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第四間氷期



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【この小説が収録されている参考書籍】
第四間氷期 (新潮文庫)

第四間氷期の評価: 4.59/5点 レビュー 39件。 Bランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点4.59pt


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全39件 21~39 2/2ページ
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No.19:
(5pt)

日本SFの秀作!

とにかく面白い。どのシーンもよく出来ている。特に、自分が自分と話をするというのは、現代人の狂気をよく表している。ややスケールが小さいかも知れないが、私は日本SFの傑作に数える。
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No.18:
(5pt)

我々に未来を語る資格はない: 科学・合理性信仰への批判

私は本書に、科学・合理性信仰への批判を見ます。現在の我々が物知り顔に未来を云々する資格はないと言われているようにも感じます。

「知るという言葉の正しい意味は、秩序や法則を見ることなどではなしに、むしろ混沌を見ることだったのだろうか・・・?」
「人間にとって一番大事なのは、社会よりもやはり人間なんだ。人間にとって良くなければ、仕組みだけがいくら合理的でも、そんなものどうしようもないわけでしょう」

科学が新しい技術を生み出す一方、それをコントロールできない人間がいます。
安部公房は強烈な形でそれを伝えていますが、どれだけの人が本書を手にとるでしょうか。残念です。
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No.17:
(4pt)

進化を偶発的なものから意識的なものに変える力を獲得した人間が目指すところは・・・

未来を正確に予言できる機械が研究所にて開発される。
 しかし政府からは政治的な内容についての予言が禁止される。
 そこで偶然見かけた一人の男の未来を予言させるため,その男を尾行中,何ものかによって男が殺害されてしまう。
 男の背景を調査するうち,付き合っていた女性が堕胎していたことが分かるが,堕胎手術をした病院は手術代をとるかわりに,女性に金銭を交付していることが判明する。
 いったい病院で何が行われているのか?
 非常にミステリチックな展開のあと待ち受ける衝撃の未来とは・・・

 安部公房作品の中では特にミステリー&SF&ユーモア色がよく出ていて物語としても面白い作品です。
 それでいて何とも言えぬ,決して軽くない読後感が味わえます。
 本書読了後最初に思い出したのがアーサーCクラークの「幼年期の終わり」です。
 もちろん全然違うお話で,テーマやアプローチの仕方も違うのですが,「幼年期の終わり」が発表されたのも,本書と同じ1950年代ということで,この当時は同様の未来感,終末感のようなものがあったのでしょうか。
 予言機械が話す一人の少年の物語が物悲しく,読後の余韻に浸っています。
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No.16:
(5pt)

先駆者

安部公房は生きていれば86歳、今から17年前の1993年1月22日に68歳で亡くなった小説家・劇作家。

安部公房、彼こそ日本SF黎明期に先んじてひとり孤高の先駆をなした人で、

安部公房『第四間氷期』・・・・・・・・・・・・・・1958年
星新一『人造美人』・・・・・・・・・・・・・・・・1961年
三島由紀夫『美しい星』・・・・・・・・・・・・・・1962年
小松左京『日本アパッチ族』・・・・・・・・・・・・1964年
小松左京『果てしなき流れの果てに』・・・・・・・・1965年
光瀬龍『百億の昼と千億の夜 』・・・・・・・・・・1965年
筒井康隆『東海道戦争』・・・・・・・・・・・・・・1965年

上記のように、試みにその時期に書かれた我が名作たちを少しラインアップするだけでも、彼の先験性がいかにずば抜けたものかがわかるというものです。

ここに三島由紀夫を登場させたのは、他でもありません、彼は完全にSFを理解していた訳ではありませんが、非戦だの民主主義だのと喧しい戦後文学に飽き飽きしていた矢先、キューバ危機あり怒涛のような日本SFの胎動ありの時に、自らは中世やら通俗あるいは事件の中に文学世界を展開していた中で、彼なりのひとつの解答というかSF的なものへのラブコールというか、安部公房を世界文学としての同志もしくはライバルとして対抗して書いたと言っていい作品だと思います。

だから、それは、適当に書いたような片手間なものではなく、あのような傑作になったのですが、ええっと、いまは安部公房の話でした。

・・・核戦争後の世界は、テレスクリーンという監視カメラで管理された社会という、ジョージ・オーウェルの『1984』やレイ・ブラッドベリの『華氏451度』のようなディストピア小説として描いたものですが、何と言ってもまだコンピュータのコの字も一般的には目にすることもなかった時代に、まるで予言するかのような描写は、さすが新しもの好きで科学的思考・発想の持ち主の面目躍如というところです。

 
記述日 : 2010年01月30日 13:34:01
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No.15:
(5pt)

53年前とは思えない最高のSF作品!

私の生まれた1958年かつ生まれた7月、月刊「世界」で連載の始まった作品。これまでなんとなく避けていたのが悔しくなる大傑作。1958年と言えばアメリカがようやくロケットを打ち上げに成功し、ソ連との冷戦に拍車がかかっていた頃。コンピュータではなく電子計算機というものが、国家レベルで使われ始めた。それは電卓にも及ばないくらいのもの。パソコンなんて概念もない。
バイオテクノロジーの黎明期であり、DNA=二重螺旋も発見されたばかりで、環境破壊は既に問題化してきていたが、水銀汚染とかであり、温暖化はまだまだ。ライバルのSF小説家は、星新一くらいで筒井康隆、小松左京はまだ登場していない。
 そんな時代にAI:電子知能による未来シミュレーション技術、バイオテクノロジーによる動物改造を展開し、タイトルにある間氷期:地球環境の変貌予測と対応への活動がドラマティックに進んでいく。この先見の明は驚嘆の極致だ。最近大好きなソウヤー、クライトンなどの米国現代SFの旗手に並ぶ日本の作家はいないと思っていたが、はるか昔、情報収集も今の作家のように簡単ではなかった時代。当然科学資料をあたるにも専門文献…巷にころがっているはずもない頃にこれだけの作品を書いていた阿部公房。すばらしい!!!今頃気がついたのか、とファンに怒られそうだが、53年目の2011年、最大の出会いだった。
 私の読んだ文庫は第28刷。H17年版。古い版は字が小さくて、読みにくい。新しい版の大きい活字の方が内容的にもマッチする印象。
この作品を是非映画化して欲しい。出来ればスピルバーグ監督でね。色彩やにおいが共通するものを感じる。AI、宇宙戦争、SUPER8とか。最近のSFホラーなんてぶっ飛ぶ映画になるはず。
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No.14:
(4pt)

『砂の女』『壁』『箱男』といった作品に劣らず重要

「彼女は口元にホクロがあって、それがときどき鼻くそのように見えるのだが、それでもときたま魅力的に感じるのだった」みたいな、ほとんど悪趣味とも言えるようなどろっとした感触と、素晴らしく知的なユーモアの混在する文体は相変わらずの安部公房なんだけど、今回はSF/推理小説仕立てで、ストーリーでも読ませる。

生物改造を主題のひとつにした Speculative Fiction ということで J.G.バラード の『時の声』(1962) に思いを馳せながら読んだけど、本書は1959年、SFと文学の壁をとっぱらおうとする流れのひとつだったのかもしれない。

『砂の女』『壁』『箱男』といった作品に劣らず重要な作品だと思う。
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No.13:
(5pt)

すごい

他の安部公房作品に比べ読みやすく、面白い!
設定とメッセージがしっかりしてる作品していて読んでいてワクワク、
読み終えて「すごい…」と思う作品です。オススメ。
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No.12:
(5pt)

いやなかんじ。

終始ほの暗い。独特の不気味な雰囲気。
絶対にありえないはずなのに、本当にあるのかもしれないと思わされる
妙なリアリティは、徹底的な描写力によるのだろうか。
とにかく、「こうなっても不思議はないよなあ」の、イヤな方がたくさんつまっている本。
科学的に検証できると面白そう。
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No.11:
(5pt)

尊重されない少数意見

「砂の女」が非常におもしろかったので、「密会」本作「壁」「箱男」と立て続けに読んだが、「砂の女」に次いで、

印象に残った。SF読み物としても楽しめたが、非常に奥深いものも感じた。

主人公勝見は、自分が作った予言機械であるのに、その予言を鵜呑みにするのは危険だと言い、至極正論を言ってるような気がするが、

周りの多数意見に論破され、あげくの果てに殺されてしまう。

正論であっても、愚かな多数意見が尊重されていくという怖さを感じさせられた。

それを現代に当てはめれば、大衆受けのいい政策が重視され、将来的に必要な政策が軽視されるという

衆愚政治に陥りつつあるということか。

作者が民主主義の危険性を指摘しているとするのは考え過ぎだろうか。
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No.10:
(5pt)

面白い

足からかいわれ大根が生えてきたり、名刺に自分の居場所を奪われてしまう様な安部公房の他の著作に比べ、群を抜いて読み易い小説だと思います。

緊張感を保ち続ける絶妙なストーリー展開や、医学や生理学の知識が裏付けする生々しい設定、人間存在の内面に食い込んで行く描写、詩的な感性といった安部公房の魅力も、遺憾なく発揮されています。

「未来との断絶」という本作のテーマや、作者の先見性も興味深いですが、私は純粋に読み物としての面白さを評価したいです。
彼の作品に宿命のごとくつきまとう不安や焦燥感が嫌でなければ、是非手に取って欲しい一冊です。
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No.9:
(5pt)

Speculative Fictionの傑作

黎明期において「子どもの読み物」とバカにされたSFに対し、安部は早くから面白さに気付き好意的であった。
評論家ではなく実作者であった安部は、自らもSF的道具を用いた作品をいくつかものしたが、『第四間氷期』は(他の方のレビューにもあったが)過小評価されているように思う。
これは極上のエンターテイメントだ。

未来を予言する機械。暗殺者の影。ミステリを思わせる幕開けは、やがてとんでもない飛躍を遂げ、冷酷な終幕へ向かう。「今もまったく古びない」とはさすがに言えない(コンピュータの描写など時代を感じさせる)が、有無を言わせない圧倒的な大風呂敷の広げっぷりとその見事な回収は、今でも十分興奮させてくれる。
『第四間氷期』をJ.G.バラードと比較した評は、浅学にして知らないが、70年代にSF界を席巻した「ニューウェーヴ」の旗手であった初期のバラードに通じる、深い悲しみとどこまでも広がる諦観を、私は『第四間氷期』に感じる。不条理をただ不条理として眼前に投げかける作風で評価された当時の安部であったが、この作品に関してはそれを封印し、あくまでも首尾一貫したストーリーテラーに徹している(それがいまひとつ低い評価の所以なのかもしれない)。
これは美しい小説だ。透き通るような映像を喚起させてくれる小説だ。そしてなによりもエンターテイメントだ。
もしも映像化されるなら、音楽はサティかドビュッシーの陰鬱なピアノ曲であってほしい。強くそう思う。

最後に。安部公房をSFだっていうと顔をしかめる人がいるけど、『世界SF全集』(早川書房)にも安部公房の巻があるんだし、本人もSF好きだったんだから、べつにいいじゃない。
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No.8:
(4pt)

「肯定的な未来」に鋭い疑問を投げ掛けた秀作

データを入力するだけで、あるモノの未来・過去を見通せる予言機械(現代で言う人工知能に近い発想だが、推論エンジンやルール・ベースの機構の説明が無いのは時代の限界か)を通して、「知る事の意義・常識への固執・肯定的な未来」に疑問を投げ掛けたもの。

その名も&lt;モスクワ1号>と言う予言機械をまず発表したのは旧ソ連。政治的プロパガンダが目的である。&lt;モスクワ2号>は「未来は必ず共産主義社会になる」と言う。主人公の勝見は日本唯一(!)のプログラマで(作者はハード設計者とソフト設計者の区別が付いていない)、対抗して予言機械を作る。だが、政府から政治関連問題を予言する事を禁止され、ターゲットを個人に絞る。相手は中年男。男が情婦のアパートを訪ねる所を助手の頼木と尾行するが、アパートで男は殺されてしまう。情婦は自首するが、犯人はその場に居合わせた男の可能性もある。真相解明のため、死んだ男の神経データを入力して、予言機械上で男を甦らせる。男から胎児ブローカーの話が出るが、事件の状況が判然としない。そこで、情婦を予言機械で分析しようとするが、女は神経細胞破壊の状態で死んでしまう。勝見への脅迫電話。水棲哺乳動物研究の噂。そして、詐称電話による勝見の妻の掻爬。問題が錯綜しているようだが、題名から私は昔読んだ楳図かずお氏の漫画「半魚人」を連想した(大当たり!)。勝見は頼木を疑うが、頼木は義兄山本が所長を務める水棲哺乳動物研究所に勝見を誘う。そこは海底牧場を思わせた...。

予測を知った相手の行動の変化に応じて二次、三次予測、以下最大値予測が求まると言う論は面白い。全編サスペンス・タッチで細部の描写は相変わらず精緻。安部氏の特徴が出た作品で、結末部のメビウスの環的論争もそれなりに読ませるが、題名と予言機械を題材にした段階で結末は自然に導かれる。地球温暖化を先取りした感覚は光るが。
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No.7:
(5pt)

厳しく、そして温かく

安部公房の作品の中でも、最も重要な作品の一つではないだろうか。

 ここに出てくる、“未来に裁かれる”という問題は現在も、というよりむしろテクノロジーの進歩によってきっと世の中の根本的な部分が変わりつつあるだろう現在だからこそ、非常にリアルである。なぜなら、例えば水棲人間が象徴するのが、未来の“人間性”だと考えれば、この小説はすぐにある恐ろしさを伴って現在の私たちに跳ね返ってくるからだ。もしも今、私たちが感動したり人間的だと感じていることが、未来においては糞の価値もなく嘲笑されるようなものでしかないとしたら・・安部自身が言うようにおそらく私たちにはそれを裁く権利がないどころか逆に、裁かれなければならないのだろう。

 私が、この作品を文学作品として素晴らしいと感じるのは、作者がそのような過去の価値にとらわれている人間の滑稽さやその虚しさを認識しつつ、それでもなお彼らをどう考えるかとらえあぐねているような印象を受けるからだ。最後の「地上病」にかかった水棲人間を、作者は後日「肯定的な存在なのか、否定的な存在なのか答えを出せないでいる」と言っている。実際、そこには私たちが生きるにあたってのとても重要な視点があるのではないだろうか。

 私は、ここにあるような安部公房の、厳しさを保っている(なぜなら「弱者への視線には常に殺意が込められている」から)、けれども温かい視線がとても好きだ。
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No.6:
(4pt)

SFと、入り組んだ謎

SFと聞くと子供だましの印象を持ちがちだが、

この作品では世界観を完成させており、違和感の入り込む隙が無い。

実に計算し尽くされた、文字通り“科学的寓話”である。

こういった世界も有り得るのではないかと思わせられる。

何重にも張られた難解なテストと、それに沿って

目まぐるしく移り変わる展開、全く無関係だと思われていた事象が

複雑に絡み合って、やっとタイトルへ辿り着く。

安部公房作品の中では誰が読んでもわかる部類。
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No.5:
(5pt)

天才とは先が読める人

今更ぼくがいうまでも無く安部公房は天才だ。

『砂の女』や『箱男』それらの作品をもってそれを論じるのもいいだろう。

けれどこの作品でそれを証明するのが一番手っ取り早いのではないだろうか。

初出が昭和33年だという。

公害が問題になったのが70年代。

バイオテクノロジーに目を向けられるようになったのが80年代。

それを考えると驚愕せざるをえない。

コンピュータが未来予想をする、その結果として現状の人間を否定して

何らかの行動を起こす、このモチーフ自体は当時のアメリカ映画にはいくつかみられる。

が、その多くは核戦争系のベクトルを向いていて

作家が言うような方向を危惧してはいない。

あえて言うなら H.G.ウェルズ御大の『タイムマシン』に近いニュアンスを感じさせるものはあるけれど。

新潮文庫の再発版、その帯のキャッチコピー

「ようやく時代が作品に追いついた」

まさに言い得て妙である。
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No.4:
(5pt)

一般的に過小評価されてると思う

安部公房の作品にはちょっと詳しいつもりです。彼が「箱男」執筆中に本格的に読みました。 (確か中学校の教科書に出ていた「棒」がきっかけで「壁」を読みましたが、中学生の私には少々厳しく、難解なことを崇めていただけでした。) 出版された作品は短編、戯曲、対談、エッセーを含めてすべて読みました。「箱男」が出て、自分の最も好きな作家は安部公房だと躊躇なく言うようになりました。この頃は、あまりに思考が一致するため、まるで自分の共同者のような錯覚をするくらいでした。「方舟」の頃から方向性が異なり始め、興味は薄れましたが、それでも出た本はすべて読みました。
さて、最高傑作はと聞かれれば、「箱男」と言うかもしれません。でも、読み物として一番楽しかったのは「第四間氷期」です。理系のSF好きですから尚更だったかもしれません。あんまり気に入ったから、英語のペーパーバックまで買って、苦労して読みました。 (「第四間氷期」も確かドナルド・キーンの英語翻訳だったように覚えています。勝手な想像ですが、「砂の女」に劣らず外国の文芸・アート関連で影響を与えたのではないでしょうか。)
難しくて考えさせられるのも良いけれど「他人の顔」や「第四間氷期」みたいなサスペンス読み物はやっぱり楽しい。それと何といっても私は「第四間氷期」の出だしと終わりが、とても詩的で大好きです。
私の一番好きな安部公房の小説は「第四間氷期」です。
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No.3:
(5pt)

最も分かりやすい作品のひとつ

難解な作品ばかりの安部公房の作品群の中でも最も分かりやすい小説のひとつ。あらすじは;予言機械を作った男が知った未来(=人類が水棲生物になる)は、男が受け入れられるものでなかった。このため男はこうした未来を阻もうとするが、未来人に暗殺される、というもの。
 結局、我々が過去を現在の視点から裁くということは、視点を変えれば、我々の現在は未来により裁かれるものである(例えそれがどんなに現在から見て好まざる未来でも)ということで、そういうことを書いた小説です。
 勿論サスペンスとしても上出来ですが、そういったレベルを超えて、怖すぎる作品。後味も悪いことこの上ないです。
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4101121052
No.2:
(4pt)

温暖化? そんななまやさしいものではありません。

ふつうに予言機械を作ってみたものの、
人類の未来までも予言してくれてしまいます。
話の展開はサスペンス調になっていたりで、
かなり楽しめます。最後のほうにでてくる少年の
シーンが大好きです。安部公房のSFは、ある種の
思考実験みたいで面白いですね。
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4101121052
No.1:
(5pt)

予言・未来

予言機械をめぐる研究者のはなし。
展開がはやく、不明な出来事の連続。
安部公房が主題とした未来の認識の方法は卓抜。
第四間氷期 (新潮文庫)Amazon書評・レビュー:第四間氷期 (新潮文庫)より
4101121052

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