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私の消滅
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私の消滅の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.71pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全30件 1~20 1/2ページ
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コテージで読む手記で、幼少期の感性と文体が不気味。小説家や作家が描写する散文では見かけない、普通では書けない、登場人物に入り込んだ描写。 佐木隆三による宮崎勤裁判についての本を読み、本人証言の途中からネズミ人間が出て来て、ありがちな後付け作り話ではないかと思ったが、本作品で考え直した。いじめについては調査されていないという鋭い指摘も、仮に当時、調査しても時間経過で難航した可能性はある。 凶悪事件が起きると、なぜ起きたのか、記録を残すべきとのコメンテーターやマスコミの論調があるが、本当のことは分からないと思う。記録は研究対象にはなっても、予防策として活かされたと聞いた試しはない。 前上博については名前を挙げるだけで考察されていなかったが、作品での首吊りに至るプロセスで参考にされているのだろうと思った。 洗脳についての記述で、パブロフの犬は超有名な実験で聞き慣れていたが、それがロシアであることを指摘され、そうかロシアだった、そして今現在も形を変えて連綿と続けられているということを、強烈に気付かされた。 | ||||
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そうなのだが、歪まれた自己を、受け入れられず、その受け入れられない自己を他に押しかぶせ、それを抹殺することによって、もう、他に押しかぶせる必要のなくなった――完全になくなった訳ではない、平凡な妄想のように固執された夢想の実現を一応夢見ているのだから、しかし、そんな夢想が全く実現されず、果たされた歪みを引きずった、果たされたがゆえに、かすのように、残滓のように残った歪みを身につけた自分として生きることも許容する、というような、自己回復、自己定立の物語。 自己はもう気がついたときには、ままならぬ、複雑な解くこともできない自己を抱えているのだから、その、自分にとって外部といえるような、暴風のような自己を抱えた自己は、その暴風雨を手なずける、許容する自己になる他ない、この物語では、なる他なかったというふうに、自己の回復の、自己の定立の物語。 ここで行われる、脳に電気ショックを与えながら、記憶を書き換えるや、その中での、その果てでの殺人や、愛する人が強姦されること、凌辱されることや、少年時代の性的欲動や、母子相姦の願望や、兄妹コンプレクスの憎しみや、同性愛的に憧れられる共犯者や、自己の惨めを投影されたような愛する人やは、どういうのだろうか、登場人物の現実的な、実在的な体験というより、主人公に投影された、ある精神のあり方、主人公を通して主人公に肉付けされた、ある精神のあり方が、招き寄せる概念ドラマのように描かれており、そのような文体的特徴のもとでの、自己回復物語、自己定立物語であるように思える。 | ||||
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これは復讐の物語で、復讐の手段として「洗脳」が使われる。 具体的には近代洗脳の手法をもとに、その人自身の記憶および人格を別人のものに書き換える。 「私」とは一体何か。どこまでが「私」でどこからが「彼」の記憶なのか。今ここで涙を流して悲しんでいる私の感情は、本当に私のものなのか。 まるで酩酊したようにアイデンティティがぐにゃぐにゃ揺らいでその揺らぎがとても面白かった。何が真実なのか最後までわからなくてページを繰る手が止まらなかった。 | ||||
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久しぶりに本で泣きました。 でも健全に真っ当に暮らしてこられた方には 暗くて少しわかりにくいミステリーでしかないと思います。 宮崎元死刑囚についても殺人犯という私達とは全く別の生き物でしょと。 取り上げる事が不謹慎だというレビューも見ました。 それでいいと思います。 そう思える方を羨ましく思います。 私もゆかりさんや主人公の生い立ちや衝動に なんの共感も出来ない人生を歩みたかったです。 今は主人と娘と穏やかに暮らしているので こういった小説に触れる事で少しずつ消化していけたらなと思います。 | ||||
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正直プロットが安易で安っぽく前半は辟易しましたが最後まで読んで印章が変わりました。 この話にはやり過ぎな位の人物の背景が必要だったのかなとは思う。 長編でもっと普通のもしくは普通に見える登場人物で描かれていたら普遍的な哀しみみたいな物にもっと近づけそうな、惜しい感じが残った。 読後感は悪くない。 | ||||
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話の中にぐいぐい引き寄せられ、あっという間に読み終わってしまいました。幼いころの虐待がのちの人生に大きな影響を及ぼすのですね。 | ||||
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中村文則の始めての小説 心療内科の医師と患者を巡る物語。 芥川賞作家だけあって、読ませる文章。 設定がやや込み入っており、ミスリードを誘うような書き方。 前に戻って再確認する気は起きなかった。 他の小説と読みたいと思わせる小説だった。 洗脳のくだりは、とても納得した。 "褒める"というアメと "理不尽"というムチの組み合わせで完成する。 無自覚にも交際相手の女性を洗脳している男性は結構いそう。 | ||||
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文庫化されたので地元の書店で買いました。 おもしろいです。そして、なかなか暗いです。 内容は、170ページほどの中編で、精神科医の『私』がかつての恋人を自殺へ追いやった人間に復讐するというものです。 作中では、『私』による、80年代末の異常犯罪者として知られる宮崎勤の精神分析が行われたり、ソビエトの行った洗脳実験、電気ショックや催眠療法で消去したはずの記憶の回帰などが語られる。 自分は、中村さんの小説をずっと集めていたのですが、途中から作風が変化したというか、かなり作品の雰囲気が変わったなと感じ『あなたが消えた夜に』からはもう新作を読んでいませんでした。 (『銃』や『遮光』、『掏摸』のような、カミュやドストエフスキーを思い出す暗く冷たい作風が好きだったので) けど、この本を地元の書店の新刊コーナーで手に取ったとき、少しびっくりしました。 文章の作りが最近の口語的な柔らかなものから、初期に近い冷たさのあるものに戻っていたからです。 内容のほうも、本格的に長編メインに移行するより前のかなり暗い感じになっていて、ベストセラー作家になる前のものに戻っています。 特に、前半に何度か挟まれる小塚亮大という男の自分の子供時代を回想した手記の部分は、ほぼ昔の中村さんでした。 自分は読んでいて、しんどいな、と思いながらもファンとして嬉しかったです。 (もっとも『銃』『遮光』『土の中の子供』あるいは『掏摸』というより、全体的には『何もかも憂鬱な夜に』と『去年の冬、きみと別れ』を足して割ったような雰囲気になっています。吉見という老精神科医は『悪と仮面のルール』の父親に似ています。そこに『教団X』以降のマインドコントロール、人間の意識そのものへの問が掛け合わされているといった感じです) ところで、この『私の消滅』を読んで思ったのですが、もしかしたら中村さんは雑誌掲載の中編と、新聞や雑誌連載の長編とで雰囲気を意図的に変えているのかもしれませんね。 (『私の消滅』は文學界掲載、『教壇X』は雑誌連載で『あなたが消えた夜に』は毎日新聞連載) 個人的には、これからは雑誌掲載の中篇は必ずチェックしようと思いました。 一言でいうと、初期の中村作品が好きだった人におすすめです。またあの暗い中村文則が読めますよ。 (あと中村さんではないのですが、同じように暗くて深刻で救いようのないミステリータッチの作品として松村涼哉さんの『ただ、それだけでよかったんです』という小説があるので、中村さんが好きな人はチェックしてみてください) | ||||
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間接的なネタバレみたいなものです。 全然スッキリした感はないのにこの切なくて心に残る読後感は何なのでしょうか?実はこの方の小説は初めてなのですが、このテンションで行ったら「教団X」などは疲労で卒倒してしまいそうです。 苦しくなるような、歪んだような、それでいて純粋な切なさに心を打たれました。 ところで暴力の連鎖に取り込まれ、渦を巻く、というテーマであるとするならばもしかしたら妹とゆかりの関係性とは?…と考えてしまいます。 もう一つどんでん返しがあるとすればそこかな?と考えて読んでました。 | ||||
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つらかったですが、救済を感じるような気がして何度も何度も読みました。救済ってなんだろうと思うことは多々ありますが、他に言葉が見当たりませんでした。 作中に登場するゆかりさんという女性に共感しました。そして、私もそうだった、と思わずにはいられませんでした。 ゆかりさんは診察の日に丈の短いスカートを履いていました。 性犯罪被害者は大きくふたつにわけて、性的なことがものすごく怖くなって、そういった話を聞くのもつらいと全く受け付けられなくなる人と、体を売ったり複数の男性と性行為をするようになったりする、つまり性的に奔放(この言葉は苦手であまり使いたくはありませんでしたが、他に言葉が見当たらず、この言葉を使ってしまいます、ごめんなさい)になる人がいると思います。 私は、今まで誰とも付き合ったことがなく、風俗につとめたこともなかったので、性的に奔放になることはなかったと思います。恋人がいないことは悲しいですが、それは、出会いがない、縁がない、性被害にあったから恋愛が怖い、それらだけでなく私の性格などに問題があるのだと、思っています。 短いスカートをはいて、やや挑発するような態度をとる、ゆかりさんのしたことは本当に性犯罪被害者の苦しんで苦しんで苦しんだ末にとった行動だと思いました。 あとになってから、ゆかりさんの短いスカートのくだりを思い出して、泣いてしまいました。彼女の傷は深すぎて、誰にも救うことができない、だけど、ほんとうは助けて欲しい、そういった気持ちや感情で、短いスカートをはいたのだと思いました。本当に苦しい気持ちです。 私には性被害にあった人に何ができるのだろうと思います。 考えてもほとんど何も思いつかず、ふがいなく自分が憎いです。 私はたくさんの性被害にあってきましたが、強姦されたことはありません。 母親は「犯されたわけじゃないんだから」と呆れています。 私の傷はそんなにどうでも良くて軽いものだったのかと、一番信頼できる家族の言葉が本当につらかったです。 私も性的に奔放、とまではい全くかないかもしれませんが、でも、覚えがあります。 セカンドレイプも何度も受けました。 日本では、性犯罪被害者の支援が遅れていると強く思うし、なにより被害者の話を聞いてくれる人がいません。 ゆかりさんも恐らくそうだったのだと思います。 そして、小塚亮大さんに会った。会うことができました。 私はゆかりさんが羨ましかったのだと思います。 二人の男の人に愛されて、嫉妬に近い感情を覚えてしまいました。 私はなんて醜い人間なのだろうと思います。でも、それでも私はゆかりさんが羨ましく思うのをやめられなかった。 自分の醜さに嫌悪しながらも、ゆかりさんの幸せを願わずにはおれませんでした。 もちろん、和久井太一さんと小塚亮大さんの幸せも。 微かな希望を残すラストシーンは本当に悲しかったです。 みんなが幸せになれることを願います。 人を傷つける人もなにか傷を背負っていると思うから、だれかを傷つけたいと思えなくなるくらい幸せになってほしいです。 | ||||
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なかなか読み応えのある本でした。又吉氏が推薦していたので購入してみました。 | ||||
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様々なカタチの悪意が現れては消え、 何が正しくて何が間違っているのかわからなくて、 でもなぜか心地よい不安に包まれる話でした。 生々しい描写が続くのになぜかファンタジー小説を読んでいるかのような浮遊感があり、 最後まで飽きずに読み終わりました。 | ||||
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初めから独立し、確立された人格などは存在しない。 環境因子がいかにして「私」を作り上げているかなど考えさせられる内容で、 心理学の分野に興味のある方には魅力的な小説だと思います。 特に宮崎勤の人格・事件に対する洞察・分析には引き込まれるものがあり、 いつかもう一度読み直してみたい小説でした。 | ||||
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この作品、南海か熟読してやっとタイトル「私の消滅」の意味するところがわかったような気がします。 この作家の作品は、いままでは第三者が他人の人生をデザインし、観察し、制御することに快楽を覚える登場人物が物語の大事な役割を果たしていました。 「掏摸」「王国」「教団X」・・・・ しかし今回の作品では、さらにもう一歩、新しいアプローチで他人の人生をデザインします。 嗚呼・・・・なんと恐ろしいことを! ここのレビューに書かれてる方の中には「僕」の特定を誤ってらっしゃいます。 「私の消滅」の面白さはココです。 「中村文則」は新しいモデルを構築しました。 傑作です!! | ||||
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期待を裏切らない中村さん!!私は、いつも騙される。でも読み終わる頃にはスッキリしていて爽快です✩*॰¨̮ | ||||
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著者独自の世界が目くるめくようにして描かれていて、読後もしばら後味が悪かった。この著者の読後感はいつもそうである。 話は、心が正常でない精神医の回顧録のような形を取っていて、今登場して語っているのがその精神医なのか、或いは精神医が貶めようとしている悪者なのかの区別がつかず、時には気分が悪くなるような思いにさせるのだった。 私がこの作者の本を読むようになったのは、「掏摸」という小説を2年前に読んでからである。「掏摸」では、内容は鬱とした暗い物語ではあるが、知的な感覚に浸り、今迄に読んだことのないような新鮮さを感じたものだった。 この本を五つ星にしたのは、作品自体が面白いからというのではなく、文章のうまさと、発想の巧みさから作者の知的能力を感じるたからである。冒頭で述べた、作者の魅力、とはそのようなところにあるのかもしれない。 | ||||
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友人がこの本を読み描いた絵に惹かれ、どんな本なのか教えて貰い購入しました。変わった本だとは聞いていましたが、確かに変わった本です。 読む方のイメージによって見える景色は違ってくると思います。だからこそ面白くて変わってあるのでしょうね。 | ||||
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「このページをめくれば、あなたはこれまでの人生のすべてをうしなうかもしれない」 冒頭から不穏な空気を感じさせる。ある人物の手記から始まるのだが、その内容にぐいぐい引き込まれる。 しかし、読んでいくうちに誰がどうなっているんだという疑問がわき、その疑問が解決されると、また最初から読み始め、おさらいをしてやっと理解!! 出てくる人物のがみんな重い人生を背負っているところが、陰鬱な気分にさせてくれます。 それにしても催眠療法や電気ショックがこういったことに使われるのかと思うと恐ろしくなります。 | ||||
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人生で一冊読みきったのがこの本だった。 いつも小説とか読んでると途中で飽きてしまうのに。 2時間で読みきってしまった。中村文則の他も読みたくなった。 | ||||
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レビューを見ていて、嫌な予感がしましたが、外れでした。 私に合ったリズム、テーマでした。 さすが中村さん!! それとなくちりばめられた、純度の高いメッセージが心に響きました。 「私は変われるか?」 洗脳、薬、電気ショックと現在考えうる「脳を変える」方法で試される私。 しかし、私はそんなもので変われるのか? 脳とは本当に私なのか? 私とは私個人が所有している私だけなのか? と沢山の問いを投げて下さってありがとうです。 久しぶりにいい本に出会いました。 | ||||
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