六つの航跡
- SF (392)
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クローン人間やデジタル人格のガジェットを精密に描く作品が読みたければ、悪いが他をあたってくれ。 恒星間移民船の中で犯人も含めて乗員が死亡してしまって、生前の記憶がないまま全員がクローニング再生されてんだが、いったい誰がやったんだ?という密室、館物ミステリーなのです。 あと、藤井太洋『Gene Mapper (ジーン・マッパー)』が好きなら、主人公マリアのハッキング技術には心掴まれるかも。 | ||||
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エンタメサスペンスとしてはそこそこ面白く読んだが、実現されていない科学技術(本作の場合はクローンによる長命化)が導入された社会のインフラの変容や人の意識の変革についての深い考察がないうえに、クローンに関する設定の根本的なところで大きな違和感があって、つまりわたし基準では、本書はSFらしいSFとは言えず、かなり物足りない一冊だった。 宇宙船というクローズドサークルをメインにしながら、登場人物の過去として、地球や月も舞台として登場する。月にも生活圏があるが、光速の壁は超えておらず太陽系外へ行くには数百年が必要だ。23~25世紀が時代背景で、なにより最大の基本設定は、人格や記憶のコピー化とクローンによる肉体の若返りにより、実質的な不死が可能になった社会であることだ。登場人物たちは、基本的に何百年もの人生経験の持主である。 しかし残念なことに、そういった抜本からの変革による人間性や社会の深みはまるで描かれない。 登場人物たちの回想で、二百年ほど前にクローンと反クローンの社会対立があったことはわかる。同時に各人が隠す秘密も徐々に明らかになるという趣向。 不死が可能になったというと、その技術を謳歌できる特権階級とそれに無縁な下層の対立になりそうなものだが、本書での対立はそこではない。どうやらクローン化技術はかなり安価で、一部の特権階級だけがその果実を味わえるというわけではなさそうだ。では社会対立の原因はなにかというと、一言でいえば、クローンに魂はあるのかという宗教問題である。 各人がクローンを受け入れるどうかは、宗教観オンリーで判断されているようにみえる。 これは興味深い設定だと思うが、それほど簡単にクローンを使えるとなれば、間違いなく人口問題が大きな社会問題になる筈。そもそもドルミーレ号での移住計画も背景にはそれがありそうなものだが、いかんせん驚くほど深堀りされないw 著者はエンタメを書きたいだけで、SF設定は所詮装飾なのもしれないが、このあたりはきわめて雑である。西澤保彦の疑似SF的ミステリのように、最初から作者の立ち位置が明確であれば、なんの不満も湧かないのだろうが……。 次に根本的な違和感について。 二十代の健康な成体のクローンが極めて安価に手早く製造でき、また人格がまるごと正確にコピーできるとなると、目覚めた新たなクローンは、前回のマインドマップを取得して以後一定期間眠った後で目覚めたように感じるとは思う。 しかし前のクローンの立場では? 老衰死する直前にマインドマップをコピーして、それを新たなクローンに移植できればよいが、そうでない状況で死ぬ場合、人格や記憶をクローンに引き継げるからと納得できるだろうか。 ましてや、新たなクローンを起動させるために自らを死なせることができるだろうか? 例えば本書の設定でも、複数のクローンを作るのはあくまで禁止事項であって、不可能なのではない。原理的には本人が生きていようが関係なく、複数のクローンが同時に存在することも可能である。彼らの意識は共有されるのか? 人類進化系SFではあるまいし、そんなことはないだろう。 本人の意識からすれば、新クローンは、自分と同じ記憶と人格を持った別の誰かでは? 最低限このあたりの考察がなにもないというのは、雑な作りというよりも重大な欠陥だと言える。 やたら貶してしまったので、少し褒めておくと、最初に書いたようにエンタメサスペンスとしては決して悪くない。主人公を含めて、登場人物の誰もが秘密を抱えており信用できないうえに、それどころか、自分が犯人である可能性だって捨てきれない。信用できないのは六人のクローン体だけでなく、AIのイアンも同様である。 このあたり、著者が『2001年宇宙の旅』や『ゴールデン・フリース』といった先行のマスターピース作品をどのようにひねってくるかも興味深く、そんなオチでいいのと思わないでもないが、パクらずにひねりつつオトしている。 スタトレファンにとっては、マリアを除く各キャラの役職が、艦長、副長、航法士、機関士、医者と、そのまんまスター・トレックのメインキャラの立ち位置だから、お好みの俳優をアテながら本書を読むのもアリだ。 登場する二人のアジア人がキラキラネームでない日系なのも好感が持てるw ここで〆るべきなのだが、SFとして期待していたわたしには、もうひとつ残念ポイントがあったことにも触れずにおれないw 表紙に描かれているように、ドルミーレ号は円筒形をしており、回転することで遠心重力を発生させている。 当然中心軸からの距離に応じて体感重力は変化し、一般居住区より周辺側にある農業プラント?では重力が大きくなる。 月人には特にそれがつらいとかの描写があって、それはいいのだが、こういった円筒型居住施設では、回転方向の床は上方向にカーブすることになる。 視覚的な違和感は別にして、地上とは異なるコリオリの力の影響が絶対にある筈だ。 その影響がわたしの想像と同じか、あるいは全然異なるのかを突き合わせたいのだが、本書に限らずこのあたりが描写された作品をこれまで読んだことがない。 最初に気になったのは、ガンダム作品のノベライズ、『ユニコーンの日』だったが、アニメ作品にそれを期待するのは酷だろう。それよりも宇宙空間での派手なSEや旋回運動をえー加減にやめる方が先だw しかし本書のような純粋なSF小説?で、しかも円筒型スペースコロニーよりもはるかに小さく、従って体感するコリオリの力はより大きくなる宇宙船が舞台の小説で、そこに関するコメントがまるでないというのは、わたし基準では大きなマイナスポイントである。 | ||||
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クローン技術が発達した星間宇宙船で発生した殺人事件とその犯人探しをメインストーリーに、乗組員たちの過去パートを組み合わせた構成です。 過去パートで断片的に語られる出来事を繋げていくと、徐々に大きな絵が浮かび上がるという展開なので、それなりに面白く読めました。 残念なのが、最後のピースがはまったとき、裏側にある陰謀の動機とやっていることのギャップが大きいように思えた点でしょうか。 とはいえ、クローンそのほかの設定を活かして、未来世界を描くというSFらしい物語になっているので、SF好きなら読んでも損は無いと思います | ||||
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