姿が見えず、忘れられてばかりのおまけのような存在だ”
このような考えが常識として根付いている世界で、女性たちがいかに苦しい思いを強いられているか。
これは現代社会においても解決していない問題である。
女性差別問題はもちろんのこと、常識という蓋で覆い隠されている他の問題点にも疑問を持てるようになりたいと思った。

フェイスの成長を通して一縷の希望の光が垣間見えるのも本作が傑作と評される所以だろう。
”愛されないという不安の前では、自尊心も、自分が正しいという思いも、自分が何者かという認識も、すべてが無意味だ。”
と考えていたフェイスが最後に導き出した答えに感動した。
また、フェイス以外の女性たちが各々のやり方で世界に立ち向かう姿にも胸を打たれた。
”女は武器をもたされていないから、闘っているようには見えない。でも、闘わないと、滅びるだけなの”という文が示す強さやしたたかさ。
どんな環境に置かれていようと闘うことだけはやめずにいようと思わせてくれる力強さも本作にはある。

主人公の成長物語でもあり歴史ダークファンタジーでもあり、父親の死の謎を解くミステリーでもある本作。
それらが見事に混ざりあっている本作をより多くの人に読んで欲しい。
嘘の木 (創元推理文庫) Amazon書評・レビュー: 嘘の木 (創元推理文庫)より
4488151078
No.27
(4pt)

唯一無二の傑作ファンタジー

本作の著者であるフランシス・ハーディングが紡ぐ物語の特徴といえば、独創的かつ伏線が散りばめられている点であろう。
本作も著者の特徴がふんだんに盛り込まれており傑作であった。

ダーヴィンの「種の起源」が発表されて間もないキリスト教国を舞台とし、そこに「嘘の木」という植物を登場させることで本作は唯一無二の物語となっている。
この「嘘の木」の設定が素晴らしい。
詳細は省くがその設定により物語がより複雑になっている。
設定以外にもビジュアル面やその木に携わった者に起こる変化などの些細な描写も見事であった。

しかしあくまでも「嘘の木」は物語のキーアイテムであって、物語の本筋はやはり主人公であるフェイスが父の死の真相を暴くことである。
父の死の真相を暴くために奔走するフェイス。
散りばめられた謎と見事な伏線。
冒頭から滲み出る不穏な雰囲気などダークファンタジーやミステリー好きにはたまらない作品となっている。

個人的に、真相を暴こうとするフェイスが嘘に翻弄されつつも、次第に自らも嘘を利用していく展開がとても印象に残った。
いかに人間が真実に対して盲目的で、自らが信じたいものしか信じないかという人間の愚かさも描かれていた。

上記以外にも本作は女性差別についても焦点を当てている。
”女たち、女の子たちは姿が見えず、忘れられてばかりのおまけのような存在だ”
このような考えが常識として根付いている世界で、女性たちがいかに苦しい思いを強いられているか。
これは現代社会においても解決していない問題である。
女性差別問題はもちろんのこと、常識という蓋で覆い隠されている他の問題点にも疑問を持てるようになりたいと思った。

フェイスの成長を通して一縷の希望の光が垣間見えるのも本作が傑作と評される所以だろう。
”愛されないという不安の前では、自尊心も、自分が正しいという思いも、自分が何者かという認識も、すべてが無意味だ。”
と考えていたフェイスが最後に導き出した答えに感動した。
また、フェイス以外の女性たちが各々のやり方で世界に立ち向かう姿にも胸を打たれた。
”女は武器をもたされていないから、闘っているようには見えない。でも、闘わないと、滅びるだけなの”という文が示す強さやしたたかさ。
どんな環境に置かれていようと闘うことだけはやめずにいようと思わせてくれる力強さも本作にはある。

主人公の成長物語でもあり歴史ダークファンタジーでもあり、父親の死の謎を解くミステリーでもある本作。
それらが見事に混ざりあっている本作をより多くの人に読んで欲しい。
嘘の木 Amazon書評・レビュー: 嘘の木より
4488010733
No.26
(4pt)

少女と島と時代ミステリー

宮部みゆきさんが随所で絶賛しておられることから、遅ればせながら読了。
自らの信じる道を時代から許されない(だが、目的のため手段を選ばぬ強靭なたくましさも持つ)ヒロイン、頑固で厳格で謎を秘めた学者の父、美しくしたたかで打算的な母、それに癖のありすぎる島の住人たち。読後感は重いが、充実したもの。
ファンタジーの要素を採り入れた時代ミステリーとして読むのが、もっとも相応しいのではないか。
嘘の木 Amazon書評・レビュー: 嘘の木より
4488010733
No.25
(4pt)

少女と島と時代ミステリー

宮部みゆきさんが随所で絶賛しておられることから、遅ればせながら読了。
自らの信じる道を時代から許されない(だが、目的のため手段を選ばぬ強靭なたくましさも持つ)ヒロイン、頑固で厳格で謎を秘めた学者の父、美しくしたたかで打算的な母、それに癖のありすぎる島の住人たち。読後感は重いが、充実したもの。
ファンタジーの要素を採り入れた時代ミステリーとして読むのが、もっとも相応しいのではないか。
嘘の木 (創元推理文庫) Amazon書評・レビュー: 嘘の木 (創元推理文庫)より
4488151078
No.24
(3pt)

おもしろいけどモヤモヤする。※ネタばれあり

ストーリー自体は文句なしにおもしろい。
主人公の成長物語であり、ファンタジーやミステリーの要素もあり…
でも何だか読んでいてモヤモヤする。

※以下ネタばれあり。
モヤモヤの原因は、主人公になかなか感情移入できなかったから。
父親の死の真相を究明するために奮闘するんだけど、この父親がとにかく嫌なやつ。
母親や主人公にモラハラするし、世間を欺いてその結果家族を窮地に陥れたのに、自分のことしか考えてない。
そして嘘の木を横取りしたという点ではほぼ犯罪者…
どうして主人公はこんな父親のために一生懸命になるのか?
最後は父親と決別するのかと思いきやその辺りはあいまい。
はっきり決別してくれたらまだカタルシスがあったのに。
主人公も結構いい性格してる。
噂を流したメイドに仕返しするんだけど、メイドにしてみたら濡れ衣着せられた上に失職したんだから無理もない。
犯人たちに対しても正当防衛とはいえ若干やり過ぎ感ある。
こんな感じで主人公側が絶対的に正しいとは言えないので、読者によって評価が分かれそう。
私はそこまで入り込めませんでした。
周囲の女性も男社会で戦っていると気づき、母親を理解し心が通じ合うラストはよかったです。
嘘の木 (創元推理文庫) Amazon書評・レビュー: 嘘の木 (創元推理文庫)より
4488151078
No.23
(3pt)

おもしろいけどモヤモヤする。※ネタばれあり

ストーリー自体は文句なしにおもしろい。
主人公の成長物語であり、ファンタジーやミステリーの要素もあり…
でも何だか読んでいてモヤモヤする。

※以下ネタばれあり。
モヤモヤの原因は、主人公になかなか感情移入できなかったから。
父親の死の真相を究明するために奮闘するんだけど、この父親がとにかく嫌なやつ。
母親や主人公にモラハラするし、世間を欺いてその結果家族を窮地に陥れたのに、自分のことしか考えてない。
そして嘘の木を横取りしたという点ではほぼ犯罪者…
どうして主人公はこんな父親のために一生懸命になるのか?
最後は父親と決別するのかと思いきやその辺りはあいまい。
はっきり決別してくれたらまだカタルシスがあったのに。
主人公も結構いい性格してる。
噂を流したメイドに仕返しするんだけど、メイドにしてみたら濡れ衣着せられた上に失職したんだから無理もない。
犯人たちに対しても正当防衛とはいえ若干やり過ぎ感ある。
こんな感じで主人公側が絶対的に正しいとは言えないので、読者によって評価が分かれそう。
私はそこまで入り込めませんでした。
周囲の女性も男社会で戦っていると気づき、母親を理解し心が通じ合うラストはよかったです。
嘘の木 Amazon書評・レビュー: 嘘の木より
4488010733
No.22
(5pt)

自ら立ち向かう姿勢に共感

面白かった。カッコーの歌のヴァイオレットと嘘の木の郵便局長は似ている。真実を探求しようとする者にとってこの世は苦痛に満ちているが、その困難故に立ち向かう価値がある。ヴィクトリア朝時代の主人公も現代日本の私たちも、人形の家のノラと変わらない、男性社会が作った檻に閉じ込められている。
細部を丁寧に描写することによって、映像が立ち上る作家の技量に感心しました。映画化してほしい作品。
嘘の木 (創元推理文庫) Amazon書評・レビュー: 嘘の木 (創元推理文庫)より
4488151078
No.21
(5pt)

自ら立ち向かう姿勢に共感

面白かった。カッコーの歌のヴァイオレットと嘘の木の郵便局長は似ている。真実を探求しようとする者にとってこの世は苦痛に満ちているが、その困難故に立ち向かう価値がある。ヴィクトリア朝時代の主人公も現代日本の私たちも、人形の家のノラと変わらない、男性社会が作った檻に閉じ込められている。
細部を丁寧に描写することによって、映像が立ち上る作家の技量に感心しました。映画化してほしい作品。
嘘の木 Amazon書評・レビュー: 嘘の木より
4488010733