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ハリー・オーガスト、15回目の人生



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【この小説が収録されている参考書籍】
ハリー・オーガスト、15回目の人生 (角川文庫)

ハリー・オーガスト、15回目の人生の評価: 4.43/5点 レビュー 28件。 Cランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点4.43pt


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全28件 21~28 2/2ページ
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No.8:
(5pt)

いやまいった

文句なく名作。
マイケル・シェイボンの「ユダヤ警官同盟」、R.C.ウィルソンの「時間封鎖」とならんでこの10年のベスト。
ストーリー、設定、登場人物の倦怠、恐怖、そして正義を行う人の魂。エンターテイメントとしても「巻置く能わざる」一気読みレベル。
リプレイ物の新しい地平を開いたのは間違いないし、これは読まないと損しますわ。
ネタバレもいやなので、これ以上書くことがないけど、絶対おすすめです。
ハリー・オーガスト、15回目の人生 (角川文庫)Amazon書評・レビュー:ハリー・オーガスト、15回目の人生 (角川文庫)より
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No.7:
(5pt)

すごい腐的な面白さもあり。

15回の人生はリニア(直線的)なものだけではなく、主人公ハリーは何度も回り道をします。
そのなかで、快楽も苦痛も希薄化する人生のなかで、大切なものはなんなのか?
そういった部分のテーマの外堀を埋めつつも、筋の通った一つの戦いについてじっくりと、丁寧な描写と説得力で楽しめます。
巧緻な世界の設定と、それを最小限で表現するこのうまさ。
もはや、星なんてありったけつけるしかない。脱帽です。楽しめました。
ハリー・オーガスト、15回目の人生 (角川文庫)Amazon書評・レビュー:ハリー・オーガスト、15回目の人生 (角川文庫)より
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No.6:
(4pt)

人生やり直し。出来たらな~

同じ時間が反復される、ループもの。
なかでも人生リセット的な分野。この分野を作ったとまで言われる名作「リプレイ」が大好きなので、この手の本は見逃せません。
これもまた、楽しめました。
ハリー・オーガスト、15回目の人生 (角川文庫)Amazon書評・レビュー:ハリー・オーガスト、15回目の人生 (角川文庫)より
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No.5:
(3pt)

人生を丸ごと繰り返す、珍しいタイプのループもの

■良かった点
 戦前生まれの主人公は「カーラチャクラ」と呼ばれる転生者で、20世紀の大半を生き、死ぬ度に人生をやり直すことになります。人生の度にいろいろな職に就き、国をめぐり、人に出会い、歴史的事件を目撃することになります。数あるループものでも、人生を丸ごと繰り返すというのはあまりないと思います。
 これらを詰め込むには、作者が相当の勉強をしたに違いありません。こうして本作は時間的にも空間的にも大きな広がりをもっており、ループものという設定を存分に活かせていると思いました。(対照的に、日本では何年も前からループものが流行っていますが、箱庭的というか閉塞感が際立っているものが多いと思います。)
 さらにこの転生者たちが人類史上ずっと存在しており、彼らが秘密クラブを創っているところが非常に面白い設定だと思いました。この設定により、彼らは幾世代をも越えた伝言ゲームができることになります。こうして、作中時間は主人公の人生を越えるものではないにもかかわらず、その世界観はさらに広がっていきます。そして主人公は、未来から「世界の終わり」を告げるメッセージを受け取ることになるのです。

■ストーリーが面白いかというと……
 力作であることは間違いありません。まず、ある人間の一生「以上」を書ききる力量が求められます。さらにその人が埋め込まれている歴史の流れ、その一つひとつの時点における社会情勢を把握していなければなりません。非西欧の社会・文化についてはステレオタイプな印象が否めませんが、なにはともあれ本作はそれを成し遂げたといえます。
 しかし、地に足が着いている分、ストーリーは中だるみがあり、全体的に地味です。歴史を変えないことが転生者たちのモットーであり、歴史を変えてしまう敵役を止めることが物語の目的になってしまうので、あまりワクワクしないわけです。
 しかも冒頭で主人公の勝利宣言がなされ、敵役もすぐに登場するので、予定調和的な物語を見せられることになります。それでも過程が楽しめればいいのですが……本筋と直接関係のないシーンが多く、拷問はいったん死ぬのが分かりきっているのに無駄に長く、主人公が敵役を追い詰める終盤の展開も、特段サスペンスがあるわけでもなく……。要は主人公に対する敵役の友情を利用して騙し続け、相手が心を開いたところで破滅させるので、あまり読んでいて気持ちがいいものではありません。

■登場人物に魅力がない
 主人公にまるで魅力が感じられず、共感できる人物でもなかったのが辛かったです。まず、彼も歴史を変えないように行動するわけですが、そのくせ以前の人生で恋仲となった娼婦と自分を殺した男のことは平気で毎回殺します。また、以前の人生で伴侶となった別の女性と敵役が結婚すると、主人公はものすごく苦しむのですが、何百年も前の伴侶のためにこうも苦しむものでしょうか? 
 それに対し、人を人とも思わない敵役のほうが、人生をひたすら繰り返す宿命を背負った人間らしい態度だと思いました。というか、前述のとおり主人公も人殺しをするのは平気なわけで、ヒューマニズムという点でどっちつかずの曖昧な人間に思えます。そもそも主人公にヒューマニズムがなければ、遠い昔の恋人が殺されようが知ったこっちゃないし、人類滅亡なんて気にせず敵役に協力しつづけてもいいわけです。敵対する以上、主人公には道義心が必要なわけですが、その割にかなり俗っぽく冷淡な人間なので、よく分からんという感じです。たしかに主人公が敵役にひどい目に遭わされて「これは復讐だ」と決意する場面もあるのですが、それだけでは、人類を危機から救う話のはずがひどく小さなスケールになります。
 また、主人公の内面を掘り下げるためにか、本筋と直接関わりのない部分も多くあります。特に実父や義父と主人公の関係について、(大抵はあまり愉快でない)エピソードがしばしば差し込まれますが、それにどういう意図があったにせよ成功しているようには思えませんでした。
 他の登場人物もキャラが立っているのは件の敵役くらいで、ユダとなる人物もなぜ裏切ることにしたのか描かれていませんでした。また、ループやSF要素を除けば、地に足の着いた物語のはずなのに、主人公を拷問する人物は言動がマンガ的すぎて違和感がありました。

 
 最後にループにまつわる疑問を書いておきます。ただし、これは本作への評価には関係していません。

■疑問1.
 そもそも、カーラチャクラたちは歴史を変えないようにひっそり暮らそうと心がけていますが、そんなことが果たして可能なのか? というのは当然浮かんでくる疑問です。仮に政治や経済に深く介入しないとしても、ささいな選択の変更の集積により、超長期的にみたら歴史が大きく変わるのは避けられません。というのも、人類史上おびただしい数のカーラチャクラたちが人生を繰り返しているわけですから。歴史は絶えず書き換えられ、カオスになっているとしか思えません。

■疑問2.
 百歩譲って、取るに足らない些細な変化しか起こさずに、ここまでやってこられたとしましょう。それでも厄介な問題があります。例えば、主人公はある人生で初めてクラブメンバーに出会いますが、そのときは死を待つほかない状態であるため、来世での待ち合わせをします。そして来世で、主人公がその待ち合わせ場所に行くのはいいとしても、その世界にいる相手もなぜ〈同じ来世〉なのでしょうか?
 来世は個々のカーラチャクラの死とは無関係に、「歴史=世界の終わり」後に始まるのでしょうか? つまり、主人公のN回目の人生が終わった後も歴史は続き、いつか終わります。すると歴史=世界は振り出しに戻り、そのN+1週目のある時点で、主人公のN+1回目の人生が始まる、と。それなら、主人公と相手とが同じ来世を生きていることは確かでしょう。何をもって歴史ないし世界の「終焉」と定義できるのか分かりかねますが……それは棚上げするとしても、これならループの数は全員が同じになるでしょう。しかし、主人公より明らかに数多くループしている人物がいることから、どうやらループの数は人によりけりのようです。
 それでは、主人公のX+1回目の人生と、待ち合わせ相手のY+1回目の人生とが、同一の時間軸=世界になるのは、一体なぜでしょうか?

■疑問3.
 物語は11回目の人生を終えようとしている老いた主人公のもとに、転生者の少女がやってきて世界の終わりが早まっていることを伝えるところから始まります。つまり、未来から伝言ゲームをしてきたわけです。そのとき少女は、このメッセージは数千年の時を超えてやってきたと言うわけですが・・・
 転生を利用した伝言ゲームは、「過去→未来」か「未来→過去」かでだいぶ話が変わってくるはずです。過去→未来の場合は何てことはありません、ひとつの時間軸で最後の一人まで届くでしょう。これに対し、未来→過去の場合、幼少の転生者Aが晩年の転生者Bに伝え、生まれ変わったBが幼少のうちにまた晩年の転生者Cに伝える、というやり方になります。すると、実はいちいち転生しないといけないので、伝言ゲームはひとつの時間軸で2世代間が限度となります。すると「数千年の時を超えて」メッセージを伝えるには、相当ループしているはずなのです。
 敵役が世界の終わりを早めるような行動を始めてからのループ数は正確に分かりませんが、どう考えても合わないわけです。
 もちろんこれも、敵役が1回ループしている間に、伝言ゲームのプレイヤーたちは何十回もループしているとすれば解決しますが、そこからは疑問1や2に書いたような疑問がただちに生じることになるわけです。
ハリー・オーガスト、15回目の人生 (角川文庫)Amazon書評・レビュー:ハリー・オーガスト、15回目の人生 (角川文庫)より
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No.4:
(5pt)

米国Amazonでは、64%のレビュアーが5つ星をつけているSFエンターテインメント小説

ハリーは1919年に英国エジンバラの東にある駅の公衆トイレで私生児として産み落とされる。やがて70代で一度生涯を終えるものの、それまでの70年の記憶を保ったまま再び1919年の駅のトイレで産み落とされることになる。彼はカーラチャクラと呼ばれる種族のひとりで、何度死んでも人生をもう一度やり直すことができるのだ。これは彼が繰り返す人生の最初の15回、およそ千年にわたる物語だ。
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 記憶を保持したまま人生をやり直し続ける物語にはアメリカ人作家ケン・グリムウッドの名作SF小説『』があります。先の人生で味わった遣り損ないや犯してしまった失態を、やり直しの人生でなんとか補正し、そして自分と同じような宿命をもった女性との出会いを通して、より充実した生へとたどり着こうとする男の物語です。あの小説を読んだときの興奮は今も忘れることができません。

 今回の『ハリー・オーガスト』は、どんよりと曇りがちなイギリスの空模様に合わせたかのように、『リプレイ』に比べるとダークな雰囲気が強い物語です。ハリーは当初こそ、前の生涯では解明できなかった人生の意味について知ろうと、次の一代では様々な宗教や幅広い学問領域に分け入っていく努力を重ねます。
 私のようにこれまで50年以上、悔やむことの常に多い人生を歩んできた者の目には、次々と知識と情報を自らのうちにため込みながら新しい人生を始めることができるハリーはうらやましくて仕方ないという気持ちになりそうです。

 しかしそれでも人間に必要なのは知識や情報ではないということを指摘する至言がハリーの前にそっと差し出される瞬間があります。読んでいる私も虚を衝かれる思いがしました。
「ねえ科学者先生、もしあなたが世界中の男を優しく世界中の女を美しくする機械を作る理論を立てたところで、その機械を作っているあいだに、通りを渡ろうとしているおばあさんに手を貸してあげなければ意味ないの。わかる?」(289頁)
 この言葉をハリーに投げる人物は、かりに飢餓や核戦争の終焉を導くことができても、心が「お留守だったら意味ない」と言葉を継ぎます。「まっとうでない人の人助けなんて機械いじりと同じだもの」

 寸鉄人を刺すがごときこの言葉を胸にハリーは、小説の後段、宿命の相手と対峙しながら「機械いじり」とは異なる「まっとう」な人生を歩んでいくことになります。
 それはこの小説が、ハリー個人が己の人生の充足を求める旅路の話から、全人類の命運を掛けた壮大な魂の物語へと激変していくことを意味します。

 500頁強の怒涛の物語を、私は堪能しました。

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 翻訳は雨海弘美氏。同じ角川文庫で先年、ヒュー・ハウイーのこれまた壮大な年月を描いたSF巨編3部作『』、『』、『』を見事な日本語に移し替えた人物です。今回の『ハリー・オーガスト』を途中で一度として倦むことなく読み通せたのも、ひとえに雨海氏の名翻訳のおかげです。
 ただし、ヒュー・ハウイーの3部作のレビューでも指摘しましたが、十分な校閲ができる人が角川文庫編集部にはいないようです。今回も誤字脱字の類がいくつかありました。
 以下に指摘しておきますので、今後の増刷で修正されることを強く期待します。

*180頁:「ヴィセント・ランキス」とありますが、正しくは「ヴィンセント・ランキス」です。「ン」の字がひとつ足りません。

*328頁:「激論を戦せている」とありますが、正しくは「激論を戦わせている」です。送り仮名に「わ」の字が欠けています。

*331頁:「スタッフの指示はかなりなおざりだった」とありますが、ここは「おざなり」のほうが適当だと思います。「おざなり」はいい加減でも&#34;何かする&#34;。「なおざり」はいい加減で&#34;何もしない&#34;、という部妙な違いがあります。
(以下はNHK 放送文化研究所HPより引用)<教育を[おざなり/なおざり]にする。「おざなり」の場合は、いい加減ではあってもひとまず教育をする、という意味になります。いっぽう「なおざり」の場合は、教育らしきことはほとんど何もしない、という意味になります。>
 ハリーが目にしたスタッフはいい加減でも何か指示はしたので、「おざなり」のほうがふさわしいといえます。

*363頁:「精神病院があふれかえる」、401頁:「精神病院に送られる子供」とあります。確かに時代設定は20世紀なので、当時の言葉遣いとして「精神病院」で間違いないということも可能かもしれませんが、念のために申し上げると、現在では「精神科病院」としたほうが適当です。
 2006年に、「精神病院の用語の整理等のための関係法律の一部を改正する法律」が成立し、「精神病院という用語には、精神病者を収容する施設というイメージが残っており、そのことが、精神科医療機関に対する国民の正しい理解の深化や患者の自発的な受診の妨げとなっている」ため、「精神保健及び精神障害者福祉に関する法律等における「精神病院」という用語を「精神科病院」という用語に改めること」になりました。(参議院法制局HPより引用)
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No.3:
(5pt)

New!リプレイ

一気に読んでしまいました
ここ数年無いほど没頭出来る物語
まさしく『リプレイ』ものですが、さらに飛躍したアイデアと世界観の中で楽しめます

蛇腹のように永遠に繰り返す人生はひとりでは辛いでしょう
けれど過去未来現在に同じ仲間がいるというのは何とも心強い
彼の永遠にも続く人生を知りたくなります
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4041030110
No.2:
(5pt)

最高のエンターテイメント

ループ物は媒体に関わらず色々あるが、その中でも断トツの最高傑作。記憶を消してもう一回読みたい。
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4041030110
No.1:
(5pt)

一気読み本。

1000円を超えるので躊躇していたが、評判がめちゃくちゃ良いので購入。
結果、後悔しなかった!一本の長編映画を観たような気分に。

死んでも、うまれたときの状況にまた戻る主人公と、同じ体質を持つ人々の集団、クロノス・クラブ。
この体質の使い方が、今までにない。記憶を蓄積し、あることを目論むライバルも魅力的。
最後の方は続きが気になり一気読み、男同士の友情が響く。

なんだか支離滅裂になってしまいましたが、興奮さめやらぬうちに感想を書いておきます。
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4041030110

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