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サロメ
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サロメの評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.81pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全29件 21~29 2/2ページ
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実に背徳的で、衝撃の強い作品。 「ドリアン・グレイの肖像」などで有名な作家オスカー・ワイルドと、無名の画家オーブリー・ビアズリー、その姉のメイベルを軸に、物語は展開する。 オスカーが著した「サロメ」は、聖書の一節をもとにしていながらも、倒錯した性愛と猟奇性に彩られた頽廃的な戯曲。この「サロメ」に魅入られたオーブリーのペンは、鬼気迫るほどの光茫を放つ。そしてメイベルは、次第に狂気に身を委ねるようになる。 この三人にオスカーの恋人(男性)のダグラスも加え、当時のイギリスでは禁忌であった男色も交えた四つ巴の愛憎劇が進行する。 この作品は、匂い立つばかりの官能と、世紀末の気分を投影した悪徳の香りに満ちている。序盤で破滅を強く示唆されているが、読み進めるにつれ、そのときが訪れるのを強く待ち望んでいる自分に気づく。 傑作だが、表紙だけではなく、随所にオーブリーの挿絵が欲しいところ。編者の問題だと思うが、この点は惜しかった。 | ||||
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英国生活をした人には堪らない雰囲気とデカダンス。久々快作です。 | ||||
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「不謹慎な」「不健全な」「奇怪な」「退廃的な」「見たこともない」小説の新境地。前作「リーチ先生」のほのぼのとした読後感からは大きく乖離しており、基本的に「いい人」しか登場しないといえる筆者としてはかなりの異端作。 人間の根源としての欲求(愛情、恋愛、嫉妬、独占、出世、成功など)から絶対に逃れられない登場人物たちは傍からみればほぼ全員が「悪人」であり、唯一の例外は献身的な介護を続ける母親ぐらい。しかし「悪漢小説」ということもなく、いつものように「巻き込まれ学芸員」から話はスタートし、時空を100年以上遡って展開される物語は読者を惹きつけてやまない。もちろん「美術ネタ」は渾身の盛り込みであり、人物描写と心象表現もたいへん秀逸。 行きの機内で「サロメ」を読み、ホテル・サボイに宿を取ってロンドン街歩きをして、ベットの上で「オーブリーの画集」を見たくなること必至です。 | ||||
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ヴィクトリア&アルバート博物館の客員学芸員にしてビアズリーの研究者、甲斐祐也。ロンドン大学のジェーン博士より彼に提示された100年前のそれは、<サロメ>に掲載されなかった1枚の挿画、幻のクライマックス・シーン。凍り付くサヴォイ・ホテルのティー・サロンで、オスカー・ワイルドの研究に長けたジェーン嬢は口にするのだ。<サロメ>の本当の作者は誰なのか……。 序盤からグイグイと引き込まれる展開だ。 稀代のパフォーマー、オスカー・ワイルドと天才画家ビアズリー。そして……。三人の暗い愛憎劇がパリとロンドンを駆け巡る。 ・装丁は世紀末ロンドンの文芸誌The Yellow Bookを彷彿させ、手触りを含めて実に味わい深い。表紙はビアズリーの問題の挿画だ。また、ところどころに挿入される黒紙=幕が、演劇ライクな効果を生み出している。 ・序盤ではワイルドとビアズリーの立ち位置と、1890年代パリとロンドンの芸術界の背景を愉しめた。 ・ビアズリーとその姉メイベルが、バーン=ジョーンズ邸でオスカー・ワイルドと邂逅するシーンはとても印象的だ(p92)。そして、<サロメ>の挿絵を依頼される「火花」のシーンも(p125)。 ・サラ・ベルナールの<ハムレット>(コメディ・フランセーズ)とジェニー・リーの<ジョー>(パブリック・シアター)。終演後の空気感がそのまま伝わってくるような描写は素晴らしい(p126)。「人生のすべてを変えてしまうほどの力」(p118)はわかる気がする。 本作は、メイベルの物語でもある。「体内でどす黒い嗤い」が沸きたち(p264)、がらんどうの体の中で弟の言葉が谺する(p270)後半には、ワイルドに執着する者が誰であるのかがみえてくる。 ああ、口づけのもたらすもの。その意味を知り、重いページを閉じた。 | ||||
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一気に読了しました。 かの有名なサロメにこんな裏話が有るとは… 最後まで息が抜けません。 本当のサロメはお姉ちゃんかなぁ〜 | ||||
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サロメのついては聖書も読んだことがあったし、オスカーワイルドの作品も読んだことがあったが、オーブリービアズリーの絵は知っていたけど生涯は知らなかったし、ましてや姉のメイベルがいることは知らなかったので興味深く読んだ。 オーブリーの当時のインパクトは衝撃だったと感じた。 また、ワイルドも聖書のわずかな記述の少女に「サロメ」と名づけ1つの作品にしたのもすごいことだと感じた。 現在においても「サロメ」に関する作品が誕生し続けているのはワイルドの功績だろう。 サロメは魔性の女とか聖人殺害をした悪女などと評価されているが、強い意志を持った女性だったのではないだろうか。 また、メイベルもサロメの化身のようにこの物語では描かれているが、彼女も意志の強い女性だったのだと思う。 オーブリーが死んだその後の人生も彼女は力強く生きたのではないかと想像できる。 サロメの性質上仕方ないが、ドロドロしているので好き嫌いが分かれるのではないかと感じる。 | ||||
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「サロメ」の著者オスカーワイルド、そしてあの有名な挿絵を描いた オーブリーピアズリーとその姉・メイベルとの愛憎渦巻く微妙な三角 関係(…といってよいのだろうか?)が、ワイルドの恋人・アルフレッド ダグラスをも含めて錯綜し、破綻してゆく様が濃密に描かれる。 サロメというモチーフ自体が強烈なのに加えて、ワイルドらの中心的 登場人物だけでなく、周囲の人たちも含めたすべてがこの「サロメ」に 輻輳し、いつまでも消えない余韻が残る。 表紙のイラストや舞台の暗転を思わせるような処々に挿入された黒い扉 など、装丁の寄与しているところも大きいだろう。 エンディングには苦心したのか、やや不満も残る。 | ||||
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私は月刊誌で読んでいたのですが、受験期に図書館で勉強しにいく際の唯一の楽しみでした。絵に没頭していく描写がとても気持ちよかった。 | ||||
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19世紀末のイギリスの画家・ビアズリーの生涯と、病弱な彼を影に日向に支えた姉のメイベル、そして作家のオスカー・ワイルドとの愛憎を描いた作品です。 何十年も前の話ですが、学生の頃、ビアズリー展を見に行ったことがありましたが、確かに一目見たら忘れられない画風でした。当時、宇野亜喜良氏や俳優の米倉斉加年氏の幻想的な絵を見慣れていたにもかかわらず、です。これが19世紀末のイギリス(シャーロック・ホームズの時代ですね)で発表された時は、どれだけセンセーショナルでスキャンダラスだったことか。 ただ、原田マハさんがどんなに筆舌を尽くしても、ビアズリーの絵を見たことがない読者には、そのすごさがピンと来ないのが実情でしょう。単行本の表紙は、ビアズリーが手がけた「イエロー・ブック」の体裁で、絵は「サロメ」の「お前の口に口づけしたよ、ヨカナーン」を用いていますが、この絵だけでは(いや、この絵だけでもある意味十分ですが)、本文中に出てくる絵のすべてを想像するのは無理かと思われます。 まあ今の時代、ネットで画像検索すれば絵をいくらでも見つけることができるでしょうが、本作を読んでいて絵をすぐに思い浮かべられる方は、見た経験のある方か、画集をお持ちの方に限られると思います。 せっかくの力作ですが、絵が見られないという致命的な欠点はどうにかならなかったものか。その点が非常に残念に思います。 | ||||
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