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ラスト・ウェイ・アウト
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ラスト・ウェイ・アウトの評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.44pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全8件 1~8 1/1ページ
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推理小説の範疇のなかではやや異質と思われるが、膨大な要素が大きな破綻なく描かれ、一方、読む者には常にもしかすると誤っているのでは、という危惧を抱かせつつも物語は否応なく進む。終始不安定感を醸し出す不可思議な味わいがあるが、読了してみると緻密に構築されていることに気づく。 | ||||
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こういう作品を楽しめる読者の中には、作者の存在も織り込みづみのメタ視点から作品を読んでその完成度の行く先が展開の行き先と同時平行で気になるという擦れっ枯らしの読者も多いと思う。 だから内容にはあえて一切触れないが、序盤からいくつかの展開を繋げて全く飽きさせない。高いリーダビリティがあることはまず保証できる。分厚い翻訳本だと無駄に冗長な描写や語りで紙幅を稼いでるような作品がちらほらあるが、この作品はそれには全く当たらない。文章は簡潔明瞭。「この厚さでこのスピード感を維持できたら名作だな」と思いながら読み進めていたが、さすがに(あくまで私見で)名作とはいえないかもしれないが、貪らせる本に久しぶりに耽溺した。 | ||||
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ともかく,全体の8割までは引き込まれるように読み進んでしまいました.もーほんとにいったい何がどうなっているんだろう,と.がんがん一回読み通し,あー面白かった,と言って次の本にとりかかる,そういう感じの流れです.主人公の成長とか,自分の人生の重ね合わせとか,社会正義と人情の両立とか,最後の謎解きがそれほどどっきりではないとか,あまり気にせず楽しめました.最後の1ページ?うーん,皆さんはどうでしょうか.私はなかったほうがよかったような... | ||||
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中盤までのストーリー展開は、読者といっしょに謎解明する調子で夢中になれました。…が、その分、結末への期待が高くなってしまい、ラストの展開は詰めが甘いように感じました。私は、もっと意外性が強調され、謎の解明は仄めかし程度で進め、主人公には回復して貰いたかったですね。最後の警備員のエピソードはストーリーの価値を下げてしまいましたね。 | ||||
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第三部まで、400ページ 話が見えそうで、ナカナカ見えない。話の端々に小鬼みたいのが登場するわ、こりゃ絶対精神異常者の 中南米によくある幻想小説の一種である、と断定してもう読み止めよう、と何度考えたことか....だって、どう読み進んでも面白く なりそうにないのだから..... ところが第四部に入り、これだけでも200ページあるのだが、青春の回顧話が始まるや、第三部までの色々なゴチャゴチャが 一つ、一つ収まるべきところに収まり始め、あㇻ不思議、真っ当な(?)サイコサスペンスへと物語が変貌しだすと、もう 一気読み! 最初の400ページが読み解きにくかった分、最後の200ページの読みやすい事! とにかく、著者が南米人なんてことを微塵も感じさせない、完全な”北米サイコサスペンス”なのだが、最後の数行に、南米幻想小説の 趣あり。最後まで読んだら、面白かった。 | ||||
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本屋でこの本を発見したとき、帯に自分の好きな作家である三津田信三氏の推薦文があったので思わず購入してしまいました。 出だしは、ある1人の男が自殺しようとして自分の頭に銃口を向ける場面から始まります。 普通、物語の骨子というものは序盤に分かるものですよね。 例えば、館モノならこの先の物語の土台は「館系ミステリ」で決まります。館モノがしばらく読み進めると鉄道ミステリに変貌することはありません。 ところが本書は、物語の土台が分からなくなる。著者が一体、読者をどこへ連れて行く気なのか予想が付かなくなる。 「なるほど、こういうタイプのミステリか」と読み進めていくと、突如今まで抱いていたイメージが役に立たなくなる。 まるで迷路のように、物語の中で迷子になってしまいそうな感覚に陥る。 最後まで読むと表面上は一応、すべて片が付いたようにエンディングを迎えます。 しかし、最後のある人物のもらした言葉によって、今まで抱いていた物語が幻のように揺らめいてしまうような錯覚が起きてしまう。 久々に脳が揺さぶられた読書体験をしました。 これだからミステリ小説を愛読するのはやめられない・・・・。 文句なしの5つ星 【追記】 本文は577ページありますが、一つ一つの節の番号に5行分のスペースを使っている上に、 かならずページの頭から新しい節が始まるようにしているため、前の節が1文字でも次ページに差し掛かっていると、 そのページは残り全部空白にしてその次のページから新しい節が始まります。 つまり、本全体に空白部分が沢山ある。その空白スペースを合計すると白紙100ページ分に相当するのでは?と思われます。 実際には477ページぐらいの小説、と思って読めば大丈夫です。「600ページ近い大著」と気構えるほどの分量はありません。 ハヤカワミステリ考案の、紙の水増し法なのかしれません。(ハヤカワ文庫の他の著者にもこれと同じ構成が施されているので、この著者の作風というわけではないでしょう) あまり好きじゃないですね、こういうの。 1400円もする文庫ですからね・・・。 | ||||
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主人公テッド・マッケイは、リビングで拳銃自殺をしようとしていた。 だが正に引き金に指をかけた時、玄関の外から知らない男に呼ばれる。 現れたジャスティン・リンチと名乗る美青年は、「ある組織の一員だ」と 自己紹介し、驚くべき提案をもちかけてくる。 「死の決心が固いなら、その前に2人ほど殺して、人を救ってからに しないか? 1人目は、法が裁き損ねた殺人犯。被害者遺族が救われる。 2人目は、今の貴方と同じ境遇の男。残される者のため自殺より他殺で 死ぬ事を望んでいる。受けてくれれば、我々が次に声をかける者の 手によって、貴方もまた他殺で世を去る事ができる」 荒唐無稽だが、他殺なら愛する妻子に保険が下りる。受けるショックも 和らぐかも知れない。テッドは心を決め、人生最後の大仕事に乗り出す。 死を恐れる必要がまるで無いテッドは、自分でも驚く程の冷静さと明晰さ を発揮して、殺人犯を首尾よく射殺する。残ったもう1人の標的は 自分に抵抗しないと分かっているため、遂行は更に容易だと思われた。 ところが、第2の殺しを遂げた直後、テッドは標的の男のプロフィールが リンチから聞いていた内容と僅かに違っていた事に気がつく。 自分はリンチに利用されたのか? だが殺人を肩代わりさせたいだけなら こんな突飛で回りくどい方法を選ぶのは筋が通らない。混乱したまま テッドは現場を逃げ去る。 翌日目を覚ますと、テッドは自分がリビングにいて拳銃自殺しようと している事に気がつく。正に引き金に指をかけた時、外から男に呼ばれる。 男はリンチと名乗り、テッドに驚くべき(否、既に知っている)提案を もちかけてくるのだった―― SF映画のような「現実の反復」。更なる混乱の中、テッドは今の状況が 「自分が自殺しようとした理由」と関係しているのでは、と思い至る。 実は彼は、掛かりつけの心療医から「脳に悪性腫瘍が見つかり治療法が無い」 と宣告されていたのだ。ならこれは、腫瘍が見せた幻覚? しかし手元には 現実に現場へ行ったとしか考えられない「物証」が幾つも残っている。 テッドは、自分が本当に人を殺したのかを確かめるため、標的の男を再度 尋ねようと考える。 だが、そこで彼が出会ったのは「ここ数日の認識だけが混乱していた訳では なく、それ以前から、もっとずっと重大な何事かを間違って記憶していた のではないか?」という新たな疑念だった。 ジャスティン・リンチとは何者か。 彼に指示された2人の標的は、本当は誰で、本当に死んだのか。 掛かりつけの心療医。 出掛けたままの妻と娘。 行く先々に現れる「動物」と「白衣の男」。 チェスの才能と、バリエーション訓練。 蹄鉄。 幻か、それとも全て現実なのか。 初めにリンチに名を呼ばれて玄関扉へ向かったとき、テッドはリビングで 小さなメモ書きを見つけていた。書いた覚えなど全くないのに、間違いなく 自分の筆跡であるその謎のメモには、こう書かれていた。 「扉を開けろ。それがお前の最終出口(last way out)だ」と―― ────────── …以上、拙いながら序盤の粗筋でした。 そう、これでまだ序盤です。 ツイストに次ぐツイスト、というミステリは数あれど、 個々のツイストがこんなに「そっちへ行くの??」という気にさせる作品は、 そうそう無いのではないかと思います。 600ページ近い大作ですが、500ページに差し掛かるくらいになっても まだ話の全貌を掴ませません。 書評ではよく「地の文が視覚的(情景説明的)すぎて、ドラマのノベライズ のようだ」とも言われたりする本書ですが、個人的には却って読み易いと 感じました。とは言え、それでもやはり「海外作品特有の、自然な日本語に 訳しづらい言い回し&話運び」が時おり見られます。 内容的には★5を付けてもいいのですが、伏線が非常に細かい作品なので、 意図された違和感なのか翻訳上の違和感なのかが掴めないケースもややあり、 その分星を1つ引かせて頂きました。 それでも十分お勧めです。 | ||||
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まったく予測不能の展開で、驚きの連続であった。何を書いてもネタバレになりそうだが、ちょこっと書いてみる。この本は「間違った記憶」ミステリの一種と思う。2016年は、「間違った記憶」ミステリの豊作の年で、古典ではデイヴィスの「虚構の男」が翻訳され、海外現代では本書が訳されて、日本では、衝撃の乱歩賞作「QJKJQ」が出た。どれも傑作と思う。 | ||||
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