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パールストリートのクレイジー女たち
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パールストリートのクレイジー女たちの評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.33pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全6件 1~6 1/1ページ
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第二次大戦と恐慌の頃のある少年が様々な体験をし・・・というお話。 こう書くとよくあるビルドウィングス・ロマンに思えるかもしれませんし、実際そうですが、著者がかのトレヴェニアンという事で、尚且つ自伝的な作品という事もあり、唯一無二の小説に仕上がっていると思いました。どこが唯一無二かと聞かれると、少々考えてしまいますが、特異な作品を書き続けた希代の作家の成長過程が判る、或いは全部創作で実際は違うかもしれないですが、それでもやはりトレヴェニアンが書いたという点で他の作家に書けない個性の様な物があると思います。この人の得意な冒険・活劇的な物が出てこないのでやや失望する方もいるかもしれませんが、その分この人の情緒的な部分が出ていて個人的にはそこが楽しめました。 気になった文章をフリクションでチェックしたので抜き出してみると、 「十九世紀の後半三分の一から第二次大戦が終わるまでのあいだ、女性たちの個人的な犠牲があめりかの公教育をーその構造や組織体系、人材などの根本的な脆弱さにもかかわらずー有効なものにした。生涯を、都市部のスラム街や小さな町、一クラスしかない農村部の校舎で教育に捧げた、瞠目すべき、多くは孤独な、ある世代の女性たち。」 「多くの学区で、女性教師の結婚は認められていなかった」 「きみが世界を正す時代がきたら、いいかい、これだけは憶えておくんだ。医療や教育といった基本的なものが人々に供給されるとき、そこには資本主義の競争効果と社会主義の道義心や人間性の、両方ともが必要なんだ。金は資本主義者によって産みだされ、社会主義者によって使われなくてはならないんだよ」 「資本主義において、富は比較としての貧乏を必要とするのだ」 「つまり、まったくのところ、人生に関する僕の理解のすべては、我家の古いエマーソンラジオとつながっていたのだ。学校から帰ってラジオのスイッチを入れる瞬間が、一日のなかでもっとも好きな瞬間だった。真空管があたたまるまでの、五秒かそこらのハム音が収まるのを待つあの甘味な時間!」 「一九三〇年代および四〇年代に、アメリカの都市部に住んでいた人たちはほとんどみんな、すくなくとも週に一度は映画を観に出かけていた。」 となりましたがどうでしょうか。恐慌のあった頃のアメリカという事で資本主義に懐疑的になっていたのが伺えたり、あの時代のアメリカへの哀惜が伝わってきました。 翻訳の江國さんに関しては、名前は知っておりますが、作品は読んでいないし、翻訳に関する能力も寡聞にして知りませんが(すいません)、本書に関しては、読みやすく楽しめました。トレヴェニアンの名前より江國さんの名前で惹かれて本書を手にする方も多いかもしれませんが、どういう理由にしろ、この特異な作家の作品に触れる機会が増えるのはいい事だと思います。 一つだけ言っておくと切れ目なく長く続く文章が昔の小説風で読み難かったですが、敢えてそういう文体にしている様なので、しょうがないかも。もうちょっと、読者の集中力を考慮して頂きたかったですが・・・。 ジョン・ル・カレ氏も最近まで自伝的な「パーフェクト・スパイ」という作品は出ておりましたが、本格的な伝記が出るまで時間がかかってファンは随分待たされましたが、トレヴェニアンという人に関してもいつか本格的な伝記が書かれる事を期待しております。それまでは、本書が伝記の代わりになるかも。 ともあれ、少年を主人公にした成長小説、特異な作家の自伝的小説として面白い小説でした。是非ご一読を。 | ||||
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"あのフランスにしてインデイアンの気質" 作者は自分の母をこう何度も書いています。 子供たちを深く愛しながらも その気質と度重なる悲運のために彼らを悩ませた母。 作者は少しでも彼女を理解したいという思いが強かったのでしょう。 戦争関連の本を今まで避けてきましたが これは抵抗無く読めました。 厳しい現実を 皮肉と飛び切りのユーモアをたくさん交えて 細やかに描いています。それに魅せられました。そして この本の題名も最高です。 | ||||
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大恐慌、第二次世界大戦下のアメリカで暮らす貧しい人々の生活が、色濃く映し出された小説です。 早く続きが読みたくて、でも読み終わってしまうのが勿体無いような、充実した読書体験ができました。 江國香織さんの訳は素晴らしく、言葉のチョイスや表現力の豊かさは流石です。 | ||||
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久しぶりに、懐かしいアメリカ映画を観ているような小説でした。 | ||||
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あのトレヴェニアンである。 邦訳されている全作品を楽しんだ読者は、この作品を読んでまたまた感嘆するに違いない。 一作ごとに作風を変えるのはこの天才作家の独壇場だが、この作品は全く驚きに値する。 少なくとも私は茫然とした。 あえて言えば「少年小説」ということになるけれど、過去のこのジャンルの傑作と比較しても抜きん出た作品であることは保証する。 一章ずつ丁寧に舐めるように読んだ。 なにしろこの作品の魅力は細部にあるのだから。 翻訳は、少年少女を描かせたらたぶん現代最高の作家である江國香織である。 この日本語の素晴らしさは特筆に値する。 トレヴェニアン+江國香織。本年度最高の贈り物だった。 なんという幸せな読書の時間! | ||||
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個人的には「読むのが面倒臭い」感じの文。 この手の話は「もののあはれ」とかノスタルジーとかが(できれば行間に)セットになってないと、単にうんざりする話になってしまう。 本書は、自分には「行間」が読めなかった。 | ||||
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